12
部下と降谷達を交互に見ると美弥妃は何が起こっているんだと言わんばかりにオロオロと狼狽えた。
「あ、いや、結局取り押さえることも出来ましたし、結果オーライですよ?」
剛田「いえ。…矢神さんにこんな怪我をさせてしまって…」
降谷「全くだ。それに、矢神さんが解毒薬を作っていなかったらお前ら全員今頃あの世だぞ」
降谷がそう言うと美弥妃は青ざめた顔をした。
「全員…あの後、なんともありませんでしたか…」
そう言う彼女の声は震えていた。
剛田「お陰様で…」
剛田がそう言うと美弥妃はギュッと口をつぐんで部下達を手招きした。
「全員、私と握手して下さい」
美弥妃の唐突な発言に部下達は顔を見合わせて不思議そうに首を傾げたが一人一人おずおずと手を差し出し美弥妃と握手をした。
一人、また一人と握手する度に美弥妃の目は潤んでいき、だんだんと俯き始め最後の方にはポタポタと涙を流した。
昨日それを見た降谷はただ見守っていたが何も知らない部下と風見はオロオロしていた。
風見「や、矢神さん、どこか痛みますか…?」
「風見さんも…!手!貸してください!」
風見「手、ですか…?」
そう言われた風見もおずおずと手を差し出すと美弥妃にギュッと握手をされてしまった。
「よし…!全員、生きてる…!!」
風見「全員無事ですよ…?矢神さん…?」
そう言う風見の手をゆっくりと離すと美弥妃は止まらない涙を何度も拭った。
「よかった、本当に…よかった…!」
なんどもそう呟くように言うと暫くしてから美弥妃は顔を上げた。
「皆さん無事ならいいんです。………でも、次はいくら私のことが嫌いでも私のいないところで危険なことしないでくださいね。……………返事は!!」
部下一同「「「「「はい!!!!」」」」」
「なら今回の件はもう気にしないでください」
そう言ってにこりと笑った美弥妃に部下達は神を崇める気持ちだった。
部下達はその後先に本部へと帰され、病室には降谷と風見が残された。
「鳳の状態はどうですか」
風見「あれから全く何も。大人しくしていますよ。」
「そうですか…。なら伝えてください。後日、保護承認プロフラムのもと、鳳をドイツで保護すると。」
降谷「どういうことですか?」
「今回抑えた組織は末端の組織です。」
風見「あれほど危険なものを扱っていて末端なんですか?!」
「おそらく。そしてその大元の組織は鳳本人を狙っています。」
降谷「薬の調合データですか。」
「そうです。彼自身が記憶媒体になります。本当のレシピを知っているのは鳳本人と偽装レシピを作るときに協力した私とBPOLの諜報員…鳳の同期のジェイとハイドでした。ジェイはハイドの悪事に気づきはじめ殺される予定でした。しかしジェイが鳳ではなく私に相談を持ちかけてくれたおかげで内密に事を進めることができ、今は承認保護プログラムを受けて生きています。」
降谷「彼が殺された仲間と言っていたのはジェイという男だったんですか」
「そうです。彼は私がジェイを殺したに違いないとふんでいたようです。まぁ当然でしょうけど。同じ仲間…ハイドがまさか組織側に寝返っているなんてバカ正直なゴリラには想像もつかないことでしょう。」
風見「わざわざ恨まれ役を買ったということですか…?」
「いいえ、私は彼らとそれなりに諜報員同士で仲良くやっていたつもりでしたから。恨まれるなんておもっていませんでしたよ。仲間と思っていたのは私だけだったみたいですけど。」
そういうと美弥妃は少し悲しそうな笑顔で笑った。
降谷「そのハイドという男は今どうしているんです?」
「BPOLをやめて組織に。…表向きはジェイの死を受け入れられなくて精神的に続けられないといって行方をくらましたそうです。」
降谷「それで、なぜ鳳は日本にいたんです?」
「ハイド自身ではなく、薬の行方を追っていたそうです。ハイドは鳳が私を疑うだろうと予想して薬の取引場所を日本にしたんでしょう。鳳はバカですから素直に信じ込んじゃって。薬が日本で
取引されると知って私の連絡に応じ、無茶な行動をとりました。ハイドの思惑通りに。まぁハイドの誤算があっっとすれば私が解毒薬を完成させていたことと鳳を泳がせずに拘束したことでしょう。本来ならあの場で私と鳳を始末する予定だったんだと思います。でも今回、私も鳳も生きている。そうとわかればハイドはバカ正直な鳳をだまそうとするでしょう。一刻も早く承認保護プログラムを受けさせなければなりません。明日、ドイツからBPOLが鳳を保護しに日本に来ます。空港で彼の身柄の受け渡しをしたいのでお二人におねがいできませんか」
降谷「それはかまいませんが。」
風見「自分も協力させてもらいます」
「すみません、お願いします。いかんせん、この体ではあのゴリラが暴れだしたときにおさえられませんから…。あ、なんのために剛田さんも連れて行って下さい。それと、彼には余計なことを伝えないでください。受け渡しの時、ジェイを連れてくるように要請しました。詳しいことはジェイから聞かせます。私の話は一切しないでください。」
