剣の少年と愉快な山の住人たち(後編)⑤
(にしても、ここはどこなんだ?)
これ以上、あてもなく歩くのもどうかと考え立ち止まった。
ライトも追いつく。
「ザグルさん」
「……なに?」
怒っていたが、無視するのもよくなかったので、一応、返事はした。
「僕にも見せて貰えますか?」
ザグルに言われて、少しは行動に移そうと考え始めたのだ。
(これが第一歩だ)
ライトはザグルにばかりにやらせるのではなく、自ら行動しようと考えた。
「別に構わないけど」
やる気になったのかと、快く地図を渡した。
「分かるか?」
ライトは地図を見て考えていた。
「ううん。正直分かりません。でも……」
「でも?」
「ただ、歩くよりも知恵を出し合った方がいいのではないでしょうか?」
「まっ、まあ」
二人は近くにあった枯れて倒れた大木に座った。
「今、太陽の位置は……」
ライトは太陽を見た。
もう、真上には太陽が無かった。
「今がこの位置だとして、北はこっちだろ? それで、特徴ある物とかは……川とかありませんかね」
地図では確かに川があった。
その川は確かに心臓部からは少し離れていた。
「川か……」
ザグルは辺りを見回し、耳を澄ました。
微かだけど水が流れる音が聞こえる。
「確かにあるな」
「行ってみましょう?」
「……そうだな」
このまま歩いてもしょうがないので、ザグルは素直に賛成した。
「所で、そんな微かな川の水音をよく聞く事が出来ますね」
どんなに頑張ってもライトには聞こえていないのだ。
「ああ、トレーニングの賜物だよ。魔法が使えないから他の物でカバーしているんだよ」
ザグルの目に見えない努力は凄まじい物だった。
「そうだったんですか~?」
「まあ……」
ちなみに、動体視力も割りと良かった。
それはトレーニングもあったが、天性の物も少しはあった。
「さあ、行くか?」
「はい」
二人は川へと向った。
近くにまで行ってライトも水の音が聞こえた。
確かに川はあったし、その場所に着いた。
水が透き通りとてもキレイな川だった。
しかし、歩きなれていないライトは完全に疲れてしまった。
「……大丈夫か?」
「ダメみたい……」
「しょうがないな。川まで行ったら休憩するか?」
「いいのですか?」
「いいさ。どうせ、急ぎじゃないし、食べ物は三日分用意しているからな」
食料のほとんどは、ライトのリュックの中に入っていた。
では、ザグルの小さなリュックの中にはなにが入っているのか?
確かに二人が逸れた時の為にと、一食分の食料は入っていたが、主に入っているのは、戦う為の道具だった。
どんな道具が入っているのか今はまだ謎だ。
二人は、各々休憩を取った。
ザグルは川の水で顔を洗い、ライトは地面に座って、大きく息を切らしていた。
「ひやぁ、冷たぁい」
ザグルは持っていたタオルで顔を拭いた。
「アルバーノも顔を洗った? 気持ちいいぜ?」
「は、はい」
地面に這い蹲りながら、川にまで行き顔を洗った。
「確かに、これはいい」
「だろう?」
持っていたタオルを渡した。
「ありがとうございます」
ライトも顔を拭いた。
「しっかし、森は怪しいのに、平和に流れているな~」
「ですね」
ザグルは地図を見た。
ライトも続けて見る。
「今、川にいるだろう? 目的地とは正反対だから……」
「このまま、上流に向って行った方がよくありませんか?」
「そうだな。そのあとは?」
「そうですね……」
迷わない為の最良の方法を考えていた。
「印を付けていくって手もありますが、なんせ、広いですからね。まあ、次からはそれをやっていくとして……」
「だけど、心臓部に近ければ近い程、魔物も沢山いるからな」
「それも、考えようですね。所で、どんな魔物がいるのですか?」
「えっ?」
「ほら、ザグルさんは一度、ここの心臓部に行っているのでしょう?」
「まっ、まあ」
ザグルは腕を組み、首を横にして考え込んでいた。
「覚えていないのですか?」
「なんか、記憶から抜けている」
「役に立たないですね」
「うっさいわ!」
川に落ちている、丸くて少し大きい石を投げた。
「だから、痛いから止めて下さい」
「だったら、言うな!」
ザグルはそっぽを向いた。
「まあ、拗ねないで下さい」
「じゃあ、拗ねるようなことを言うな」
「ははは……」
ライトは笑った。
「……全く、さっきとは大違いだ」
ザグルは水を全てのみ終え、水筒の中に川の水を新たに入れた。
「あっ、ごめんなさい。そしてありがとうございます」
「なにが?」
「だから、色々言って頂いて……」
「別に」
言われたことに驚いていた。
「僕は、やっぱり夢を叶えたいから……」
「だったら、前に進むべきだろう……。ああ、面倒だ。とりあえず進むか?」
「ですね」
ライトは立ち上がった。
「大丈夫か?」
「はっ、はい」
「なら良かった」
ザグルは歩き始めた。
その後ろを着いていった。
