肆話 “血継限界”
夕食を食べ終わり、五年生の皆は寐玲を誘って風呂に入ろうとしていた。
「寐玲…食べなくて大丈夫なのかなぁ…」
「どこかの誰かさんとは違って少食なんじゃない⁇」
兵助酷い!と竹谷はツッコむ。
五年長屋へ向かって行くと、長屋前の広場で寐玲が少し離れて置いてある丸太に向かって低い体勢で構えているのが見えた。
「何をする気だろう?」
不破は首を傾げる。
「八卦…」
両腕を左後方に持っていき、
「空掌!!」
前に突き出した。
真空の衝撃波が放たれ、丸太の上半分が破壊された。
「ふぅ…まだコントロールが出来んな…で、何の用だ?」
寐玲は振り返る。
「風呂に誘おうと思って…というよりさ!何だよ今のやつ!!!凄いな!!!」
竹谷が寐玲の元に駆け寄る。
他の四人も続く。
「今のは柔拳の一つ、八卦空掌だ…もう一つ試したいのがあるんだ…その後でも良いか?」
「我々も見学しても良いか?」
六年生が現れる。
寐玲は構わないと答え、少し離れるようにと促した。
そして、分身を出す。
分身は変化の術で宗家の天才、日向ネジに変化する。
「一瞬で姿だけじゃなく背丈まで変えるなんて…」
変装の名人の鉢屋は驚いた。千の顔を持つ者と言われているが流石に背丈までは完全に変えることはできていない。
やっぱり恐ろしい奴だと思った。
「やはりこの技はネジ相手じゃないと気が済まん…打ち合いするぞ」
「……良いだろう……」
二人、目を閉じる。
「白眼!!」
勢い良く開けると共に目元に血管が浮き出る。
「あ、寐玲の眼が変わった…!」
尾浜は寐玲の左目が右目と同じ様に変化したのに気づく。
「いくぞ…」
そして二人同時に低い体勢で構える。
「柔拳法、八卦六十四掌…!!」
踏み出した。
「八卦ニ掌!四掌!八掌!十六掌!三十ニ掌!!」
パンッの音と共に高速で打ち合う。
「は、速ぇ…」
「腕の動きが全く見えねぇ…」
食満と潮江が呟く。
一同は唖然としていた。
そして、最後に二人はくり出した。
「六十四掌!!!!」
微妙に寐玲の方が速かったようだ。
分身はまともに六十四掌をくらう。
「真理眼で再現したオレの技を上回るとはな…」
フッと笑い、分身は消えた。
「ふぅ…」
「凄いな寐玲!!私にも今の技教えて欲しい!!」
七松がキラキラした目で見てくる。
「これはあるものが見えないと意味を成さないぞ?……さて、因みに今ので二つ、血継限界を使ったからな」
目を閉じ、元の目に戻す。
「白眼の前では隠れても無駄だ…土井半助先生、山田伝蔵先生…さぁ、風呂に行くかっ」
着替えを持ってくると寐玲は自室に入っていく。
「バレていたか…」
「完全に気配を消してたんだけどね…」
少し離れた茂みから二人は出てきた。
生徒達は誰一人気付かなかったようだ、驚いている。
「山田先生、土井先生!何時からいらしてたんですか?」
「最初から居たよ…彼の行動が気になってね」
気付かれたなんて教師失格だなと、土井は苦笑する。
「血継限界…気になりますね…今ので二つ使ったと言ってましたが…」
「一つは恐らく白眼の事だろう…普段は違う左右の目が同じになり尚且つ、目元に血管が浮き出ていた…間違い無いだろうな…もう一つはなんだと思う?立花」
立花は少し考える。
「真理眼…じゃないかと…」
「何故そう思う?」
「寐玲は、いや、もう一人の方か…奴が真理眼を使って再現したがと言ってたんです…」
「ご名答、血継限界は白眼と真理眼だ」
寐玲が話の輪に入ってくる。
「ま、能力は…好きに想像していてくれ…今は説明するのが面倒だ…」
「君が変化してたのは一体誰なんだい?」
「これは答えられないな…まぁ、分家の天才とだけ言っておこうか…」
分家?と土井は首を傾げる。
「忍は仲間の情報は話さないのが常識だ…さぁ、行こうか」
五年生を連れて風呂場に向かう。
「ねぇ寐玲!さっきの技もだけど変装も凄かった!!」
「そうだ、この私も驚いだぞ……一瞬で背丈までも変えるなんて…」
「あれは変化の術を使ったんだ…私としては君の方が凄いと思うがな…不破雷蔵に変装してる鉢屋三郎?」
ちぇ、気付いてたのかよと三郎はそっぽを向く。
「すげぇ!一発で見抜くなんて!!」
「いやこれ位普通だから」
「そう言えば三郎の方が凄いって言ったけど…何で?」
流石天然の久々知、空気を読もうとしない。
竹谷と軽く争っていた寐玲は咳払いする。
「あぁ、それは完璧な再現だよ」
「完璧な再現?」
尾浜が鸚鵡返しする。
鉢屋も気になるようだ。寐玲の方を向く。
「マスクと化粧で完璧に再現するのは凄いぞ…流石の私も変化の術無しではそこまで完璧に再現は出来んぞ」
「凄いじゃん三郎!寐玲に褒められるなんてっ」
不破の言葉に鉢屋は「べ、別に、嬉しくは無いぞ」とそっぽを向く。
「ま、変化の術ができるからと言って特別凄いわけではないが」
「ちょ!上げといて一気に下げてきたな!!」
鉢屋が寐玲との距離を詰めようとするが背後を取られ、頭を軽く叩かれた。
「距離の詰め方が甘い、まだまだだな」
頭を抑え、悔しそうな顔をする鉢屋。
「さぁて着いたっ!入ろう!」
六人は風呂場に入っていった。
