2
彼女は控えめながらもはっきりとそう伝えた。
それならば、という声が小さく聞こえると剛田も渋々ではあるがわかりました。と言うと席に着いた。
「他に質問はありますか?」
降谷「それでも指揮を任せられた人間ですか。」
降谷はそう言うと立ち上がった。
「と、申しますと…」
降谷「部下に指示をしない。現場では自分の意見よりも部下の意見を優先すると。それによって混乱が起きる、任務に支障が出るとは考えないのですか。指揮を任せられたということは貴女にもそれなりの能力があるはずだ。……きちんと部下に仕事を振り分けるのも貴女の仕事です。それから、剛田。…いや、全員誰から与えられた仕事でも仕事は仕事だろう。まさか受けないなんてことはないだろうな」
剛田「も、もちろんです!!」
剛田はビシッと背筋を伸ばして答えた。
降谷「ということだそうなので。きちんと与えるべき仕事は与えて下さい」
「….わかりました!ありかとうございます!」
彼女はそう言って頭を下げた。
「では、会議は以上です!ありがとうございました!各自仕事に戻って下さい」
そう言われた部下達はぞろぞろと部屋を後にする中、(名前)だけは部屋に残ってコーヒーのカップなどを片付け始めた。
降谷「片付けの類なども部下に任せればどうですか。コーヒーの用意も。」
敬語ではあるがまるで降谷は年下である彼女に指導しているようでそれを風見が古谷の隣で気まずそうな顔で見つめていた。
「いえ!これは雑務ですから!先ほどの皆さんの様子からするとこのような雑務を任せれば更なる反感を買いかねませんので…;いざというときにきちんと動いて頂けるならこれくらい私がやればいいことですから^^;」
降谷「そういう態度だからなめられるんですよ」
彼女の弱気な態度に降谷は少しイラついている様子だった。
風見「あ、あの、自分がやります」
降谷の発するぴりっとした空気に耐えかねた風見がそう言ってカップを片付けようとするが彼女は既に全て片付け終えていた。
風見「あ…」
「ありがとうございます!お気持ち有り難く頂戴させて頂きました!さて、本部に戻りましょうか」
本部に戻るなり美弥妃の姿を見つけた剛田を中心にほとんどの男どもがキッと睨んでからすぐに手元の仕事を始めていた。
彼女のデスクには理事官から与えられた仕事が大量に置いてあった。
これは降谷も経験したことがあった。これはうまく部下達に回してこなすもので、周りの人間も普段から降谷のデスクに大量に置かれた資料を手に取っては片っ端から片付けていき、そのおかげで降谷が報告書にまみれることはなく潜入捜査をしながらでも他の業務にあたることができていた。
それなのに、彼女のデスクの資料には誰一人として手をつけた様子がなかった。
しかし美弥妃は文句を言う様子もなく、その書類の束を簡単に仕分けると部下のデスクを回ろうとしていたので降谷も心配する必要はないと思い黙って自分のデスクで仕事をすることにした。風見も同様に自分のデスクへと戻った。
「剛田さん、この書類を手伝っていただけないでしょうか…」
剛田「今忙しいんですけど。」
「そうですか。お邪魔してすみません。」
美弥妃は剛田に断られたのと同様に他の部下にも忙しいと言われる度にしゃぼんと肩を落としていたが一人一人、全員のデスクをまわっていた。
「風見さん、この書類を手伝って頂けないでしょうか…」
風見「わかりました。」
「えっ」
風見「何か?」
断られ続けていたからか彼女は渡す前に引っ込めかけていた書類をぎゅっと握って俯いた。
そしてまた顔を上げると口元が緩まないようにしているのか、必死に口をつぐんで少し頬を赤く染めたまま嬉し涙をためた潤んだ目を大きく見開いて風見にありがとうございます!と思い切り頭を下げた。
風見「い、いえ…それよりも書類を…」
「すみませんっ、えっと…これを…。」
風見「報告書ですか。…なら他の奴らに断られた分も一緒にやりますよ」
「いえ、とんでもないですっ!!そんなに量もないですし私一人で片付けられます!」
風見「でも全員分となると大変でしょう。せめて半分くらい」
「いえ、風見さんが今やっているであろうお仕事に追加しても今日は定時に帰れるように配分していますので!徹夜明けみたいですから早く帰って休んでもらわないと!……もちろん皆さんにもそのつもりだったんですけど、思ったよりもかかえてる仕事が多かったみたいで、私の采配ミスです。自分のやったことの落とし前は自分でつけるので大丈夫ですよ」
風見「お、落とし前って…;」
「では、宜しくお願いします。本当に、ありがとうございます!」
美弥妃は再びしっかりと風見に向かって頭を下げるといよいよ残る最後の一人、降谷の元へと急いで向かった。
「降谷さん、この書類手伝って頂けないでしょうか…?」
降谷「これだけですか。」
「はい!」
降谷「はぁ。…それも貸してください。」
「え、いや、これは私のなので!」
