第28話
第5章
「こっちだ」
涼太の案内で、あたしは巨大な迷路内を走っていた。
長すぎる廊下の次は、巨大迷路。
この研究所とやらは、どれだけの広さを持っているんだよ。
シャルとリグレットは、それぞれおっぱいとペンダントに戻っている。力を温存するためらしい。いざと言うときに戦えないっていう事態を避けるためとはいえ、シャルが宿ったおっぱいは、持って走るには重すぎる。なんでお前もペンダントとかにならなかったんだよ!
「ここだ」
迷路内を走り回ること数十分。
ようやく迷路を抜けることができた。
出口の先には重々しい扉があるのみ。その先に、綾瀬川奈々子がいるはず。
少し、緊張してくる。
「行くぞ」
涼太が、扉をゆっくりと開ける。
扉の先はたくさんのコンピューターがある、漫画やアニメなんかで見るような、いかにも研究室、といった場所だった。
しかも、馬鹿みたいに広い。
面積は東京ドームほどありそうだ。東京ドーム行ったことないけど。
「ようこそ、わたくしの研究室へ」
あたしがこの部屋の広さに驚いていると、どこからか声が聞こえてきた。
現れたのはいつぞやの金髪美人。綾瀬川奈々子。
「結局、貴方はそちら側に付きましたか」
「当たり前だ! あんたより、飛鳥の方が好きだからな! ……か、勘違いするなよ! 友達として、って意味だからな!」
「……馬鹿」
少しショックを受けたのは、なぜだろう?
まあ、いいや。
「ふふ……ま、その程度計算の範囲内ですわ」
不敵な笑みを浮かべる綾瀬川奈々子。
「おい! モザイク化計画をやめろ!」
「そんなの、無理に決まっているではありませんか」
「どうして、こんなことをするんだ!」
「椎名飛鳥さん。貴女、記憶力がないのかしら? 言ったでしょう? 世界を支配するためだって」
「なんで……世界を支配しようとするんだ?」
「貴女に教える必要はありませんわ。それに――」
ちらり、と、綾瀬川奈々子は、背後にある掛け時計を見た。あたしも、釣られてそれを目で追う。
ちなみに、現時刻は11時ジャストだ。
「後1時間で、モザイク化計画は始まるのです……今さらそんなことを話す必要はないでしょう?」
「1時間……っ!?」
ってことは、12時ジャストにモザイク化計画は始まるのか。
「……まあ、冥土の土産という言葉もありますし、特別に教えてあげましょう。わたくしは、夢を叶えたいのですわ」
「夢……?」
「ええ、夢です。世界のリセット、とでも言っておきましょうか」
「……世界の……リセット?」
「ええ。わたくしは、その夢を叶えるために、どんなことがあっても『モザイク化計画』を実行してみせますわ」
綾瀬川奈々子のその言葉がスイッチになったように、部屋中から筋肉質の全裸の男たちがぞろぞろと現れた。
でも、外にいるゾンビたちとは違い、虚ろな目をしていない。
「わたくしの能力は、『精神調教(メンタル・トレーニング)』。精神を一度でも屈伏させた相手を、操ることができるのですわ。ここにいる人間たちは、わたくしの奴隷になり果てたのです」
「「「「「イエス! 我らは奈々子様の奴隷です!」」」」」
筋肉をアピールする奴隷たち。
つか、なんでナニをおっ立ててんだよ! 気持ち悪い!
「さあ、奴隷たちよ! あの邪魔者たちを捕まえなさいな」
「「「「「あらほらさっさー!」」」」」
掛け声とともに、一斉にあたしと涼太に襲いかかる奴隷たち。
「こいつらは俺に任せておけ!(キリッ!)」
言って、あたしの前に立つ涼太。
「リグレット!」
『……あらほらさっさー』
「変態の真似はいいから、早く能力を!」
『……うぃ。いくよ』
「おう! 『漆黒の騎士』!」
瞬間、涼太の服がびりびりと破れ始める。
涼太の体が肌色一色になった。結局コイツも変態か。
そう思っていたら、突如、リグレットが宿っているペンダントが、輝き出した。
ペンダントの放つ光が、涼太の体を包んでいく。
「……ふう」
光が消えると、そこに立っていたのは漆黒の鎧と仮面を身に纏った、騎士。
『……涼太の体が、私の肌にくっついてる……ぽっ』
「気持ち悪いこと言うな!」
『……照れてる?』
「照れてねえよ! ほら、さっさと片付けるぞ!」
『……うん。それより、ほんとにいいの?』
「ああ。かまわねえから変身時間を延ばしてくれ」
『……うん、善処する』
そんなやりとりをリグレットと交わした後、涼太は奴隷たちのところに突っ込んでいく。
「「「「「ぶひぃいいいい!」」」」」
「飛鳥! 今のうちに綾瀬川を!」
「あ、ああ……」
涼太は、大量の奴隷たちを引き連れて、この場所から離れていく。
「あら、二人きりになってしまいましたわね」
「……っ!」
綾瀬川奈々子と対峙する。
時間はないけど、あたし一人じゃこいつに勝てるかわからない。
とりあえず、もう一度説得してみよう。急がば回れって言うしね。
「なんでこんなことするんだ!」
「こっちだ」
涼太の案内で、あたしは巨大な迷路内を走っていた。
長すぎる廊下の次は、巨大迷路。
この研究所とやらは、どれだけの広さを持っているんだよ。
シャルとリグレットは、それぞれおっぱいとペンダントに戻っている。力を温存するためらしい。いざと言うときに戦えないっていう事態を避けるためとはいえ、シャルが宿ったおっぱいは、持って走るには重すぎる。なんでお前もペンダントとかにならなかったんだよ!
