第27話
「? どうしたのじゃあすか? そんなにかおをまっかにして?」
「……いや、コイツの恥辱が、あたしの頭に流れてきたんだ」
「ちじょく……? よく、わからんが……ともかく、こやつをしょうきにもどさねばならぬの。どういったえいぞうがながれてきたか、くわしくおしえてくれ」
「う、うん……わかった……ほんとうは嫌だけど」
少しだけ戸惑いつつも、あたしは涼太から読み取った映像を事細かにシャル話す。
すると、ゆっくりとシャルの顔は、次第に赤くなっていった。愛いやつめ。
「な、なるほどのう……せんのうのたぐいか。ともかく、それならなおすことができるぞ」
言うと、シャルは馬鹿の頭に手を置き、呪文のような言葉の羅列を唱えていく。早口すぎて聞き取れない。まさに呪文のようなもの。
「……う、く……あ……あれ? ここは……」
「涼太」
「……ん? ……飛鳥、か? なんで飛鳥が……って痛ってえ! なんでいきなり蹴るんだよ!」
「気持ち、いいか?」
「はぁ? なにをアホなこと言ってんだ! 気持ちいいわけないだろう!」
どうやら、涼太は正気に戻ったようだった。よかった。本当に、良かった。
とりあえず、今起きたことを涼太にすべて説明する。
「……そうか。すまない、シャル」
全てを聞き終わると、予備の服とやらに袖を通した後。涼太はシャルに謝罪していた。深々と頭を下げて。
「涼太、なんでこんなことになったんだよ? それに、さっきのお前のアレ、能力じゃないのか?」
「ああ、全てを説明するよ」
涼太は、覚悟を決めたような表情をして、話し始めた。
「あれは、春一番が誰かのスカートでもめくってくれないかと期待していた頃――」
ところどころ……というか、ほとんど関係のない話ばかりだった涼太の話。要約するとこうだ。
涼太はあたしが話す前から神様の存在を知っていて、すでに綾瀬川奈々子に協力していたらしい。
『わたくしに協力してくれるのならば、貴方の関係者には手を出しません』
と言われ、しぶしぶ納得。
条件をのんだ涼太は、涼太と相性のいい神様と契約させられ、『黒い変態(ブラック・ナイト)』の能力を得た。
『漆黒の騎士』。涼太の能力は、漆黒の鎧と化した神様を装着することによって、運動能力を格段に上げ、近接戦闘では圧倒的な力を発揮する、というものらしい。武器は股間から召喚する剣、『メンズ・シンボル』。下ネタじゃねえか。
変身時間は6分9秒。それを過ぎると、鎧が外れ、全裸になってしまうとのこと。
……なんか、カッコよさげなのに、カッコ悪い能力だよな。
と、能力説明はこれくらいにして。
そして、翔平太の件と、先日の智の一件。
関係者には手を出さないとの約束だったのに、これはどういうことだ、と綾瀬川奈々子に尋ねに行ったところ、拷問(?)された上、綾瀬川奈々子の能力によって操られたらしい。
それから先は、記憶がないとのこと。
「なるほど……ところで、そろそろでてきたらどうじゃ?」
シャルが視線を、涼太から、鎧が消えたときに涼太の近くに落ちた小さなペンダントに移した。
『…………』
「おぬしのことじゃ。そのペンダントにやどっているかみよ」
『……めんどう』
ペンダントから、声が聞こえてきた。
どうやら、本当に神様が宿っているらしい。
「リグレット。出てきてくれ」
『……ん。涼太がそう言うなら』
ペンダントがまばゆい光を放ち、その光は人型へ変わっていく。
シャルのときと同じだ。
「……どうも」
現れたのは、真紅の髪に、炎のような赤い瞳を持つ少女だった。
年齢は、あたしたちより少し下、というところか。
「おぬし、なは?」
「……リグレット」
白いリボンでツインテールにした髪を揺らしながら、少女、リグレットは無表情のままそう答えた。
彼女が、涼太に宿った神様か。
……可愛いじゃん。
「? なにムスッとしてるんだよ?」
「してねえよ」
少しイライラしてるだけだ。
「むふふ……まだまだこどもじゃのう……あすかは」
にやにやと、笑みを浮かべながら言ってくるシャル。
「シャルに言われたくねえよロリっ娘」
「しゃるはただのロリっこではないぞ? ごうほうロリというやつじゃからのう。……まあ、そんなことはどうでもいい。ところでリグレット」
「……何?」
「どうする? 『楽園』にそーけんされたいか?」
「……それはごめん」
「なら、しゃるたちにきょーりょくしろ」
「……どうする? 涼太」
「勿論、協力するに決まってるだろ!」
「……そ。なら、私も協力する」
無表情のまま、そう答えるリグレット。
そんなこんなで、涼太とリグレットが仲間になった。
これで、綾瀬川奈々子の計画を止めるのに、強力な助っ人を得ることができた。
いよいよ、最終決戦だ。
