ドフラミンゴの日記11-2、バーティの日記3
ドフラミンゴの日記(×月×日)の続き
画商の3人は一斉に泣き出した。欲に目がくらむからそういうことになったのだ。
「お前たちがそれを知ったのはいつだ?」
「つつつ、ついさっきです……。そそその女性は、みみみ3日間の間、気丈にも襲撃されていることを伏せたまま、ペラムさんに電伝虫で“遅れているけどそこで待っているように”と連絡し続けていらっしゃって……、でも、とうとう分かってしまって…」
「おいたわしや…奥さま…」
襲撃してるのは他でもない自分達だろうに、奴らは妙に同情的な口調で語りやがった。
「それでペラムはどこに行ったんだ?」
「わわわ、私達の船で襲撃の現場に向かうと…。だから社長を人質に取って…私達の船を奪って、船で待機している船員たちを脅して船を動かすつもりだと……」
「なるほど」
「こんな…こんなことになるなんてえ~~~」
「あの船には高価な美術品がたくさん積んであるのに~~っ」
「お、俺達は騙されたんだ~~っ」
「同情の余地はありませんね」わめきまくる奴らを見て、バーティが言った。
こいつらもヤバいならさっさとトンズラしちまえばいいと思うんだが、なぜかあんなふうにのんびりと泣いていやがった。船はバーティに取られちまったかもしれねえが、金で他の船を借りるなりすればいいだろうに。相手が“あの階級”の人間だったことが余程ショックだったのか。
ペラムの野郎は忙しいようだが、自分で好きでやってることだ。おれ達の介入は必要ねえんじゃねえかと思ったが、バーティはそう思わなかったようだ。
奴は、ペラムがその高貴なご婦人の夫に捕まっちまうことを心配していた。
やはりペラムは間男か?というのが、この時の俺の感想だ。
バーティに泣いて頼まれて、ペラムとそのご婦人を加勢しに行くことにした。
画商の3人の中から、一番良い服を着ている奴を人質兼道案内役として連れて行くことにする。3人の中で一番若くて元気で、船を操るのを手伝わせることができそうな奴だ。
「ひえええ~~……、お、お助けを~~~…」
人質にした男が泣きわめいたが、構わずにバーティとこの男をぶら下げて空を飛び、港に向かった。
人質はすぐに静かになった。恐怖で声が出なくなったのだろう。
***
バーティの日記より
×月×日
画商達の証言から、バーティが人質を連れて襲撃の現場に向かったことが分かった。
同時に、ご婦人を攻撃している側の姿勢が強硬であることも知る。
身内とはいえ、最悪の事態に発展する可能性も十分に考えられる…と私は思った。
これに対し、ドフラミンゴさんの考えはあっさりしたものだった。
「フン。おい、帰るぞ」 (彼が「帰る」と言ったのはちょっとおかしかった)
「いえ、ペラムを追いましょう」
「…あいつは無事だ。ほっといてもそのうち帰って来る」
「そうとも限りません。女性の夫に捕まったら…」
我ながら、この言い方は不倫している男と相手の女性の夫との、修羅場のことを言っているようだと思った。ドフラミンゴさんもそう思っているに違いない。
「従ってもらいます。でないと、あなたの元ファミリー達がどうなるかお分かりですよね?」
ドフラミンゴさんに言うことを聞かせるための、魔法の呪文だ。
効果はてきめん、道案内役の人を連れ、相手の女性及び夫の電伝虫に通信が可能な電伝虫を借りて、ペラムの救出に向かうことになった。
州知事官邸を抜け出して港に向かう。東の空がなんとなく明るくなっていた。まだ太陽は顔を出していない。
「おい、お前らの船はもうこの港にゃ残ってねえのか?さっきの話の内容からすると、1隻だけで来たって感じじゃねえよなあ?」
ドフラミンゴさんは道案内役の人の背中を足の先でつつきながら訊ねた。
それに対して、案内役さんは無言で何回も首を横に振った。ないという意味だろう。
「乗ってきたボートで行きましょう」
「あんなちいせえボートはもうごめんだ」
私は初めからあのボートで現場に向かうつもりだったので、ドフラミンゴさんにこう言ったのだが、彼は断固拒否した。
彼は悪魔の実の能力者だから、小さな船を嫌うのはしょうがないかもしれない。船の調達は彼に任せることにする。
ドフラミンゴさんは、手頃な船を勝手に拝借した。そんなに大きくない船で(10人乗りくらいだろうか?)、甲板に小型の大砲が1台乗っていた。
船に人は乗っていなかった。
「もう一人くらいいても良かったかもしれねえが、この大きさなら3人でも動かせねえことはねえ」
と、ドフラミンゴさんが言った。彼はもう一人誰かを誘拐してもいいと思っていたようだ。
急がなければいけないことは分かっていたが、何となくそうしたほうがいいような気がして、自分達が乗ってきたボートに寄って、積んだままにしていた荷物を移した。
特に重要なのは、ブルーゴリラの着ぐるみだ。これがないと、ドフラミンゴさんをどうやってインペルダウンの中に連れて帰るか、考えなければいけない。
本当はボート自体も船に積み込みたかったのだが…さすがに無理だった。
休みの日、内緒であのボートで外海にこぎ出て、つかの間の海上ツーリングを楽しんでいるので、あのボートには愛着がある。
