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ないしょの恋人

ジャンル: 現実世界(恋愛) 作者: 護堂アオイ
目次

第1話「ジュニア・ヌードモデル」

 とあるリゾート施設にあるホテル……その一室。
 ミュージックプレイヤーからは、アップテンポの洋楽が流れていた。
 大きな窓の前には小さなステージが設置されており、1人の少女が流れる洋楽に合わせて体を動かしていた。
 癖のない髪をロングにしている、11歳くらいの少女。
 全裸である。何も身に着けていない。
 胸に膨らみはなく、ピンク色の乳首がツンッと目立っている程度。腰はようやく、くびれが目立ちはじめた感じ。
 股間は無毛で、ただ少女であることを示すスリットがあるだけ。お尻はプリンッとして、可愛らしい形。
 そして、美少女と呼んでいい顔立ちをしている。
 全裸で踊る美少女ルカの前には大勢の大人がいた。
 女もいるが、男の数の方が多い。大人の異性が大勢いても、ルカは気にした様子を見せていない。平然と全裸を晒している。
 11歳ともなれば女としての意識はあるだろう。男の目を気にするだろう。
 だがルカは、胸や股間を隠そうとはしない。堂々と裸を見せていた。
 大人の男の中には、カメラを構えている者が2人いた。さまざまなアングルから、全裸で踊るルカの姿を撮っている。
 カメラで録画されていても、やはりルカは気にしない。
 芸名ルカ、本名は西村流香(にしむら・るか)。ジュニア・ヌードモデルと呼ばれる、ティーンのヌードモデル。
 裸を見せるのが、ジュニア・ヌードモデルであるルカの仕事であった。
 だから、これは当然のこと。ルカは恥ずかしがらない。
 録画されているものは後で編集され、映像作品として販売される。不特定多数の男性がルカの裸を見ることになるが、それが仕事うちだ。
 承知の上で、ルカはジュニア・ヌードモデルの世界に入った。最初は恥ずかしかったが、今では平気で大人の異性の前で裸になることができる。
 この部屋にいる大人たちは、作品を作るためのスタッフだ。
「ルカちゃん、後ろを向いてお尻を突き出して」
 男性スタッフの1人がルカに指示を出す。いま撮影している作品の監督だ。
 乾雅彦(いぬい・まさひこ)、それが監督である彼の名前。
 ルカは雅彦の指示に従い、後ろを向く。そしてプリンッとしているお尻を突き出した。
 カメラマンの1人は、突き出されたルカの可愛らしい形のお尻をアップで撮る。
 肩越しに笑みを浮かべた顔を見せ、ルカは突き出したお尻を音楽に合わせて左右に振った。ときには小さくゆっくり、ときには速く大きく振られるルカのお尻。
 変化を付けて振られる彼女のお尻を、カメラマンの1人は夢中になって撮った。
 しばらくして、監督である雅彦はルカに前を向くように告げる。
 お尻をアップで撮っていたカメラマンは、無毛の股間をアップで撮ることになった。
 ルカは股間を突き出すと、お尻の時と同じように、流れる音楽に合わせて左右に振る。
 もう1人のカメラマンは、彼女の顔と膨らみのない胸が一緒に映るアングルで撮った。
 ルカはカメラの方に視線を向け、顔にニコリとした笑みを浮かべた。

『ここ』とは少し違う世界。『そこ』ではティーンの……ローティーンの少女のヌードというものが許されていた。
 そんな世界でジュニア・ヌードモデルとして活躍する少女たちの物語。

