ネット喫茶.com

オリジナル小説や二次創作、エッセイ等、自由に投稿できるサイトです。

メニュー

真選組の女の子

原作: 銀魂 作者: 神崎しおり
目次

手作りクッキー

いつもそうしていたのだろうけど。

というか、なんでそもそも真剣じゃなくて木刀を持っていたんだろう当初の私は。

木刀ではいけない理由があったとか?……きっと対した理由じゃないだろうな。ていうか、木刀って銀さんと被るね。

そんなことを考えていると

「おい、聞ぃてんのか!」

と突然怒鳴られ、思わず肩がびくっと動き

「はいぃ!」

と返事をしておいた。


俺の話しを聞いてんだか聞いてないんだかわからんこいつは、俺の怒声にビビりながら返事をした。

万事屋んとこに預けたのは気に入らないが、こうするしかなかった。こいつを、しばらく屯所にいさせたくはなかった。

記憶喪失の女が屯所にいることが他に知りわたっているのならば、また同じことが起こる可能性がある。

しかし、いくら近藤さんでも同じ手には引っかからない。仮に違う手でこいつに危害を加えるやつが現れたとしても、俺らで守り通すことができる。

だから別に、危険だからという理由で預けたわけではない。

この事件をきっかけに、こいつがいない間、北条のことを山崎などを使って調べさせた。

どうやら記憶喪失の女が屯所にいるという情報は他には漏れていないということは確かになったが、こいつのことはわからずじまいだった。

隠密に調べていたつもりだが、万が一北条の耳に入り、自分のことを探索されているということがわかれば、こいつはなんて思うだろう。

少なくともいい気はしないことは確かだ。


だが、けっきょく、有力な情報は得ることはできず、北条のことは何もわからずじまい。

もしかしたら記憶喪失のふりをしたスパイだという可能性もあるわけだが、こいつがそんなことするタマにはとても見えねぇ。

ほんとに、どこの誰なんだろうな、お前は。

大切だからこそ、疑ってしまう。大切な存在になってしまったからこそ、俺はお前を……


……いや、なんだこれ。

俺としたことが、少々考え込みすぎてしまった。これ以上はめんどくせぇからあまり考えないようにと思考を落ち着かせ、とりあえずタバコをくわえ火をつける。

気がつくと屯所についており、俺は部屋へと向かう。

「じゃーな」

と右手をあげ、北条に背を向け俺は立ち去った。

「え?あぁ、はい」

なんかよくわからんが、北条はなんともまぬけな顔をしていた。


土方さんが怒っていたと思ったら、急に考え込むように黙り込んで、どうしたんだろうと考え顔色を伺おうとしたら、あまりにもあっさりと

「じゃーな」

なんて言って去っていくものだから、拍子抜けしちゃった。

そして私は手に持っている袋の中身を見る。

「土方さんに、渡しそびれちゃった」

ラッピングされた4人分のクッキー。まあ渡していたら渡していたで、空気が読めていない行動だったかもしれない。

渡すのは、明日でいいや。今日はもう遅いし。

私も部屋に戻ろうと突っ立っていたままの足を運び始めると、声をかけられた。


「おかえり」

俺がそう声をかけると、その人は嬉しそうな笑みを浮かべながら俺のところへと走ってきた。

「ザキ、ただいま~」

久しぶりに聞いた君の声は、相変わらず可愛らしい声色で。

「ちょうどよかった、ちょっと聞いてくれる?」

何だろうと思い耳を傾けると、どうやらさっきまで副長に怒られていたらしい。

いきなり、それはないよね!と頬をふくらませて俺に愚痴を言ってくる。

怒ってたと思ったら急におとなしくなるし、なんなんだろうね?と聞いてくる。

俺にそんなこと言われてもな……でもただ1つ、言えることはある。

君のことが心配なんだよ、副長は。

もちろん、副長だけではなくて、俺や沖田隊長に局長。他の隊士達も含むことなんだけどね。


アリスちゃんに合わせる顔がないって言ってた局長も、すっかり元通りになりストーカーを再開し出したし、アリスちゃんも元気そうで良かった。

……って、あれ?

アリスちゃんが元気そうなのはいいことだけど、局長がストーカー再開したのは全然いいことじゃないよね!?

俺何言ってんだろ。

そんなことを考えていると、アリスちゃんはさっきまで俺に愚痴を言っていたのに急におとなしくなった。

俺がちゃんと話し聞いていないのバレたかな、とも思ったけどどうやらそうではないらしい。

怒っていたと思ったら急におとなしくなるし、なんなんだろう。

さっき君は副長のことをこう言っていたけど、そっくりそのままその言葉を君に返すよ。

「はい」

アリスちゃんは突然、袋からきれいにラッピングされたそれを出し、目線を伏せがちに俺に手渡す仕草を見せた。

「へ?」

突然のことに固まる俺。


「クッキー作ったから、ザキにあげる」

「お、俺に?くれるの?」

「そうだって言ってるでしょ」

なかなか受け取らない俺に、アリスちゃんはクッキーの入った袋をぐいぐいと俺の胸におしつけてくる。

「ありがとう」

俺が素直にお礼を言うと

「別に、あんたのために作ったわけじゃないんだからね。万事屋で作ったら余っちゃって……その、もったいないから受け取ってよね」

どうみてもツンデレです。
目次

※会員登録するとコメントが書き込める様になります。