第13話「花陽、先輩とアイドル対決!?その3」
30分後。にこ先輩とかよちんはコーデを作り終えたようだ。
「ではまず、かよちんのコーデだな」
「楽しみだね! 竜くん!」
穂乃果はワクワクが止まらないといった感じ。今にも踊りだしそうだ。
皆の前にことりが現れた。得意げにマイクを持っている。ファッションショーのつもりかな?
「花陽ちゃんのコーデは黄色いひまわりが特徴的なワンピースに白いハイヒール。頭の黄色いリボンも特徴的だね!」
そう解説口調で話す。
「真夏のサンサンひまわりコーデ!」
花陽がそう言って決めポーズを取る。迫真のドヤ顔が眩しい。
「かわいい~!」
思わず声に出てしまった。かわいかったのだ。
その声を聞き逃さないのがかよちん。飛びつくように俺の方へ来る。
「かわいい!? ホント?」
かよちんは嬉しそうにぴょんぴょん飛び跳ねる。かわいいやつめ。
「かわいいよ! かよちん!」
「とってもいい感じだね!」
凛と穂乃果もかよちんを褒める。
しかし、希先輩だけ対応が違った。
「ウチもええとは思うけど、アイドルっぽくないよね」
「先輩はわかってないにゃ。最近はああいうのがトレンドなんだにゃ」
「そういうもん?」
「そういうもん」
希はいまいち煮え切らない態度をとっていた。
さて、続いてはにこ先輩の番。
「じゃあ次は私ね!」
ことりちゃんが再びマイクを持って躍り出る。
「白を基調としたセーラー服スタイルのトップスに青いミニスカ!革靴もかわいい!赤い2つのリボンも特徴的!」
「ハイスクールティーンラブラブコーデ! にこっ!」
にこ先輩の迫真のスマイルとともに現れたコーデはあまりにも眩しかった。
穂乃果が固唾を飲む。
「これは……っ!!」
にこ先輩は俺の方に近づいて誘うような目で語りかけてくる。
「どうかしら、竜。私だってかわいいでしょ?」
正直にこ先輩のことはどうでも良かったりするのだが、それよりも問題はコーデだ。
「こいつは……」
「どうよ?」
「こいつはすごいぜ!」
俺にはにこ先輩のコーデが眩しく見えた。
「いや普通の制服女子だよね」
穂乃果がツッコミを入れるも俺には効かない。
「でも穂乃果たちはセーラー服じゃないじゃん。だから良いの」
穂乃果がドン引きしたような目で俺を見る。穂乃果にはこのコーデの良さがわかるまい。このコーデはいいコーデだ。
「そうそう、にこっちにぴったりやと思うで〜!」
希先輩からしてもこのコーデはありのようだ。
さて、ここからは審査に移る。
「ではでは、どっちが良かったか3人に判定してもらいま〜す!」
まずは穂乃果。
「花陽ちゃん」
希先輩。
「にこっち」
そして俺。
「にこ先輩」
にこ先輩の勝ちだ。
「がっがーん!」
あまりにストレートな負けにかよちんはショックを受ける。
そんなかよちんを横目ににこ先輩は嬉しそうな表情を見せた。
「ふふん、さすが私ね」
かよちんはその場に泣き崩れてしまう。
「どうして……どうして竜さんは私を選んでくれなかったんですか!?」
「そ、それはだな……」
焦る。普通に厳正に評価を下しただけなのにここまで言われるとは思ってもみなかった。
「簡単よ。私の方がかわいかったからよ」
にこ先輩が追い打ちをかける。それはかよちんにはキツいだろ。
「アイドルの世界ってのは、非情なのよ。ファンはいとも容易く推し変するし昨日までファンだった人がアンチになってる。そういう世界なのよ」
にこ先輩は相変わらず言葉がキツい。
「うっ……うっ……」
かよちんは今にも泣き出しそうだ。
「かよちん……?」
「竜さんのバカーーーッ!!」
かよちんはそう言って逃げ出した。あまりにも辛いのは分かるが、これでは……。
「待ってかよちん!!」
俺は呆然と立ち尽くす。その様子を見かねた真姫ちゃんが口を開く。
「ちょっとどうすんのよ、これじゃ勝負を続けられないじゃない」