◇◇◇

 とある小学校。5年生の教室の1つ。
 1人の少女が雑誌を開き、凝視していた。少し癖のある髪をショートにしている、どこか少年的な雰囲気がある少女。
 Tシャツにジーパンと、服装もどこか少年的であった。Tシャツの胸の部分には、まだ膨らみが見当たらなかった。そのため、彼女を少年と間違える者もいるかもしれない。
 山添葉月(やまぞえ・はづき)、それが少年的な雰囲気を持つ彼女の名前。
 葉月が手にしている雑誌の表紙には、白いビキニの水着を着たローティーンの少女の姿が写っている。
「今月もランキング10位かあ」
 葉月は溜め息をこぼしながら言う。開いているのは、ランキングが公開されているページであった。
 10位の欄に、ハヅキという名前がある。
「そういう雑誌……」
 隣の席の少女が、ティーン向けのファッション雑誌から葉月に視線を移す。
「教室で出さない方がいいんじゃないの?」
 フレームレスの眼鏡をかけ、癖のない髪をお尻の近くまで伸ばしている彼女。今は座っているので分からないが、小学5年生の少女の平均よりも背が高い。
 そしてブラウスの胸の部分には膨らみがあった。
 美少女と呼んでいい顔立ちをしている。
「平気でしょ」
 眼鏡の美少女……花咲真理(はなさき・まり)の言葉に、葉月は気にした様子を見せずに返す。
「あたしや流香がジュニア・ヌードモデルやっているの、クラスのみんなが知っていることだし」
 葉月が持っているのは、ジュニア・ヌードモデル専門誌だ。ジュニア・ヌードモデルのヌードグラビアも当然、写っているページがある。
 葉月は気にしないようだが、真理としてはそのような雑誌を教室で開くのはどうなのかと思ってしまう。
 真理は小さく肩をすくめた。
「なに、葉月? ランキング気にしているの?」
 そんな真理の前の席、そこにいるのは流香であった。顔を後ろに向け、葉月に聞く。
 流香に聞かれて葉月は「当然でしょ」と返す。
「常にトップ3の流香と違って、あたしは10位前後を行ったり来たり……気にしちゃうよ」
「でも、3ヵ月連続で10位をキープでしょう、葉月?」
「流香は3ヵ月連続で1位でしょう。できれば10位以上をキープしたいのよ、あたしは」
「ねえ、2人とも……」
 流香と葉月の会話に真理が割って入る。
「2人からも言ってくれない? あの人……津上(つがみ)さんだっけ?」
「翔子(しょうこ)さんがなに?」
 流香は顔を後ろに向けたまま、器用に首をかしげてみせた。
「私はヌードモデルになる気はないって」
 真理の言葉を聞いて、流香も葉月は「ああ」と納得したような表情を顔に浮かべる。
 流香と葉月は、同じジュニア・ヌードモデルの事務所に所属している。
 その事務所のマネージャー兼スカウトマンである女性に、真理はスカウトされたのだ。
 真理が流香と葉月のクラスメイトだと知ったその女性は、2人からも真理を説得するように言われていた。
 いわく、真理には『光るもの』が感じられ、ジュニア・ヌードモデルとしてデビューすれば成功する、と。
 しかし真理にはジュニア・ヌードモデルとしてデビューする気持ちはない。断りのメールを入れたが、今でもその女性……津上翔子からラブコールがあるらしい。
「流香と葉月には悪いけど……私はファッションモデルにはなりたいけど、ヌードモデルになる気はないのよ」
「それだけどさあ、真理」
 流香は視線を真理が持っているファッション雑誌に向けて言う。
「意外って思うかもしれないけれど、ジュニア・ヌードモデル出身のファッションモデルって結構いるのよ」
「へっ?」
 流香の言葉に、真理は眼鏡の奥で目を丸くして、思わず間抜けな声を発してしまっていた。
「そうなの?」
 流香は「うん」と、うなずく。葉月も「うんうん」と、うなずいていた。
「確かこの人も……」
 葉月は真理が持っているファッション雑誌を指差す。
「ジュニア・ヌードモデル出身だよ、真理」
「うそっ!?」
 彼女が指差したのは、人気のあるファッションモデルであった。
 まさかそんな人がジュニア・ヌードモデル出身だとは、真理は夢にも思っていなかったことだ。
「うそついてどうするの?」
 葉月は心外だと言いたそうな表情を、少年的な顔に浮かべる。
「真理の夢……ファッションモデルへの近道かもよ、ジュニア・ヌードモデルとしてのデビューって」
 流香にそう言われ、真理は複雑な表情を浮かべた。
 真理の将来の夢はファッションモデルだ。簡単にはなれないと分かっている。しかし、ジュニア・ヌードモデルとしてデビューすれば、ファッションモデルになることも夢ではなさそうだと感じた。
 だがそれでも、大勢の異性の前でヌードを晒そうとは真理には考えられないことである。
(でも……将来の夢への近道になるのなら……)
 真理の心は揺れていた。

