嫉妬の沖田
本当にありがとうございました。
ふとアリスちゃんの手元を見ると、俺に渡してくれたものと同じものが3つほど入っているのが目に入ってきた。
「アリスちゃん、これは?」
「ああ、これは、近藤さんと土方さんと総悟の分」
ふーん、と返事を返し、俺だけにではなかったのか、と少しばかり肩を落とす。
クッキーって、そんなに余るものなのかね。優しい君のことだから、最初から俺達の分もって作ってくれてたんでしょ。
「なんか今日は疲れた……もう寝るわ、おやすみー」
そう言って彼女は自分の部屋へと戻っていったので俺も戻ることにする。
君のことをもっと知りたいのに、全然わからなかった。
俺の密偵の力を使い、北条アリスという人物についてできる限りのことは調べたけれど、結果はいまいち。
いったい君は、どこの不思議の国から来たんだろうね。
なんだか急に眠気が襲ってきたので、考え事をやめ俺はさっさと布団に潜り込んだ。
そして、なんやかんやで次の日の朝。
んー、まだ眠たい。もう朝かな。今何時だろう。
覚醒しきっていない頭で考えていると、襖の開く音がした。
「アリスー起きなせェ」
この声と喋り方は、総悟か。
まだ眠たいよ母ちゃん、いや総ちゃん。あと5分、いや10分寝かせてぇぇ。
総悟が起こしに来たにも関わらず、私は寝たふりをすることに決めた。
「……早く起きないと、チューしやすぜ」
え、今何て?
「5秒数える間に起きないとチューしやす。5ぉー、3ぁーん、2ぃー」
そう言いながら総悟は寝ている私に覆いかぶさるように顔を近づけてきた。目を瞑っていてもわかる。
ちょっと待って待って!ていうか4がないよ!!
「わぁ!ちょっと待ったぁ!」
私がそう言い、目を開けると、30cmほど先に総悟の顔があった。
頭の両側に総悟の手がおかれていて、起き上がるに起き上がれない状態。
顔がこれ以上近づいてこないことから、どうやら、本当にキスする気はなかったらしい。
「なんでィそんなに驚いて。まさか期待してたんですかィ?誰がお前みたいな女にチューなんかしまさァ」
いや、確かに驚いたけど。
でも私が驚いたことは、キスされそうになったからではない。
キスされそうになったことにこれっぽっちも驚いてないと言ったら嘘になるけど。
それよりも、私が……すごいびっくりしたのは……。
キスのことチューって言ったよ!18歳男子が、キスのことチューだって、チュー!
何それ、可愛いんだけど。
思わず私は声に出し、あははははと笑うと、なんで私が笑っているのかわからない総悟は気味悪がり、でも自分が笑われていることはなんとなくわかったらしく
「なんか腹立ちまさァ」
と言いながら私のおでこをぺちっと叩き、私から離れていった。
「わざわざ俺が起こしにきてやったのは、今日は会議があるからでさァ」
まあ別にほっといてもよかったんだけどねィ、さっさと仕度しなせェと急かす総悟に、こんな朝から会議?と聞くと
「もう昼でさァ、この寝ぼすけ」
と言われてしまった。
あー、それなら早く準備しないと、隊服着なきゃ……
私はゆっくりと体を起こす。
「ところでこれは何ですかィ?」
総悟はクッキーの入った袋を見つけ、私に尋ねてきた。
「ああ、私の手作りクッキー。総悟にもあげようと思って」
そう言って私はクッキーを取り出し、総悟に渡そうとするが総悟は受け取らずに、じっとそれを見つめるだけ。
……なんだよ。なんでザキも総悟もすぐに受け取らないのよ。
ザキの時と同様に、早く受け取れの意味を込めてえいえいと総悟の胸にクッキーをおしつけてみたが、総悟はわざとらしく嫌そうな顔を作っていた。
「なんで俺が、お前の作ったものを受け取らなきゃいけないんでさァ」
てっきり喜んでくれると思っていたので、予想外の言葉に私は目を丸くする。
……そっか、誰もが私の作ったもの渡すもの、喜んでくれるわけじゃないもんね。何自惚れてたんだろ。
私は悲しさと恥ずかしさの気持ちでいっぱいになり
「……ごめん、いらないよねこんなの」
と小さく謝った。
総悟はそんな私の謝りをスルーしてか、俺の分ともう2つほどありやすが、誰の分ですかィ。と聞いてきた。
「あー、近藤さんと土方さんのだよ。でもよく考えたら、喜んでくれないかもだよね……」
私は再びしょんぼりする。
総悟に渡そうと手に持っていたクッキーの袋を、しまう仕草をする。
が、その仕草は総悟に私の手を捕まれたことにより中断された。
びっくりして顔を上げると
「そうでさァ、誰もアリスの作ったクッキーなんて喜びませんぜィ。だから、これは全部俺がもらっていきまさァ」
ありがたく思ってくだせェ、と言いながら3つのクッキーの袋を勝手に取り出す総悟。
ていうか既に食べてる。
ちょ、何勝手に食べてるのぉぉ!?いや、もともと総悟にあげるつもりだからいいっちゃいいんだけど、でも、残りの2つは違う~!
そもそも、私のクッキーなんて誰がいるかみたいなことさっき言ってたくせに!もう!
