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METAL GEAR SOLID the ROCK

原作: その他 (原作:メタルギアソリッド) 作者: gekco
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第九話

言い終わるや否や、バクスターは銃口をクリスプに向け、引き金を引いた。
倒れこむクリスプの肩越しに、フライがハメルを、ダロウがバクスターを撃つ。
ハメルは引き金を引いたが、倒れこむクリスプに当たった。ハメルの体が血だまりに崩れる。
バクスターも息絶えた。
ダロウがハメルにとどめを刺そうとしたとき、あらぬ方向からM16の銃撃が加わる。
「ジョニー、援護するからハメルを!」
スネークが叫び、フライとダロウに向かってM16を浴びせる。
「フライ、ミサイルをヘリに積め!あれだけでもカネに変えるぞ!」
「わかった!」
スネークたちに牽制射撃を加えながら、フライとダロウが灯台に向かう。
「スネーク!ハメルがもう・・・。」
スネークが駆け寄ると、ハメルはもはや虫の息だった。
「私は・・・私はなんということを・・・。」
「もう話すな。」
助かる見込みはないとわかっていたが、スネークは言わざるを得なかった。
「灯・・・台、だ・・・。彼らを、彼らを止めてくれ・・・。それと・・・。」
最後の言葉が聞き取れず、スネークはハメルに耳を近づけた。
「なんだ?」
「キャンベルに・・・伝えて欲しい・・・。すまなかった、と・・・。」
ハメル将軍は、息を引き取った。
「スネーク、ハメルは何のためにここまでしたんだろう。ハメルは何かを得たのかな?何かの意味があったのかな・・・」
「戦士の死に意味をもたらすのは死んだ本人じゃない。生き残った者の、生き方だ。」
そういうと、スネークは立ち上がった。
「ぐずぐずできない。ジョニー、奴らを追うぞ!」


「いそげダロウ!奴らが来るぞ!」
「先に行けフライ!奴らの生皮を剥がしてやる!」
そう言うと、ダロウは立ち止まってスネークたちのほうを向いた。
「さあ来いクソ野郎共!バラバラに切り刻んでやるぜ!」
持っていたM16を天井に向けて放ち、電球を割ってガラスの雨を降らせる。
「くっ・・・」
スネークたちが身動きできずにいると、「だったらこいつで吹き飛べ!」というダロウの叫びと共にグレネードが打ち込まれる。
「ジョニー!飛び出せ!」
とっさに隠れていた物陰から飛び出したが、二人の姿はもうもうと上がる白煙にかき消された。
「どこだ!どこにいる!」
ダロウは弾切れのM16を放り投げ、ナイフを抜いた。
「お前らなんぞに銃なんかいるか!こいつだ、こいつでキメてやる!」
いつの間にかダロウの背後に回ったスネークがM9を向けた。
「そこか!」
突然ダロウが振返り、銃を握るスネークの腕に切りつけた。
「・・・っ!」
腕を押さえるスネークにダロウの猛攻が襲い掛かる。
「てめぇのその面が気にくわねぇ!おらどうした!来いよ!ミサイルがほしいんだろ!?」
自分のナイフを抜いて応戦しようとするものの、さすがのスネークも防ぐので手一杯だった。
「てめぇを殺ったら次はトーシロ野郎をっ・・・!?」
突然、ダロウの動きが止まった。
ダロウの視線が自分の足元に落ちる。
血が、滴り落ちている。
背後にジョニーが立っていた。
「お前なんかに・・・お前なんかに、ミサイルは渡さない!」
ダロウが怒りのあまりに冷たい笑みを浮かべた。
「心底腹の立つ野郎だ・・・!」
振り向きざまにダロウがジョニーのこめかみを殴る。ダロウに刺していたナイフごと、ジョニーの体が吹っ飛んだ。
「そんなに死にたければ、てめぇからあの世に送ってやる!」
それが、ダロウの最後の言葉になった。
M9を拾い上げたスネークは、ダロウを真後ろから射殺した。
崩れ落ちるダロウ。
ジョニーは震え上がっている。その側には、ダロウの血で赤く染まったナイフが。
「もらすのはナシだ、ジョニー。」
息を切らせながら、スネークは言った。
「・・・助かった。」
「僕・・・人を殺すのはこれで最後にしたい。」
「それは、お前次第だな。」


フライはミサイルをランチャーから外そうとしたが、一人では運べない。
ダロウはまだか。
やられたのか。
あるいは、発射不能のミサイルからVXだけ回収して持ち出そうとしているのか。
カネにうるさいダロウならやりかねない。
戦闘の昂奮で、フライは冷静さを失っていた。
「抜け駆けしやがったな、ダロウ!」
ミサイルランチャーから離れようとした、そのとき。
「動くな!」
スネークがM9を構えている。
「お前の相棒は死んだ。海兵隊で生き残ってるのはお前だけだ。」
「それがどうした!他の奴のことなんざ知ったこっちゃねえ!」
フライはそう言うと、ランチャーに手をかける。
「なあ、知ってるか?このランチャーは手動発射にも対応している。ハメルの野郎が目標を変えやがったのは発射したミサイルだけだから、こいつはまだサンフランシスコを狙ってる。なあ、取引しようぜ?」
ギラついた目で、フライはニヤニヤ笑いながらスネークに語りかけた。
「俺はダロウとは違う。別に人殺しが好きなわけじゃねえ。約束のカネがほしいだけだ。お前らが銃を置いてここから手を引く。俺はこいつを手土産に亡命して売りさばく。お互い、ウィンウィンだ。違うか?」
「こいつ・・・」
怒りに震えるジョニーを、スネークが制する。
「素人は黙ってろ!俺はこちらのプロフェッショナルとビジネスの話をしてるんだ。」
フライが猫なで声を出す。
「なあ、悪い話じゃねえだろう?」
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