ハルカの目標
「そんなに大した目標とかじゃないです…。それに目標というよりも、ただ純粋にやりたいことってだけかもしれませんけど、まずひとつめは…」
[ポケモン図鑑の完成]
「なるほど。これは大きく出たね。」
ダイゴは驚いたように目を見張った。この世界にはそれは多くのポケモンたちが暮らしている。未だに発見されていないポケモンを含めれば、その数は何千匹にもなるだろう。オマケに図鑑には進化系やフォルムチェンジした姿、果てにはアローラ特有のリージョンフォームなども登録される。つまり、完璧な図鑑を作るためには文字通り全てのポケモンを見つけたりゲットして図鑑に記録しなければならないのだ。
「はい…。でも伝説や幻のポケモンも含めると、完成はあってないようなものですけど。」
ハルカも全国図鑑の完成が流石に無謀だということは百も承知なようで、更に言葉を付け加えた。
「でも、せめてホウエン図鑑だけは完成させてみたいなって思います!まぁグラードンやデオキシスはかなり厳しいですけどね…。」
アクア団達との戦いでゲンシカイキしたカイオーガを鎮め、なんとかゲットしたハルカ。けれどグラードンの方は目覚めてすらいない為、ゲットは出来そうにもない。しかしそれは不幸中の幸い。グラードンまでもが眠りから目覚めていたら、この世界は今頃どうなっていたことか。
「そうだね…。カイオーガに続いてグラードンまで目覚めてしまったら、今度は灼熱の日照りが起こる。そうなったらまたホウエンはパニックだ。」
「ですね。あの一件で皆が無事だったのは、本当に奇跡みたいなものですからね。」
お互いにその時のことを思い出して、部屋の空気が重くなった。それを感じ取ったのか、二人の足元で一緒に話を聞いていたメレシーが、ツンツン、とダイゴの足を頭部の結晶で起用につついた。ダイゴは僅かにメレシーと目を合わせたかと思うと、次の話題に移るべく口を開いた。
「そういえばハルカちゃんは、デオキシスと遭遇したんだったね?」
メレシーが何を伝えようとしたのか分かったダイゴは、場の空気を換えようと普段の声よりも微かに高いトーンで言った。
「え…?はい。逃げられ…というよりレックウザの攻撃力が高すぎて倒しちゃったんですけどね。」
ハルカは悔しそうに眉間に皺を寄せた。ハルカが宇宙空間でデオキシスと遭遇した時、ハルカはまだデオキシスのことを知らなかった。破壊した隕石から現れた謎のポケモン相手に、捕獲することを頭に入れてバトルするなんて無理な話である。
「レックウザをゲットしただけでもとても凄いことだよ?なにせホウエン地方の伝説のポケモンの一体だ。伝説によればメガシンカしたレックウザは、ゲンシカイキしたカイオーガやグラードンよりも強かったと語られるくらいだ。」
「ふふっ、そうですか?あの時偶然持っていた隕石と継承者であるヒガナのおかげっていうのが一番強いですけどね。それにね、レックウザももとから協力してくれるつもりだったんだと思うの。」
あの時迫りくる巨大隕石を破壊するためには、何がなんでもレックウザの力が必要不可欠だった。ハルカは手持ちのポケモン達で何とかレックウザを制し、ゲットすることに成功したのだ。しかし一度ハルカ達に倒されたにも関わらず、その後すぐに隕石を破壊し、あろうことかデオキシスともバトルしたのだ。本当に体力を消耗していたらあそこまで動けるはずがない。
(レックウザ…かなり手加減してくれたんだろうなぁ。)
普通に考えてみて、一般的なポケモンが伝説のポケモン相手に勝てるなんて滅多にあるはずがないのだ。ましてや、レックウザはオゾン層に住む伝説のポケモン。ハルカのポケモンと比べて強さは段違いだ。
「なるほど。あの脅威からこの星を救えたのは、レックウザの計らいもあってなんだね。けれど、君と君のポケモン達の活躍がなければ、今頃ホウエン地方は跡形も無かっただろうからね。みんな、君達に感謝しているよ。もちろん、カイオーガ復活の件に関しても同じだ。」
そう。ダイゴの言った言葉は嘘偽りのない真実だ。隕石の件は研究所の人間しか知りえないことだが、カイオーガのもたらした大雨のことに関しては、事件の終息はハルカの活躍によるものだとニュースで報道されている。
「そんな、感謝だなんて大げさですよ。それに、一番頑張ってくれたのはポケモン達ですから。」
ハルカはそう言いながら苦笑いを浮かべた。
(ハルカちゃん…。本当に謙虚な子だな。どちらの一件も、ホウエンだけでなく、もしかすると世界を救うほどの大ごとだったって言うのに…自分から名乗りを上げることをしなかった。)
「ダイゴさん、どうかしました?」
「いや。なんでもないよ。ただ、けっきょく君がいちばん勇敢ですごいんだなと思ってね。」
ハルカはピンと来ていないのか、不思議そうに目を丸くしている。その表情に、ダイゴは可笑しそうに笑いをこぼした。
「ははっ。今わからなくても、その内にわかるよ。」
なんだか思いきりこども扱いされているような言葉に、ハルカは少しムッとした顔をして、プイっとそっぽを向きながら講義した。
「もう!こども扱いしないで下さい。これでもコンテストアイドルの端くれなんですからね!」