◇◇◇

 とあるレジャー施設にある屋内プール。そこには撮影のためのスタッフが集まっていた。
 今日のこの場での撮影のモデルはハヅキ……葉月である。
 葉月のジュニア・ヌードモデルとしての芸名はハヅキ。
 ハヅキはオレンジ色のセパレートの水着という格好であった。
 水着の布地は薄く、乳首の形がポッチリと浮き上がって見えているのが分かる。
 監督である青年……雅彦の「スタート」の掛け声で撮影が始まる。
 ハヅキは少年的な顔に笑みを浮かべ、プールサイドを歩く。複数いるカメラマンが、さまざまなアングルからハヅキの姿を撮っていく。
 あるカメラマンは水着に包まれたお尻をアップで撮り、あるカメラマンは笑みを浮かべている顔を、別のカメラマンは胸をアップで撮る。
 ハヅキは頭からプールに飛び込む。
 水中用のカメラを持ったカメラマンが、泳ぐハヅキの姿を撮る。しばらく泳いだ後、ハヅキはプールサイドに上がった。
 全身を水で濡らしたハヅキは、プールサイドでポーズをとる。
 頭の後ろで手を組んだり、腰の後ろで手を組んだりした後、セパレートの水着のトップスに手をかけた。
 そして、ハヅキはためらいを少しも見せずにトップスを脱いだ。上半身裸となるハヅキ。
 彼女の胸には、まだ膨らみがない。ピンク色の乳首がツンッと目立っている程度だ。
 脱いだトップスを放り投げ、上半身裸となったハヅキは少年的な顔に笑みを浮かべて次々とポーズをとっていった。
 そんな彼女を見つめながら、監督の雅彦は次の指示を出す。
「ハヅキちゃん、下も脱いじゃおうか」
 雅彦のその言葉に「はーい」と応え、ハヅキは水着のボトムスに手をかけた。
 上を脱いだ時と同じ。彼女は少しのためらいも見せずに、オレンジ色のボトムスをスルリと脱いだ。
 ハヅキの股間は無毛……ただ少女であることを示すスリットがあるだけ。
 お尻は11歳の少女としてはややボリュームが不足している感じだが、それでも可愛らしい形をしている。
 脱いだボトムスを放り投げ、全裸となったハヅキはまたさまざまなポーズをとっていく。
 カメラマンたちは彼女の胸やお尻、そして股間をアップで撮った。
 カメラでお尻や無毛の股間を撮られようが、大勢の異性の目が自分に集まろうが、ハヅキは気にしない。恥ずかしがらない。
 もう1年もジュニア・ヌードモデルをやっている。大人の異性の前で裸になることは慣れていた。
 しばらくの間ポーズをとっていたハヅキは、再びプールに飛び込む。全裸で泳ぐハヅキを、水中用のカメラを持ったカメラマンが追う。
 数分ほど泳いでもらった後、雅彦は一度撮影を止めた。
 プールサイドに上がったハヅキに、衣装係が用意した水着を渡し、それを着てもらう。
 用意されていたのは、白いワンピースの水着だ。布地が極端に薄い。
 ツンッと目立っている乳首の形だけではなく、ピンク色が透けて見えている。透けて見えているのは乳首だけではない。
 股間のスリットも、お尻の割れ目も透けて見えていた。サイズが少し小さいので、お尻がかなりハミ出ている。
『隠す』という機能を放棄しているような水着だ。
 ハヅキがそんな水着を着ると、撮影が再開される。
 プールサイドを歩くハヅキは堂々としていた。
 全裸を晒しても平然としていられるのだ。このような水着を着ても、恥ずかしさは感じなかった。
 ハヅキは壁に設置されているシャワーを頭から浴びる。
 水に濡れると、ただでさえ透けている白い水はさらに透けていった。もう完全に『隠す』という機能を放棄する。
 白い水着をシャワーで透明にさせたハヅキは、その場でポーズをとっていく。
 雅彦に言われ、ハヅキは『隠す』機能を放棄した水着を脱ぐ。すぐには脱がない。ゆっくりと、少しずつ脱いでいった。
 脱いだ水着を放り投げ、濡れて額に張り付く前髪をかき上げたところで、雅彦の「カット」の声が飛ぶ。
 また違う水着をハヅキに渡す。今度の水着はビキニだ。色は淡い水色。
 それを身に着けるハヅキ。上も下も布地が薄い上に、布面積が少なかった。
 乳首の形、股間のスリットがクッキリと浮き上がって見えている。
 そんなビキニの水着姿で、ハヅキはプールで泳いだ。泳いでいる途中でトップスを脱ぎ、上半身裸となる。
 しばらくの間トップレスで泳いだ後、ボトムスも脱いだ。
 全裸で泳ぐハヅキ。そんな彼女を水中用のカメラを持ったカメラマンが録画していった。

 休憩時間となり、葉月はバスタオルを裸身に巻いて椅子に座っていた。
 雅彦たち撮影スタッフは、今まで録画した分を確認している。
「ねえ」
 と葉月に声をかけてくる1人の女性。レディーススーツを着た、20代半ばの女性だ。
 津上翔子、葉月や流香が所属している【五代ジュニアモデルプロ】のマネージャー兼スカウトマンである女性である。
「なんですか、翔子さん?」
「葉月からも説得してくれない。あの真理って子を」
 何事かと思った葉月だが、翔子の言葉を聞いて、ああと納得した。彼女はまだ真理のことを諦めていないらしい。
「んー、でも翔子さん。真理はやる気ないみたいですよ、ジュニア・ヌードモデル」
「もったいないわよ。あの子には『光るもの』があるわ。ジュニア・ヌードモデルをやらないのは、もったいない。だから、ね? 葉月からも言ってちょうだい」
 翔子に言われ、葉月はどうしたものかと思った。とりあえず真理には、翔子はまだ諦めていないことを告げておこうと思った。
 スタッフの1人が葉月に撮影を再開することを伝えに来る。
 葉月からジュニア・ヌードモデルのハヅキになり、椅子から立ち上がって撮影の場所へと向かった。
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