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METAL GEAR SOLID the ROCK

原作: その他 (原作:メタルギアソリッド) 作者: gekco
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第八話

賠償金支払期限まで残り3分、ノーマッド機内。
「エメリッヒ博士、アルカトラズからミサイルが発射された!」
キャンベルの緊迫した声が響く。
「ああ、こちらでも確認した。でも・・・」
スネークからも通信が入る。
「オタコン、聞こえるか!ミサイルの発射音がした!撃たれたのか!?」
「ああ、たしかにミサイルは発射された。でも、様子が変なんだ。」
「変?」
「ミサイルは海中に落ちたんだ。爆発もしていない。」
「どういうことだ?」
「わからない。不発弾だったのか、それともわざと・・・?」
「わざと?ハメルがわざとミサイルを海中に?」
「スネーク、ミサイルが不発に終わった理由は私にもわからない。」
キャンベルが続く。
「だが、とりあえずサンフランシスコは無事だ。今のうちに残りのミサイルを無力化するんだ。」
「大佐、俺はハメルと直接話をしてきた。将軍の顔と目も見た。歳は食っていたが、間違いなくあのときのハメル将軍だった。奴は人殺しでもテロリストでもない。」
「だがスネーク、ミサイルは発射された。どんな理由があったとしても、たとえ不発に終わったとしても、な。それだけは事実だ。」
スネークはそれ以上、議論することは出来なかった。
それに今は、ミサイル無力化が最優先だ。
「発射音は頭上から聞こえた。ジョニーが捕まったあたりの方角だ。とすると、残りの1基は灯台か。」
「急ぐんだ、スネーク。もし何らかのトラブルが彼らの中に起こったとすると、仲間割れをして暴走するかもしれん。」
「了解だ、大佐。」
スネークは通信を切ると、不安げな表情のジョニーに告げた。
「何か嫌な予感がする。今すぐ灯台に向かって残りのミサイルを処理するぞ。」
「待って、スネーク。」
オタコンから通信が入る。
「そこから灯台に向かうと、旧看守室を通る。たぶんそこは・・・彼らの司令室だ。」


同時刻、司令室。
「何をしたんだ、フランク。」
バクスターの厳しい問いかけに、ハメルは応えない。
「何をしたのかと聞いているんだ!」
「上官だぞ!なんだその口のきき方は!」
ハメルが声を荒げる。
「期限になったからミサイルを発射した。にも関わらずミサイルは海中に落ちた。お前の仕業だろう。ミサイルの進路を変更したな?」
「ああ、そうだ。無辜の市民を毒ガスで虐殺するなど、私にできるものか。所詮は脅しだった。ミサイルを発射せずとも身代金が支払われるはずだったのだ。作戦は失敗した!」
「部下にどう説明する!?もうすぐフライとダロウが戻ってくる。奴らは暴走するぞ!」
「海兵隊はひとつだ!私の思いは彼らも同じはずだ!」
「ハメル、もう時代は変わった。海兵隊はひとつではないんだ。ミサイルを撃つ気がないなら、人質を使わせてもらう。」
バクスターが立ち上がると、ハメルがガバメントを向けた。
「戻れ、少佐。」
「・・・俺を、撃つのか。」
「バクスター、友人として頼む。戻れ。」
そこへ、フライとダロウ、クリスプが入ってきた。フライもダロウも怒りに身を震わせている。
「将軍、ミサイルが海中に落下しました。理由を、ご存知ですね?」
フライが不気味なほど丁寧に問いただした。その目は怒りで血走っている。
「諸君、残念ながら作戦は失敗だ。」
「ミサイルの進路を変更しましたね、将軍!」
詰め寄るフライには応えず、ハメルは淡々と話し続けた。
「残念ながら作戦は失敗した。もうすぐ、この島はピンポイント爆撃にさらされるだろう。だが、私はあくまでも、死んでいった同胞の無念を政府に知らしめなければならない。」
意を決したようにハメルは話すが、ハメルを見つめるフライたちの表情に変化はない。不思議に思いながらも、ハメルは話し続けた。
「私はこの島に残る。諸君はヘリに人質を乗せ、キューバに・・・」
「失礼ですが、将軍」
ダロウが口を開く。
「カネは、約束のカネはどうなるんです?」
「身代金は支払われなかった。カネのことはあきらめろ。だが、我々の行動は決して」
「そういうことを聞いてるんじゃねぇ!」
「貴様も海兵隊なら将軍に敬意を払え!」
バクスターが怒鳴るが、ダロウは止まらない。
「俺はもう海兵隊じゃねぇ!この作戦に加わったときから傭兵になったんだ。俺はカネでしか動かねぇ!カネだ!カネをよこせ!」
「海兵隊の誇りを思い出せ!」
そのとき、フライが言い放った。
「あんたは作戦を故意に失敗させた。将軍、指揮権を剥奪します。クリスプ軍曹、将軍を武装解除して拘束しろ。」
事態の急変に追いつかないクリスプに、ダロウが追い討ちをかける。
「クリスプ!早くしろ!お前の頭を吹き飛ばすぞ!」
クリスプは動かざるを得なかった。
「将軍、すみません。銃をお預かりします。」
「これのことか?」
ハメルはすばやくクリスプの眉間にガバメントを向けた。
ほぼ同時に、フライとダロウがハメルを狙う。
「少佐、あんたはどっちにつくんだ?」
腕組みをしているバクスターに、フライが選択を迫った。
「将軍、あなたと過ごした戦場での日々は、私の宝物です。」
バクスターはそう言いながら、ハメルのこめかみに銃を向ける。
「でもそれも、今日までだ。」
ハメルは目を閉じた。
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