凛ちゃんも一緒になって文句を言う。
「かよちんを泣かせるなんて最低にゃ!」
「……ごめん」
「凛に謝ってどうするにゃ! 早くかよちんを追いかけるにゃ!」
「……そうだな」
俺は教室から出て走り出した。
屋上。かよちんはひとり泣いていた。
「ひぐっ……そんな……どうして……」
「かよちん!!」
「竜さん!?」
ようやく見つけた。とりあえず謝らなくちゃ。
「さっきのは悪かった。ごめん」
「どうして竜さんが謝るんですか!?」
「だってかよちんに悪い思いさせたから……」
「でも……竜さんは悪くないんです……悪いのは全部花陽で……」
「あぁもう……」
まったくもっていじらしい。こういうのは嫌いだ。だから俺はかよちんを抱きしめた。
「りゅ、竜さん一体何を……!?」
落ち込んだかよちんは見たくない。だから励ますことにしたのだ。
「確かにかよちんはファッションセンスはダメだ。それは事実だ。でも、だからってかよちんが可愛くない理由にはならない」
「どういうことですか……!?」
「かよちん、いや、花陽」
「~~~っ!!」
かよちんは顔を真っ赤にする。かっこつけてるけど、いい言葉が思い浮かばない。でもかよちんを励まさなくては。
「なんだかんだで君が一番輝いてるから。そんな顔すんなよ」
「それってアレですか……恋の」
「おっとそれ以上はいけない。君がアイドルでなくなってしまうからね」
そんな様子をにこ先輩が見ていた。それに気付いた時にはもう遅かった。
「ちょっといいかしら」
「にこ先輩!?」
「あんたら二人きりでなにやってんのよ!? 熱愛!? 熱愛なのよね!!」
その声を聞きつけてか穂乃果も海未もやってきた。
「これが俗に言うスキャンダル!?」
「破廉恥ですよ」
凛ちゃんは涙ぐんで語る。
「かよちん、おめでとう……。今日はお赤飯だね……」
「そういうのじゃないってば!!」
そうして、なんだか今日はうやむやに終わった。
「ではまず、かよちんのコーデだな」
「楽しみだね! 竜くん!」
穂乃果はワクワクが止まらないといった感じ。今にも踊りだしそうだ。
皆の前にことりが現れた。得意げにマイクを持っている。ファッションショーのつもりかな?
「花陽ちゃんのコーデは黄色いひまわりが特徴的なワンピースに白いハイヒール。頭の黄色いリボンも特徴的だね!」
そう解説口調で話す。
「真夏のサンサンひまわりコーデ!」
花陽がそう言って決めポーズを取る。迫真のドヤ顔が眩しい。
「かわいい~!」
思わず声に出てしまった。かわいかったのだ。
その声を聞き逃さないのがかよちん。飛びつくように俺の方へ来る。
「かわいい!? ホント?」
かよちんは嬉しそうにぴょんぴょん飛び跳ねる。かわいいやつめ。
「かわいいよ! かよちん!」
「とってもいい感じだね!」
凛と穂乃果もかよちんを褒める。
しかし、希先輩だけ対応が違った。
「ウチもええとは思うけど、アイドルっぽくないよね」
「先輩はわかってないにゃ。最近はああいうのがトレンドなんだにゃ」
「そういうもん?」
「そういうもん」
希はいまいち煮え切らない態度をとっていた。
さて、続いてはにこ先輩の番。
「じゃあ次は私ね!」
ことりちゃんが再びマイクを持って躍り出る。
「白を基調としたセーラー服スタイルのトップスに青いミニスカ!革靴もかわいい!赤い2つのリボンも特徴的!」
「ハイスクールティーンラブラブコーデ! にこっ!」
にこ先輩の迫真のスマイルとともに現れたコーデはあまりにも眩しかった。
穂乃果が固唾を飲む。
「これは……っ!!」
にこ先輩は俺の方に近づいて誘うような目で語りかけてくる。
「どうかしら、竜。私だってかわいいでしょ?」
正直にこ先輩のことはどうでも良かったりするのだが、それよりも問題はコーデだ。
「こいつは……」
「どうよ?」
「こいつはすごいぜ!」
俺にはにこ先輩のコーデが眩しく見えた。
