紅揺 バンビ編
どんどん、好きになる。どんどん甘えたくなる、どうした私。……こんな私、……知らなかった。
「なぁ?アンタさ。イベントとか盛り上がるタイプ?」
今日は季節を堪能すべく紅葉狩りに来ている。黙々と木葉のジャッジをしていたら、ニーナが小枝を振りながら、ぶっきらぼうに話しかけてきた。さてはもう、紅葉狩りは飽きたのかな?さっきまで真剣に地面を見てたような気もするのに、どうしたんだろう。
「……イベント?」
いきなりの話題転換に少し驚きながらも思考を巡らせる。そういえば、カレンとミヨが話してたっけ?ハロウィンに彼氏感満載のデートとか、なんとか言っていたような?でも、さっきまでのニーナの横顔もグラッとくるほどかっこ良かったんですけど?
「あー…。……アンタ、ハンターの目してんじゃん。んで?いいのあった?」
「ふふふ。ニーナ、みてみてコレいいでしょ?キラキラして可愛くない?」
急に、真面目に話しかけられて心臓が跳ね上がった。今、体を触られたら心臓の音、聞かれてしまわないだろうか?まさか、本当は紅葉狩りしながらニーナの顔盗み見てたなんて恥ずかしくて言えない。赤くなった顔を見られまいとわざと大袈裟にガキっぽく明るく振る舞った。残念な彼女レベル1の私にできる精一杯だった。それでもニーナの喜ぶ顔が見たくて、さっき見つけたとっておきの1枚を、自慢するように見せる。
「へぇー……。キレイな色合いだね」
太陽の光を浴びながら、キラキラ光る葉っぱを愛おしそうに笑ってくれる。大抵の男子は少女趣味だと言ってバカにするようなこともこうやって、優しく受け止めてくれるニーナが本当に大好き。あぁ。私、愛されてるんだなぁって実感する瞬間だ。優しく揺れるニーナの瞳に胸が熱くなる。そんな自分に気が付く度に、本当に恥ずかしくて悶え死にそうだ。
「ってかさ。アンタ、オレの話聞いてた?」
「ふふふ。楽しいよー」
つい、さっきまで自分の脳内発言に悶え中だったから、思いの外ふざけた口調で答えてしまった。ヤバイ謝ろう。ニーナ、ごめんって言おうと口を開いたらそこにニーナはいなかった。
「聞いてねーし。なぁ。ちょっとは、オレのこと構ってよ」
後ろの方でボソリと小さく呟くニーナの表情を見ることができなくて、悔しい。いっそ隣で今みたいに呟いてくれたら、イタズラちゅーお見舞いしてやれるのに、本当に残念。くらくらするくらい甘々な自分がいたたまれなくなり、火照った顔をあおぐ。少し冷静になって考えるともしかしたら姿を見せない理由は、飽きてイタズラ仕掛けにきたとか?そう感じて、神経をニーナに集中させる。そして、思いっきり気配のする方向に、渾身のチョップを仕掛けてみた。
「あだっ。アンタなにすんの」
「ニーナ。私の後ろをとろうなんて100年早い」
……、マジハズか死ぬ。あー……もう本当に我ながら恥ずかしい。ふざけてないとここが公園で昼間でみんながいる公共の場ってことを忘れてしまいそうだ。
「……。なぁ?いつまで……」
……照れ隠しの紅葉狩りは、もしかしたらニーナを寂しくさせてしまったのかもしれない。そう感じたとたんになんだか今すぐ、ニーナに笑って欲しくなった。帰りに渡そうと思って、ポケットに入れていた必勝ドクロクマを握りしめる。ドクロクマ、ニーナを笑顔にするために協力してね?
