第6話
「本来なら2時間ほど変身できたのじゃが……」と続けるシャルロット。
あたしとしては、ずっと人間の姿でいてくれた方がよかったのだけど。
おっぱいが大きくなるっていうのは、昔からの夢だったけど、急に大きくなったらみんなに怪しまれるし。正直、邪魔だしね。肩こるし。
ああ! 一生に一度は言ってみたい台詞の第3位をこんなところで言えるなんて……感動だ!
と、そんな感じで土曜日の午前中を過ごしていたのだけど、時間が過ぎるのは早いもので、気付けば、もう日が沈みかけていた。
そろそろ、翔平太が帰ってくる時間だ。
『むぅ……またさらしで締め付けられるのか……』
おっぱいをさらしで無理やりAカップにして、翔平太がいつ帰ってきてもいいようにする。
翔平太まで、こんな馬鹿げたことに付き合わせるわけにはいかないから。
――ガチャリ
と、玄関の扉が開く音が聞こえてくる。
翔平太が帰ってきたのかな?
……いや、ちょっと待て。何かがおかしい。
翔平太は家に帰ってくると、
『ただいまお姉ちゃん! ぼくがいなくても大丈夫だった? ぼくはおねえちゃんがいなくて寂しかったよー!』
みたいなことを言いながら、ダッシュであたしのいるリビングまでやってくるはずだ。
何かあったのかな?
心配になったあたしは、玄関先まで様子を見に行くことにした。
「う……あうー。がおー」
「……翔……平太?」
玄関にいたのは謎のうめき声を発している翔平太の姿。
「どうした? 大丈夫か?」
「うー……うー」
翔平太は答えない。
おかしい。あたしの問いかけには、たとえ寝ていたって気絶していたってすぐに答えるはずなのに。
「うーうー……うが――――――――っ!」
『っ!? 離れろ飛鳥!』
叫び声を上げながら、あたしに襲いかかってくる翔平太。
それを、あたしの胸から具現化したシャルロットが止めてくれた。
具現化するときさらしとあたしの服が派手に破けてしまったので、あたしは胸を手ブラで隠しながら数歩後ろに下がる。
「な、なんだよ、これ……」
「すこしまっておるのじゃ。いま、きぜつさせるから」
そう言って、シャルロットは翔平太の腹部に思いっきりボディブローをお見舞いする。
ってコラ! 人の弟に何してんだよ!
「ふう……」
息を吐いて、右腕で額の汗を拭うシャルロット。
「とりあえず、きゅうきゅうしゃとやらをよんで、びょういんにつれていくのじゃ」
シャルロットはそう言い残すと、光の玉になってあたしの胸へと吸い込まれるように消えて行った。
あたしは、言われた通り救急車を呼び、翔平太を病院に連れて行くことに。
翔平太は気絶したまま、数分後に来た救急隊員に搬送されていった。
シャルロットのやつ、どれだけ思いっきり殴ったんだよ。
と、今は翔平太のことのほうが大事だな。
なんで急に、あんなふうに暴れだしたんだろう。
昔から、温厚な性格で、怒ることなんて滅多に……というより、一度もなかったのに。
原因は、やっぱり――
『少し、まずいことになったかもしれんのう……』
救急車の中でシャルロットがそう呟いたのを、あたしは聞き逃さなかった。
◆
搬送先の病院で、翔平太は入院することになった。
なんでも、今日の午後から、翔平太の通う男子生徒が、急に暴れ出すという事件が続出しているらしい。
エロマンガ島内では、これを新種のウイルステロと判断。症状が出た人間を病院に入院させることで、監視しようとしているとのこと。
このウイルスに感染した人間は、自分の妄想力が使えない上に、他人の妄想力、例えば、治療関連の妄想力も効かないらしい。
「最善を尽くします」
最後にそう言って、医者は病室から出て行った。
部屋にいるのは、あたしと、ベッドで寝ている翔平太と、おっぱいに宿っているシャルロット。
「これ、あんたが言ってた神様の仕業?」
『……おそらくの』
答えるおっぱい。
ちなみにだが、現在さらしはつけていない。
ジーンズにTシャツという、比較的ラフな格好だ。
『……言ってなかったが、絶対神に反乱を起こした神様の一人が、この島で大規模なウイルステロを起こすという宣戦布告があったのじゃ。妾は、それを止めるためにこの島に来たのじゃ』
「……ウイルスって?」
さっきの医者もそんなこと言っていたな。新種のウイルスだとか。
『うむ。宣戦布告してきた神様は、こう言っておった。『モザイク化計画(モザイク・クライシス)』と……』
「……モザイク化計画?」
なんだよ、そのくだらないネーミングの計画は?
それ考えたやつ、ばっかじゃねえの?
