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君と僕との

原作: その他 (原作:君の膵臓をたべたい) 作者: rokomoko
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崩れていく日常

季節は4月初めの新学期。放課後、委員会を決めるホームルームがあり、僕は、本が好きという理由と去年も図書委員だったという理由から、今年も図書委員に立候補をした。
案の定、僕が手を挙げると「誰?」とか、「図書委員はヤメとこ」など、クラスがザワツキを見せた。去年もこんな光景があったことを僕は思い出した。
僕は、小さい頃から本が好きでお昼も昼食を済ますと本を読み、休憩時間も本を読む。つまり、誰とも話さずこの高校生活を1年とちょっと過ごしてきたのだ。その行動が何を意味するか?そう、僕には友達がいない。いないというよりはつくりたくないの方が正しい言い方だ。
誰かと話したりすることはとても面倒である。本を読み、知識を蓄え自分の身になることをした方がよっぽどいいと思うからだ。本は為になる事をたくさん教えてくれる。しかし、人は無駄な会話が多い。「昨日のテレビ見た?」とか「あの芸能人がさ」とか。
実際、本は僕の中で安らぎの場所になっていた。
その本で蓄えた知識から、人間を観察して人の心を読み取り、次第にはその人が僕の事をどう思っているのか、ある程度のことはわかるようになっていたので、より人と話すことが不要になったのだ。
多分この後も誰とも話さず高校生活は終わると思っていた。
だって、僕は僕の中で全てを理解して完結させてしまえるのだから。
しかし、午前中の病院で初めて同じ高校生と話をした。
名前は確か、山内?だったような。彼女は僕との秘密を共有しているただのクラスメイトだ。だだそれだけだと思っていたんだ…。

そう思っていた僕の考えは180度ひっくり返えった。
彼女が、図書委員をやりたい!と勢いよく言い出したしたのだ。
驚くのも、彼女は1年生から女子のカースト制度のトップのグループにいる言わば、今をときめく女子高校生なのだ。病気のことを覗けば。クラス全員が彼女を慕っている、クラスの全員が彼女の事を信頼している。そんな彼女が図書委員を名乗りだしたのにもクラスはビックリしていたが、それよりも僕が挙手した、誰もやりたくなかった、嫌われ、いないのもにされた僕がいる残り物の委員会に彼女が名乗り出たことにもビックリで、二つの大事件が放課後起こった。

そうして、3日後の木曜日。僕は、図書館で返却された本を棚に戻すという図書委員の仕事をしていた。この高校は地域の図書館なんかより、数倍は大きい図書館がある国公立の高校である。そのため、貸し出される本の量は1日に1000から多い日には3000冊を越える。そのため、図書委員は委員会では生徒会の次に大変で面倒な委員会で有名である。
僕自信も、本の側面に張られているバーコードでしまうべき場所がわかるのだが、覚えるのに半年以上は掛かった。それほど本が多いのだ。僕が持っている本もたくさんあったが、持っていない本の方が何百倍とあった。
そんなことより、今日は僕の通う2年6組と先輩方の3年6組が図書当番なのだが、相方の病気の彼女がまだ来ていない。先輩たちはもう来ているし、もう集合時間を15分も過ぎているのに。こんな予定などすっぽかして、クラスの友達と遊びに行ったのではないかと、羨ましくはないが、少し憂鬱な気分で本をのせたカゴを転がして、本を棚にしまっていると…、
「ごめーん!クラスの友達と話してたら遅れたー!えへへ(笑)」
ここは図書館だ、というのに図書館全体に聞こえるのではないかと言うくらいな大きな声で話し掛けてきた。
「遅いよ。もう20分も遅れてr…」
「はい、はい、そんな細かいことは気になさんなって!」
彼女が背中を痛いぐらいバンバン叩く。
「君の事だから、忘れてクラスの友達とどこかへ遊びに行ったのではないかと思ったよ。」
「まっさかー!(笑)」
そう、言いながら彼女はカゴにのっている本を乱雑に置いていく。
「ねぇ!ここは、歴史書の棚。君の今入れた本は地層の本。」
「えー。別にいいじゃんー。」
「…」
「ねぇ。そうやって、無駄な時間をここで過ごすより君はもっとやりたいことをやるべきだよ。」
「だから、やってるじゃん!」
「は?」
「私はこんな風な日常が欲しいの。心配される毎日じゃなくて、普通の日常が。」
「それなら、君にとってここより友達と遊ぶことの方が君にとっての日常なんじゃないの?」
「この前君が言ってたでしょー。君は君のしたいことした方がいいって。だから、私はしたいことをしてるのー。」
「それだったら…、いいけど…」
「うん!」
僕があれこれ言う立場ではないのはわかっていた。でも…。
「えい!」
「あ、それは生物学って表紙に書いてあるだろ?バーコードも全然違うし。」
「えー、これ全部覚えるのー。」
(これが君のしたいことをなんじゃないのか?)
「あっ、そうだ今日委員会が終わったらさどこか帰り寄っていかない?」
「なんで、僕が?他の人と行けばいいだろ?」
「私は君と行きたいの!それとも何?私のしたいことさせてくれないの?(笑)君は?」
「はぁ…。わかったよ。」
(なんで、こんなことになるんだよ。)
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