3人の面談の模様… その3
「ただ、私達以外にドンキホーテ・ドフラミンゴの監視ができる者がいるかどうか…。
それに、もしも私達の中の誰かがドンキホーテ・ドフラミンゴを休暇に連れて行ったとしても、それで囚人が良い思いをするとか、罪に対する罰を免れることにはならないと思います。
むしろ、私達の護衛として四六時中気を抜くことができない毎日が続くでしょうから、囚人にとっては監獄の中にいるよりも辛い一月になるのではないかと」
人事担当者達の頭の中は混乱していた。常識的にはあり得ないことを提案されている訳だが、ペラムの話しを聞くうちに「そうかもしれない。彼らが住んでいるのは特殊な世界だし」と思い始めている自分がいて、流されないようにするには相当の精神力を要する。
それと同時に、ペラムが話していることの内容が、話し手のニコニコとした表情とは裏腹に恐ろしいものに感じられた。言葉の意味を考えると、頭から血の気が引いてくる。
(四六時中気を抜くことができない毎日って…。この人、ドンキホーテ・ドフラミンゴをどうするつもりなのぉっ?!)
(やっぱり奴隷扱いということでは…)
(ドンキホーテ・ドフラミンゴが看守さん達に手なづげられていると言っだのは誰ですかっ?そんな平和的な関係性ではないんじゃないでしょうかっっ)
ペラムと人事担当者達の攻防は、もうしばらく続いた。
「しかし、囚人にも人権がありますっ」
「もちろんそれは承知しています」
「インペルダウンの外に囚人を連れ出ずどいうのは、かなりリスクが…」
「囚人が100人もいるならインペルダウンから連れ出すのは至難の業ですが、1人ならそうでもありませんし、この1人だけのために職員が希望通りに休めないというのも…」
こんなことを話しているうちに、面談が開始してから45分が経過した。
人事担当者達は、今回の看守達の面談は時間がかかるかもしれないと初めから思っていたので、二人目の面談は2時間後(午前11時)に設定していた。
しかし、ペラムは10時から監視の仕事に入らなければいけないと言って、それまでに面談を終わらせたがった。
これを聞いて人事担当者達は慌てた。しかし、内心ほっとしてもいた。
人事担当者達が慌てた理由は、今回の面談の主な目的は長期休暇に関して本人に直接ヒアリングすることではあるが、他にも日常的な業務で問題がないかどうか聞き取りを行って、さらに、看守が増員されるかもしれないことと、その間のつなぎとしてマゼランが特別室の監視に入るかもしれないこと等も面談の場で伝えて意見を聞く予定だったからである。
しかし、長期休暇に関するヒアリングすらも、まだきちんとまとまっていない。
しょうがないので、まだ話していないことについては要点だけをかいつまんで説明し、もしもペラムのほうから相談したいことや意見がある場合は、後日、人事担当者に文書で伝えることになった。
ペラムはマゼランに食事中の監視ができるのか気になったが、早く交代しに行かなければいけなかったので、その場では口に出さなかった。
そして、10時を5分ほどオーバーして、面談は終了した。
「本日はありがとうございました」
「ありがとうございました」
人事担当者達と挨拶を交わし、退室するペラムの後ろ姿を見送った人事担当者達は、扉が閉まったとたんに椅子の上にぐったりと座りこんだ。
「つ、疲れたわ…」
「面接が開始したばかりの時は緊張して気絶しそうだったくせに、途中からのあの堂々とした態度は一体何だったんでしょうね…」
「優し気な笑顔で強烈な攻めと守りを繰り広げられて、こっぢはもうズダボロです…」
幸いにして、次の面談まで一時間近くある。人事担当者達は休憩を取って、それまでに肉体的、精神的に立ち直ることにした。
ペラムが監獄に戻ってくると、仕事中のカスターの他に、非番のバーティもいた。ドフラミンゴは監獄の中でバーティが持ってきた小説を読んでいる。
「面談はどうでしたか?」カスターがペラムに訊ねた。
「長期休暇制度についての希望を聞き取りたいというのは、本当のようです」
ペラムは面談で訊かれたことを二人に話し始めたが、早くも担当者1が話した借金の取り立てで賊に襲われた人の話しのところで、情けなさそうな顔になって口ごもった。
「人事院の人達は私のことには全く触れませんでしたが、この間の事件のことを知っているのかも…。だから、長期休暇でインペルダウンの外に出たら、誰かに襲われる可能性があるかどうか聞かれたんだ…」
小説を読んでいるはずのドフラミンゴが、文字の上に目を落としたまま口を挟んだ。
「別に不思議はない。お前のオヤジが救助に来た海軍に嫁と息子の悪口を言って、それが裏で広まったんだろ」
「ああ、なんてこと…。あの騒動の影響がこんなところにまで…」
ペラムはますますしゅんとして肩を落とした。
「11時からはバーティが行く番ですね」カスターがバーティに確認した。カスターの面談は午後2時からの予定である。
バーティが苦笑いを浮かべながら言った。
「私も同じことを言われるのでしょうか…。なんだか、想像していたのとは別の意味で嫌な面談ですね」
「ところで、面談の報告の続きですが…」
しかめっ面のままペラムが話し出すと、他の二人はそれに熱心に耳を傾けた。
(こいつら、今日は監視の仕事をサボってやがる…)
ドフラミンゴは、そんな3人の様子を半ば呆れながら見た。
それに、もしも私達の中の誰かがドンキホーテ・ドフラミンゴを休暇に連れて行ったとしても、それで囚人が良い思いをするとか、罪に対する罰を免れることにはならないと思います。
むしろ、私達の護衛として四六時中気を抜くことができない毎日が続くでしょうから、囚人にとっては監獄の中にいるよりも辛い一月になるのではないかと」
人事担当者達の頭の中は混乱していた。常識的にはあり得ないことを提案されている訳だが、ペラムの話しを聞くうちに「そうかもしれない。彼らが住んでいるのは特殊な世界だし」と思い始めている自分がいて、流されないようにするには相当の精神力を要する。
それと同時に、ペラムが話していることの内容が、話し手のニコニコとした表情とは裏腹に恐ろしいものに感じられた。言葉の意味を考えると、頭から血の気が引いてくる。
(四六時中気を抜くことができない毎日って…。この人、ドンキホーテ・ドフラミンゴをどうするつもりなのぉっ?!)
