捌話 五年生と…
「さぁ、どこからでも来い」
白眼を開眼した寐玲が構えた。
五人は寐玲から距離を取り、それぞれ構える。
((どうしよう…寐玲の強さを知ってるから、攻撃するの戸惑うなぁ…))
勘右衛門が渋っていると、隣に居た三郎が少し前に出る。
((先手を撃たせてもらう!))
鏢刀を投げる。
「!」
寐玲は紙一重で避ける。
((見覚えの無い武器だ…薄々とは感じていたが))
「…やはりそうか…」
「何がやはりだ?」
鏢刀を構え、三郎が訊く。
「我らが使わない武器を使っているな……それは鏢刀と言うのか」
「同じ忍者なのにこの武器を知らないなんて…!」
次に雷蔵がクナイで切りつけてくる。
バク転で避ける寐玲。
「私達は忍術を主に使ってるからな…!」
両手を素早く動かして印を結ぶ。
左手を勢いよく地面に付ける。
「っ!雷蔵!!下がって!!」
勘右衛門の声で後方に下がる。
「土遁・裂土転掌の術!」
地面に亀裂が入っていく。
「な、何だあれ!?」
近くに居た八左ヱ門も避ける。
ふと、後ろに殺気を感じた。
振り返る八左ヱ門に、
「遅い」
瞬身の術で背後に移動した寐玲が新しい印を結ぶ。
「土遁・地動核の術!」
地面に両手を付ける、と、
「な!な!?」
八左ヱ門を中心に四角形に形取られた地面が下がっていく。
慌てて跳んで兵助の所に走っていく。
地面を上げて元に戻す。
「流石、反射神経はそれなりにあるな」
「み、寐玲!何だよ今の!!!地面が!地面がー!!!」
八左ヱ門が叫ぶ。
兵助に五月蝿いと軽く叩かれてしまった。
「さ、休む暇は無いぞ!」
また寐玲は印を結ぶ。
((あれは…!))
二度見た印。これは…!
「火を吐くぞ!!」
「火遁・豪火球の術!」
勘右衛門の声と共に、寐玲は火を吹く。
五人は避ける。
「ほぅ、これが豪火球とやらか…」
立花がニヤリと笑った。
((確かに大きく息を吸った位しか動きは無かったな…奴の言う“忍術”というものは不思議なものだな…))
立花は寐玲の行動一つ一つに注目し、冷静に分析する。
次の自分達の時に役に立つ様に…だが、どれだけ見ても分からない所があった。
((忍術はどの様にして発動させているのだ?))
手を使って何かの形を作る動作を何個か組み合わせて発動させている、が、そこから火を吹けたり地面に亀裂を入れることが出来るのかが結び付かない。
((この時間では判明は出来ないな…私達の時に注意して見るか…))
分析を止め、焙烙火矢のメンテナンスを始めた。
寐玲が火を吹き終わったのを見計らい、兵助が音を立てる事無く背後に近付き、寸鉄で肩甲骨の真ん中にある点穴の天宗を狙う。
「残念だが見えてるぞ」
紙一重でしゃがんで避け、足払いする。
足を取られた兵助は地面に叩きつけられる。
「がはっ!」
「一人」
地面に伏せたらその人の負けというルールの為、兵助は渋々六年生の元へと行く。
「見事にやられたな、久々知」
「立花先輩…やっぱり寐玲は凄いです…完全に遊ばれました」
気落ちするなと兵助の肩にポンと手を置き、励ました。
「兵助は完全に気配を消していた筈なのに…」
「白眼の前では全て無意味だ…ほぼ全方位を見る事が出来るからな」
何だそりゃあ!と三郎は姿を変える。
寐玲に変装した。
「ほぅ…白眼まで再現とはな…だが!」
寐玲は変化の術を使う。
「変化……畑カカシ…」
そして、印を結ぶ。
右手に雷が生じる。
「雷切」
瞬身の術で雷蔵の前に移動する。
既の所で止めた。
