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ペルソナ5:OXYMORON……賢明なる愚者へ。

原作: その他 (原作:ペルソナ5) 作者: よしふみ
目次

第五十二話    ゴー・ホーム


「ふにゃ!?」

「……っ!?」

 蓮と城ヶ崎シャーロットは、その柔らかな場所に落下していた。真っ暗な場所だが……怪盗の姿から普段の姿に戻ったことを理解する。ここは、異世界ではないのだろう。

「……んー……アイタタ……どこかな、ここ?」

「城ヶ崎、ケガはないか?」

「う、うん。レンレンとモルガナが助けてくれたおかげで、どこも痛いところとかはないよ!ありがとうね!」

「当然のことをしたまでだ」

「レンレン、カッコいい!……レンレン、怪盗団のヒトだったんだね?」

「ああ」

「そっかー。だから、猫さんとも話せたりしたんだね?」

 ……猫というか、モルガナと話せるだけだが―――詳しい説明をすれば、長くなりそうだ。今は久しぶりに異世界へと行った影響なのか、体もだるい……今は説明することが出来なそうだ。

「……そんなところだ」

「わー!やっぱりかー!……なんだか、す、スゴいヒトとお友だちになっちゃったなーっふみゃあ!?」

 頭上から落ちて来たモルガナが、城ヶ崎シャーロットの顔に着地していた。

『……ん。元の世界に戻れたか』

「お口が、もふもふする……」

『ああ。すまない、城ヶ崎。我が輩としたことが、レディーの顔面に落下してしまうとはな……』

「いえいえ。べつにおかまいなくー」

 城ヶ崎シャーロットはモルガナを両手でやさしく抱えて、顔からゆっくりとモルガナを外していく。

「……ふー…………」

『大丈夫か、城ヶ崎?』

「うん。ちょっと猫毛が口とかに入っちゃっただけー……って!!」

『な、なんだ!?どうした!?』

「モルガナ、猫さんに戻ってる!!……それなのに、私、モルガナの言葉、聞こえてるよ!?」

「モルガナの声を一度聞けば、そうなる」

『まあ、説明を省けば、そんなところだな』

「やったー!これで、私も魔法少女だー!!」

 魔法少女に憧れを持っているのか、城ヶ崎シャーロットは、モルガナのことを、ぎゅーっと抱きしめて喜びを表現する。

『魔法少女て……そういうのじゃないと思うが……まあ、とにかく無事だったし、今夜はこれでいいか……』

「そういえば、ここはどこだ?」

「んー。段々と、暗闇に目が慣れて来たから分かる……ここは、私のお部屋だよ」

『城ヶ崎の部屋?』

「寝室か。つまり、このベッドは」

「はう!?レンレンと……男の子と同じベッドにインしてるって、ダメだよね!?」

『インしているとか言うなよ……緊急事態だ、しょうがないさ』

「そ、そうだよね。しょうがないもん。これって、事故だもんね、レンレン?」

「……事故?」

 その言い方は間違っているような気がするが……まあ、深く考えないでおこう。今は、かなり疲れている。

「電気つけるね……あ!そ、その前に、言っておきますけど……」

「なんだ?」

「お部屋の中を、ジロジロと見ないでね?」

「わかった」

「や、やましいマンガとかは、無いんだからね!?……そ、その、せいぜい、男の子同士の爽やかな恋愛を描いたヤツがあるぐらいで……さ、爽やかなんだから、セーフだよ!?」

『どこまでがセーフで、どこまでがアウトなのかは分からないけど。とにかく、明かりをつけてくれ』

「らじゃー」

 城ヶ崎がベッドからピョンと起きて、自室の明かりをつけてくれた。

 白を基調とした部屋だった。勉強机に本棚があり……本棚には大量の薄目の書籍があるようだったが……何だろうか?

「レンレン、じ、ジロジロ見ちゃダメだよ!?見られると私が危険なヤツもあるんだから!?」

「すまない」

『そうだぜ、蓮。乙女の部屋をジロジロ見るもんじゃないぞ……でも、ちゃんと綺麗に片付いてあるじゃないか?』

「う、うん。こないだ大掃除したばかりだし……」

「可愛い部屋だぞ、城ヶ崎」

「え、えへへ。シャーさん、お部屋、初めての男の子に褒められちゃったすー」

『初めての男の子じゃなくて、初めて男に褒められただ。色々と誤解を生むような言葉遣いは止めておけ』

「らじゃー。シャーさんは、了解したよー…………そ、それで?」

「それで?」

『どうした?』

「い、いや……さっきのって、何だったのかなーって?……夢だと思ってたんだけど、違うっぽいし」

『……そうだな。この世界には、ヒトの心や認識が形作る、異世界っていうモノが存在しているんだ。さっきのも、そういった異世界の一つだと我が輩は考えている』

「異世界……転生とか、するの?」

「しない」

「そ、そっかー。私、死んでないもんね?」

 城ヶ崎は自分の胸に手を当てている……。

「あ、あれ?ハートの音が、聞こえない……っ?」

『女子は胸があるから、胸に手を当てても聞こえないものなんじゃないのか……?』

「なるほど!!私、そこそこグレートなバストだからっ!!」

『そこそこグレートって何だよ?』

「脈を測ってみればいい」

「お、おう。そだね。えーと手首を……どこだっけ?」

「親指の方だ」

「んー……トクトクしてる。私、転生してないけど異世界に行って、魔法少女になって自分のベッドに男の子とインしている」

『インしているという言い方は止めろって……わざと言ってるだろ?』


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