作戦1
態度は一変、いつものマックス(仮名)に戻る。
「オーレン(仮名)の作り出している幻覚に入る入り口だけどさ。やっぱりあの蔦が一番安全かつ成功率が高いと思うんだよ。あれは簡単に処分できるものじゃない。あれが存在しているうちはオーレン(仮名)も無事ってことだと思うんだよね。だから少佐も無事。でも、あそこから仕掛けるとなると、そっちは都合悪いんだっけ?」
とマックス(仮名)は話を進めながらライザとハンクを見た。
「たぶんね。三人が消えた。犯人はマックス(仮名)だってことになっていると思うわ」
ライザはさらりと答えた。
「そこ、そんなにサラッと言えるとこ? 俺が犯人って。俺、むしろあんたたちを助けた救世主だと思わない?」
「そうともいえるけど。ジェラルド軍曹を説得できればあるいは……。でも、軍曹のお面がね。貴様等はふざけているのか! て激が飛びそうよ」
「……だよね。なんかあっさりと想像できちゃったよ」
息詰まった展開に陥ったところで、シャールが軽く手をあげた。
「あの、ちょっといいでしょうか?」
「あら、シャール。遠慮しないでいいのよ? なあに?」
「マックス(仮名)さんの一族の方々はいろんな能力をお持ちで、特に霧に関しては多少の力の差はあってもいろいろと使い勝手がいい存在なのですよね?」
「ん~、そうだね。なんか言い方にところどころ引っかかるところがあるけど。おおむね、その理解であってるよ」
「そうですか。では陣営内に残っている隊員へ兵士たちも含め、全員に同じ幻覚を見せることはできますか? そうですね。私たちの姿は見えない……というような。無理でしょうか?」
「できるよ」
「本当ですか? だったら……」
「ん、いい提案だよ。だけどさ。見せる幻覚を統一にすること。かかる長さに個人差があることなどを考えるとな。ちょっと時間が」
するとライザが奮起する。
「あのね。やる前からなに諦めモードなのよ。ダメならほかの提案は? ないなら、これで決行よ! 時間? そんなに時間がかかるほど、あんたたちはへっぽこなわけ? 人間より特別な力を持っていながら?」
「キズつくな。けど、そうまで言われちゃ、やるしかないっていうか。だけど、そのためにはきみたちにも協力してもらうよ」
「もちろんよ。はなっからそのつもりでいたけど?」
こうして、作戦1の下準備に入った。
※※※
幻覚状態に入るまで個人差があり、また解けるまでの時間も個人差がある。
オーレン(仮名)の幻覚に進入成功までの時間を稼げればいいということで同意、少なくとも一時間もあればという結論に至った。
短くて一時間、かかりにくい人のことを考慮して、最低三時間は幻覚状態に陥ってほしい。
だが、三時間も幻影状態では人体に支障がでることもある。
そこで、権力のある者から重点に仕掛けることにした。
下っ端兵士がいくら三人を目撃したとしても、どうにもできない。
仮に確保を決めたとしてもこちらにはハンクがいる。
手抜きをしても下っ端に負けるとは思えない。
しかし、指揮権のある人物ほど室内から出てこないものである。
そこで。
「じゃあ、私が戻るわ」とライザ。
「筋書きはこうよ。
激しい物音をきき、待機していた私はシャールと共にハンクとの合流を決意した。しかしその場は激しい戦闘が繰り広げられ、シャールを守りながら戦うのが無理と判断。彼女には後方車両に逃げるように指示をだした。行方がわからないってどういうこと?
と、とぼける。
するとなぜ私だけが戻れたのかを問いつめられるから、
私もハンクと共に応戦したが、吹き飛ばされてしまった。気を失い目が覚めるとハンクの姿が消えていた。
で、たぶん、軍曹なら調査をすると思うの。見つからなかったが? とかね。
でもその辺りはうまく誤魔化せそう。捜索隊が差がし損ねていたとかにすれば。
というのでどう?」
「それしかないだろうな」とハンク。
ハンクがひとり戻る方が違和感がある。
またシャールが戻る方が説得力はあるが、下準備のために指揮官クラスに近づくという任務には適していない。
「じゃあ、少尉にお願いするってことで」
とマックス(仮名)が決定を下す。
「それじゃあ、ピエロくん。彼女に説明してあげて」
と、作戦を丸投げした。
ライザはピエロくんから水のような液体が入った小瓶を手渡されていた。
「これは?」
「キリ ノ スイテキ」
「霧の……って、なんでカタコト? て、ああ。人間と接点があまりないんだっけ? いいわ、続けて」
「ソレ、ノマセル。ノマセカタ、マカセル」
「薬物みたいなものってことね。でも飲ませるか……」
「ムリナラ、サス、デモイイ」
「刺す? 注射みたいに? とにかく体内に入れればいいのね。任せて」
※※※
ライザが行動開始のため、ジェラルド軍曹と接触する。
その頃、残された面々は……汽車に絡まる蔦の根元にいた。
爆薬を設置して根元から断とうとしていた場所だ。
「意外と簡単だったね……」とマックス(仮名)。
「本当ね。それに時間があまり経っていないみたいだけど」とシャール。