「ニーナ。ほーら、ね?寂しくない」
ニーナの隣にそっとドクロクマを置いて近くにあった木葉を大量に振りかける。抱えた量が少し多かったのか、思ったより勢い良く、ドサドサっと音を立ててニーナに襲いかかってしまう。
「ぷはっ。ちょっと、アンタの変わりにお人形遊びして待ってろっていってんの?ヒッデー」
ナイス角度でニーナを見上げていたドクロクマにエールを送りつつ、少年のように笑うニーナの顔にホッとする。良かった。
「そそっ。いいでしょ?でも、……そっかぁ。もうすぐだねぇ?ハロウィン」
側にいられない分だけドクロクマにニーナの側にいてもらおう。なかなか忙しくて前みたいに一緒にいられないから。そんなこと言ってしまったら、重いかもしれない。でも、なんとかニーナにドクロクマを渡すことに成功した。嬉しくて口元がほころんでしまったのを見たらしく、ニーナが嬉しそうに答える。
「そそ。今度さ、羽ばたきランドでハロウィン限定イベがあってね……」
「あぁ。羽ばたきランド?そういえば、毎年あるよねぇハロウィンコス。なんか、毎回イベント時期に予定が合わなくて行けなかったっけ?」
毎回なかなか都合がつかなくなって、諦めてたんだっけ?今年はふたりでハロウィンコス楽しめるのかな?きっと、ニーナの魔法使いもミイラ男も、赤ずきんちゃんの狼みたいにすごく似合っているに違いない。すごく、すごくみたい。カッコいいに決まっている。
でも?と、チラリと考えてしまう。私、コスプレしてニーナに笑ってもらえるのかしら?ウケ狙って滑ったらどうしよう?無難に可愛い感じに済ますという手もあるけど……。可愛いだけじゃ物足りない。
よし。やっぱりイタズラはわくわくする。反応が良くて、面白い怖がりのニーナにするサプライズが決まった。
「じゃあさ。次のデートは羽ばたきランド、ね」
「……」
「……ニーナ?」
せっかく、満面の笑みで答えてみたのに、急にだんまりされると調子くるうし、面白くない。
「…ってアダっ。ちょっアンタ、マジなにすんの?!」
「ったく。ニーナのくせにボンヤリするなんてけしからん!」
「シャキッとしろ!次の予定は羽ばたきランドに決定」
「……ウッス!」
本当、不二山くんの誘いを断らなかったらニーナとのこんなやり取りがたくさんあったのかも知れない。
だけど。これからだってたくさん、私たちには時間があるハズだ。
マネージャーになっていた過去より、今の方が断然楽しいって思ってもらえるようにたくさんふたりで楽しもう。覚悟しておけよ?ニーナ。
「完」
「なぁ?アンタさ。イベントとか盛り上がるタイプ?」
今日は季節を堪能すべく紅葉狩りに来ている。黙々と木葉のジャッジをしていたら、ニーナが小枝を振りながら、ぶっきらぼうに話しかけてきた。さてはもう、紅葉狩りは飽きたのかな?さっきまで真剣に地面を見てたような気もするのに、どうしたんだろう。
「……イベント?」
いきなりの話題転換に少し驚きながらも思考を巡らせる。そういえば、カレンとミヨが話してたっけ?ハロウィンに彼氏感満載のデートとか、なんとか言っていたような?でも、さっきまでのニーナの横顔もグラッとくるほどかっこ良かったんですけど?
「あー…。……アンタ、ハンターの目してんじゃん。んで?いいのあった?」
「ふふふ。ニーナ、みてみてコレいいでしょ?キラキラして可愛くない?」
急に、真面目に話しかけられて心臓が跳ね上がった。今、体を触られたら心臓の音、聞かれてしまわないだろうか?まさか、本当は紅葉狩りしながらニーナの顔盗み見てたなんて恥ずかしくて言えない。赤くなった顔を見られまいとわざと大袈裟にガキっぽく明るく振る舞った。残念な彼女レベル1の私にできる精一杯だった。それでもニーナの喜ぶ顔が見たくて、さっき見つけたとっておきの1枚を、自慢するように見せる。
「へぇー……。キレイな色合いだね」
太陽の光を浴びながら、キラキラ光る葉っぱを愛おしそうに笑ってくれる。大抵の男子は少女趣味だと言ってバカにするようなこともこうやって、優しく受け止めてくれるニーナが本当に大好き。あぁ。私、愛されてるんだなぁって実感する瞬間だ。優しく揺れるニーナの瞳に胸が熱くなる。そんな自分に気が付く度に、本当に恥ずかしくて悶え死にそうだ。