「寐玲…食べなくて大丈夫なのかなぁ…」
「どこかの誰かさんとは違って少食なんじゃない⁇」
兵助酷い!と竹谷はツッコむ。
五年長屋へ向かって行くと、長屋前の広場で寐玲が少し離れて置いてある丸太に向かって低い体勢で構えているのが見えた。
「何をする気だろう?」
不破は首を傾げる。
「八卦…」
両腕を左後方に持っていき、
「空掌!!」
前に突き出した。
真空の衝撃波が放たれ、丸太の上半分が破壊された。
「ふぅ…まだコントロールが出来んな…で、何の用だ?」
寐玲は振り返る。
「風呂に誘おうと思って…というよりさ!何だよ今のやつ!!!凄いな!!!」
竹谷が寐玲の元に駆け寄る。
他の四人も続く。
「今のは柔拳の一つ、八卦空掌だ…もう一つ試したいのがあるんだ…その後でも良いか?」
「我々も見学しても良いか?」
六年生が現れる。
寐玲は構わないと答え、少し離れるようにと促した。
そして、分身を出す。
分身は変化の術で宗家の天才、日向ネジに変化する。
「一瞬で姿だけじゃなく背丈まで変えるなんて…」
変装の名人の鉢屋は驚いた。千の顔を持つ者と言われているが流石に背丈までは完全に変えることはできていない。
やっぱり恐ろしい奴だと思った。
「やはりこの技はネジ相手じゃないと気が済まん…打ち合いするぞ」
「……良いだろう……」
二人、目を閉じる。
「白眼!!」
勢い良く開けると共に目元に血管が浮き出る。
「あ、寐玲の眼が変わった…!」
尾浜は寐玲の左目が右目と同じ様に変化したのに気づく。
「いくぞ…」
そして二人同時に低い体勢で構える。
「柔拳法、八卦六十四掌…!!」
踏み出した。
「八卦ニ掌!四掌!八掌!十六掌!三十ニ掌!!」
パンッの音と共に高速で打ち合う。
「は、速ぇ…」
「腕の動きが全く見えねぇ…」
食満と潮江が呟く。
一同は唖然としていた。
そして、最後に二人はくり出した。
「六十四掌!!!!」
微妙に寐玲の方が速かったようだ。
分身はまともに六十四掌をくらう。
「真理眼で再現したオレの技を上回るとはな…」
フッと笑い、分身は消えた。
「ふぅ…」
「凄いな寐玲!!私にも今の技教えて欲しい!!」
七松がキラキラした目で見てくる。
「これはあるものが見えないと意味を成さないぞ?……さて、因みに今ので二つ、血継限界を使ったからな」
目を閉じ、元の目に戻す。
「白眼の前では隠れても無駄だ…土井半助先生、山田伝蔵先生…さぁ、風呂に行くかっ」
着替えを持ってくると寐玲は自室に入っていく。
「バレていたか…」
「完全に気配を消してたんだけどね…」
少し離れた茂みから二人は出てきた。
生徒達は誰一人気付かなかったようだ、驚いている。
「山田先生、土井先生!何時からいらしてたんですか?」
「最初から居たよ…彼の行動が気になってね」
気付かれたなんて教師失格だなと、土井は苦笑する。
「血継限界…気になりますね…今ので二つ使ったと言ってましたが…」
「一つは恐らく白眼の事だろう…普段は違う左右の目が同じになり尚且つ、目元に血管が浮き出ていた…間違い無いだろうな…もう一つはなんだと思う?立花」
立花は少し考える。
「真理眼…じゃないかと…」
「何故そう思う?」
「寐玲は、いや、もう一人の方か…奴が真理眼を使って再現したがと言ってたんです…」
「ご名答、血継限界は白眼と真理眼だ」
寐玲が話の輪に入ってくる。
「ま、能力は…好きに想像していてくれ…今は説明するのが面倒だ…」
「君が変化してたのは一体誰なんだい?」
「これは答えられないな…まぁ、分家の天才とだけ言っておこうか…」
分家?と土井は首を傾げる。
「忍は仲間の情報は話さないのが常識だ…さぁ、行こうか」
五年生を連れて風呂場に向かう。
「ねぇ寐玲!さっきの技もだけど変装も凄かった!!」
「そうだ、この私も驚いだぞ……一瞬で背丈までも変えるなんて…」
「あれは変化の術を使ったんだ…私としては君の方が凄いと思うがな…不破雷蔵に変装してる鉢屋三郎?」
ちぇ、気付いてたのかよと三郎はそっぽを向く。
「すげぇ!一発で見抜くなんて!!」
「いやこれ位普通だから」
「そう言えば三郎の方が凄いって言ったけど…何で?」
流石天然の久々知、空気を読もうとしない。
竹谷と軽く争っていた寐玲は咳払いする。
「あぁ、それは完璧な再現だよ」
「完璧な再現?」
尾浜が鸚鵡返しする。
鉢屋も気になるようだ。寐玲の方を向く。
「マスクと化粧で完璧に再現するのは凄いぞ…流石の私も変化の術無しではそこまで完璧に再現は出来んぞ」
「凄いじゃん三郎!寐玲に褒められるなんてっ」
不破の言葉に鉢屋は「べ、別に、嬉しくは無いぞ」とそっぽを向く。
「ま、変化の術ができるからと言って特別凄いわけではないが」
「ちょ!上げといて一気に下げてきたな!!」
鉢屋が寐玲との距離を詰めようとするが背後を取られ、頭を軽く叩かれた。
「距離の詰め方が甘い、まだまだだな」
頭を抑え、悔しそうな顔をする鉢屋。
「さぁて着いたっ!入ろう!」
六人は風呂場に入っていった。
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