画商の3人は一斉に泣き出した。欲に目がくらむからそういうことになったのだ。
「お前たちがそれを知ったのはいつだ?」
「つつつ、ついさっきです……。そそその女性は、みみみ3日間の間、気丈にも襲撃されていることを伏せたまま、ペラムさんに電伝虫で“遅れているけどそこで待っているように”と連絡し続けていらっしゃって……、でも、とうとう分かってしまって…」
「おいたわしや…奥さま…」
襲撃してるのは他でもない自分達だろうに、奴らは妙に同情的な口調で語りやがった。
「それでペラムはどこに行ったんだ?」
「わわわ、私達の船で襲撃の現場に向かうと…。だから社長を人質に取って…私達の船を奪って、船で待機している船員たちを脅して船を動かすつもりだと……」
「なるほど」
「こんな…こんなことになるなんてえ~~~」
「あの船には高価な美術品がたくさん積んであるのに~~っ」
「お、俺達は騙されたんだ~~っ」
「同情の余地はありませんね」わめきまくる奴らを見て、バーティが言った。
こいつらもヤバいならさっさとトンズラしちまえばいいと思うんだが、なぜかあんなふうにのんびりと泣いていやがった。船はバーティに取られちまったかもしれねえが、金で他の船を借りるなりすればいいだろうに。相手が“あの階級”の人間だったことが余程ショックだったのか。
ペラムの野郎は忙しいようだが、自分で好きでやってることだ。おれ達の介入は必要ねえんじゃねえかと思ったが、バーティはそう思わなかったようだ。
奴は、ペラムがその高貴なご婦人の夫に捕まっちまうことを心配していた。
やはりペラムは間男か?というのが、この時の俺の感想だ。
バーティに泣いて頼まれて、ペラムとそのご婦人を加勢しに行くことにした。
画商の3人の中から、一番良い服を着ている奴を人質兼道案内役として連れて行くことにする。3人の中で一番若くて元気で、船を操るのを手伝わせることができそうな奴だ。
「ひえええ~~……、お、お助けを~~~…」
人質にした男が泣きわめいたが、構わずにバーティとこの男をぶら下げて空を飛び、港に向かった。
人質はすぐに静かになった。恐怖で声が出なくなったのだろう。
***
バーティの日記より
×月×日
画商達の証言から、バーティが人質を連れて襲撃の現場に向かったことが分かった。
同時に、ご婦人を攻撃している側の姿勢が強硬であることも知る。
身内とはいえ、最悪の事態に発展する可能性も十分に考えられる…と私は思った。
これに対し、ドフラミンゴさんの考えはあっさりしたものだった。
「フン。おい、帰るぞ」 (彼が「帰る」と言ったのはちょっとおかしかった)
「いえ、ペラムを追いましょう」
「…あいつは無事だ。ほっといてもそのうち帰って来る」
「そうとも限りません。女性の夫に捕まったら…」
我ながら、この言い方は不倫している男と相手の女性の夫との、修羅場のことを言っているようだと思った。ドフラミンゴさんもそう思っているに違いない。
「従ってもらいます。でないと、あなたの元ファミリー達がどうなるかお分かりですよね?」
ドフラミンゴさんに言うことを聞かせるための、魔法の呪文だ。
効果はてきめん、道案内役の人を連れ、相手の女性及び夫の電伝虫に通信が可能な電伝虫を借りて、ペラムの救出に向かうことになった。
州知事官邸を抜け出して港に向かう。東の空がなんとなく明るくなっていた。まだ太陽は顔を出していない。
「おい、お前らの船はもうこの港にゃ残ってねえのか?さっきの話の内容からすると、1隻だけで来たって感じじゃねえよなあ?」
ドフラミンゴさんは道案内役の人の背中を足の先でつつきながら訊ねた。
それに対して、案内役さんは無言で何回も首を横に振った。ないという意味だろう。
「乗ってきたボートで行きましょう」
「あんなちいせえボートはもうごめんだ」
私は初めからあのボートで現場に向かうつもりだったので、ドフラミンゴさんにこう言ったのだが、彼は断固拒否した。
彼は悪魔の実の能力者だから、小さな船を嫌うのはしょうがないかもしれない。船の調達は彼に任せることにする。
ドフラミンゴさんは、手頃な船を勝手に拝借した。そんなに大きくない船で(10人乗りくらいだろうか?)、甲板に小型の大砲が1台乗っていた。
船に人は乗っていなかった。
「もう一人くらいいても良かったかもしれねえが、この大きさなら3人でも動かせねえことはねえ」
と、ドフラミンゴさんが言った。彼はもう一人誰かを誘拐してもいいと思っていたようだ。
急がなければいけないことは分かっていたが、何となくそうしたほうがいいような気がして、自分達が乗ってきたボートに寄って、積んだままにしていた荷物を移した。
特に重要なのは、ブルーゴリラの着ぐるみだ。これがないと、ドフラミンゴさんをどうやってインペルダウンの中に連れて帰るか、考えなければいけない。
本当はボート自体も船に積み込みたかったのだが…さすがに無理だった。
休みの日、内緒であのボートで外海にこぎ出て、つかの間の海上ツーリングを楽しんでいるので、あのボートには愛着がある。
※会員登録するとコメントが書き込める様になります。