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若様の優雅なインペルダウン生活

原作: ONE PIECE 作者: 茶木代とら
目次

ハンニャバルの日記、バーティの日記 その1

ハンニャバルの日記より

×月×日(ペラムが行方不明であることをカスターが知る前日)

今日、レベル6の看守のペラムが、特別室に飾る絵の買い付けで街に出かけていった後、夜になっても帰ってこないという連絡があった。

普段であれば自分達で対処しろと言うところだが、いなくなったのは特別室担当の看守である。

報告によると、この看守は一人で出かけたようだ。どうして誰も付いていかなかったのかと言うと、ひとつは、絵を見に行く予定だった画廊のほうから迎えの馬車を寄越してきたこと。

それに、この看守は絵の買い付けのために定期便に急遽乗り込んだ形だったので、同行していた者達には、島にある海軍支部への定時報告や、インペルダウンに運ぶ備品の積み込み等のそれぞれの職務があった。このため、本人が気を使って護衛を断った。

さらに、この看守が並み以上の戦闘能力を備えているという点も、一人で行かせても大丈夫だろうという油断を生んだ原因だろう。

これは昨夜起こったことだ。つまり、こちらに報告が来るまで半日ほど時間が経っている。

画廊は架空のものだったようだ。つまり、これは計画的に行われている。

もしもこの看守の身に何かあったら…、監獄署長である私の責任になるのだろうか。
現在も秘密で行方を探させているが、まだ報告はない。


×月×日(ペラムの行方不明をカスターが知った日)

行方不明になった看守が気になって、他のことが手に付かない。

このことはまだ伏せている。
それに、看守の捜索を続けるべきか、それとも深入りしないようにすべきか悩んでいる。

もしも、この看守を連れ去ったのが“あの階級の人間”だったら…。今回の場合、その可能性は十分にあるらしい。しかし、捜索しないというのも、やはりダメなのだ。看守自身もその血筋に関係がある者だから…。

つまり、どっちに転んでも、署長である私に責任がくるということだ。ああ、署長になんかならなきゃ良かった…。


×月×日
昨日の深夜から今日の明け方にかけて、レベル1とレベル2で暴動があった。例の件で頭が一杯の時につまらん暴動とは、非常に腹立たしい。こっちも気が立っているのでさっさと鎮圧する。

特別室で異常がないか確認したところ、囚人が病気で、看守の二人がてんてこまいで看病しているらしい。

しめしめ、これはちょうどいいかもしれない。
特別室が忙しければ、残っている二人の看守は例の件に気が付かないだろう。

***

バーティの日記より(インペルダウンに帰って来てから思い出しながら書いたもの)

×月×日
ほぼ無抵抗のドフラミンゴさんにブルーゴリラの着ぐるみを着せて、地上階に移動して、無事にあの小さな手漕ぎの船に乗ってインペルダウンを出た。

暴動で混乱しているインペルダウンの中を移動する途中、本物のブルーゴリラに話しかけられた(と言っても、ブルーゴリラの言葉は私には分からないが)時にはちょっとドキリとしたが、ちょうど大きな爆発音がして、その隙にそこを離れた。

海に出る手段が、あの小さな手漕ぎの船だと知った時のドフラミンゴさんの顔は、今思い出しても思わず笑いたくなる。額に青筋がたっていた。

しかし、彼は悪魔の実の能力者だから仕方がないのかもしれない。悪魔の実の能力者は、海水に浸かると動けなくなるそうだ。

インペルダウンはカームベルトの中にあるので帆船では進めないこと、付近の海を旋回している大型軍艦の目を欺くため、夜の間に小さな船で静かに出て行かなければいけないこと等を説明し、彼を追い立てるようにして、二人で舟を漕いで出航した。

ドフラミンゴさんは初めは文句を言っていたが、私に舟を漕がせれば軍艦並み…とまでは行かなくても、結構な速さで進むことができると分かってからは、何も言わなくなった。

軍艦の群れの中を縫うようにして進んで、無事インペルダウンを離れる。たまに襲ってくる巨大な海王類は、私が槍でつついてやっつけた。

落ち着いてきた頃に、船の上でドフラミンゴさんに詳細を話した。詳細と言っても、ペラムが行方不明になったことと、行方不明になったことが隠されているということくらいだが。

ドフラミンゴさんはずっと機嫌が悪そうな顔をしていた。でも、別に構わなかった。

それに、カームベルトを過ぎたら空に雲が多くなってきたのだが、なんとドフラミンゴさんは雲に糸を引っ掛けて船を進めてくれたのだ!

よって、ペラムがいなくなった島までは海軍の船で1日半かかるところを、ドフラミンゴさんのお陰でもっと早く到着した。

私達はその日の深夜に島に上陸し、すぐに行動を開始した。
ドフラミンゴさんに普通の人が着ているような服を渡したが、なかなか着てくれなかったので、元ドフラミンゴファミリーのことを出して脅したら着てくれた。


×月×日
夜が明けないうちに待ち合わせ場所に向かって、ペラムのことを教えてくれたヘンリーさんという人に会った。この人はこの島の海軍の支部で働いている人で、カスターさんの昔の知り合いらしい。

ドフラミンゴさんには離れたところで待っていてもらった。ヘンリーさんとの話しをあまり聞かれたくなかった。彼の素性も私達と似たようなものだろうが、聞かれないで済むならそのほうがいい。
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