「……いや、コイツの恥辱が、あたしの頭に流れてきたんだ」
「ちじょく……? よく、わからんが……ともかく、こやつをしょうきにもどさねばならぬの。どういったえいぞうがながれてきたか、くわしくおしえてくれ」
「う、うん……わかった……ほんとうは嫌だけど」
少しだけ戸惑いつつも、あたしは涼太から読み取った映像を事細かにシャル話す。
すると、ゆっくりとシャルの顔は、次第に赤くなっていった。愛いやつめ。
「な、なるほどのう……せんのうのたぐいか。ともかく、それならなおすことができるぞ」
言うと、シャルは馬鹿の頭に手を置き、呪文のような言葉の羅列を唱えていく。早口すぎて聞き取れない。まさに呪文のようなもの。
「……う、く……あ……あれ? ここは……」
「涼太」
「……ん? ……飛鳥、か? なんで飛鳥が……って痛ってえ! なんでいきなり蹴るんだよ!」
「気持ち、いいか?」
「はぁ? なにをアホなこと言ってんだ! 気持ちいいわけないだろう!」
どうやら、涼太は正気に戻ったようだった。よかった。本当に、良かった。
とりあえず、今起きたことを涼太にすべて説明する。
「……そうか。すまない、シャル」
全てを聞き終わると、予備の服とやらに袖を通した後。涼太はシャルに謝罪していた。深々と頭を下げて。
「涼太、なんでこんなことになったんだよ? それに、さっきのお前のアレ、能力じゃないのか?」
「ああ、全てを説明するよ」
涼太は、覚悟を決めたような表情をして、話し始めた。
「あれは、春一番が誰かのスカートでもめくってくれないかと期待していた頃――」
ところどころ……というか、ほとんど関係のない話ばかりだった涼太の話。要約するとこうだ。
涼太はあたしが話す前から神様の存在を知っていて、すでに綾瀬川奈々子に協力していたらしい。
『わたくしに協力してくれるのならば、貴方の関係者には手を出しません』
と言われ、しぶしぶ納得。
条件をのんだ涼太は、涼太と相性のいい神様と契約させられ、『黒い変態(ブラック・ナイト)』の能力を得た。
『漆黒の騎士』。涼太の能力は、漆黒の鎧と化した神様を装着することによって、運動能力を格段に上げ、近接戦闘では圧倒的な力を発揮する、というものらしい。武器は股間から召喚する剣、『メンズ・シンボル』。下ネタじゃねえか。
変身時間は6分9秒。それを過ぎると、鎧が外れ、全裸になってしまうとのこと。
……なんか、カッコよさげなのに、カッコ悪い能力だよな。
と、能力説明はこれくらいにして。
そして、翔平太の件と、先日の智の一件。
関係者には手を出さないとの約束だったのに、これはどういうことだ、と綾瀬川奈々子に尋ねに行ったところ、拷問(?)された上、綾瀬川奈々子の能力によって操られたらしい。
それから先は、記憶がないとのこと。
「なるほど……ところで、そろそろでてきたらどうじゃ?」
シャルが視線を、涼太から、鎧が消えたときに涼太の近くに落ちた小さなペンダントに移した。
『…………』
「おぬしのことじゃ。そのペンダントにやどっているかみよ」
『……めんどう』
ペンダントから、声が聞こえてきた。
どうやら、本当に神様が宿っているらしい。
「リグレット。出てきてくれ」
『……ん。涼太がそう言うなら』
ペンダントがまばゆい光を放ち、その光は人型へ変わっていく。
シャルのときと同じだ。
「……どうも」
現れたのは、真紅の髪に、炎のような赤い瞳を持つ少女だった。
年齢は、あたしたちより少し下、というところか。
「おぬし、なは?」
「……リグレット」
白いリボンでツインテールにした髪を揺らしながら、少女、リグレットは無表情のままそう答えた。
彼女が、涼太に宿った神様か。
……可愛いじゃん。
「? なにムスッとしてるんだよ?」
「してねえよ」
少しイライラしてるだけだ。
「むふふ……まだまだこどもじゃのう……あすかは」
にやにやと、笑みを浮かべながら言ってくるシャル。
「シャルに言われたくねえよロリっ娘」
「しゃるはただのロリっこではないぞ? ごうほうロリというやつじゃからのう。……まあ、そんなことはどうでもいい。ところでリグレット」
「……何?」
「どうする? 『楽園』にそーけんされたいか?」
「……それはごめん」
「なら、しゃるたちにきょーりょくしろ」
「……どうする? 涼太」
「勿論、協力するに決まってるだろ!」
「……そ。なら、私も協力する」
無表情のまま、そう答えるリグレット。
そんなこんなで、涼太とリグレットが仲間になった。
これで、綾瀬川奈々子の計画を止めるのに、強力な助っ人を得ることができた。
いよいよ、最終決戦だ。
※会員登録するとコメントが書き込める様になります。