31
どうして私の大切な人は消えていくんだろう
家族も、仲間も、友達も
みんな居なくなる
だったら最初から作らなければいい
大丈夫、もう失うものなんてないから。
1人でいるのは、慣れてるじゃないか。
私は1人で
黒を潰す。
何もかも奪った黒を。
そして私も…
死ねばいい
「夜遅くにすみません…。なにも聞かずにこの子を預かってくださいっ」
雨降る暗い夜、工藤邸に尋ねてきたのは息子の新一と同い年くらいの小さな女の子と男の子だった。
自分と背丈の変わらないアタッシュケースを必死に持って頭を下げている。
隣の男の子は泣きじゃくったままだ。
有紀子「ちょっと!あなた達!ずぶ濡れじゃない!上がって!」
「…すみません…私、もう行かなくちゃ…」
有紀子「行くってどこに…」
「連絡先はこの中にありますっ」
小さな少女はアタッシュケースを置くと一礼し、男の子の背中を押して有紀子に預けた。
その表情は必死に、そして悔しそうに涙をこらえ、強く何かを決断したような顔だった。
有紀子「あ、ちょっとまっ……て」
有紀子が声をかけるも、それを聞かずに走り出した女の子は暗闇に消えていった。
×××-××××-××××
あずけた子は空と言います。
私は子供なので、空をたすけてあげられません。有名なすいりしょうせつかのくどうゆうさくさんと、じょゆうのくどうゆきこさんならたすけてくれると思いました。
とつぜんでごめいわくをおかけします。
空には今は何もきかないであげてください。
いっぱいあいしてあげてください。
おかねは私が大人になってかせいだらおわたしします。
ゆり
あの日から有紀子と優作は新一と空を実の息子のように愛し、育て、2人が高校生になった頃
やっとゆりとはメールだけではなく、電話での連絡ができるようになった。
電話越しの彼女の声は相変わらず凛としていたが、どこか孤独を感じずにはいられなかった。
そして彼女から毎月10万円ずつお金がおくられてくるようになった。
有紀子「もう!またお金送ってくれたでしょう?!」
「はい。」
有紀子「もう、だからお金はもういいって言ったでしょ?」
「いえ、今まで空を育てていただいている上に、学費などもありますし…少しですが…」
有紀子「もう!そんなこと子供が気にしないの!それより元気してるの?」
「はい。皆様もお元気ですか?」
有紀子「ええ!元気よ!元気すぎて事件に巻き込まれちゃって、もう勘弁してほしいわ!」
「事件に?」
有紀子「あ、えぇ…そうなのよ;新ちゃんったら黒ずくめの男たちに変な薬を飲まされちゃって身体が縮んじゃったのよ!」
『黒ずくめの男達…』
まぁ、私としてはかわいい頃の新ちゃんが見れることはいいんだけど^^」
「いいんですか…;」
有紀子「まぁ、心配だけど何を言って聞く子じゃないから!あ、空くんなら大丈夫よ^^?サッカーもギターも続けてて学校でもモテモテみたいなのよ!」
「そうですか…それはよかったです。」
有紀子「ねぇ、ずっと聞こうと思っていたんだけど、あなた今どこにいるの?英語が聞こえてくるってことは海外よね?」
「はい、今はアメリカに。でももう時期日本に帰りますよ」
有紀子「あらぁ!そうなの?だったら家に来て頂戴!せっかくだし空くんやちっちゃくなっちゃった新ちゃんにも会いに来てあげて!」
「いえ、空だけでなく私まで厄介になる訳にいきませんので…」
有紀子「何言ってるのよ!貴女に直接会えたこともないのに!元気な顔を見せて?」
「では少しだけご挨拶に…」
有紀子「少しだけと言わずにもう日本に戻るなら家に住めばいいじゃない!私も優作さんも来月には仕事で海外に行っちゃうし空くんの面倒も見れないからぜひおねがいするわ!」
「でも…」
有紀子「とりあえず、帰国する日がわかったら教えてね?私たちも家に戻るから!」
「はい…」
コナン「なんだよ急に呼び出して」
空「会わせたい人がいるって聞いてたのにまだ来ねーの?」
有紀子「もう直ぐ来るわよ!」
優作「私もかなり久しぶりに会うから楽しみだな」
有紀子「そうよねぇ!どんな子になってるのかしらっ♪」
コナン「はぁ?」
…ピンポーン…
有紀子「あ!来たわ!はぁい!」
…ガチャ…
「ご無沙汰しております…」
有紀子「貴女ね!ゆりちゃん!」
「はい。」
有紀子「さ!入って!」
「失礼します。」
有紀子「来たわよー!」
「…」
有紀子につれてこられてリビングに入った彼女は俯き気味で暗い印象の地味な女の子だった。
黒くて長い髪、黒ぶちの眼鏡、膝下丈のスカートに白のブラウスはシンプルだがやはり地味な彼女だ。
優作「ゆりちゃんかい?」
「どうも、ご無沙汰しております。」
有紀子「堅苦しいのはなしよ♪」
空「誰なんだよ?」
コナン「さぁ?」
有紀子「改めて紹介します!ゆりちゃんです!今日から一緒に暮らすことになったから♪」
コナン・空「はぁ?!」
「ちょっと、有紀子さん…」
有紀子「あら、いいじゃないの!まだ帰国して家も探してないんでしょう?だったらいいじゃない!」
