20話「トバリシティ」
急に男性に連れられた場所、それはトバリジムだった。この街にもジムがあるというのをすっかり忘れていた、シロナに会ってフーディン達の手がかりを貰うことしか頭になかったからだ。
「よし着いたぞ。それで頼みだが、ここのジムリーダーに挑戦してもらえないだろうか?頼む、一生のお願いだから!」連れてきた男性は必死に俺に上半身を畳む様に頭を下げる。
「えっ!?えっと、それは別に構いませんが、何故頼んだりするんです?そんな強制されると理由が気になります」
「そっそれは・・・言えないんだ。頼む、私が君を連れてきたことをあの子には知らせないでくれ」男性は俺の質問に困ったのか小声で話す。
「えっあなたがジムリーダーじゃないんでs」
「とにかく早く入ってくれ、あの子を元気づけてあげてくれ!」
そうして俺は男性に背中を押され、ジムの中に入れられた。
ジムの中は道場のようなステージだった。そこで一人、体育座りをしながら泣いている桃髪の女の子がいる。さっきの男性の話から恐らくこの人がジムリーダーだろう。とりあえず俺は声を掛けようとする。
「えっと、すみません。あなたがここのジムリーダーですか?このジムに挑戦しに来たんですが・・」
「ぐすっ、もう放っといてくださいよ!パパには関係ないでしょ!」
女の子は俺に対して声を荒げる。どうやら俺の事を父親と間違っているようだ。
「あの、俺はパパじゃありませんよー。ですからジム戦を・・」
「ひぐっ!?えっ誰?あなた誰なんですかぁ!」そう言うと女の子は俺の腹に蹴りを入れる。
「ぐっふぅ!?なんて、威力っ・・」
「ってあぁ!ごめんなさい、大丈夫ですか!?」
女の子の問いにすぐに答えることはなく、俺は蹴りを受けてしばらく気絶するのだった。
周りから小さな声がぼそぼそ聴こえ、目を覚ます。俺は先程気絶させられた場所とほぼ変わらない位置で仰向けに寝かされていた。女の子は俺の手が届くすぐ傍で泣きながら俺を看病していた。
「おっ、起きましたか?先程はすっ、すみませんでした!」
「えっ?何があったっけ・・」まだ目覚めて間もなく、気絶する直前の記憶が曖昧だ。
「良かった元気そう、ですよね?私が蹴っちゃったとこ大丈夫ですか?」
「あっそうか、俺は蹴られて。今は大丈夫ですよ、安心して下さい」
「そうですか。私はスモモ、このトバリジムのジムリーダーです。それで起きてすぐに尋ねるのもなんですけど、こちらに来たのは何用で?」
俺は知らない男性から急にここに連れられてジムに挑戦するよう言われた事を話す。確か話してはいけないと言われてた気がしたが、それを思い出したのは全て言い終わっての事だった。
「もう!それパパの仕業です、きっと!パパはいつも私の横に割って入ってお節介を焼くんです!もう私は立派なジムリーダーだって・・・いいえ、立派なジムリーダーとは程遠いんですけどね」
スモモは自身のジムリーダーとしての強さが足りないと嘆く。最近ジム戦をしても挑戦者に負けてばかりで、バトルの才能がないんじゃないかと思い悩んでいるらしい。
「なるほど、俺がここに連れて来られたのは明らかに若い駆け出しのトレーナーに見えたからか。それでスモモさんに勝ってもらって自信をつけさせようと」
「本当にごめんなさい!パパが失礼な事を!それもこれも私が弱くて頼りないジムリーダーだから・・」スモモはまた体育座りで1人で泣こうとする。
「あぁそんな事ないですよ。スモモさんは頑張ってます。多分」俺は目的を徐々に理解してきた。このままではジムに挑戦すら難しいかもしれない。何とか元気づけてスモモをやる気にさせなくては。
「う゛ぇぇぇん!やっぱり私なんかがジムリーダーなんて無理だったんだ!これじゃスズナちゃんとも絶交だよぉ!」
「スズナちゃん?確かあの寒くて有名なキッサキシティのジムリーダーだったはず。何故その人と絶交になるんです?」
「私とスズナちゃんは親友でっ、私がスズナちゃんの後にジムリーダーになった時に『お互いジムリーダーとして頑張ろうね!離れてもずっと親友だよ!』って励まし合ったのに、ひっぐ」
