疾風の魔法剣士③
夢の数は星の数程あると言われている。
その中で叶えられる夢はどれくらあるのか?
叶えられずに散る夢は、流れ星のように流れるのか?
明るく輝く星はその夢の達成を意味するのか?
どんなに考えても答えが出ることはなかった……。
ハンクはなかなか眠りにつくことが出来なかった。
そのためテントをこっそり抜けて、寒かったので流石に厚着して近くのオアシスにいた。
夜は魔物がよく現れる。
特にオアシスともなれば……。
しかし、遭遇しても死なない自信はあったので、平気でオアシスにいることが出来た。
魔物に勝てなくても、最悪、逃げることは簡単に出来たからだ。
ハンクは草原の上で仰向けになっている。
満天の星が空で輝いていた。
星を見るのは好きだ。
暇があれば見てしまう。
何処の国でも夜ともなれば、星は輝く。
見えるものは違うが、共通に美しいから行った場所では見てしまう。
砂漠の中心で見る星もまたキレイだ。
建物が無いから、障害物無しに見える。
それが、また魅力だ。
しばらく眺めていると、足音が聞こえた。
ハンクは反応して、起き上がった。
自分に対する殺気は特に感じられなかったため、戦闘体勢は特に取らなかった。
「ハンクお兄ちゃん。ここにいたのね」
「リコ?」
ハンクは驚きながらもリコの元へと向った。
「どうして来たんだ? ここは危ないのに」
「だって、目が覚めて、ハンクお兄ちゃんのところに行くと、お兄ちゃんの剣だけしか無くって、探しに来ちゃった」
可愛く振舞った。
「来ちゃったって、あのなぁ。まあ、いいわ、その代わり俺から離れるんじゃないぞ」
ハンクは元の場所に戻り、再び仰向けになった。
リコがこっちに来るのだと、察しての行動だ。
「うん。分かった。ねえ、ハンクお兄ちゃん。空を見ていたの?」
ハンクの右横に体育座りをした。
「そうだけど?」
「あのさ~。星に詳しい?」
「ううん。どうだろうなぁ~」
別に知らない訳ではないが、名前までなかなか調べなかった。
「じゃあ、あの星の名前を教えて」
リコの指は一際輝いている星を指した。
「あれか?」
ハンクは思い出している。
「うん。他の場所に行ってもあれだけはよく見えるでしょ? リコが大好きで着いて来ているみたいだと思って、だから、ずっと気になっていたの」
「ああ、そうだね。俺の後も着いてくるよ。あれは確か名前は『ウラネ』だな」
「すごぉ~い」
リコは拍手をしていた。
「別に凄くはないだろう」
リコの反応に返って照れてしまった。
「ううん。凄いよ。お兄ちゃんはリコができないこと色々できるからね」
「うん。ありがとう」
素直に受け入れた。
「どう致しまして」
リコは笑った。
純粋なリコに釣られてハンクも笑った。
その後しばらくは星について、ハンクが知っている範囲で話していた。
リコは真剣に話しを聞いている。
一時間した時にハンクは起き上がった。
「さて、帰るか? いつまでもここにいて、親父さんに見つかったら、うるさそうだし」
それにいい加減、リコを寝かせないとまずいと感じたからだ。
「うん」
リコは素直に聞き入れた。
ハンクは立ち上がり、腕を伸ばしているうちに、リコも立ち上がった。
二人は手を繋ぎ、オアシスを後にした。
それから夜が明け、次の日の昼。
ハンクは無事に砂漠を越え、ジャガの街の近くまで来ることが出来た。
あとは徒歩で行ける距離だ。
「元気でなガキ」
リコの父親はハンクに食料と水を渡す。
「おっさんもな」
ハンクは笑顔で荷物を受け取る。
「だからおっさんじゃね!」
「俺もガキじゃねーし!」
ハンクも言い返す。
「二人とも喧嘩しないで」
「はい、すみません」
リコが叱るとハンクと父親は謝る。
「じゃあね。ハンクお兄ちゃん」
最後まで一緒にいて、別れる時には一番、悲しい顔をしていたリコが大きく手を振っていた。
「おう、今度会ったら、旅の話しとか、星の話しとかたくさんしてやるから」
馬車の中で約束をしたのだ。
「うん。楽しみにしている」
ハンクも背中を見せながら手を振っていた。
「あの生意気なガキが、『疾風の魔法剣士』か」
「疾風の? お父さんなにそれ?」
「最近、この大陸に回っている噂さ」
風の如く現われ、風の如く消える。
そんな異名を持っているので、噂も風のように流れた。
それが誰のことを言っているのかまでは、リコの父親は定かではなかったが、昨日の魔物退治で核心したのだ。
天才的な実力を持った者が大陸に現われた。と。
『疾風の魔法剣士』とは、そんなハンクに向け、いつしか呼ばれるようになったあだ名だ。
リコが父親に一瞬視線を向け、再びハンクの歩いて行った方を見ると、その姿は無かった。
風のように姿をくらましたのだ。
しかし、リコには分かっていた。
また、会える日が来ると。
それまでのひと時の別れだと言うことを……。
ハンクが伝説になる旅はまだ、始まったばかりだった。
この先、なにがあるのか分からない。
夢半ばで命が尽きるかも知れない。
しかし、どんな事があっても、ハンクは前に進む事だけを考えていた。
ただ一つの夢の為に……。
その中で叶えられる夢はどれくらあるのか?
