18話「ナギサシティ」
「俺のゴンベが、フーディンに変化していっている?」
俺は一瞬今自分が何をしているのか分からない飽和状態になった。あり得ない事だ、ゴンベがフーディンになる事なんて。ゴンベがイリーガルボールに入った話から全て夢だったのかもしれない、嫌そうだろう、そうに違いない。こんな事言う研究所は最初からなかったんだ。
「それでイリーガルボールについてですが、あのう聞いてますか?心中お察ししますが聞いて下さい。我々はあなたもあなたのゴンベも助けたい一心で動いていますから」
「あっはい、すみません」
研究所の人の言葉で我に返った。そうだ、ゴンベが大変なことになってるなら元に戻してあげなければならない。ここに来れば解決法が見つかると思って来たんだ。フーディンに変化する?問題ない、さっさと元に戻せば全て解決だ。
「イリーガルボールにポケモンを逃がす機能は他のボールと違ってない、というより除けられている形跡が見られます。恐らくこれは元のモンスターボールを改良して作ったボールなのでしょう」
「えっ、つまり?」
「現状ゴンベをイリーガルボールから解放する方法はありません」
「・・・」俺はうなだれる。下にうつむいて周りからはよく見えない俺の顔は完全なる絶望の表情をしていた。
(終わった。こんなことになるくらいならゴンベ、お前を捕まえたりせずソノオタウンの人に引き渡してればこれほど辛い目に遭わずに済んだのにっ・・・!)
ゴンベは元々蜜泥棒としてソノオタウン周辺で暴れていた迷惑ポケモン。それを俺が強いという理由だけで一緒に連れていくことにしてしまって、今ではこんな・・・いや今もかなり強いけども。ただバトルが強いというだけではどうにもならない。非力なのは俺だ、俺が弱かったからゴンベがイリーガルボールに捕まったんだ。
「気を確かに持ってください。我々もゴンベをどうにかこのボールから解放する方法を見つけますから」
「・・・はい、よろしくお願いします」
この力のない返事を聞き、俺を心配させまいと少し明るく振舞っていた研究所の人も曇った表情になるのだった。
そして俺はゴンベを研究所に預け、旅を続けることにした。もうこれでゴンベとはお別れかもしれない、だけど罪悪感で俺に寄り添ってくるゴンベの方を見ることは出来なかった。
しかし研究所を立ち去ろうとしたその時、入口前で男が立っていた。構わず俺は素通りしようとしたその時、その男が話しかけてきた。
「おい、お前。そこのお前だよ、お前以外誰もいねぇだろ。お前が何とかボールで被害にあったポケモンの所有者か?」
「もう、俺に何か用でもあるんですか」少し怒りの表情を表しながらその男の方を向く。ゴンベが辛い時に別の事を考えようとするのがストレスが溜まるからだ。
「俺と勝負しろ。もちろんその何とかボールに入ったポケモンをお前は出して来い」
「はぁっ!?一体何を言っt」
「ここの研究所に預けてあるんだな。待ってろ、俺が取りに行ってやる」そう言うと、男は研究所に入っていく。
数分後、男はゴンベの入ったイリーガルボールを持って入口前に戻って来て俺にボールを渡してくる。俺はとりあえずボールを手に受け取った。
「始めるぞ、準備しろ」男はピカチュウを出す。完全にバトルする気満々だ。
「・・・すみません、俺はもうこいつで戦う気はないんでs」
「さっさと出せ」
「っはい、すみません!」俺は男の凄みに負けてゴンベを出してしまう。
「行くぞ、バトル開始」男の合図と共にバトルが始まる。
「ピカチュウ、電光石火!」
ゴンベは俺の方をチラッと見ながら指示を待っている。だが俺は何も指示を出さないでいた。ゴンベはずっとイリーガルボールに捕らわれたまま、もうパートナーは俺でなくフーディンなのだから。
「どうした?ゴンベが傷つけられているのを見て、何とも思わないのか」
「そんなこと言ったって俺はっ!」
