コーヒー
土方さんも、近藤さん、あんたは何をしてんだ……とあきれたように呟き、私の隣を並んで歩いた。
九ちゃんって、かっこかわいい方ですね。と土方さんに言うと、あいつは女だ。と言ってくるものだからびっくり。
どうやら、女の子だけれど、男として育てられてきたらしい。なんていうか、いろいろあるんだなぁ。
「小腹が、すいたな」
「そうですねぇ」
「よし、そこの店でなんか食うか、入るぞ」
というわけで私達は近くにあったカフェへと入店した。
こういうおしゃれな店、土方さんに似合うな。いつもこういう所に来てるのかなぁ。
私はミニパフェを、土方さんはコーヒーを頼んだ。
すぐにパフェは運ばれてきて、一口食べると思わず笑みがこぼれてきた。
「おいしっ」
そんな私の様子を、向かいの席で穏やかな表情で見つめてくる土方さん。
土方さんは、コーヒーにミルクも砂糖も入れないんだ。なんだか大人な男って感じがしてちょっとかっこいい……
と思ったのもつかの間。
土方さんはコーヒーにマヨネーズをかけだした。
私の顔は思わず歪む。
「ひ、土方さん……それ、何ですか」
「携帯用のマヨネーズ」
そういうことじゃなくてぇぇ!
コーヒーにマヨネーズかけるってどういうことだってことが言いたいんだよ!
ご飯の上とかなら、まだ許せるんだけど、それは流石に……
コーヒーの上で、マヨネーズがとぐろを巻いている。
さっき少しでもかっこいいと思った私の気持ちを返してほしい。
「こいつを忘れちゃ困るからな。北条、お前もかけるか?」
別に困らないよ!いらないよ!
私はマヨネーズをかけられないように、必死でパフェの容器を両手で死守すると、土方さんは不思議そうな顔をしていた。
そんなあなたが不思議でたまらないよ私は。
「ここのコーヒーは、マヨネーズとの相性かなり良いんだぜ」
どんなコーヒーだよ、そんなコーヒー聞いたことないよ。ていうか何なの、その得意げな顔は。
そんなどや顔で言われても反応に困る。
「北条、マヨネーズはいいぞ。何か考え事をしている時とかにマヨを摂取すると、マヨの油がほどよく脳みそに回って、スムーズに考えられるようになるんだ」
この人、血迷っ……、いや、血マヨってる。
ダメだこの人。早くなんとかしないと……
それから私は延々とマヨネーズの良さを聞かされるはめになった。
そして私たちは店を後にした。
会計時、私が財布を出そうとしたら、土方さんは黙ってそれを遮り、私の分の支払いもしてくれた。
あれだけマヨネーズの話しを聞かされ若干引きはしたものの、最終的には、やっぱ、かっこいい人だ、で片付けられる。
「奢っていただきありがとうございます」
ってお礼をしたら、当たり前のことをしたまでだ。ですって。
奢ってくれるのなら、ミニパフェじゃなくて普通のサイズ頼めばよかった。ちょっと失敗。
そんなことを思いながら、土方さんと一緒に屯所へと帰った。
屯所へ戻ると、何やら隊士達が騒いでいる。
「近藤さん!いくら何でも、そりゃ無理ですよ」
「局長が死ぬようなことがあったら、俺たちは……!」
何やら、穏やかではない雰囲気。それを聞いた土方さんは
「おい、てめーら!一体何の騒ぎだ!?」
「副長!聞いてくださいよ。局長が、何やら大勢の人数相手に決闘を申し込まれたとかなんだとか」
土方の問いに山崎が説明をする。
「何だって?」
「俺達も加勢するって言ったんですが、局長が聞かなくて……」
「近藤さん、こりゃあ一体どういうことだ」
「トシ、気にすることはない。俺は一人で闘うと決めたんだ」
「いくら近藤さんでも、相手が大人数となっちゃあ……近藤さんが負けるとは思ってないが、もし万が一のことがあったら俺は……」
土方さんが表情を歪めながら話すが、話しが見えてこないのは私だけなのでしょうか。
すると、話しを黙って聞いていた総悟が
「真選組ってのは、死と隣り合わせなんでさァ。命を狙われることなんて日常茶飯事なんですぜィ」
と、ぽつりと静かに話してきた。
ま、近藤さんに何かするようなやつが現れたら、この俺は黙っちゃいねェ
真剣な瞳でそう語る。総悟が、近藤さんのことを大事に思っていることが改めてわかった一言だった。
近藤さん、やっぱり俺たち、影からでも援護しますよ。
一人でなんて、無茶だ。
隊士達の騒がしさは止まらない。
「いいよ、みんな。ありがとな。俺のためにそんな風に言ってくれて。でもこれは、俺だけの闘いなんだ、俺は死ぬ気で男らしく挑むさ」
「何言ってんだ、近藤さん」
「そうですよ!もしも局長の身に何かあったら、誰がこの真選組を引っ張っていくっていうんですか!」
土方さんとザキはそんな近藤さんをとめている。
そもそも、決闘を申し込まれたって、誰に?
真選組に、はたまた幕府に恨みがある者たち?