スモモの言いたい事が少し分かった気がする。スモモは強くなる事に少し焦っているのだ。それはスズナの強さに少しでも追いつかないと自分はスズナと親友でいることが出来ないという強迫観念。ジムリーダーとして務めを果たさないと、強くならないとという焦りがスモモの精神を崩壊させていく。
「ねぇスモモさん。スモモさんは立派なジムリーダーっていうのはどういうのだと思います?」
「ぐすっ、それはっ、強くて周りから頼られるカッコいいジムリーダーで・・」
「スモモさんは周りから頼られてますよ。ほらあそこにも、あそこにも」
俺がそう言い指を指した先には、柔道着の男性が道場の迷彩マントで隠れていた。いやスモモが気付かないのもおかしいが、俺が指を指して現れた柔道着の人の人数は俺の予想をはるかに上回る人数だった。どこにそれほどの人数が隠れていたんだ。
「師範、すみません!俺達、師範がジムリーダーとして悩んでいるのを知っていながら何もしてやれなくて!何か俺達でも出来る事ねぇか考えたんですけど、泣いてる師範の顔見て俺達なんかがっなんて思っちまいまして。弟子としてっ、何の役にも立てねぇのが不甲斐なくて」柔道着の男性が泣きながら話す。
この柔道着の人達はスモモが師範を務める道場の弟子達のようだ。俺はスモモに蹴られて目覚める前に聴こえた『あぁ泣かないで。笑顔でいてくれ』という弟子のぼそぼそ声に気付き、スモモの慕われている様子を感じとったのだ。
「スモモさん、あなたはこの人達全員に頼られています。この人達はあなたの強さに感銘を受けてあなたみたいに強くなりたいと弟子入りした方々です。あなたは決して弱くなんかありません。それに親友が肩を並べ合えるのは強さが追いついているからではありません。それはきっと互いが互いを愛しく思い合っているから、それだけなんだと思います。強さなんて関係ない、あなたとスズナさんはずっと親友です」
「私っ、私・・・!」
スモモはまた泣き崩れる。だがそれを見る弟子達の顔は涙と笑顔で溢れていた。
(手持ちポケモン バリヤードLv.40 ブビィLv.38エレキッドLv.39ゴンベLv.46)
「よし着いたぞ。それで頼みだが、ここのジムリーダーに挑戦してもらえないだろうか?頼む、一生のお願いだから!」連れてきた男性は必死に俺に上半身を畳む様に頭を下げる。
「えっ!?えっと、それは別に構いませんが、何故頼んだりするんです?そんな強制されると理由が気になります」
「そっそれは・・・言えないんだ。頼む、私が君を連れてきたことをあの子には知らせないでくれ」男性は俺の質問に困ったのか小声で話す。
「えっあなたがジムリーダーじゃないんでs」
「とにかく早く入ってくれ、あの子を元気づけてあげてくれ!」
そうして俺は男性に背中を押され、ジムの中に入れられた。
ジムの中は道場のようなステージだった。そこで一人、体育座りをしながら泣いている桃髪の女の子がいる。さっきの男性の話から恐らくこの人がジムリーダーだろう。とりあえず俺は声を掛けようとする。
「えっと、すみません。あなたがここのジムリーダーですか?このジムに挑戦しに来たんですが・・」
「ぐすっ、もう放っといてくださいよ!パパには関係ないでしょ!」
女の子は俺に対して声を荒げる。どうやら俺の事を父親と間違っているようだ。
「あの、俺はパパじゃありませんよー。ですからジム戦を・・」
「ひぐっ!?えっ誰?あなた誰なんですかぁ!」そう言うと女の子は俺の腹に蹴りを入れる。
「ぐっふぅ!?なんて、威力っ・・」
「ってあぁ!ごめんなさい、大丈夫ですか!?」
女の子の問いにすぐに答えることはなく、俺は蹴りを受けてしばらく気絶するのだった。
周りから小さな声がぼそぼそ聴こえ、目を覚ます。俺は先程気絶させられた場所とほぼ変わらない位置で仰向けに寝かされていた。女の子は俺の手が届くすぐ傍で泣きながら俺を看病していた。
「おっ、起きましたか?先程はすっ、すみませんでした!」
「えっ?何があったっけ・・」まだ目覚めて間もなく、気絶する直前の記憶が曖昧だ。
「良かった元気そう、ですよね?私が蹴っちゃったとこ大丈夫ですか?」
