3話「211番道路~210番道路」
テンガン山を抜けてから1日経つ。僕とコウキはカンナギタウンに着いた。
カンナギタウンはジムもなくポケモンセンターがあるだけで何もないという者はにわかに違いない。この街は現チャンピオン・シロナの生まれ故郷なのだから。
元々シンオウ神話を調べるのに旅をしていて、その一環として図鑑を所有していた過去もあるシロナ。トレーナーとしての実力だけでなく専門的な知識も持ち合わせた彼女のファン層は男女を問わない。
そして目の前にいるもう一人の図鑑所有者・コウキが僕に声を掛けてくる。
「ここで休んだ後どのジムに挑戦しに行くか決めてるのかい?」
「まぁ決めてないけど」
「そう、じゃあトバリシティに行くことにしよう」
こいつとの会話も少し慣れてきた。勝手に物事をこちらの意思を聞かずに決める癖があるが、それくらいではもう怒らないようになった。
「じゃあ明日出発ということで、朝ポケモンセンターで待っていてよ」
そう言いコウキとはしばらく別れることになる。
僕は早速シロナ目当ての観光客がよく訪れるという壁画を見に行く。
壁画には伝説のポケモンのユクシー・アグノム・エムリットが中央にある何かを守っているように見えた。確かギンガ団が3匹を使って何かを呼び覚まそうとしていたというのを父さんが言っていたような気がする。
壁画を見ていると隣にいる男が声を掛けてきた。
「君はこの世界の成り立ちというものを知っているかい」
「・・・?いいえ、全然」
「ある全知全能のポケモンが時を司るポケモンと空間を司るポケモンを生み出し、それでこの壁画の3匹が心を生み出して世界は出来上がったんだ」
「へぇ、そのポケモンをおじさんは知ってるの?」
「・・・知っているとも。だから私は過ちを犯した。だがその過ちのおかげでこの世界にも素晴らしいものがあるということに気付けたから、そのポケモンに会えたことは私にとってかけがえのない出来事なんだ」
「そ、そう?良かったね」
あまり良い返事が言えなかった。その男が何か暗い闇を抱えているのは感じ取れたのだが。
すると壁画の洞窟入口付近で何やら揉め事が始まっていた。
「返してくれ!それは俺の大切なミミロルなんだ!」
「約束は約束。アンタが弱~くて負けたから、そのポケモンはアタシのものになる。これ世界の理」
「おい、やめろよ!」僕は止めに入る。
「あら次の挑戦者?いいわよ、アンタが勝ったらこいつのポケモン返したゲル」
そして唐突にポケモンバトルが始まる。僕はブビィ、相手はペラップを繰り出す。
「ブビィ、ひのこ!」
「ペラップ、つばめがえし」
ブビィとペラップの戦闘は互角。かのように見えたが、ひのこの連発で相手のペラップは火傷状態になり、攻撃も弱って蓄積ダメージも次第に効いてきている。
「俺の勝ちになりそうですけどさっき言った約束、忘れてませんよね?」
「くっ、クソがぁ!餓鬼が調子ぶっこいてんじゃねぇぞ、これでも喰らえ!」
すると突然僕の後ろからカクレオンが現れ、僕を襲ってくる。
「がぁっ!?どうなって・・・?」
「もしもの為にカクレオンを変色させてスタンバイし・て・る・の❤お利口ちゃんのアンタじゃ一生気付けないかもねぇっ!」
ペラップが超音波を繰り出す。超音波で僕含め周りの人物全員耳を塞ぎ身動きが取れない。そしてカクレオンがマネネの入ったボールを僕から奪い取り、
「じゃあここらでサヨナラ❤バイバーイ」ペラップのトレーナーは逃げていく。
(まずい、マネネを奪われてしまう。こんなはずじゃなかったのに)
諦めかけていたその時、洞窟入口からドンカラスが物凄いスピードで出てきた。
「ドンカラス、くろいきり」そう言ったのはさっき僕に意味深な言葉を放った男だった。
「何よこれっ、全然前が見えないじゃない!」少し遠くで逃げたトレーナーの声がする。