それで、局長である近藤さんをターゲットにしてきたとでもいうのだろうか。
「まあ俺にもしものことがあったら、トシ。その時はお前が局長だ。連中のこと、しっかり頼んだぞ」
と、近藤さんは少し寂しそうに笑う。
九ちゃんって、かっこかわいい方ですね。と土方さんに言うと、あいつは女だ。と言ってくるものだからびっくり。
どうやら、女の子だけれど、男として育てられてきたらしい。なんていうか、いろいろあるんだなぁ。
「小腹が、すいたな」
「そうですねぇ」
「よし、そこの店でなんか食うか、入るぞ」
というわけで私達は近くにあったカフェへと入店した。
こういうおしゃれな店、土方さんに似合うな。いつもこういう所に来てるのかなぁ。
私はミニパフェを、土方さんはコーヒーを頼んだ。
すぐにパフェは運ばれてきて、一口食べると思わず笑みがこぼれてきた。
「おいしっ」
そんな私の様子を、向かいの席で穏やかな表情で見つめてくる土方さん。
土方さんは、コーヒーにミルクも砂糖も入れないんだ。なんだか大人な男って感じがしてちょっとかっこいい……
と思ったのもつかの間。
土方さんはコーヒーにマヨネーズをかけだした。
私の顔は思わず歪む。
「ひ、土方さん……それ、何ですか」
「携帯用のマヨネーズ」
そういうことじゃなくてぇぇ!
コーヒーにマヨネーズかけるってどういうことだってことが言いたいんだよ!
ご飯の上とかなら、まだ許せるんだけど、それは流石に……
コーヒーの上で、マヨネーズがとぐろを巻いている。
さっき少しでもかっこいいと思った私の気持ちを返してほしい。
「こいつを忘れちゃ困るからな。北条、お前もかけるか?」
別に困らないよ!いらないよ!
私はマヨネーズをかけられないように、必死でパフェの容器を両手で死守すると、土方さんは不思議そうな顔をしていた。
そんなあなたが不思議でたまらないよ私は。
「ここのコーヒーは、マヨネーズとの相性かなり良いんだぜ」
どんなコーヒーだよ、そんなコーヒー聞いたことないよ。ていうか何なの、その得意げな顔は。
そんなどや顔で言われても反応に困る。
「北条、マヨネーズはいいぞ。何か考え事をしている時とかにマヨを摂取すると、マヨの油がほどよく脳みそに回って、スムーズに考えられるようになるんだ」
この人、血迷っ……、いや、血マヨってる。
ダメだこの人。早くなんとかしないと……
それから私は延々とマヨネーズの良さを聞かされるはめになった。
そして私たちは店を後にした。
会計時、私が財布を出そうとしたら、土方さんは黙ってそれを遮り、私の分の支払いもしてくれた。
あれだけマヨネーズの話しを聞かされ若干引きはしたものの、最終的には、やっぱ、かっこいい人だ、で片付けられる。
「奢っていただきありがとうございます」
ってお礼をしたら、当たり前のことをしたまでだ。ですって。
奢ってくれるのなら、ミニパフェじゃなくて普通のサイズ頼めばよかった。ちょっと失敗。
そんなことを思いながら、土方さんと一緒に屯所へと帰った。
屯所へ戻ると、何やら隊士達が騒いでいる。
「近藤さん!いくら何でも、そりゃ無理ですよ」
「局長が死ぬようなことがあったら、俺たちは……!」
何やら、穏やかではない雰囲気。それを聞いた土方さんは
「おい、てめーら!一体何の騒ぎだ!?」
「副長!聞いてくださいよ。局長が、何やら大勢の人数相手に決闘を申し込まれたとかなんだとか」
土方の問いに山崎が説明をする。
「何だって?」
「俺達も加勢するって言ったんですが、局長が聞かなくて……」
「近藤さん、こりゃあ一体どういうことだ」
「トシ、気にすることはない。俺は一人で闘うと決めたんだ」
「いくら近藤さんでも、相手が大人数となっちゃあ……近藤さんが負けるとは思ってないが、もし万が一のことがあったら俺は……」
土方さんが表情を歪めながら話すが、話しが見えてこないのは私だけなのでしょうか。
すると、話しを黙って聞いていた総悟が
「真選組ってのは、死と隣り合わせなんでさァ。命を狙われることなんて日常茶飯事なんですぜィ」
と、ぽつりと静かに話してきた。
ま、近藤さんに何かするようなやつが現れたら、この俺は黙っちゃいねェ
真剣な瞳でそう語る。総悟が、近藤さんのことを大事に思っていることが改めてわかった一言だった。
近藤さん、やっぱり俺たち、影からでも援護しますよ。
一人でなんて、無茶だ。
隊士達の騒がしさは止まらない。
「いいよ、みんな。ありがとな。俺のためにそんな風に言ってくれて。でもこれは、俺だけの闘いなんだ、俺は死ぬ気で男らしく挑むさ」
「何言ってんだ、近藤さん」
「そうですよ!もしも局長の身に何かあったら、誰がこの真選組を引っ張っていくっていうんですか!」
土方さんとザキはそんな近藤さんをとめている。
そもそも、決闘を申し込まれたって、誰に?
真選組に、はたまた幕府に恨みがある者たち?
それで、局長である近藤さんをターゲットにしてきたとでもいうのだろうか。
「まあ俺にもしものことがあったら、トシ。その時はお前が局長だ。連中のこと、しっかり頼んだぞ」
と、近藤さんは少し寂しそうに笑う。
※会員登録するとコメントが書き込める様になります。