(やっぱり奴隷扱いということでは…)
(ドンキホーテ・ドフラミンゴが看守さん達に手なづげられていると言っだのは誰ですかっ?そんな平和的な関係性ではないんじゃないでしょうかっっ)
ペラムと人事担当者達の攻防は、もうしばらく続いた。
「しかし、囚人にも人権がありますっ」
「もちろんそれは承知しています」
「インペルダウンの外に囚人を連れ出ずどいうのは、かなりリスクが…」
「囚人が100人もいるならインペルダウンから連れ出すのは至難の業ですが、1人ならそうでもありませんし、この1人だけのために職員が希望通りに休めないというのも…」
こんなことを話しているうちに、面談が開始してから45分が経過した。
人事担当者達は、今回の看守達の面談は時間がかかるかもしれないと初めから思っていたので、二人目の面談は2時間後(午前11時)に設定していた。
しかし、ペラムは10時から監視の仕事に入らなければいけないと言って、それまでに面談を終わらせたがった。
これを聞いて人事担当者達は慌てた。しかし、内心ほっとしてもいた。
人事担当者達が慌てた理由は、今回の面談の主な目的は長期休暇に関して本人に直接ヒアリングすることではあるが、他にも日常的な業務で問題がないかどうか聞き取りを行って、さらに、看守が増員されるかもしれないことと、その間のつなぎとしてマゼランが特別室の監視に入るかもしれないこと等も面談の場で伝えて意見を聞く予定だったからである。
しかし、長期休暇に関するヒアリングすらも、まだきちんとまとまっていない。
しょうがないので、まだ話していないことについては要点だけをかいつまんで説明し、もしもペラムのほうから相談したいことや意見がある場合は、後日、人事担当者に文書で伝えることになった。
ペラムはマゼランに食事中の監視ができるのか気になったが、早く交代しに行かなければいけなかったので、その場では口に出さなかった。
そして、10時を5分ほどオーバーして、面談は終了した。
「本日はありがとうございました」
「ありがとうございました」
人事担当者達と挨拶を交わし、退室するペラムの後ろ姿を見送った人事担当者達は、扉が閉まったとたんに椅子の上にぐったりと座りこんだ。
「つ、疲れたわ…」
「面接が開始したばかりの時は緊張して気絶しそうだったくせに、途中からのあの堂々とした態度は一体何だったんでしょうね…」
「優し気な笑顔で強烈な攻めと守りを繰り広げられて、こっぢはもうズダボロです…」
幸いにして、次の面談まで一時間近くある。人事担当者達は休憩を取って、それまでに肉体的、精神的に立ち直ることにした。
ペラムが監獄に戻ってくると、仕事中のカスターの他に、非番のバーティもいた。ドフラミンゴは監獄の中でバーティが持ってきた小説を読んでいる。
「面談はどうでしたか?」カスターがペラムに訊ねた。
「長期休暇制度についての希望を聞き取りたいというのは、本当のようです」
ペラムは面談で訊かれたことを二人に話し始めたが、早くも担当者1が話した借金の取り立てで賊に襲われた人の話しのところで、情けなさそうな顔になって口ごもった。
「人事院の人達は私のことには全く触れませんでしたが、この間の事件のことを知っているのかも…。だから、長期休暇でインペルダウンの外に出たら、誰かに襲われる可能性があるかどうか聞かれたんだ…」
小説を読んでいるはずのドフラミンゴが、文字の上に目を落としたまま口を挟んだ。
「別に不思議はない。お前のオヤジが救助に来た海軍に嫁と息子の悪口を言って、それが裏で広まったんだろ」
「ああ、なんてこと…。あの騒動の影響がこんなところにまで…」
ペラムはますますしゅんとして肩を落とした。
「11時からはバーティが行く番ですね」カスターがバーティに確認した。カスターの面談は午後2時からの予定である。
バーティが苦笑いを浮かべながら言った。
「私も同じことを言われるのでしょうか…。なんだか、想像していたのとは別の意味で嫌な面談ですね」
「ところで、面談の報告の続きですが…」
しかめっ面のままペラムが話し出すと、他の二人はそれに熱心に耳を傾けた。
(こいつら、今日は監視の仕事をサボってやがる…)
ドフラミンゴは、そんな3人の様子を半ば呆れながら見た。
※会員登録するとコメントが書き込める様になります。