家族も、仲間も、友達も
みんな居なくなる
だったら最初から作らなければいい
大丈夫、もう失うものなんてないから。
1人でいるのは、慣れてるじゃないか。
私は1人で
黒を潰す。
何もかも奪った黒を。
そして私も…
死ねばいい
「夜遅くにすみません…。なにも聞かずにこの子を預かってくださいっ」
雨降る暗い夜、工藤邸に尋ねてきたのは息子の新一と同い年くらいの小さな女の子と男の子だった。
自分と背丈の変わらないアタッシュケースを必死に持って頭を下げている。
隣の男の子は泣きじゃくったままだ。
有紀子「ちょっと!あなた達!ずぶ濡れじゃない!上がって!」
「…すみません…私、もう行かなくちゃ…」
有紀子「行くってどこに…」
「連絡先はこの中にありますっ」
小さな少女はアタッシュケースを置くと一礼し、男の子の背中を押して有紀子に預けた。
その表情は必死に、そして悔しそうに涙をこらえ、強く何かを決断したような顔だった。
有紀子「あ、ちょっとまっ……て」
有紀子が声をかけるも、それを聞かずに走り出した女の子は暗闇に消えていった。
×××-××××-××××
あずけた子は空と言います。
私は子供なので、空をたすけてあげられません。有名なすいりしょうせつかのくどうゆうさくさんと、じょゆうのくどうゆきこさんならたすけてくれると思いました。
とつぜんでごめいわくをおかけします。
空には今は何もきかないであげてください。
いっぱいあいしてあげてください。
おかねは私が大人になってかせいだらおわたしします。
ゆり
あの日から有紀子と優作は新一と空を実の息子のように愛し、育て、2人が高校生になった頃
やっとゆりとはメールだけではなく、電話での連絡ができるようになった。
電話越しの彼女の声は相変わらず凛としていたが、どこか孤独を感じずにはいられなかった。
そして彼女から毎月10万円ずつお金がおくられてくるようになった。
有紀子「もう!またお金送ってくれたでしょう?!」
「はい。」
有紀子「もう、だからお金はもういいって言ったでしょ?」
「いえ、今まで空を育てていただいている上に、学費などもありますし…少しですが…」
有紀子「もう!そんなこと子供が気にしないの!それより元気してるの?」
「はい。皆様もお元気ですか?」
有紀子「ええ!元気よ!元気すぎて事件に巻き込まれちゃって、もう勘弁してほしいわ!」
「事件に?」
有紀子「あ、えぇ…そうなのよ;新ちゃんったら黒ずくめの男たちに変な薬を飲まされちゃって身体が縮んじゃったのよ!」
『黒ずくめの男達…』
まぁ、私としてはかわいい頃の新ちゃんが見れることはいいんだけど^^」
「いいんですか…;」
有紀子「まぁ、心配だけど何を言って聞く子じゃないから!あ、空くんなら大丈夫よ^^?サッカーもギターも続けてて学校でもモテモテみたいなのよ!」
「そうですか…それはよかったです。」
有紀子「ねぇ、ずっと聞こうと思っていたんだけど、あなた今どこにいるの?英語が聞こえてくるってことは海外よね?」
「はい、今はアメリカに。でももう時期日本に帰りますよ」
有紀子「あらぁ!そうなの?だったら家に来て頂戴!せっかくだし空くんやちっちゃくなっちゃった新ちゃんにも会いに来てあげて!」
「いえ、空だけでなく私まで厄介になる訳にいきませんので…」
有紀子「何言ってるのよ!貴女に直接会えたこともないのに!元気な顔を見せて?」
「では少しだけご挨拶に…」
有紀子「少しだけと言わずにもう日本に戻るなら家に住めばいいじゃない!私も優作さんも来月には仕事で海外に行っちゃうし空くんの面倒も見れないからぜひおねがいするわ!」
「でも…」
有紀子「とりあえず、帰国する日がわかったら教えてね?私たちも家に戻るから!」
「はい…」
コナン「なんだよ急に呼び出して」
空「会わせたい人がいるって聞いてたのにまだ来ねーの?」
有紀子「もう直ぐ来るわよ!」
優作「私もかなり久しぶりに会うから楽しみだな」
有紀子「そうよねぇ!どんな子になってるのかしらっ♪」
コナン「はぁ?」
…ピンポーン…
有紀子「あ!来たわ!はぁい!」
…ガチャ…
「ご無沙汰しております…」
有紀子「貴女ね!ゆりちゃん!」
「はい。」
有紀子「さ!入って!」
「失礼します。」
有紀子「来たわよー!」
「…」
有紀子につれてこられてリビングに入った彼女は俯き気味で暗い印象の地味な女の子だった。
黒くて長い髪、黒ぶちの眼鏡、膝下丈のスカートに白のブラウスはシンプルだがやはり地味な彼女だ。
優作「ゆりちゃんかい?」
「どうも、ご無沙汰しております。」
有紀子「堅苦しいのはなしよ♪」
空「誰なんだよ?」
コナン「さぁ?」
有紀子「改めて紹介します!ゆりちゃんです!今日から一緒に暮らすことになったから♪」
コナン・空「はぁ?!」
「ちょっと、有紀子さん…」
有紀子「あら、いいじゃないの!まだ帰国して家も探してないんでしょう?だったらいいじゃない!」
※会員登録するとコメントが書き込める様になります。