桃太郎③
語り部「前回一触即発の雰囲気になった平太郎一行と鬼達。鬼を退治する理由すら聞かされずここまでやってきた平太郎達一行は、仲間内での牽制のし合い。無事村へと帰ることが出来るのだろうか。そもそもここに来た理由があるのだろうか。平太郎は一体どのような行動に出るのだろうか。」
藤堂「……俺たち本当何しにここに来たんだよ。土方さん達村から宝盗んだわけ?」
土方「コイツはとにかく俺がそんな事するわけねぇだろうが。それにお前に鬼退治行くように言った俺が何でいつの間にか倒される側になってんだ」
藤堂「それは知らねえよ…総司が配役決めたんだろ?そんなん…理由なんて一つだろ」
薫、不知火「(こいつら実は仲悪いのか?)」
土方「ったく…俺は裏方でいいってんで着たってのに。総司が珍しく乗り気だったのを疑問視すりゃよかった」
斎藤「総司。あんた一体どうするつもりだ?鬼退治の理由は台本の方にも書かれていないぞ。この先どう繋いでいくつもりだ」
沖田「んー?理由ならあるじゃない。ほら、この間公布された「人気投票」とかってやつで、君ら全員鬼さん2人より人気票下だよ」
平太郎一行「「「「…………」」」」
語り部(斎藤)「(これを読むのか…?)えー…ここにいる人間の人気投票結果のみ公表する。
平太郎組
5位藤堂平助
8位山崎烝
9位南雲薫
9位 不知火匡(同率)
鬼組
3位土方歳三
4位風間千景…となっている」
沖田「ほらね。平助は5位でも十分凄いとか思うかもしれないけど、考えて見なよ。薄桜鬼の主要人物って誰なのさ?4位に敵方が出るって可笑しいと思わない訳?」
鬼B(土方)「何言ってんだ総司…俺たちは己の信念を貫いていくだけだ。そんな下らねえことでこいつ等が争う理由になるなんて…」
藤堂「そうだよな…山崎たちとは違って俺は土方さんと同じくらい出てたってのに5位…しかも俺より出ていなかったあの金髪より人気が低いなんて許せねえ!」
山崎「と、藤堂さん…それは副長が何か操作したわけではありませんし、それを副長に怒りをぶつけるのは些か」
藤堂「でも山崎君、土方さんはまぁ京でも人気だしいいとしても…何で俺たちより出番の少ない金髪に負けるんだよ…!?」
山崎「そ、それは…確かに新選組の組長たちを差し置いて鬼が入るというのは納得できないと言ったら…そうなのですが」
不知火「そりゃお前らの活躍がその程度だったって事だろ。それを鬼側のせいにされちゃあなぁ?」
薫「まさに負け犬の遠吠えだね。君の方が犬がお似合いなんじゃない?今からでも代わってあげようか?」
藤堂「9位のおじさんと子供は黙っててよ。」
猿・犬「………(何でコイツと同率なんだ)」
藤堂「とにかく!これで戦う理由が出来たって事だよね。覚悟しててよおじさん達」
風間「…ふん、貴様と手を組むのは癪に障るが、今この場でのみ俺の部下でいることを許可しよう」
土方「いらねえよそんな許可!落ち着け平助…大体がお前たちは勘違いしている」
藤堂「この場に及んで何を勘違いしてるっていうのさ!」
土方「確かに上からのお触書にはそんな人気投票結果が入ってきていたのは間違いねぇ。俺だってお前たちを差し置いてこの阿保鬼が入ってきたことに不満は感じている」
藤堂「土方さん…」
土方「だがよく考えてみろ、こいつは4位、俺が3位ってことはあと2人上位がいるってことだ。その上位2人は…」
沖田「土方さんあぶなーい」
土方「……っ!?総司てめぇ、なにしやがる!?」
沖田「土方さんが無防備に立っていたから助けようとしただけじゃないですか~なのにそんなに目くじら立てちゃって。やだな~」
山崎「俺には沖田組長が副長に斬りかかったように見えましたが…」
沖田「それは君の勘違いでしょ。別にここで土方さんを葬っちゃって、事故に見せ掛けて処理しようなんて思ってないから安心しなよ」
土方「絶対本心だろうが…!今日という今日はもう許せねえ。2位のお前に俺が恨みを抱かれる覚えはねえ!」
藤堂「総司が2位なのか!?」
沖田「あーあ、一君にも「6人以外のは読んじゃだめだよ」って伝えて言わせないようにしてたのに。なんで言っちゃうかなぁ」
薫「沖田、お前が2位だなんてね。名実共にここで君を斬れるって訳だね」
沖田「君に僕が斬れるとは到底思えないんだけど?」
不知火「どうすんだこれ。南雲以外はただの新選組(やつら)の内輪もめじゃねえか…」
風間「ふん。興が逸れた。しかし貴様、まさか猿役としてここにくるとは思わなかったが、貴様には似合いだな。」
不知火「うるせぇな。街歩いてたらあの沖田って奴に腕掴まれて無理矢理この衣装押し付けられたんだよ…そんなことより天霧のおっさんどうした」
風間「あやつは留守番だ」
不知火「(俺も留守番してりゃよかった)」
藤堂「つい総司の吹っ掛けに乗っちゃったけど、なんか別のとこで争い起きたな…山崎君」
山崎「主に沖田さんが反感を買っているようですが…あの人の場合楽しんでいますね」
藤堂「どうするんだこの演劇。俺怖くて客席側見れねえよ…絶対子供ぽかーんとして見てるだろこれ。」
山崎「大半帰っている可能性もありますね。平太郎一行と鬼の争いではなく、最早内輪もめですので。先程一組の親子が帰っていくのを見ましたよ。「しっ、見ちゃダメ」とか聞こえました」
藤堂「それ新選組の評判落としてないか?」
山崎「…………」
斎藤「副長、落ち着いてください。まだ町の子供達が見ています。総司、あんたもそれ以上副長を煽るな」
沖田「煽ってないよ、勝手にどっかの鬼の副長さんとおちびちゃんが僕に突っかかってきてるだけで。」
斎藤「それを煽っていると言っている…」
その後、演劇が無事済むはずはなく、後日屯所へとやって着たのは例の劇に対する評判のいい声……などではなく。壊れた舞台の修理代だけが残された。
土方「二度と演劇なんてやらねえ…!」
(いえ、まだ演劇させます)
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