「オーレン(仮名)の作り出している幻覚に入る入り口だけどさ。やっぱりあの蔦が一番安全かつ成功率が高いと思うんだよ。あれは簡単に処分できるものじゃない。あれが存在しているうちはオーレン(仮名)も無事ってことだと思うんだよね。だから少佐も無事。でも、あそこから仕掛けるとなると、そっちは都合悪いんだっけ?」
とマックス(仮名)は話を進めながらライザとハンクを見た。
「たぶんね。三人が消えた。犯人はマックス(仮名)だってことになっていると思うわ」
ライザはさらりと答えた。
「そこ、そんなにサラッと言えるとこ? 俺が犯人って。俺、むしろあんたたちを助けた救世主だと思わない?」
「そうともいえるけど。ジェラルド軍曹を説得できればあるいは……。でも、軍曹のお面がね。貴様等はふざけているのか! て激が飛びそうよ」
「……だよね。なんかあっさりと想像できちゃったよ」
息詰まった展開に陥ったところで、シャールが軽く手をあげた。
「あの、ちょっといいでしょうか?」
「あら、シャール。遠慮しないでいいのよ? なあに?」
「マックス(仮名)さんの一族の方々はいろんな能力をお持ちで、特に霧に関しては多少の力の差はあってもいろいろと使い勝手がいい存在なのですよね?」
「ん~、そうだね。なんか言い方にところどころ引っかかるところがあるけど。おおむね、その理解であってるよ」
「そうですか。では陣営内に残っている隊員へ兵士たちも含め、全員に同じ幻覚を見せることはできますか? そうですね。私たちの姿は見えない……というような。無理でしょうか?」
「できるよ」
「本当ですか? だったら……」
「ん、いい提案だよ。だけどさ。見せる幻覚を統一にすること。かかる長さに個人差があることなどを考えるとな。ちょっと時間が」
するとライザが奮起する。
「あのね。やる前からなに諦めモードなのよ。ダメならほかの提案は? ないなら、これで決行よ! 時間? そんなに時間がかかるほど、あんたたちはへっぽこなわけ? 人間より特別な力を持っていながら?」
「キズつくな。けど、そうまで言われちゃ、やるしかないっていうか。だけど、そのためにはきみたちにも協力してもらうよ」
「もちろんよ。はなっからそのつもりでいたけど?」
こうして、作戦1の下準備に入った。
※※※
幻覚状態に入るまで個人差があり、また解けるまでの時間も個人差がある。
オーレン(仮名)の幻覚に進入成功までの時間を稼げればいいということで同意、少なくとも一時間もあればという結論に至った。
短くて一時間、かかりにくい人のことを考慮して、最低三時間は幻覚状態に陥ってほしい。
だが、三時間も幻影状態では人体に支障がでることもある。
そこで、権力のある者から重点に仕掛けることにした。
下っ端兵士がいくら三人を目撃したとしても、どうにもできない。
仮に確保を決めたとしてもこちらにはハンクがいる。
手抜きをしても下っ端に負けるとは思えない。
しかし、指揮権のある人物ほど室内から出てこないものである。
そこで。
「じゃあ、私が戻るわ」とライザ。
「筋書きはこうよ。
激しい物音をきき、待機していた私はシャールと共にハンクとの合流を決意した。しかしその場は激しい戦闘が繰り広げられ、シャールを守りながら戦うのが無理と判断。彼女には後方車両に逃げるように指示をだした。行方がわからないってどういうこと?
と、とぼける。
するとなぜ私だけが戻れたのかを問いつめられるから、
私もハンクと共に応戦したが、吹き飛ばされてしまった。気を失い目が覚めるとハンクの姿が消えていた。
で、たぶん、軍曹なら調査をすると思うの。見つからなかったが? とかね。
でもその辺りはうまく誤魔化せそう。捜索隊が差がし損ねていたとかにすれば。
というのでどう?」
「それしかないだろうな」とハンク。
ハンクがひとり戻る方が違和感がある。
またシャールが戻る方が説得力はあるが、下準備のために指揮官クラスに近づくという任務には適していない。
「じゃあ、少尉にお願いするってことで」
とマックス(仮名)が決定を下す。
「それじゃあ、ピエロくん。彼女に説明してあげて」
と、作戦を丸投げした。
ライザはピエロくんから水のような液体が入った小瓶を手渡されていた。
「これは?」
「キリ ノ スイテキ」
「霧の……って、なんでカタコト? て、ああ。人間と接点があまりないんだっけ? いいわ、続けて」
「ソレ、ノマセル。ノマセカタ、マカセル」
「薬物みたいなものってことね。でも飲ませるか……」
「ムリナラ、サス、デモイイ」
「刺す? 注射みたいに? とにかく体内に入れればいいのね。任せて」
※※※
ライザが行動開始のため、ジェラルド軍曹と接触する。
その頃、残された面々は……汽車に絡まる蔦の根元にいた。
爆薬を設置して根元から断とうとしていた場所だ。
「意外と簡単だったね……」とマックス(仮名)。
「本当ね。それに時間があまり経っていないみたいだけど」とシャール。
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