雷蔵は腰が抜けたようだ。地面に座り込む。
「二人」
元の姿に戻って雷蔵を担ぎ上げ、六年生の所に運ぶ。
「済まないな雷蔵、ちょっと刺激が強すぎたかな…」
未だ呆然としている雷蔵を見て呟く。
「雷蔵!雷蔵!」
兵助が呼びかけるが応えない。
「気を失っているだけだ…気概は加えていないから直ぐに元に戻るだろう」
気付いたら声を掛けてくれと寐玲は元の場所に戻った。
「よし、時間をかけるのもアレだ…一気に済ませるぞ…!」
「本気で来いよ」
雷蔵の事もあり殺気が増した三郎に対し、鼻で笑う。
「悪いけど本気ではいかない…死なせたら困るしな」
両手で十字を組む。
「多重影分身の術」
ざっと20人位いるだろうか…煙と共に現れた。
いきなり人数が増え驚く。
「うわ!寐玲が沢山居るんだけど!?」
「はぁ!?何だこりゃあ!」
「え、嘘!そんなんズルイってー!!!」
三人はあっという間に取り押さえられ、寐玲の勝利で終わった。
分身を解き、捕まった三人と共に六年生の所へと移動した。
そこに学園長、山田伝蔵先生と土井半助先生も来た。
「余裕の勝利だったのう寐玲君」
「どうも…一時期は一国相手にしてた時もあったんだ…これだけの相手に負けたら今の地位には居ないぞ」
一国…と勘右衛門が呟く。
総隊長ってそんな大人数相手に一人で戦うのかよと三郎は寐玲を睨んだ。
「次は六年生だが、寐玲君、休憩は必要かな?」
「要らん…こんなの運動した内に入らん」
((五年生の皆は息切れまでしてるのに運動した内に入らないって…結構動いてたと思ったのに…体力凄いな))
土井は動き足りなくてストレッチを始めた寐玲を見て思った。
体力が有り過ぎる七松と良い勝負になりそうではないか、と。
「よし、六年生!始めるか…果たしてこの印を使わせる事が出来るかな?」
右腿を触り、寐玲は呟く。
白眼を開眼した寐玲が構えた。
五人は寐玲から距離を取り、それぞれ構える。
((どうしよう…寐玲の強さを知ってるから、攻撃するの戸惑うなぁ…))
勘右衛門が渋っていると、隣に居た三郎が少し前に出る。
((先手を撃たせてもらう!))
鏢刀を投げる。
「!」
寐玲は紙一重で避ける。
((見覚えの無い武器だ…薄々とは感じていたが))
「…やはりそうか…」
「何がやはりだ?」
鏢刀を構え、三郎が訊く。
「我らが使わない武器を使っているな……それは鏢刀と言うのか」
「同じ忍者なのにこの武器を知らないなんて…!」
次に雷蔵がクナイで切りつけてくる。
バク転で避ける寐玲。
「私達は忍術を主に使ってるからな…!」
両手を素早く動かして印を結ぶ。
左手を勢いよく地面に付ける。
「っ!雷蔵!!下がって!!」
勘右衛門の声で後方に下がる。
「土遁・裂土転掌の術!」
地面に亀裂が入っていく。
「な、何だあれ!?」
近くに居た八左ヱ門も避ける。
ふと、後ろに殺気を感じた。
振り返る八左ヱ門に、
「遅い」
瞬身の術で背後に移動した寐玲が新しい印を結ぶ。
「土遁・地動核の術!」
地面に両手を付ける、と、
「な!な!?」
八左ヱ門を中心に四角形に形取られた地面が下がっていく。
慌てて跳んで兵助の所に走っていく。
地面を上げて元に戻す。
「流石、反射神経はそれなりにあるな」
「み、寐玲!何だよ今の!!!地面が!地面がー!!!」
八左ヱ門が叫ぶ。
兵助に五月蝿いと軽く叩かれてしまった。
「さ、休む暇は無いぞ!」
また寐玲は印を結ぶ。
((あれは…!))
二度見た印。これは…!