「あっそうか、俺は蹴られて。今は大丈夫ですよ、安心して下さい」
「そうですか。私はスモモ、このトバリジムのジムリーダーです。それで起きてすぐに尋ねるのもなんですけど、こちらに来たのは何用で?」
俺は知らない男性から急にここに連れられてジムに挑戦するよう言われた事を話す。確か話してはいけないと言われてた気がしたが、それを思い出したのは全て言い終わっての事だった。
「もう!それパパの仕業です、きっと!パパはいつも私の横に割って入ってお節介を焼くんです!もう私は立派なジムリーダーだって・・・いいえ、立派なジムリーダーとは程遠いんですけどね」
スモモは自身のジムリーダーとしての強さが足りないと嘆く。最近ジム戦をしても挑戦者に負けてばかりで、バトルの才能がないんじゃないかと思い悩んでいるらしい。
「なるほど、俺がここに連れて来られたのは明らかに若い駆け出しのトレーナーに見えたからか。それでスモモさんに勝ってもらって自信をつけさせようと」
「本当にごめんなさい!パパが失礼な事を!それもこれも私が弱くて頼りないジムリーダーだから・・」スモモはまた体育座りで1人で泣こうとする。
「あぁそんな事ないですよ。スモモさんは頑張ってます。多分」俺は目的を徐々に理解してきた。このままではジムに挑戦すら難しいかもしれない。何とか元気づけてスモモをやる気にさせなくては。
「う゛ぇぇぇん!やっぱり私なんかがジムリーダーなんて無理だったんだ!これじゃスズナちゃんとも絶交だよぉ!」
「スズナちゃん?確かあの寒くて有名なキッサキシティのジムリーダーだったはず。何故その人と絶交になるんです?」
「私とスズナちゃんは親友でっ、私がスズナちゃんの後にジムリーダーになった時に『お互いジムリーダーとして頑張ろうね!離れてもずっと親友だよ!』って励まし合ったのに、ひっぐ」
スモモの言いたい事が少し分かった気がする。スモモは強くなる事に少し焦っているのだ。それはスズナの強さに少しでも追いつかないと自分はスズナと親友でいることが出来ないという強迫観念。ジムリーダーとして務めを果たさないと、強くならないとという焦りがスモモの精神を崩壊させていく。
「ねぇスモモさん。スモモさんは立派なジムリーダーっていうのはどういうのだと思います?」
「ぐすっ、それはっ、強くて周りから頼られるカッコいいジムリーダーで・・」
「スモモさんは周りから頼られてますよ。ほらあそこにも、あそこにも」
俺がそう言い指を指した先には、柔道着の男性が道場の迷彩マントで隠れていた。いやスモモが気付かないのもおかしいが、俺が指を指して現れた柔道着の人の人数は俺の予想をはるかに上回る人数だった。どこにそれほどの人数が隠れていたんだ。
「師範、すみません!俺達、師範がジムリーダーとして悩んでいるのを知っていながら何もしてやれなくて!何か俺達でも出来る事ねぇか考えたんですけど、泣いてる師範の顔見て俺達なんかがっなんて思っちまいまして。弟子としてっ、何の役にも立てねぇのが不甲斐なくて」柔道着の男性が泣きながら話す。
この柔道着の人達はスモモが師範を務める道場の弟子達のようだ。俺はスモモに蹴られて目覚める前に聴こえた『あぁ泣かないで。笑顔でいてくれ』という弟子のぼそぼそ声に気付き、スモモの慕われている様子を感じとったのだ。
「スモモさん、あなたはこの人達全員に頼られています。この人達はあなたの強さに感銘を受けてあなたみたいに強くなりたいと弟子入りした方々です。あなたは決して弱くなんかありません。それに親友が肩を並べ合えるのは強さが追いついているからではありません。それはきっと互いが互いを愛しく思い合っているから、それだけなんだと思います。強さなんて関係ない、あなたとスズナさんはずっと親友です」
「私っ、私・・・!」
スモモはまた泣き崩れる。だがそれを見る弟子達の顔は涙と笑顔で溢れていた。
(手持ちポケモン バリヤードLv.40 ブビィLv.38エレキッドLv.39ゴンベLv.46)
※会員登録するとコメントが書き込める様になります。