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若様の優雅なインペルダウン生活

原作: ONE PIECE 作者: 茶木代とら
目次

世界政府 人事院のとある会議事録(極秘) その4

【担当者1】最後の人のプロフィールはぁ、年齢は55歳ぃ、性別は男性ぇ、インペルダウンに就職したのは27歳の時よん。この人の情報も、そんなに多くありましぇ~ん。

この人はぁ、天竜人の家に生まれて、普通に育ったんだけどぉ、突如27歳で天竜人の資格を放棄して、インペルダウンに就職したそうでぇ~す。

この人のおうちですがぁ~、看守さんが10歳の時に、当主だったお父さんが引退してぇ~、同じ一族の人が代わりにその家の当主になりましたぁ~。
ちなみにぃ、お父さんとお母さんは、今も元気でご隠居生活を送ってるそうどぇ~す。

それとぉ、3歳離れた妹さんがいらっしゃいまぁ~す。妹さんも17歳の時に天竜人の資格を放棄して、一般人の資産家の夫婦の養女になってまぁ~す。

この人の情報はこれだけっ。以上っ!

【担当者2】これだけの情報では全然分かりませんね。
【担当者3】お父さんが引退した理由は何ですか?

【担当者1】調べたけど分からなかったわ。病気とかの理由で引退したのかもしれないけどぉ、例えば家を乗っ取られちゃったみたいな、きな臭い理由を想像しちゃうのは、やっぱ考え過ぎかなぁ。
前の二人の経歴がちょいすごかったから、そのせいもあるかもしれないしぃ。

【担当者2】考え過ぎとは言い切れないと思います。何もなければ、天竜人の資格を放棄していないのではないでしょうか。
【担当者3】でも、別の人生を自ら望んで選択したのがもしれません。憶測では、本当のごどは分かりません。

【担当者1】うん、そうだねぇ…。
さて、これで3人の看守さん達の経歴と周辺の環境は、だいたい分かったね…。まあ、分かんなかったこともいっぱいあるけどぉ…。

【担当者2】看守さん達がどんな休暇の取り方を望んでいるのか、本人達に直接ヒアリングすることはできないでしょうか。
【担当者3】私も同じことを考えでいました。私達だげで決めるよりも、本人達から希望を聞いたほうがいいど思います。

【担当者1】うん。じゃあ、3人でインペルダウンに出張しよっか?! 看守さん達と面談しに。3人に直接会えるなんて、ちょっと楽しみかもぉ。きゃっ!

【担当者2】【担当者3】はいっ、楽しみですね!

***
午前10時、カスターは交代のためにやって来たペラムから話しを聞いて、面倒そうに眉をしかめた。
「人事院の人達は、そんなことでわざわざインペルダウンまで来るんですか?」

ペラムも、カスターと同じような表情を浮かべている。
「一人ずつ面談して話しを聞きたいそうです。ですので、勤務に差し障りがないように上手く順番を考えないと…」
「面倒ですねえ」

監獄の中で本を読んでいたドフラミンゴは、二人の会話に何食わぬ顔で耳を傾けていた。今ドフラミンゴが読んでいる本は、バーティが持ってきた長編の英雄ファンタジー小説だった。約30年前に出版された作品だが、いまだに人気があって、しかも全部で50巻もあるから、当分の間は退屈しない。

「まず、9時から私かバーティさんが面談に行って、カスターさんは勤務が終わる10時半以降に面談してもらうというのはどうでしょう」
「この日は勤務が終わっても、すぐに帰れないということですね…」
「では、9時にカスターさんが面談に…」
「いえいえ、いいのですよ。二人に負担がかかってはいけませんし、面談もお務めのうちです。我慢して受けましょう」

二人はしばらくの間、あれやこれやと話し合っていたが、結局は“バーティの意見も聞いてから”ということで、結論は先送りにされた。

カスターが帰った後、ペラムはドフラミンゴに向かって、面談に対する文句を並べたてた。
「ダイニングルームの改装がもうすぐ終わろうとしている時期なので、みんな忙しいんです。カスターさんは絨毯やこまごまとした家具を入れる手配がありますし、バーティさんもピアノの搬入の手続きをしないといけません。私だって絵を飾る作業があるのに…」
「ふうん」

ペラムは例の画商から、あの時に乗っ取った船に積んであった絵画の中から8点を選んで、無償で手に入れていた。これは画商のほうから申し出たことだった。
愚かな画商達は、いくらかでも自分達に対する責めが軽くなることを願ってそうしたらしい。
実際には、あの1件で画商達がやったことに対する審判など、誰からも関心が払われないで放置されたままになるのだろうが…。

「人事院の人達はどうしてわざわざこの忙しい時期に来るんでしょうね?今まで面談なんかしたことなかったのに…」
「お前らが何かヤバいことをしたのがバレて、それを説教しに来るんじゃねえのか?」

「いいえ。面談の内容は、休暇制度を作るので、それについて希望を聞き取りたいということです」
ドフラミンゴからのからかいに対して、ペラムは自分には思い当たることなど何もないといった顔でこう答えた。

「休暇制度?良かったじゃねえか。休暇制度ができたら、インペルダウンの外に出ていけるのか?」
ペラムが今の生活を味気なく思っていることを、ドフラミンゴは以前話しを聞いて知っていた。

「まだ何も聞いてないので分かりませんが…。でも、作ってくれるんならさっさと作ってくれればいいのに。面談なんて、しち面倒くさいことを言ってないで」

昼食が終わってすぐに、非番のバーティがペラムのところに来た。
「人事院から人が来るらしいですね」
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