「火を吐くぞ!!」
「火遁・豪火球の術!」
勘右衛門の声と共に、寐玲は火を吹く。
五人は避ける。
「ほぅ、これが豪火球とやらか…」
立花がニヤリと笑った。
((確かに大きく息を吸った位しか動きは無かったな…奴の言う“忍術”というものは不思議なものだな…))
立花は寐玲の行動一つ一つに注目し、冷静に分析する。
次の自分達の時に役に立つ様に…だが、どれだけ見ても分からない所があった。
((忍術はどの様にして発動させているのだ?))
手を使って何かの形を作る動作を何個か組み合わせて発動させている、が、そこから火を吹けたり地面に亀裂を入れることが出来るのかが結び付かない。
((この時間では判明は出来ないな…私達の時に注意して見るか…))
分析を止め、焙烙火矢のメンテナンスを始めた。
寐玲が火を吹き終わったのを見計らい、兵助が音を立てる事無く背後に近付き、寸鉄で肩甲骨の真ん中にある点穴の天宗を狙う。
「残念だが見えてるぞ」
紙一重でしゃがんで避け、足払いする。
足を取られた兵助は地面に叩きつけられる。
「がはっ!」
「一人」
地面に伏せたらその人の負けというルールの為、兵助は渋々六年生の元へと行く。
「見事にやられたな、久々知」
「立花先輩…やっぱり寐玲は凄いです…完全に遊ばれました」
気落ちするなと兵助の肩にポンと手を置き、励ました。
「兵助は完全に気配を消していた筈なのに…」
「白眼の前では全て無意味だ…ほぼ全方位を見る事が出来るからな」
何だそりゃあ!と三郎は姿を変える。
寐玲に変装した。
「ほぅ…白眼まで再現とはな…だが!」
寐玲は変化の術を使う。
「変化……畑カカシ…」
そして、印を結ぶ。
右手に雷が生じる。
「雷切」
瞬身の術で雷蔵の前に移動する。
既の所で止めた。
雷蔵は腰が抜けたようだ。地面に座り込む。
「二人」
元の姿に戻って雷蔵を担ぎ上げ、六年生の所に運ぶ。
「済まないな雷蔵、ちょっと刺激が強すぎたかな…」
未だ呆然としている雷蔵を見て呟く。
「雷蔵!雷蔵!」
兵助が呼びかけるが応えない。
「気を失っているだけだ…気概は加えていないから直ぐに元に戻るだろう」
気付いたら声を掛けてくれと寐玲は元の場所に戻った。
「よし、時間をかけるのもアレだ…一気に済ませるぞ…!」
「本気で来いよ」
雷蔵の事もあり殺気が増した三郎に対し、鼻で笑う。
「悪いけど本気ではいかない…死なせたら困るしな」
両手で十字を組む。
「多重影分身の術」
ざっと20人位いるだろうか…煙と共に現れた。
いきなり人数が増え驚く。
「うわ!寐玲が沢山居るんだけど!?」
「はぁ!?何だこりゃあ!」
「え、嘘!そんなんズルイってー!!!」
三人はあっという間に取り押さえられ、寐玲の勝利で終わった。
分身を解き、捕まった三人と共に六年生の所へと移動した。
そこに学園長、山田伝蔵先生と土井半助先生も来た。
「余裕の勝利だったのう寐玲君」
「どうも…一時期は一国相手にしてた時もあったんだ…これだけの相手に負けたら今の地位には居ないぞ」
一国…と勘右衛門が呟く。
総隊長ってそんな大人数相手に一人で戦うのかよと三郎は寐玲を睨んだ。
「次は六年生だが、寐玲君、休憩は必要かな?」
「要らん…こんなの運動した内に入らん」
((五年生の皆は息切れまでしてるのに運動した内に入らないって…結構動いてたと思ったのに…体力凄いな))
土井は動き足りなくてストレッチを始めた寐玲を見て思った。
体力が有り過ぎる七松と良い勝負になりそうではないか、と。
「よし、六年生!始めるか…果たしてこの印を使わせる事が出来るかな?」
右腿を触り、寐玲は呟く。
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