ネット喫茶.com

オリジナル小説や二次創作、エッセイ等、自由に投稿できるサイトです。

メニュー

貞操逆転in 咲 京ちゃんは淑女なのか?

原作: 咲-Saki- 作者: リョーマ
目次

原村 転話 2

ふふふ、和? 私が無防備で、何の対策もしないで、敵地に乗り込んでくると思った? あなた、やっぱり今は冷静じゃないのね」


部長は赤みがかった茶髪をたなびかせ、原村に凛々しく言い放った。部長は麻雀において三味線(麻雀で話しによって相手を惑わす行為)を得意とする。奇策を弄する、部長らしい話術だった。

その部長が原村にこう自身満々で宣言するということは、何か策があるということなのだろう。とにかく、この猫の手でも借りたかった状況において、とても逞しい。


俺以外誰も味方せず、貞操的に絶望の淵に立たされていた身としては、部長がとても頼もしく思える。イケメンすぎます、部長。惚れそう。




「なっ、何か策でもあるというのですか。ま、まあ、どんな策を講じようとも、校内には私の味方が数百人単位でいるのです! チ〇ポ美学から生みだされたエネルギーは底なしの性欲と同様、つまり無限のパワーなんですよ! 貴女はどうすることも出来ない! すでに貴女は万策尽きた策士と同様、大人しく切り殺されてください!」





『あーそれなんじゃが、もう方がついとるよ』



教室外から、女性で、広島訛りの声が聞こえた。
恐らく、この学校で広島弁を喋る女生徒は一人しかいない、部長――竹井久の親友――染谷まこ、その人である。
染谷先輩は、ずりずりという音と共に、目がデフォルメにぐるぐるしている女生徒を七八人、ポンっと教室に放り投げながら、部長と同じドアから、鈍く輝く緑髪を掻いて教室に入った。


麻雀部が誇る第二の先輩、染谷まこ。いつもは飄々としているけれど、頼れる時は頼れる女である。ただし確かな功績であると共に、宮森女子のエイスリンを泣かせたその罪は重い。


それにしても染谷先輩、教室に雑に放り投げた人(チ〇ポ教徒)たちを全員倒したのか。そんな筋力に優れていたり、喧嘩が強かったわけではないと思うのだが……。


そのステゴロ、さすが本場広島と称賛しておこう。


「なっ! Aさん……、Bさん……。染谷先輩よくもッ。――チ〇ポ道をその胸に近い、姉妹の盃を交わした私たちを虚仮にしてくれましたね」
 
 いや、チ〇ポ道とかないから。


「いやはや、そこら辺で隠れとった奴ら全員いなしといたわ。こやつら妙に強くてしつこかったのお。高校生のおなごじゃろ? その崇高な目的のためとはいえ、こんな馬鹿力を出すとは……。これがこやつらにとっての火事場というやつなんじゃろうか」





「くううううう、ですが、まだ私には仲間がいます! 携帯でCちゃんたちを呼べば……」


「あら、させると思って?」


先輩は、一陣の風と共に走りぬける白馬の王子のような、颯爽とした足取りで原村に接近し、腕を掴んで携帯を取りあげた。原村は驚きの表情を浮かべながら、キッと部長を睨みつける。部長は原村の鋭い睨みを、軽く受け流した。部長かっこいい、やばい、惚れる。



「これは、あんたが正気に戻るまで私たちが預かっておくわ、悪く思わないでね、和」


そういって、部長は携帯を染谷先輩へと放り投げ、染谷先輩は「はいよ」と言って携帯をキャッチした。

「あっ! くうううううう」

さっきから、うううう、とか、くっ、しかいっていない原村。原村が、先輩たちに何も抵抗できていない有様を見ると、先輩たちの用意周到さが見て取れる。

「それじゃ、あとはこいつで縛っておしまいっと」

部長はおもむろに、幾重にも巻かれているビニール製の細いロープを、制服のスカートのポケットから取り出して原村の両手両足にきつく巻き付けた。そして、締めとばかりに、もう片方のポケットから大きめの白いハンカチを取り出して原村の口を覆い、首の後ろで結んだ。

「んっ、んっ、んっーーッッッ」

原村は縛り付けられて、芋虫のようになりながら、さらに体をイルカのように前へ後ろへと前後させている。

そして原村は計画がご破算になった恨みからか、憎悪の籠った瞳を部長たちにぶつけた。後、しかしもうどうにもならないと悟ったのか、今度は瞳に媚を付けて、潤んだ瞳を俺に向けた。

客観的に今の原村の姿――両手両足をロープで縛りあげられて、口は白いハンカチで塞がれている、まるで誘拐されて大声を出さないように監禁されている様子――を見れば、ちょっと原村がかわいそうに思えてくるだろう。


だが、潤んだ瞳の先が、俺の顔とか目とかだったらまだ同情心が湧くところではあるが、生憎と原村の瞳は俺の局部の辺りからから目を離さない。


変態すぎる原村は、このまま縛られておけばいい。


「大分暴れているようね、あなたのお仲間が目覚めるだろうから大丈夫だとは思うけど、明日の朝には様子を見に来てあげるわ」

原村が諦めた様を確認し、部長は一件落着といった様子で肩を撫で下ろした。

部長のような一見スーパー超人に見える人でも緊張していたらしい。顔の筋肉もこわばっているように見える。


原村は媚び対象を俺から部長へと変え、潤んだ瞳で部長に媚びる。こいつも懲りないな。



全て終わったことを確認した染谷先輩が、場を動かす為に言葉を放った。

目次

※会員登録するとコメントが書き込める様になります。