『うむ。この新種のウイルスに感染してしまうと、女の子を見るとペロペロしたくなるという、恐ろしいウイルスなのじゃ』
あたしとしては、ずっと人間の姿でいてくれた方がよかったのだけど。
おっぱいが大きくなるっていうのは、昔からの夢だったけど、急に大きくなったらみんなに怪しまれるし。正直、邪魔だしね。肩こるし。
ああ! 一生に一度は言ってみたい台詞の第3位をこんなところで言えるなんて……感動だ!
と、そんな感じで土曜日の午前中を過ごしていたのだけど、時間が過ぎるのは早いもので、気付けば、もう日が沈みかけていた。
そろそろ、翔平太が帰ってくる時間だ。
『むぅ……またさらしで締め付けられるのか……』
おっぱいをさらしで無理やりAカップにして、翔平太がいつ帰ってきてもいいようにする。
翔平太まで、こんな馬鹿げたことに付き合わせるわけにはいかないから。
――ガチャリ
と、玄関の扉が開く音が聞こえてくる。
翔平太が帰ってきたのかな?
……いや、ちょっと待て。何かがおかしい。
翔平太は家に帰ってくると、
『ただいまお姉ちゃん! ぼくがいなくても大丈夫だった? ぼくはおねえちゃんがいなくて寂しかったよー!』
みたいなことを言いながら、ダッシュであたしのいるリビングまでやってくるはずだ。
何かあったのかな?
心配になったあたしは、玄関先まで様子を見に行くことにした。
「う……あうー。がおー」
「……翔……平太?」
玄関にいたのは謎のうめき声を発している翔平太の姿。
「どうした? 大丈夫か?」
「うー……うー」
翔平太は答えない。
おかしい。あたしの問いかけには、たとえ寝ていたって気絶していたってすぐに答えるはずなのに。
「うーうー……うが――――――――っ!」
『っ!? 離れろ飛鳥!』
叫び声を上げながら、あたしに襲いかかってくる翔平太。
それを、あたしの胸から具現化したシャルロットが止めてくれた。
具現化するときさらしとあたしの服が派手に破けてしまったので、あたしは胸を手ブラで隠しながら数歩後ろに下がる。
「な、なんだよ、これ……」
「すこしまっておるのじゃ。いま、きぜつさせるから」
そう言って、シャルロットは翔平太の腹部に思いっきりボディブローをお見舞いする。
ってコラ! 人の弟に何してんだよ!
「ふう……」
息を吐いて、右腕で額の汗を拭うシャルロット。
「とりあえず、きゅうきゅうしゃとやらをよんで、びょういんにつれていくのじゃ」
シャルロットはそう言い残すと、光の玉になってあたしの胸へと吸い込まれるように消えて行った。
あたしは、言われた通り救急車を呼び、翔平太を病院に連れて行くことに。
翔平太は気絶したまま、数分後に来た救急隊員に搬送されていった。
シャルロットのやつ、どれだけ思いっきり殴ったんだよ。
と、今は翔平太のことのほうが大事だな。
なんで急に、あんなふうに暴れだしたんだろう。
昔から、温厚な性格で、怒ることなんて滅多に……というより、一度もなかったのに。
原因は、やっぱり――
『少し、まずいことになったかもしれんのう……』
救急車の中でシャルロットがそう呟いたのを、あたしは聞き逃さなかった。
◆
搬送先の病院で、翔平太は入院することになった。
なんでも、今日の午後から、翔平太の通う男子生徒が、急に暴れ出すという事件が続出しているらしい。
エロマンガ島内では、これを新種のウイルステロと判断。症状が出た人間を病院に入院させることで、監視しようとしているとのこと。
このウイルスに感染した人間は、自分の妄想力が使えない上に、他人の妄想力、例えば、治療関連の妄想力も効かないらしい。
「最善を尽くします」
最後にそう言って、医者は病室から出て行った。
部屋にいるのは、あたしと、ベッドで寝ている翔平太と、おっぱいに宿っているシャルロット。
「これ、あんたが言ってた神様の仕業?」
『……おそらくの』
答えるおっぱい。
ちなみにだが、現在さらしはつけていない。
ジーンズにTシャツという、比較的ラフな格好だ。
『……言ってなかったが、絶対神に反乱を起こした神様の一人が、この島で大規模なウイルステロを起こすという宣戦布告があったのじゃ。妾は、それを止めるためにこの島に来たのじゃ』
「……ウイルスって?」
さっきの医者もそんなこと言っていたな。新種のウイルスだとか。
『うむ。宣戦布告してきた神様は、こう言っておった。『モザイク化計画(モザイク・クライシス)』と……』
「……モザイク化計画?」
なんだよ、そのくだらないネーミングの計画は?
それ考えたやつ、ばっかじゃねえの?
『うむ。この新種のウイルスに感染してしまうと、女の子を見るとペロペロしたくなるという、恐ろしいウイルスなのじゃ』
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