「そいつがフーディンの手に落ちるからビビッてるんだろ?下らん。お前はそれが分かって一度でもゴンベの気持ちを理解したか?」
「っ!」
俺はその言葉にハッとなる。そして俺の様子を窺うゴンベの顔をじっと見つめる。ゴンベは俺の事を心配している。血の気の多い活発な性格だったが、今までの旅を通して俺の事を信頼して笑顔なども見せてくれるようになった。それはイリーガルボールに入った後でもずっと一緒で、変わらない。俺達の今までの絆は残っていたんだ。
「ゴンベ、ごめんっ・・・!俺、お前の事を本当のパートナーじゃなくなったなんてひどい事思って。本当にごめんっ!」
「ゴン!ゴンゴン!」ゴンベは俺の方に駆け寄り、慰めようとする。
リッシ湖での件以降、俺はゴンベに対して少し腫物に触るかのような対応をしていた。そんなひどい事を俺はしていたのに、俺がゴンベをしっかりと見ようとしなかったせいでゴンベが傷ついたり俺を心配していた事に気付かなかった。ゴンベが舌で舐めるを繰り出してポケモンが次々と麻痺状態になっていく光景を見てゴンベを恐れている俺の表情にゴンベはきっと傷ついたに違いない。相手をちゃんと見てあげないと、自分の犯した過ちには気付かない事が多い。
「すみません、バトルを続けましょう。もう迷わない、ゴンベはずっと俺のパートナーだ!」
「いや、ここまでだ。もう無駄にボロボロになる必要もない」男はピカチュウをボールに戻す。
「えっ?急に、というか何故挑んできたんですか」
「俺はナギサシティのジムリーダー・デンジ。この街に黒いボールの被害者がいると聞いて、少し気になってな。だがもう大丈夫なようだ、お前とゴンベは完全に互いを信頼し合っている」
「デンジさん!?そうだったのか。すみません、でもデンジさんのおかげでゴンベの気持ちをちゃんと理解できたような気がします。本当にありがとうございました」
「それでさっき聞いたけど、そいつがフーディンになっているんだって?」
「そうなんです。それでこのボールから逃がす方法を見つけようとしてたんですけど、駄目で」
「そこで諦めんのか?俺は他に方法があると思うけどな」
「えっ?一体それはどうやって?」
「フーディンに聞けばいいじゃねぇか、どうやったらボールから逃がせるか」
そう言ったデンジの表情には真剣さが感じられた。全く冗談を言っている雰囲気でない。
(手持ちポケモン バリヤードLv.39 ブビィLv.37エレキッドLv.39ゴンベLv.44)
俺は一瞬今自分が何をしているのか分からない飽和状態になった。あり得ない事だ、ゴンベがフーディンになる事なんて。ゴンベがイリーガルボールに入った話から全て夢だったのかもしれない、嫌そうだろう、そうに違いない。こんな事言う研究所は最初からなかったんだ。
「それでイリーガルボールについてですが、あのう聞いてますか?心中お察ししますが聞いて下さい。我々はあなたもあなたのゴンベも助けたい一心で動いていますから」
「あっはい、すみません」
研究所の人の言葉で我に返った。そうだ、ゴンベが大変なことになってるなら元に戻してあげなければならない。ここに来れば解決法が見つかると思って来たんだ。フーディンに変化する?問題ない、さっさと元に戻せば全て解決だ。
「イリーガルボールにポケモンを逃がす機能は他のボールと違ってない、というより除けられている形跡が見られます。恐らくこれは元のモンスターボールを改良して作ったボールなのでしょう」
「えっ、つまり?」
「現状ゴンベをイリーガルボールから解放する方法はありません」
「・・・」俺はうなだれる。下にうつむいて周りからはよく見えない俺の顔は完全なる絶望の表情をしていた。
(終わった。こんなことになるくらいならゴンベ、お前を捕まえたりせずソノオタウンの人に引き渡してればこれほど辛い目に遭わずに済んだのにっ・・・!)