それならば、という声が小さく聞こえると剛田も渋々ではあるがわかりました。と言うと席に着いた。
「他に質問はありますか?」
降谷「それでも指揮を任せられた人間ですか。」
降谷はそう言うと立ち上がった。
「と、申しますと…」
降谷「部下に指示をしない。現場では自分の意見よりも部下の意見を優先すると。それによって混乱が起きる、任務に支障が出るとは考えないのですか。指揮を任せられたということは貴女にもそれなりの能力があるはずだ。……きちんと部下に仕事を振り分けるのも貴女の仕事です。それから、剛田。…いや、全員誰から与えられた仕事でも仕事は仕事だろう。まさか受けないなんてことはないだろうな」
剛田「も、もちろんです!!」
剛田はビシッと背筋を伸ばして答えた。
降谷「ということだそうなので。きちんと与えるべき仕事は与えて下さい」
「….わかりました!ありかとうございます!」
彼女はそう言って頭を下げた。
「では、会議は以上です!ありがとうございました!各自仕事に戻って下さい」
そう言われた部下達はぞろぞろと部屋を後にする中、(名前)だけは部屋に残ってコーヒーのカップなどを片付け始めた。
降谷「片付けの類なども部下に任せればどうですか。コーヒーの用意も。」
敬語ではあるがまるで降谷は年下である彼女に指導しているようでそれを風見が古谷の隣で気まずそうな顔で見つめていた。
「いえ!これは雑務ですから!先ほどの皆さんの様子からするとこのような雑務を任せれば更なる反感を買いかねませんので…;いざというときにきちんと動いて頂けるならこれくらい私がやればいいことですから^^;」
降谷「そういう態度だからなめられるんですよ」
彼女の弱気な態度に降谷は少しイラついている様子だった。
風見「あ、あの、自分がやります」
降谷の発するぴりっとした空気に耐えかねた風見がそう言ってカップを片付けようとするが彼女は既に全て片付け終えていた。
風見「あ…」
「ありがとうございます!お気持ち有り難く頂戴させて頂きました!さて、本部に戻りましょうか」
本部に戻るなり美弥妃の姿を見つけた剛田を中心にほとんどの男どもがキッと睨んでからすぐに手元の仕事を始めていた。
彼女のデスクには理事官から与えられた仕事が大量に置いてあった。
これは降谷も経験したことがあった。これはうまく部下達に回してこなすもので、周りの人間も普段から降谷のデスクに大量に置かれた資料を手に取っては片っ端から片付けていき、そのおかげで降谷が報告書にまみれることはなく潜入捜査をしながらでも他の業務にあたることができていた。
それなのに、彼女のデスクの資料には誰一人として手をつけた様子がなかった。
しかし美弥妃は文句を言う様子もなく、その書類の束を簡単に仕分けると部下のデスクを回ろうとしていたので降谷も心配する必要はないと思い黙って自分のデスクで仕事をすることにした。風見も同様に自分のデスクへと戻った。
「剛田さん、この書類を手伝っていただけないでしょうか…」
剛田「今忙しいんですけど。」
「そうですか。お邪魔してすみません。」
美弥妃は剛田に断られたのと同様に他の部下にも忙しいと言われる度にしゃぼんと肩を落としていたが一人一人、全員のデスクをまわっていた。
「風見さん、この書類を手伝って頂けないでしょうか…」
風見「わかりました。」
「えっ」
風見「何か?」
断られ続けていたからか彼女は渡す前に引っ込めかけていた書類をぎゅっと握って俯いた。
そしてまた顔を上げると口元が緩まないようにしているのか、必死に口をつぐんで少し頬を赤く染めたまま嬉し涙をためた潤んだ目を大きく見開いて風見にありがとうございます!と思い切り頭を下げた。
風見「い、いえ…それよりも書類を…」
「すみませんっ、えっと…これを…。」
風見「報告書ですか。…なら他の奴らに断られた分も一緒にやりますよ」
「いえ、とんでもないですっ!!そんなに量もないですし私一人で片付けられます!」
風見「でも全員分となると大変でしょう。せめて半分くらい」
「いえ、風見さんが今やっているであろうお仕事に追加しても今日は定時に帰れるように配分していますので!徹夜明けみたいですから早く帰って休んでもらわないと!……もちろん皆さんにもそのつもりだったんですけど、思ったよりもかかえてる仕事が多かったみたいで、私の采配ミスです。自分のやったことの落とし前は自分でつけるので大丈夫ですよ」
風見「お、落とし前って…;」
「では、宜しくお願いします。本当に、ありがとうございます!」
美弥妃は再びしっかりと風見に向かって頭を下げるといよいよ残る最後の一人、降谷の元へと急いで向かった。
「降谷さん、この書類手伝って頂けないでしょうか…?」
降谷「これだけですか。」
「はい!」
降谷「はぁ。…それも貸してください。」
「え、いや、これは私のなので!」
※会員登録するとコメントが書き込める様になります。