叶えられずに散る夢は、流れ星のように流れるのか?
明るく輝く星はその夢の達成を意味するのか?
どんなに考えても答えが出ることはなかった……。
ハンクはなかなか眠りにつくことが出来なかった。
そのためテントをこっそり抜けて、寒かったので流石に厚着して近くのオアシスにいた。
夜は魔物がよく現れる。
特にオアシスともなれば……。
しかし、遭遇しても死なない自信はあったので、平気でオアシスにいることが出来た。
魔物に勝てなくても、最悪、逃げることは簡単に出来たからだ。
ハンクは草原の上で仰向けになっている。
満天の星が空で輝いていた。
星を見るのは好きだ。
暇があれば見てしまう。
何処の国でも夜ともなれば、星は輝く。
見えるものは違うが、共通に美しいから行った場所では見てしまう。
砂漠の中心で見る星もまたキレイだ。
建物が無いから、障害物無しに見える。
それが、また魅力だ。
しばらく眺めていると、足音が聞こえた。
ハンクは反応して、起き上がった。
自分に対する殺気は特に感じられなかったため、戦闘体勢は特に取らなかった。
「ハンクお兄ちゃん。ここにいたのね」
「リコ?」
ハンクは驚きながらもリコの元へと向った。
「どうして来たんだ? ここは危ないのに」
「だって、目が覚めて、ハンクお兄ちゃんのところに行くと、お兄ちゃんの剣だけしか無くって、探しに来ちゃった」
可愛く振舞った。
「来ちゃったって、あのなぁ。まあ、いいわ、その代わり俺から離れるんじゃないぞ」
ハンクは元の場所に戻り、再び仰向けになった。
リコがこっちに来るのだと、察しての行動だ。
「うん。分かった。ねえ、ハンクお兄ちゃん。空を見ていたの?」
ハンクの右横に体育座りをした。
「そうだけど?」
「あのさ~。星に詳しい?」
「ううん。どうだろうなぁ~」
別に知らない訳ではないが、名前までなかなか調べなかった。
「じゃあ、あの星の名前を教えて」
リコの指は一際輝いている星を指した。
「あれか?」
ハンクは思い出している。
「うん。他の場所に行ってもあれだけはよく見えるでしょ? リコが大好きで着いて来ているみたいだと思って、だから、ずっと気になっていたの」
「ああ、そうだね。俺の後も着いてくるよ。あれは確か名前は『ウラネ』だな」
「すごぉ~い」
リコは拍手をしていた。
「別に凄くはないだろう」
リコの反応に返って照れてしまった。
「ううん。凄いよ。お兄ちゃんはリコができないこと色々できるからね」
「うん。ありがとう」
素直に受け入れた。
「どう致しまして」
リコは笑った。
純粋なリコに釣られてハンクも笑った。
その後しばらくは星について、ハンクが知っている範囲で話していた。
リコは真剣に話しを聞いている。
一時間した時にハンクは起き上がった。
「さて、帰るか? いつまでもここにいて、親父さんに見つかったら、うるさそうだし」
それにいい加減、リコを寝かせないとまずいと感じたからだ。
「うん」
リコは素直に聞き入れた。
ハンクは立ち上がり、腕を伸ばしているうちに、リコも立ち上がった。
二人は手を繋ぎ、オアシスを後にした。
それから夜が明け、次の日の昼。
ハンクは無事に砂漠を越え、ジャガの街の近くまで来ることが出来た。
あとは徒歩で行ける距離だ。
「元気でなガキ」
リコの父親はハンクに食料と水を渡す。
「おっさんもな」
ハンクは笑顔で荷物を受け取る。
「だからおっさんじゃね!」
「俺もガキじゃねーし!」
ハンクも言い返す。
「二人とも喧嘩しないで」
「はい、すみません」
リコが叱るとハンクと父親は謝る。
「じゃあね。ハンクお兄ちゃん」
最後まで一緒にいて、別れる時には一番、悲しい顔をしていたリコが大きく手を振っていた。
「おう、今度会ったら、旅の話しとか、星の話しとかたくさんしてやるから」
馬車の中で約束をしたのだ。
「うん。楽しみにしている」
ハンクも背中を見せながら手を振っていた。
「あの生意気なガキが、『疾風の魔法剣士』か」
「疾風の? お父さんなにそれ?」
「最近、この大陸に回っている噂さ」
風の如く現われ、風の如く消える。
そんな異名を持っているので、噂も風のように流れた。
それが誰のことを言っているのかまでは、リコの父親は定かではなかったが、昨日の魔物退治で核心したのだ。
天才的な実力を持った者が大陸に現われた。と。
『疾風の魔法剣士』とは、そんなハンクに向け、いつしか呼ばれるようになったあだ名だ。
リコが父親に一瞬視線を向け、再びハンクの歩いて行った方を見ると、その姿は無かった。
風のように姿をくらましたのだ。
しかし、リコには分かっていた。
また、会える日が来ると。
それまでのひと時の別れだと言うことを……。
ハンクが伝説になる旅はまだ、始まったばかりだった。
この先、なにがあるのか分からない。
夢半ばで命が尽きるかも知れない。
しかし、どんな事があっても、ハンクは前に進む事だけを考えていた。
ただ一つの夢の為に……。
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