「あ、いや、結局取り押さえることも出来ましたし、結果オーライですよ?」
剛田「いえ。…矢神さんにこんな怪我をさせてしまって…」
降谷「全くだ。それに、矢神さんが解毒薬を作っていなかったらお前ら全員今頃あの世だぞ」
降谷がそう言うと美弥妃は青ざめた顔をした。
「全員…あの後、なんともありませんでしたか…」
そう言う彼女の声は震えていた。
剛田「お陰様で…」
剛田がそう言うと美弥妃はギュッと口をつぐんで部下達を手招きした。
「全員、私と握手して下さい」
美弥妃の唐突な発言に部下達は顔を見合わせて不思議そうに首を傾げたが一人一人おずおずと手を差し出し美弥妃と握手をした。
一人、また一人と握手する度に美弥妃の目は潤んでいき、だんだんと俯き始め最後の方にはポタポタと涙を流した。
昨日それを見た降谷はただ見守っていたが何も知らない部下と風見はオロオロしていた。
風見「や、矢神さん、どこか痛みますか…?」
「風見さんも…!手!貸してください!」
風見「手、ですか…?」
そう言われた風見もおずおずと手を差し出すと美弥妃にギュッと握手をされてしまった。
「よし…!全員、生きてる…!!」
風見「全員無事ですよ…?矢神さん…?」
そう言う風見の手をゆっくりと離すと美弥妃は止まらない涙を何度も拭った。
「よかった、本当に…よかった…!」
なんどもそう呟くように言うと暫くしてから美弥妃は顔を上げた。
「皆さん無事ならいいんです。………でも、次はいくら私のことが嫌いでも私のいないところで危険なことしないでくださいね。……………返事は!!」
部下一同「「「「「はい!!!!」」」」」
「なら今回の件はもう気にしないでください」
そう言ってにこりと笑った美弥妃に部下達は神を崇める気持ちだった。
部下達はその後先に本部へと帰され、病室には降谷と風見が残された。
「鳳の状態はどうですか」
風見「あれから全く何も。大人しくしていますよ。」
「そうですか…。なら伝えてください。後日、保護承認プロフラムのもと、鳳をドイツで保護すると。」
降谷「どういうことですか?」
「今回抑えた組織は末端の組織です。」
風見「あれほど危険なものを扱っていて末端なんですか?!」
「おそらく。そしてその大元の組織は鳳本人を狙っています。」
降谷「薬の調合データですか。」
「そうです。彼自身が記憶媒体になります。本当のレシピを知っているのは鳳本人と偽装レシピを作るときに協力した私とBPOLの諜報員…鳳の同期のジェイとハイドでした。ジェイはハイドの悪事に気づきはじめ殺される予定でした。しかしジェイが鳳ではなく私に相談を持ちかけてくれたおかげで内密に事を進めることができ、今は承認保護プログラムを受けて生きています。」
降谷「彼が殺された仲間と言っていたのはジェイという男だったんですか」
「そうです。彼は私がジェイを殺したに違いないとふんでいたようです。まぁ当然でしょうけど。同じ仲間…ハイドがまさか組織側に寝返っているなんてバカ正直なゴリラには想像もつかないことでしょう。」
風見「わざわざ恨まれ役を買ったということですか…?」
「いいえ、私は彼らとそれなりに諜報員同士で仲良くやっていたつもりでしたから。恨まれるなんておもっていませんでしたよ。仲間と思っていたのは私だけだったみたいですけど。」
そういうと美弥妃は少し悲しそうな笑顔で笑った。
降谷「そのハイドという男は今どうしているんです?」
「BPOLをやめて組織に。…表向きはジェイの死を受け入れられなくて精神的に続けられないといって行方をくらましたそうです。」
降谷「それで、なぜ鳳は日本にいたんです?」
「ハイド自身ではなく、薬の行方を追っていたそうです。ハイドは鳳が私を疑うだろうと予想して薬の取引場所を日本にしたんでしょう。鳳はバカですから素直に信じ込んじゃって。薬が日本で
取引されると知って私の連絡に応じ、無茶な行動をとりました。ハイドの思惑通りに。まぁハイドの誤算があっっとすれば私が解毒薬を完成させていたことと鳳を泳がせずに拘束したことでしょう。本来ならあの場で私と鳳を始末する予定だったんだと思います。でも今回、私も鳳も生きている。そうとわかればハイドはバカ正直な鳳をだまそうとするでしょう。一刻も早く承認保護プログラムを受けさせなければなりません。明日、ドイツからBPOLが鳳を保護しに日本に来ます。空港で彼の身柄の受け渡しをしたいのでお二人におねがいできませんか」
降谷「それはかまいませんが。」
風見「自分も協力させてもらいます」
「すみません、お願いします。いかんせん、この体ではあのゴリラが暴れだしたときにおさえられませんから…。あ、なんのために剛田さんも連れて行って下さい。それと、彼には余計なことを伝えないでください。受け渡しの時、ジェイを連れてくるように要請しました。詳しいことはジェイから聞かせます。私の話は一切しないでください。」
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