熾烈なるクリスマスパーティ
本当なら華麗なるクリスマスパーティが楽しみとでも言いたいところだけれど。
この乙女ゲーム、クリスマスパーティでハビラントが断罪されるのよね。
文化祭を契機にヒロインとも交流を持つようになり、ちょっとだけ手を貸したり、いじめられているときにアレスを差し向けたり、リリトスを差し向けたり、まあ、他に誰もいないときはジルを差し向けたりした。
私が直にそういう現場に行くと悪役令嬢的な補正があったら危ないし、彼らも戦闘になる場所にハビラントを向かわせたがらず、進んで行ってくれるからウィン・ウィンの関係だ。
だから今のところ断罪される予定は無い。
ちょっと心配だったジルもその予定は無い。
ジルが悪役の立ち位置になってるのでは?と心配だったから片割れ寂しいムーブを使って私の周りにいるように仕向けた。
そしたら、まあ、元からヤンデレ属性の双子。
ちょっと違う意味で危険な香りがしたけど、原作から逃れる対価なら仕方ないと容認した。ジルは完全な二人の世界を築き上げてくれた。もちろん嫌がらせをする隙間すらない。
世界に二人以外いないのだから、目を向けないのも当然でしょ?と言わんばかりだ。
ちょっと行き過ぎて、ヤンデレこわい。
「ハビー?クリスマスパーティの衣装はどうしようか?」
「私はジルと合わせようと思うの。どれを着ていく予定かしら」
「それなら、新調しない?ハビーがまたヒールを履くなら、映えるドレスも変わるでしょう?」
原作でハビラントがクリスマスパーティに着ていたドレスはすでにワードローブにあるから、とても嬉しい提案だ。
要らん補正はいって誰かの罪を擦り付けられて断罪されたら面白くないにもほどがある。断罪されるなら、せめて、自分がやった罪を高らかに笑い飛ばしてやりたい。
性格が悪い?ご愛嬌でしょ。
「そうね、シルバーはどうかしら」
「それは期待してくれているの?」
いや、黒と赤で着飾ったハビラントが断罪されたから白っぽい色合いのものにしたかっただけなんだけど、こんなにワクワクしている片割れにそんなこと言ったら非道な悪女でしかない。
シルバーはなんの色だったか?
あ、血を飲むときの目の色か。
そういえば、クリスマスパーティ後はヒロインと過ごすジルだったら、ヒロインに初吸血だったはず。なるほどね。
「私がいまそれを応えたらダメでしょう?」
「そうだね、ハビー」
と、上手いこと片割れを誘導できて、ゲームとは全く違うドレスでクリスマスパーティを迎えた。
うん、ハビラントの美しさとスタイルの良さが抜群に生かされてる。
前のギャザーの入った可愛いが詰め込まれた子ども向けドレスも良かったけど、ハビラントならマーメイドドレスが似合うと思ってたのよ。
足元はピンヒールで決めてバチバチの戦闘スタイルだ。
いや、物理的な戦闘じゃなくて、パーティ的な戦闘ね。
「美しいよ、僕の片割れ」
「ありがとう。ジルもよく似合っているわ」
あちゃー……。ジルが見覚えのある姿になっちゃってる。断罪のときにヒロインの傍に立つ衣装がこれだった。
でも、今のジルの目には私を裏切るような冷たい視線はない。
「今夜も僕らの夜だね、踊りましょう?」
このゲーム、踊るの好きだなと思った感想を思い出す。
「踊り明かしましょう、私の唯一のひと」
断罪と同じ衣装になってしまったことで、少しだけ不安になってそう囁くと、頬を染めたジルからドロドロのヤンデレな愛を囁かれる。
これが通常になりつつあるハビラントまずいなぁと思いながら、原作クラッシュ確定までは後回しにしている。
『このまま二人だけの世界に閉じ込めてしまいたいぐらいだよ』
有言実行と言わんばかりに踊り続けたジルは退出可能な時間になるなり、お姫様抱っこでコレは自分の!と最大限に誇示しながら退出してくれた。
いや、ジルくん?何も言ってなのにクラッシュの仕方、すごい強引。
なんか話そうとしてたリリトスでさえ諦めて苦笑いで手を振ってるよ。
まあいいや、思ったより呆気なく原作はクラッシュされて、終了した。
ハビラントの危機は終わってないなんて、私は知る由もなかった。