「ここだ」
迷路内を走り回ること数十分。
ようやく迷路を抜けることができた。
出口の先には重々しい扉があるのみ。その先に、綾瀬川奈々子がいるはず。
少し、緊張してくる。
「行くぞ」
涼太が、扉をゆっくりと開ける。
扉の先はたくさんのコンピューターがある、漫画やアニメなんかで見るような、いかにも研究室、といった場所だった。
しかも、馬鹿みたいに広い。
面積は東京ドームほどありそうだ。東京ドーム行ったことないけど。
「ようこそ、わたくしの研究室へ」
あたしがこの部屋の広さに驚いていると、どこからか声が聞こえてきた。
現れたのはいつぞやの金髪美人。綾瀬川奈々子。
「結局、貴方はそちら側に付きましたか」
「当たり前だ! あんたより、飛鳥の方が好きだからな! ……か、勘違いするなよ! 友達として、って意味だからな!」
「……馬鹿」
少しショックを受けたのは、なぜだろう?
まあ、いいや。
「ふふ……ま、その程度計算の範囲内ですわ」
不敵な笑みを浮かべる綾瀬川奈々子。
「おい! モザイク化計画をやめろ!」
「そんなの、無理に決まっているではありませんか」
「どうして、こんなことをするんだ!」
「椎名飛鳥さん。貴女、記憶力がないのかしら? 言ったでしょう? 世界を支配するためだって」
「なんで……世界を支配しようとするんだ?」
「貴女に教える必要はありませんわ。それに――」
ちらり、と、綾瀬川奈々子は、背後にある掛け時計を見た。あたしも、釣られてそれを目で追う。
ちなみに、現時刻は11時ジャストだ。
「後1時間で、モザイク化計画は始まるのです……今さらそんなことを話す必要はないでしょう?」
「1時間……っ!?」
ってことは、12時ジャストにモザイク化計画は始まるのか。
「……まあ、冥土の土産という言葉もありますし、特別に教えてあげましょう。わたくしは、夢を叶えたいのですわ」
「夢……?」
「ええ、夢です。世界のリセット、とでも言っておきましょうか」
「……世界の……リセット?」
「ええ。わたくしは、その夢を叶えるために、どんなことがあっても『モザイク化計画』を実行してみせますわ」
綾瀬川奈々子のその言葉がスイッチになったように、部屋中から筋肉質の全裸の男たちがぞろぞろと現れた。
でも、外にいるゾンビたちとは違い、虚ろな目をしていない。
「わたくしの能力は、『精神調教(メンタル・トレーニング)』。精神を一度でも屈伏させた相手を、操ることができるのですわ。ここにいる人間たちは、わたくしの奴隷になり果てたのです」
「「「「「イエス! 我らは奈々子様の奴隷です!」」」」」
筋肉をアピールする奴隷たち。
つか、なんでナニをおっ立ててんだよ! 気持ち悪い!
「さあ、奴隷たちよ! あの邪魔者たちを捕まえなさいな」
「「「「「あらほらさっさー!」」」」」
掛け声とともに、一斉にあたしと涼太に襲いかかる奴隷たち。
「こいつらは俺に任せておけ!(キリッ!)」
言って、あたしの前に立つ涼太。
「リグレット!」
『……あらほらさっさー』
「変態の真似はいいから、早く能力を!」
『……うぃ。いくよ』
「おう! 『漆黒の騎士』!」
瞬間、涼太の服がびりびりと破れ始める。
涼太の体が肌色一色になった。結局コイツも変態か。
そう思っていたら、突如、リグレットが宿っているペンダントが、輝き出した。
ペンダントの放つ光が、涼太の体を包んでいく。
「……ふう」
光が消えると、そこに立っていたのは漆黒の鎧と仮面を身に纏った、騎士。
『……涼太の体が、私の肌にくっついてる……ぽっ』
「気持ち悪いこと言うな!」
『……照れてる?』
「照れてねえよ! ほら、さっさと片付けるぞ!」
『……うん。それより、ほんとにいいの?』
「ああ。かまわねえから変身時間を延ばしてくれ」
『……うん、善処する』
そんなやりとりをリグレットと交わした後、涼太は奴隷たちのところに突っ込んでいく。
「「「「「ぶひぃいいいい!」」」」」
「飛鳥! 今のうちに綾瀬川を!」
「あ、ああ……」
涼太は、大量の奴隷たちを引き連れて、この場所から離れていく。
「あら、二人きりになってしまいましたわね」
「……っ!」
綾瀬川奈々子と対峙する。
時間はないけど、あたし一人じゃこいつに勝てるかわからない。
とりあえず、もう一度説得してみよう。急がば回れって言うしね。
「なんでこんなことするんだ!」
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