「いや普通の制服女子だよね」
穂乃果がツッコミを入れるも俺には効かない。
「でも穂乃果たちはセーラー服じゃないじゃん。だから良いの」
穂乃果がドン引きしたような目で俺を見る。穂乃果にはこのコーデの良さがわかるまい。このコーデはいいコーデだ。
「そうそう、にこっちにぴったりやと思うで〜!」
希先輩からしてもこのコーデはありのようだ。
さて、ここからは審査に移る。
「ではでは、どっちが良かったか3人に判定してもらいま〜す!」
まずは穂乃果。
「花陽ちゃん」
希先輩。
「にこっち」
そして俺。
「にこ先輩」
にこ先輩の勝ちだ。
「がっがーん!」
あまりにストレートな負けにかよちんはショックを受ける。
そんなかよちんを横目ににこ先輩は嬉しそうな表情を見せた。
「ふふん、さすが私ね」
かよちんはその場に泣き崩れてしまう。
「どうして……どうして竜さんは私を選んでくれなかったんですか!?」
「そ、それはだな……」
焦る。普通に厳正に評価を下しただけなのにここまで言われるとは思ってもみなかった。
「簡単よ。私の方がかわいかったからよ」
にこ先輩が追い打ちをかける。それはかよちんにはキツいだろ。
「アイドルの世界ってのは、非情なのよ。ファンはいとも容易く推し変するし昨日までファンだった人がアンチになってる。そういう世界なのよ」
にこ先輩は相変わらず言葉がキツい。
「うっ……うっ……」
かよちんは今にも泣き出しそうだ。
「かよちん……?」
「竜さんのバカーーーッ!!」
かよちんはそう言って逃げ出した。あまりにも辛いのは分かるが、これでは……。
「待ってかよちん!!」
俺は呆然と立ち尽くす。その様子を見かねた真姫ちゃんが口を開く。
「ちょっとどうすんのよ、これじゃ勝負を続けられないじゃない」
凛ちゃんも一緒になって文句を言う。
「かよちんを泣かせるなんて最低にゃ!」
「……ごめん」
「凛に謝ってどうするにゃ! 早くかよちんを追いかけるにゃ!」
「……そうだな」
俺は教室から出て走り出した。
屋上。かよちんはひとり泣いていた。
「ひぐっ……そんな……どうして……」
「かよちん!!」
「竜さん!?」
ようやく見つけた。とりあえず謝らなくちゃ。
「さっきのは悪かった。ごめん」
「どうして竜さんが謝るんですか!?」
「だってかよちんに悪い思いさせたから……」
「でも……竜さんは悪くないんです……悪いのは全部花陽で……」
「あぁもう……」
まったくもっていじらしい。こういうのは嫌いだ。だから俺はかよちんを抱きしめた。
「りゅ、竜さん一体何を……!?」
落ち込んだかよちんは見たくない。だから励ますことにしたのだ。
「確かにかよちんはファッションセンスはダメだ。それは事実だ。でも、だからってかよちんが可愛くない理由にはならない」
「どういうことですか……!?」
「かよちん、いや、花陽」
「~~~っ!!」
かよちんは顔を真っ赤にする。かっこつけてるけど、いい言葉が思い浮かばない。でもかよちんを励まさなくては。
「なんだかんだで君が一番輝いてるから。そんな顔すんなよ」
「それってアレですか……恋の」
「おっとそれ以上はいけない。君がアイドルでなくなってしまうからね」
そんな様子をにこ先輩が見ていた。それに気付いた時にはもう遅かった。
「ちょっといいかしら」
「にこ先輩!?」
「あんたら二人きりでなにやってんのよ!? 熱愛!? 熱愛なのよね!!」
その声を聞きつけてか穂乃果も海未もやってきた。
「これが俗に言うスキャンダル!?」
「破廉恥ですよ」
凛ちゃんは涙ぐんで語る。
「かよちん、おめでとう……。今日はお赤飯だね……」
「そういうのじゃないってば!!」
そうして、なんだか今日はうやむやに終わった。
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