この乙女ゲーム、クリスマスパーティでハビラントが断罪されるのよね。
文化祭を契機にヒロインとも交流を持つようになり、ちょっとだけ手を貸したり、いじめられているときにアレスを差し向けたり、リリトスを差し向けたり、まあ、他に誰もいないときはジルを差し向けたりした。
私が直にそういう現場に行くと悪役令嬢的な補正があったら危ないし、彼らも戦闘になる場所にハビラントを向かわせたがらず、進んで行ってくれるからウィン・ウィンの関係だ。
だから今のところ断罪される予定は無い。
ちょっと心配だったジルもその予定は無い。
ジルが悪役の立ち位置になってるのでは?と心配だったから片割れ寂しいムーブを使って私の周りにいるように仕向けた。
そしたら、まあ、元からヤンデレ属性の双子。
ちょっと違う意味で危険な香りがしたけど、原作から逃れる対価なら仕方ないと容認した。ジルは完全な二人の世界を築き上げてくれた。もちろん嫌がらせをする隙間すらない。
世界に二人以外いないのだから、目を向けないのも当然でしょ?と言わんばかりだ。
ちょっと行き過ぎて、ヤンデレこわい。
「ハビー?クリスマスパーティの衣装はどうしようか?」
「私はジルと合わせようと思うの。どれを着ていく予定かしら」
「それなら、新調しない?ハビーがまたヒールを履くなら、映えるドレスも変わるでしょう?」
原作でハビラントがクリスマスパーティに着ていたドレスはすでにワードローブにあるから、とても嬉しい提案だ。
要らん補正はいって誰かの罪を擦り付けられて断罪されたら面白くないにもほどがある。断罪されるなら、せめて、自分がやった罪を高らかに笑い飛ばしてやりたい。
性格が悪い?ご愛嬌でしょ。
「そうね、シルバーはどうかしら」
「それは期待してくれているの?」
いや、黒と赤で着飾ったハビラントが断罪されたから白っぽい色合いのものにしたかっただけなんだけど、こんなにワクワクしている片割れにそんなこと言ったら非道な悪女でしかない。
シルバーはなんの色だったか?
あ、血を飲むときの目の色か。
そういえば、クリスマスパーティ後はヒロインと過ごすジルだったら、ヒロインに初吸血だったはず。なるほどね。
「私がいまそれを応えたらダメでしょう?」
「そうだね、ハビー」
と、上手いこと片割れを誘導できて、ゲームとは全く違うドレスでクリスマスパーティを迎えた。
うん、ハビラントの美しさとスタイルの良さが抜群に生かされてる。
前のギャザーの入った可愛いが詰め込まれた子ども向けドレスも良かったけど、ハビラントならマーメイドドレスが似合うと思ってたのよ。
足元はピンヒールで決めてバチバチの戦闘スタイルだ。
いや、物理的な戦闘じゃなくて、パーティ的な戦闘ね。
「美しいよ、僕の片割れ」
「ありがとう。ジルもよく似合っているわ」
あちゃー……。ジルが見覚えのある姿になっちゃってる。断罪のときにヒロインの傍に立つ衣装がこれだった。
でも、今のジルの目には私を裏切るような冷たい視線はない。
「今夜も僕らの夜だね、踊りましょう?」
このゲーム、踊るの好きだなと思った感想を思い出す。
「踊り明かしましょう、私の唯一のひと」
断罪と同じ衣装になってしまったことで、少しだけ不安になってそう囁くと、頬を染めたジルからドロドロのヤンデレな愛を囁かれる。
これが通常になりつつあるハビラントまずいなぁと思いながら、原作クラッシュ確定までは後回しにしている。
『このまま二人だけの世界に閉じ込めてしまいたいぐらいだよ』
有言実行と言わんばかりに踊り続けたジルは退出可能な時間になるなり、お姫様抱っこでコレは自分の!と最大限に誇示しながら退出してくれた。
いや、ジルくん?何も言ってなのにクラッシュの仕方、すごい強引。
なんか話そうとしてたリリトスでさえ諦めて苦笑いで手を振ってるよ。
まあいいや、思ったより呆気なく原作はクラッシュされて、終了した。
ハビラントの危機は終わってないなんて、私は知る由もなかった。
※会員登録するとコメントが書き込める様になります。