ゴンベは元々蜜泥棒としてソノオタウン周辺で暴れていた迷惑ポケモン。それを俺が強いという理由だけで一緒に連れていくことにしてしまって、今ではこんな・・・いや今もかなり強いけども。ただバトルが強いというだけではどうにもならない。非力なのは俺だ、俺が弱かったからゴンベがイリーガルボールに捕まったんだ。
「気を確かに持ってください。我々もゴンベをどうにかこのボールから解放する方法を見つけますから」
「・・・はい、よろしくお願いします」
この力のない返事を聞き、俺を心配させまいと少し明るく振舞っていた研究所の人も曇った表情になるのだった。
そして俺はゴンベを研究所に預け、旅を続けることにした。もうこれでゴンベとはお別れかもしれない、だけど罪悪感で俺に寄り添ってくるゴンベの方を見ることは出来なかった。
しかし研究所を立ち去ろうとしたその時、入口前で男が立っていた。構わず俺は素通りしようとしたその時、その男が話しかけてきた。
「おい、お前。そこのお前だよ、お前以外誰もいねぇだろ。お前が何とかボールで被害にあったポケモンの所有者か?」
「もう、俺に何か用でもあるんですか」少し怒りの表情を表しながらその男の方を向く。ゴンベが辛い時に別の事を考えようとするのがストレスが溜まるからだ。
「俺と勝負しろ。もちろんその何とかボールに入ったポケモンをお前は出して来い」
「はぁっ!?一体何を言っt」
「ここの研究所に預けてあるんだな。待ってろ、俺が取りに行ってやる」そう言うと、男は研究所に入っていく。
数分後、男はゴンベの入ったイリーガルボールを持って入口前に戻って来て俺にボールを渡してくる。俺はとりあえずボールを手に受け取った。
「始めるぞ、準備しろ」男はピカチュウを出す。完全にバトルする気満々だ。
「・・・すみません、俺はもうこいつで戦う気はないんでs」
「さっさと出せ」
「っはい、すみません!」俺は男の凄みに負けてゴンベを出してしまう。
「行くぞ、バトル開始」男の合図と共にバトルが始まる。
「ピカチュウ、電光石火!」
ゴンベは俺の方をチラッと見ながら指示を待っている。だが俺は何も指示を出さないでいた。ゴンベはずっとイリーガルボールに捕らわれたまま、もうパートナーは俺でなくフーディンなのだから。
「どうした?ゴンベが傷つけられているのを見て、何とも思わないのか」
「そんなこと言ったって俺はっ!」
「そいつがフーディンの手に落ちるからビビッてるんだろ?下らん。お前はそれが分かって一度でもゴンベの気持ちを理解したか?」
「っ!」
俺はその言葉にハッとなる。そして俺の様子を窺うゴンベの顔をじっと見つめる。ゴンベは俺の事を心配している。血の気の多い活発な性格だったが、今までの旅を通して俺の事を信頼して笑顔なども見せてくれるようになった。それはイリーガルボールに入った後でもずっと一緒で、変わらない。俺達の今までの絆は残っていたんだ。
「ゴンベ、ごめんっ・・・!俺、お前の事を本当のパートナーじゃなくなったなんてひどい事思って。本当にごめんっ!」
「ゴン!ゴンゴン!」ゴンベは俺の方に駆け寄り、慰めようとする。
リッシ湖での件以降、俺はゴンベに対して少し腫物に触るかのような対応をしていた。そんなひどい事を俺はしていたのに、俺がゴンベをしっかりと見ようとしなかったせいでゴンベが傷ついたり俺を心配していた事に気付かなかった。ゴンベが舌で舐めるを繰り出してポケモンが次々と麻痺状態になっていく光景を見てゴンベを恐れている俺の表情にゴンベはきっと傷ついたに違いない。相手をちゃんと見てあげないと、自分の犯した過ちには気付かない事が多い。
「すみません、バトルを続けましょう。もう迷わない、ゴンベはずっと俺のパートナーだ!」
「いや、ここまでだ。もう無駄にボロボロになる必要もない」男はピカチュウをボールに戻す。
「えっ?急に、というか何故挑んできたんですか」
「俺はナギサシティのジムリーダー・デンジ。この街に黒いボールの被害者がいると聞いて、少し気になってな。だがもう大丈夫なようだ、お前とゴンベは完全に互いを信頼し合っている」
「デンジさん!?そうだったのか。すみません、でもデンジさんのおかげでゴンベの気持ちをちゃんと理解できたような気がします。本当にありがとうございました」
「それでさっき聞いたけど、そいつがフーディンになっているんだって?」
「そうなんです。それでこのボールから逃がす方法を見つけようとしてたんですけど、駄目で」
「そこで諦めんのか?俺は他に方法があると思うけどな」
「えっ?一体それはどうやって?」
「フーディンに聞けばいいじゃねぇか、どうやったらボールから逃がせるか」
そう言ったデンジの表情には真剣さが感じられた。全く冗談を言っている雰囲気でない。
(手持ちポケモン バリヤードLv.39 ブビィLv.37エレキッドLv.39ゴンベLv.44)
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