「くろいまなざし」続けてそう言い、ドンカラスはトレーナーを逃げられなくする。
「な・・に・・?体が、動かない・・?」くろいきりが晴れ、トレーナーの姿をその男は捉える。
「私は自分が弱くて嫌いだ。だが弱者がさらなる弱者を求めていたぶるのは最も許せないことだ。貴様はその身をもって己の恥ずべき行為を償うが良い」
男がそう言い、トレーナーは警察に捕まってポケモン達も没収された。
「あの、ありがとうございました」僕はマネネを助けてくれたその男に礼を言う。
「私はただあの男が許せなかった、それだけだ」
「あの、おじさんの名前は?」そう聞くと男は少し寂しい表情を見せながら、
「私はアカギ。この世界を愛したいと願う1人の男さ」
男はそう言い、カンナギタウンを去った。
その夜僕はアカギの「世界を愛したい」という言葉を真剣に考えていた。
(僕はこの旅でジムバトルに固執し過ぎていた。それでいいのか?冒険ってそれだけじゃない気がする)
朝になり、コウキが先にポケモンセンターの入口前で待っていた。
「おそようだねぇ」
「うるせぇな。ちょっと話があるんだけどいいか」
「なんだい改まって」
「俺、コウキと旅をするのここらで止めようかなって」
「まだ1日と少ししか経ってないよ。君の体内時計壊れてるんじゃないのかい」
「自分1人で旅をしてみたくなったんだ。というよりジム戦だけじゃなく色んなことをやってみたくて」
「だったらズイタウンへ行ってみたらどうだい?あそこのアンノーン遺跡はとても歴史があり、危険だが行ってみる価値はある」
「ズイタウン・・!分かった、行ってみるよ!」
僕はコウキと210番道路で別れた。1人になってゆっくりと今回の旅について考えてみたいと思った。この旅を意味あるものにしたいから。僕はマネネとブビィと共にズイタウンへ向かう。
(現在手持ちポケモン マネネLv.23 ブビィLv.19)
カンナギタウンはジムもなくポケモンセンターがあるだけで何もないという者はにわかに違いない。この街は現チャンピオン・シロナの生まれ故郷なのだから。
元々シンオウ神話を調べるのに旅をしていて、その一環として図鑑を所有していた過去もあるシロナ。トレーナーとしての実力だけでなく専門的な知識も持ち合わせた彼女のファン層は男女を問わない。
そして目の前にいるもう一人の図鑑所有者・コウキが僕に声を掛けてくる。
「ここで休んだ後どのジムに挑戦しに行くか決めてるのかい?」
「まぁ決めてないけど」
「そう、じゃあトバリシティに行くことにしよう」
こいつとの会話も少し慣れてきた。勝手に物事をこちらの意思を聞かずに決める癖があるが、それくらいではもう怒らないようになった。
「じゃあ明日出発ということで、朝ポケモンセンターで待っていてよ」
そう言いコウキとはしばらく別れることになる。
僕は早速シロナ目当ての観光客がよく訪れるという壁画を見に行く。
壁画には伝説のポケモンのユクシー・アグノム・エムリットが中央にある何かを守っているように見えた。確かギンガ団が3匹を使って何かを呼び覚まそうとしていたというのを父さんが言っていたような気がする。
壁画を見ていると隣にいる男が声を掛けてきた。
「君はこの世界の成り立ちというものを知っているかい」
「・・・?いいえ、全然」
「ある全知全能のポケモンが時を司るポケモンと空間を司るポケモンを生み出し、それでこの壁画の3匹が心を生み出して世界は出来上がったんだ」
「へぇ、そのポケモンをおじさんは知ってるの?」
「・・・知っているとも。だから私は過ちを犯した。だがその過ちのおかげでこの世界にも素晴らしいものがあるということに気付けたから、そのポケモンに会えたことは私にとってかけがえのない出来事なんだ」
「そ、そう?良かったね」