つづく
[ポケモン図鑑の完成]
「なるほど。これは大きく出たね。」
ダイゴは驚いたように目を見張った。この世界にはそれは多くのポケモンたちが暮らしている。未だに発見されていないポケモンを含めれば、その数は何千匹にもなるだろう。オマケに図鑑には進化系やフォルムチェンジした姿、果てにはアローラ特有のリージョンフォームなども登録される。つまり、完璧な図鑑を作るためには文字通り全てのポケモンを見つけたりゲットして図鑑に記録しなければならないのだ。
「はい…。でも伝説や幻のポケモンも含めると、完成はあってないようなものですけど。」
ハルカも全国図鑑の完成が流石に無謀だということは百も承知なようで、更に言葉を付け加えた。
「でも、せめてホウエン図鑑だけは完成させてみたいなって思います!まぁグラードンやデオキシスはかなり厳しいですけどね…。」
アクア団達との戦いでゲンシカイキしたカイオーガを鎮め、なんとかゲットしたハルカ。けれどグラードンの方は目覚めてすらいない為、ゲットは出来そうにもない。しかしそれは不幸中の幸い。グラードンまでもが眠りから目覚めていたら、この世界は今頃どうなっていたことか。
「そうだね…。カイオーガに続いてグラードンまで目覚めてしまったら、今度は灼熱の日照りが起こる。そうなったらまたホウエンはパニックだ。」
「ですね。あの一件で皆が無事だったのは、本当に奇跡みたいなものですからね。」
お互いにその時のことを思い出して、部屋の空気が重くなった。それを感じ取ったのか、二人の足元で一緒に話を聞いていたメレシーが、ツンツン、とダイゴの足を頭部の結晶で起用につついた。ダイゴは僅かにメレシーと目を合わせたかと思うと、次の話題に移るべく口を開いた。
「そういえばハルカちゃんは、デオキシスと遭遇したんだったね?」
メレシーが何を伝えようとしたのか分かったダイゴは、場の空気を換えようと普段の声よりも微かに高いトーンで言った。
「え…?はい。逃げられ…というよりレックウザの攻撃力が高すぎて倒しちゃったんですけどね。」
ハルカは悔しそうに眉間に皺を寄せた。ハルカが宇宙空間でデオキシスと遭遇した時、ハルカはまだデオキシスのことを知らなかった。破壊した隕石から現れた謎のポケモン相手に、捕獲することを頭に入れてバトルするなんて無理な話である。
「レックウザをゲットしただけでもとても凄いことだよ?なにせホウエン地方の伝説のポケモンの一体だ。伝説によればメガシンカしたレックウザは、ゲンシカイキしたカイオーガやグラードンよりも強かったと語られるくらいだ。」
「ふふっ、そうですか?あの時偶然持っていた隕石と継承者であるヒガナのおかげっていうのが一番強いですけどね。それにね、レックウザももとから協力してくれるつもりだったんだと思うの。」
あの時迫りくる巨大隕石を破壊するためには、何がなんでもレックウザの力が必要不可欠だった。ハルカは手持ちのポケモン達で何とかレックウザを制し、ゲットすることに成功したのだ。しかし一度ハルカ達に倒されたにも関わらず、その後すぐに隕石を破壊し、あろうことかデオキシスともバトルしたのだ。本当に体力を消耗していたらあそこまで動けるはずがない。
(レックウザ…かなり手加減してくれたんだろうなぁ。)
普通に考えてみて、一般的なポケモンが伝説のポケモン相手に勝てるなんて滅多にあるはずがないのだ。ましてや、レックウザはオゾン層に住む伝説のポケモン。ハルカのポケモンと比べて強さは段違いだ。
「なるほど。あの脅威からこの星を救えたのは、レックウザの計らいもあってなんだね。けれど、君と君のポケモン達の活躍がなければ、今頃ホウエン地方は跡形も無かっただろうからね。みんな、君達に感謝しているよ。もちろん、カイオーガ復活の件に関しても同じだ。」
そう。ダイゴの言った言葉は嘘偽りのない真実だ。隕石の件は研究所の人間しか知りえないことだが、カイオーガのもたらした大雨のことに関しては、事件の終息はハルカの活躍によるものだとニュースで報道されている。
「そんな、感謝だなんて大げさですよ。それに、一番頑張ってくれたのはポケモン達ですから。」
ハルカはそう言いながら苦笑いを浮かべた。
(ハルカちゃん…。本当に謙虚な子だな。どちらの一件も、ホウエンだけでなく、もしかすると世界を救うほどの大ごとだったって言うのに…自分から名乗りを上げることをしなかった。)
「ダイゴさん、どうかしました?」
「いや。なんでもないよ。ただ、けっきょく君がいちばん勇敢ですごいんだなと思ってね。」
ハルカはピンと来ていないのか、不思議そうに目を丸くしている。その表情に、ダイゴは可笑しそうに笑いをこぼした。
「ははっ。今わからなくても、その内にわかるよ。」
なんだか思いきりこども扱いされているような言葉に、ハルカは少しムッとした顔をして、プイっとそっぽを向きながら講義した。
「もう!こども扱いしないで下さい。これでもコンテストアイドルの端くれなんですからね!」
つづく
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