坂田銀時VS高杉晋助
荒れ果てた地で向かい合う、坂田銀時と高杉晋助。長い沈黙の後、先に口を開いたのは高杉だった。
「悪いか。俺はいつまでたっても先生が忘れられねェんだよ……先生がいるといないんじゃ、世の中が全然違ェ……」
「高杉、てめぇいつまで過去に囚われてたら気が済むんだ」
「まぁ聞けよ銀時ィ。お前ェが死んだら、お前ェは俺にとって……先生以上に忘れられねェ存在になると思うぜ。ク、ククッ……」
「……あ?」
「俺はガキの頃、認めたくはねェが……お前がいるから何でも頑張ってこれたようなもんなんだ。お前がいなくなっちまったら、生きるハリがないとさえ思えてきた。……できることならてめぇを逃がしたい。追いかけっこは楽しいぜェ」
「俺は追いかけっこなんざ御免だね。追いかけても追いかけても、辿り着けねェだなんて……そんなのなァ、今までもこれからも先生の背中だけで充分なんだよ」
「俺はてめぇの話をしてんだよ銀時。追いかけて、罠を仕掛けて……このままずっと戦い続けたいぐらいだ」
「そうはいかねェよ。てめぇもわかってるだろ?終わりのないものはねーんだ」
「あぁ、それだけはどうしようもねェ。なぁ……坂田銀時。てめぇの人生はここで終わる。後はよろしくと、いるのかいねーのかわかんねェ神にでもお願いしておいたほうがいいんじゃねェのかァ?」
「んなもん、後でするさ……ッ!」
ザッッ
キィン
ガキィンッッ
激しい金属音が虚しく響く。コインの表と裏のような関係の、お互いの真剣と真剣が混ざり合い、血飛沫飛び交う接戦。お互いの力はほぼ互角。かつて攘夷戦争を共にした仲間と、まさか命をかけた戦いをすることになるとは、あの時はお互い思いもしなかっただろう。彼らの道はいつから違って(たがって)しまったのだろうか。
「高杉。オメェそんなに強かったのか」
「そいつァ、こっちのセリフだ銀時ィ」
「無駄口叩く暇なんてなくさせてやらぁ」
「くくっ、そうこなくっちゃなぁ!」
「くそっ!」
「俺はいま最高に楽しいぜ、銀時よぉ」
「そうかぃ、そいつはよかった、な!」
「ぐっ……!」
喧騒と乱舞の間に、興奮する狂おしさで。掻いた汗が落ちる。嫌じゃないそういうのは本当さ。
―――
――
―
「く……ッ」
血を口から吐き出し、刀を貫かれ倒れている男の姿と、冷酷な様子でその男を見下ろしているものの、その瞳はどこか悲しさを物語っているような、そんな表情をした男の姿が。
「俺の勝ちだ、俺の……」
――コイツは、俺の刺した刀により、間もなく息絶える。
どちらが勝ったのかは、読者のあなた次第。
「悪いか。俺はいつまでたっても先生が忘れられねェんだよ……先生がいるといないんじゃ、世の中が全然違ェ……」
「高杉、てめぇいつまで過去に囚われてたら気が済むんだ」
「まぁ聞けよ銀時ィ。お前ェが死んだら、お前ェは俺にとって……先生以上に忘れられねェ存在になると思うぜ。ク、ククッ……」
「……あ?」
「俺はガキの頃、認めたくはねェが……お前がいるから何でも頑張ってこれたようなもんなんだ。お前がいなくなっちまったら、生きるハリがないとさえ思えてきた。……できることならてめぇを逃がしたい。追いかけっこは楽しいぜェ」
「俺は追いかけっこなんざ御免だね。追いかけても追いかけても、辿り着けねェだなんて……そんなのなァ、今までもこれからも先生の背中だけで充分なんだよ」
「俺はてめぇの話をしてんだよ銀時。追いかけて、罠を仕掛けて……このままずっと戦い続けたいぐらいだ」
「そうはいかねェよ。てめぇもわかってるだろ?終わりのないものはねーんだ」
「あぁ、それだけはどうしようもねェ。なぁ……坂田銀時。てめぇの人生はここで終わる。後はよろしくと、いるのかいねーのかわかんねェ神にでもお願いしておいたほうがいいんじゃねェのかァ?」
「んなもん、後でするさ……ッ!」
ザッッ
キィン
ガキィンッッ
激しい金属音が虚しく響く。コインの表と裏のような関係の、お互いの真剣と真剣が混ざり合い、血飛沫飛び交う接戦。お互いの力はほぼ互角。かつて攘夷戦争を共にした仲間と、まさか命をかけた戦いをすることになるとは、あの時はお互い思いもしなかっただろう。彼らの道はいつから違って(たがって)しまったのだろうか。
「高杉。オメェそんなに強かったのか」
「そいつァ、こっちのセリフだ銀時ィ」
「無駄口叩く暇なんてなくさせてやらぁ」
「くくっ、そうこなくっちゃなぁ!」
「くそっ!」
「俺はいま最高に楽しいぜ、銀時よぉ」
「そうかぃ、そいつはよかった、な!」
「ぐっ……!」
喧騒と乱舞の間に、興奮する狂おしさで。掻いた汗が落ちる。嫌じゃないそういうのは本当さ。
―――
――
―
「く……ッ」
血を口から吐き出し、刀を貫かれ倒れている男の姿と、冷酷な様子でその男を見下ろしているものの、その瞳はどこか悲しさを物語っているような、そんな表情をした男の姿が。
「俺の勝ちだ、俺の……」
――コイツは、俺の刺した刀により、間もなく息絶える。
どちらが勝ったのかは、読者のあなた次第。
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