「ってかさ。アンタ、オレの話聞いてた?」
「ふふふ。楽しいよー」
つい、さっきまで自分の脳内発言に悶え中だったから、思いの外ふざけた口調で答えてしまった。ヤバイ謝ろう。ニーナ、ごめんって言おうと口を開いたらそこにニーナはいなかった。
「聞いてねーし。なぁ。ちょっとは、オレのこと構ってよ」
後ろの方でボソリと小さく呟くニーナの表情を見ることができなくて、悔しい。いっそ隣で今みたいに呟いてくれたら、イタズラちゅーお見舞いしてやれるのに、本当に残念。くらくらするくらい甘々な自分がいたたまれなくなり、火照った顔をあおぐ。少し冷静になって考えるともしかしたら姿を見せない理由は、飽きてイタズラ仕掛けにきたとか?そう感じて、神経をニーナに集中させる。そして、思いっきり気配のする方向に、渾身のチョップを仕掛けてみた。
「あだっ。アンタなにすんの」
「ニーナ。私の後ろをとろうなんて100年早い」
……、マジハズか死ぬ。あー……もう本当に我ながら恥ずかしい。ふざけてないとここが公園で昼間でみんながいる公共の場ってことを忘れてしまいそうだ。
「……。なぁ?いつまで……」
……照れ隠しの紅葉狩りは、もしかしたらニーナを寂しくさせてしまったのかもしれない。そう感じたとたんになんだか今すぐ、ニーナに笑って欲しくなった。帰りに渡そうと思って、ポケットに入れていた必勝ドクロクマを握りしめる。ドクロクマ、ニーナを笑顔にするために協力してね?
「ニーナ。ほーら、ね?寂しくない」
ニーナの隣にそっとドクロクマを置いて近くにあった木葉を大量に振りかける。抱えた量が少し多かったのか、思ったより勢い良く、ドサドサっと音を立ててニーナに襲いかかってしまう。
「ぷはっ。ちょっと、アンタの変わりにお人形遊びして待ってろっていってんの?ヒッデー」
ナイス角度でニーナを見上げていたドクロクマにエールを送りつつ、少年のように笑うニーナの顔にホッとする。良かった。
「そそっ。いいでしょ?でも、……そっかぁ。もうすぐだねぇ?ハロウィン」
側にいられない分だけドクロクマにニーナの側にいてもらおう。なかなか忙しくて前みたいに一緒にいられないから。そんなこと言ってしまったら、重いかもしれない。でも、なんとかニーナにドクロクマを渡すことに成功した。嬉しくて口元がほころんでしまったのを見たらしく、ニーナが嬉しそうに答える。
「そそ。今度さ、羽ばたきランドでハロウィン限定イベがあってね……」
「あぁ。羽ばたきランド?そういえば、毎年あるよねぇハロウィンコス。なんか、毎回イベント時期に予定が合わなくて行けなかったっけ?」
毎回なかなか都合がつかなくなって、諦めてたんだっけ?今年はふたりでハロウィンコス楽しめるのかな?きっと、ニーナの魔法使いもミイラ男も、赤ずきんちゃんの狼みたいにすごく似合っているに違いない。すごく、すごくみたい。カッコいいに決まっている。
でも?と、チラリと考えてしまう。私、コスプレしてニーナに笑ってもらえるのかしら?ウケ狙って滑ったらどうしよう?無難に可愛い感じに済ますという手もあるけど……。可愛いだけじゃ物足りない。
よし。やっぱりイタズラはわくわくする。反応が良くて、面白い怖がりのニーナにするサプライズが決まった。
「じゃあさ。次のデートは羽ばたきランド、ね」
「……」
「……ニーナ?」
せっかく、満面の笑みで答えてみたのに、急にだんまりされると調子くるうし、面白くない。
「…ってアダっ。ちょっアンタ、マジなにすんの?!」
「ったく。ニーナのくせにボンヤリするなんてけしからん!」
「シャキッとしろ!次の予定は羽ばたきランドに決定」
「……ウッス!」
本当、不二山くんの誘いを断らなかったらニーナとのこんなやり取りがたくさんあったのかも知れない。
だけど。これからだってたくさん、私たちには時間があるハズだ。
マネージャーになっていた過去より、今の方が断然楽しいって思ってもらえるようにたくさんふたりで楽しもう。覚悟しておけよ?ニーナ。
「完」
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