「味は悪かねぇや」
ふとアリスちゃんの手元を見ると、俺に渡してくれたものと同じものが3つほど入っているのが目に入ってきた。
「アリスちゃん、これは?」
「ああ、これは、近藤さんと土方さんと総悟の分」
ふーん、と返事を返し、俺だけにではなかったのか、と少しばかり肩を落とす。
クッキーって、そんなに余るものなのかね。優しい君のことだから、最初から俺達の分もって作ってくれてたんでしょ。
「なんか今日は疲れた……もう寝るわ、おやすみー」
そう言って彼女は自分の部屋へと戻っていったので俺も戻ることにする。
君のことをもっと知りたいのに、全然わからなかった。
俺の密偵の力を使い、北条アリスという人物についてできる限りのことは調べたけれど、結果はいまいち。
いったい君は、どこの不思議の国から来たんだろうね。
なんだか急に眠気が襲ってきたので、考え事をやめ俺はさっさと布団に潜り込んだ。
そして、なんやかんやで次の日の朝。
んー、まだ眠たい。もう朝かな。今何時だろう。
覚醒しきっていない頭で考えていると、襖の開く音がした。
「アリスー起きなせェ」
この声と喋り方は、総悟か。
まだ眠たいよ母ちゃん、いや総ちゃん。あと5分、いや10分寝かせてぇぇ。
総悟が起こしに来たにも関わらず、私は寝たふりをすることに決めた。
「……早く起きないと、チューしやすぜ」
え、今何て?
「5秒数える間に起きないとチューしやす。5ぉー、3ぁーん、2ぃー」
そう言いながら総悟は寝ている私に覆いかぶさるように顔を近づけてきた。目を瞑っていてもわかる。
ちょっと待って待って!ていうか4がないよ!!
「わぁ!ちょっと待ったぁ!」
私がそう言い、目を開けると、30cmほど先に総悟の顔があった。
頭の両側に総悟の手がおかれていて、起き上がるに起き上がれない状態。
顔がこれ以上近づいてこないことから、どうやら、本当にキスする気はなかったらしい。
「なんでィそんなに驚いて。まさか期待してたんですかィ?誰がお前みたいな女にチューなんかしまさァ」
いや、確かに驚いたけど。
でも私が驚いたことは、キスされそうになったからではない。
キスされそうになったことにこれっぽっちも驚いてないと言ったら嘘になるけど。
それよりも、私が……すごいびっくりしたのは……。
キスのことチューって言ったよ!18歳男子が、キスのことチューだって、チュー!
何それ、可愛いんだけど。
思わず私は声に出し、あははははと笑うと、なんで私が笑っているのかわからない総悟は気味悪がり、でも自分が笑われていることはなんとなくわかったらしく
「なんか腹立ちまさァ」
と言いながら私のおでこをぺちっと叩き、私から離れていった。
「わざわざ俺が起こしにきてやったのは、今日は会議があるからでさァ」
まあ別にほっといてもよかったんだけどねィ、さっさと仕度しなせェと急かす総悟に、こんな朝から会議?と聞くと
「もう昼でさァ、この寝ぼすけ」
と言われてしまった。
あー、それなら早く準備しないと、隊服着なきゃ……
私はゆっくりと体を起こす。
「ところでこれは何ですかィ?」
総悟はクッキーの入った袋を見つけ、私に尋ねてきた。
「ああ、私の手作りクッキー。総悟にもあげようと思って」
そう言って私はクッキーを取り出し、総悟に渡そうとするが総悟は受け取らずに、じっとそれを見つめるだけ。
……なんだよ。なんでザキも総悟もすぐに受け取らないのよ。
ザキの時と同様に、早く受け取れの意味を込めてえいえいと総悟の胸にクッキーをおしつけてみたが、総悟はわざとらしく嫌そうな顔を作っていた。
「なんで俺が、お前の作ったものを受け取らなきゃいけないんでさァ」
てっきり喜んでくれると思っていたので、予想外の言葉に私は目を丸くする。
……そっか、誰もが私の作ったもの渡すもの、喜んでくれるわけじゃないもんね。何自惚れてたんだろ。
私は悲しさと恥ずかしさの気持ちでいっぱいになり
「……ごめん、いらないよねこんなの」
と小さく謝った。
総悟はそんな私の謝りをスルーしてか、俺の分ともう2つほどありやすが、誰の分ですかィ。と聞いてきた。
「あー、近藤さんと土方さんのだよ。でもよく考えたら、喜んでくれないかもだよね……」
私は再びしょんぼりする。
総悟に渡そうと手に持っていたクッキーの袋を、しまう仕草をする。
が、その仕草は総悟に私の手を捕まれたことにより中断された。
びっくりして顔を上げると
「そうでさァ、誰もアリスの作ったクッキーなんて喜びませんぜィ。だから、これは全部俺がもらっていきまさァ」
ありがたく思ってくだせェ、と言いながら3つのクッキーの袋を勝手に取り出す総悟。
ていうか既に食べてる。
ちょ、何勝手に食べてるのぉぉ!?いや、もともと総悟にあげるつもりだからいいっちゃいいんだけど、でも、残りの2つは違う~!
そもそも、私のクッキーなんて誰がいるかみたいなことさっき言ってたくせに!もう!
「味は悪かねぇや」
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