あまり良い返事が言えなかった。その男が何か暗い闇を抱えているのは感じ取れたのだが。
すると壁画の洞窟入口付近で何やら揉め事が始まっていた。
「返してくれ!それは俺の大切なミミロルなんだ!」
「約束は約束。アンタが弱~くて負けたから、そのポケモンはアタシのものになる。これ世界の理」
「おい、やめろよ!」僕は止めに入る。
「あら次の挑戦者?いいわよ、アンタが勝ったらこいつのポケモン返したゲル」
そして唐突にポケモンバトルが始まる。僕はブビィ、相手はペラップを繰り出す。
「ブビィ、ひのこ!」
「ペラップ、つばめがえし」
ブビィとペラップの戦闘は互角。かのように見えたが、ひのこの連発で相手のペラップは火傷状態になり、攻撃も弱って蓄積ダメージも次第に効いてきている。
「俺の勝ちになりそうですけどさっき言った約束、忘れてませんよね?」
「くっ、クソがぁ!餓鬼が調子ぶっこいてんじゃねぇぞ、これでも喰らえ!」
すると突然僕の後ろからカクレオンが現れ、僕を襲ってくる。
「がぁっ!?どうなって・・・?」
「もしもの為にカクレオンを変色させてスタンバイし・て・る・の❤お利口ちゃんのアンタじゃ一生気付けないかもねぇっ!」
ペラップが超音波を繰り出す。超音波で僕含め周りの人物全員耳を塞ぎ身動きが取れない。そしてカクレオンがマネネの入ったボールを僕から奪い取り、
「じゃあここらでサヨナラ❤バイバーイ」ペラップのトレーナーは逃げていく。
(まずい、マネネを奪われてしまう。こんなはずじゃなかったのに)
諦めかけていたその時、洞窟入口からドンカラスが物凄いスピードで出てきた。
「ドンカラス、くろいきり」そう言ったのはさっき僕に意味深な言葉を放った男だった。
「何よこれっ、全然前が見えないじゃない!」少し遠くで逃げたトレーナーの声がする。
「くろいまなざし」続けてそう言い、ドンカラスはトレーナーを逃げられなくする。
「な・・に・・?体が、動かない・・?」くろいきりが晴れ、トレーナーの姿をその男は捉える。
「私は自分が弱くて嫌いだ。だが弱者がさらなる弱者を求めていたぶるのは最も許せないことだ。貴様はその身をもって己の恥ずべき行為を償うが良い」
男がそう言い、トレーナーは警察に捕まってポケモン達も没収された。
「あの、ありがとうございました」僕はマネネを助けてくれたその男に礼を言う。
「私はただあの男が許せなかった、それだけだ」
「あの、おじさんの名前は?」そう聞くと男は少し寂しい表情を見せながら、
「私はアカギ。この世界を愛したいと願う1人の男さ」
男はそう言い、カンナギタウンを去った。
その夜僕はアカギの「世界を愛したい」という言葉を真剣に考えていた。
(僕はこの旅でジムバトルに固執し過ぎていた。それでいいのか?冒険ってそれだけじゃない気がする)
朝になり、コウキが先にポケモンセンターの入口前で待っていた。
「おそようだねぇ」
「うるせぇな。ちょっと話があるんだけどいいか」
「なんだい改まって」
「俺、コウキと旅をするのここらで止めようかなって」
「まだ1日と少ししか経ってないよ。君の体内時計壊れてるんじゃないのかい」
「自分1人で旅をしてみたくなったんだ。というよりジム戦だけじゃなく色んなことをやってみたくて」
「だったらズイタウンへ行ってみたらどうだい?あそこのアンノーン遺跡はとても歴史があり、危険だが行ってみる価値はある」
「ズイタウン・・!分かった、行ってみるよ!」
僕はコウキと210番道路で別れた。1人になってゆっくりと今回の旅について考えてみたいと思った。この旅を意味あるものにしたいから。僕はマネネとブビィと共にズイタウンへ向かう。
(現在手持ちポケモン マネネLv.23 ブビィLv.19)
※会員登録するとコメントが書き込める様になります。