これ以上、あてもなく歩くのもどうかと考え立ち止まった。
ライトも追いつく。
「ザグルさん」
「……なに?」
怒っていたが、無視するのもよくなかったので、一応、返事はした。
「僕にも見せて貰えますか?」
ザグルに言われて、少しは行動に移そうと考え始めたのだ。
(これが第一歩だ)
ライトはザグルにばかりにやらせるのではなく、自ら行動しようと考えた。
「別に構わないけど」
やる気になったのかと、快く地図を渡した。
「分かるか?」
ライトは地図を見て考えていた。
「ううん。正直分かりません。でも……」
「でも?」
「ただ、歩くよりも知恵を出し合った方がいいのではないでしょうか?」
「まっ、まあ」
二人は近くにあった枯れて倒れた大木に座った。
「今、太陽の位置は……」
ライトは太陽を見た。
もう、真上には太陽が無かった。
「今がこの位置だとして、北はこっちだろ? それで、特徴ある物とかは……川とかありませんかね」
地図では確かに川があった。
その川は確かに心臓部からは少し離れていた。
「川か……」
ザグルは辺りを見回し、耳を澄ました。
微かだけど水が流れる音が聞こえる。
「確かにあるな」
「行ってみましょう?」
「……そうだな」
このまま歩いてもしょうがないので、ザグルは素直に賛成した。
「所で、そんな微かな川の水音をよく聞く事が出来ますね」
どんなに頑張ってもライトには聞こえていないのだ。
「ああ、トレーニングの賜物だよ。魔法が使えないから他の物でカバーしているんだよ」
ザグルの目に見えない努力は凄まじい物だった。
「そうだったんですか~?」
「まあ……」
ちなみに、動体視力も割りと良かった。
それはトレーニングもあったが、天性の物も少しはあった。
「さあ、行くか?」
「はい」
二人は川へと向った。
近くにまで行ってライトも水の音が聞こえた。
確かに川はあったし、その場所に着いた。
水が透き通りとてもキレイな川だった。
しかし、歩きなれていないライトは完全に疲れてしまった。
「……大丈夫か?」
「ダメみたい……」
「しょうがないな。川まで行ったら休憩するか?」
「いいのですか?」
「いいさ。どうせ、急ぎじゃないし、食べ物は三日分用意しているからな」
食料のほとんどは、ライトのリュックの中に入っていた。
では、ザグルの小さなリュックの中にはなにが入っているのか?
確かに二人が逸れた時の為にと、一食分の食料は入っていたが、主に入っているのは、戦う為の道具だった。
どんな道具が入っているのか今はまだ謎だ。
二人は、各々休憩を取った。
ザグルは川の水で顔を洗い、ライトは地面に座って、大きく息を切らしていた。
「ひやぁ、冷たぁい」
ザグルは持っていたタオルで顔を拭いた。
「アルバーノも顔を洗った? 気持ちいいぜ?」
「は、はい」
地面に這い蹲りながら、川にまで行き顔を洗った。
「確かに、これはいい」
「だろう?」
持っていたタオルを渡した。
「ありがとうございます」
ライトも顔を拭いた。
「しっかし、森は怪しいのに、平和に流れているな~」
「ですね」
ザグルは地図を見た。
ライトも続けて見る。
「今、川にいるだろう? 目的地とは正反対だから……」
「このまま、上流に向って行った方がよくありませんか?」
「そうだな。そのあとは?」
「そうですね……」
迷わない為の最良の方法を考えていた。
「印を付けていくって手もありますが、なんせ、広いですからね。まあ、次からはそれをやっていくとして……」
「だけど、心臓部に近ければ近い程、魔物も沢山いるからな」
「それも、考えようですね。所で、どんな魔物がいるのですか?」
「えっ?」
「ほら、ザグルさんは一度、ここの心臓部に行っているのでしょう?」
「まっ、まあ」
ザグルは腕を組み、首を横にして考え込んでいた。
「覚えていないのですか?」
「なんか、記憶から抜けている」
「役に立たないですね」
「うっさいわ!」
川に落ちている、丸くて少し大きい石を投げた。
「だから、痛いから止めて下さい」
「だったら、言うな!」
ザグルはそっぽを向いた。
「まあ、拗ねないで下さい」
「じゃあ、拗ねるようなことを言うな」
「ははは……」
ライトは笑った。
「……全く、さっきとは大違いだ」
ザグルは水を全てのみ終え、水筒の中に川の水を新たに入れた。
「あっ、ごめんなさい。そしてありがとうございます」
「なにが?」
「だから、色々言って頂いて……」
「別に」
言われたことに驚いていた。
「僕は、やっぱり夢を叶えたいから……」
「だったら、前に進むべきだろう……。ああ、面倒だ。とりあえず進むか?」
「ですね」
ライトは立ち上がった。
「大丈夫か?」
「はっ、はい」
「なら良かった」
ザグルは歩き始めた。
その後ろを着いていった。
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