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貞操逆転in 咲 京ちゃんは淑女なのか?

原作: 咲-Saki- 作者: リョーマ
目次

宮永咲 粗筋と導入

ある朝、清澄に登校のさなか。俺(須賀京太郎)と登校中の彼女、宮永咲の様子がおかしい。


麻雀を打つ時の彼女は、それはもう鬼神の如きオーラで、誰も寄せ付けようとしない。だが尋常、咲は良くも悪くも高校生然、凡だが、可愛らしい少女だ。


ーーそれが今朝はどうだ。こんなチャラチャラしたにへら笑いを浮かべて、胸をはだけて。女子高校生なのに、まるで下半身の疼きを抑えきれないヤリチンの如きオーラを感じてしまう。貞操の危険を覚える。




そして、これは学校が終わってから気付いたことだが、このヤリチン異様は咲だけではなかった。部長も、染谷先輩も、タコスも、否女子の全てが、みな平等にそのヤリチンオーラを発している。





獰猛に、獲物を狙うような、メスを捕らえるような、そんな風体。或いは性欲爆発をエンジョイする男子高校生か。男なのにも関わらず性暴力的な身の危険を、切実にそれは切実に感じてしまう。というか単純にその豹変がこわい。






さて時は放課後、目下清澄高校麻雀部部室。俺は少女宮永咲と雀卓に同席している。先ほど迄の独白を聴いてくれたお前たち(読者)ならよく解ると思うのだが、これは非常にまずい事態だ。



確かに男という体格面において彼女に肉体の勝負では負けるはずはない。しかし、なんというか、その、勝てないのだ。なぜなら、使い古した言い回しではあるが、まるで天地がひっくり返ってしまったように、今のこの世界は男女の貞操観念が逆転してしまっている。


つまり、咲に本能的なところ(メスの本能)で敗北してしまっている。

動物界のみならず、この性欲界における理、弱肉強食は俺の意識を絶対的に抑え込んでいた。



ああ、ああああああ。かてない、かてない(まける)。かてない(犯される)。

「京ちゃあん、ねえちょっといいかな……♡」

咲の嬌声が、今この時をもって俺の耳に届けられた。





さてさて、男児たる須賀京太郎にギリシアのヘラクレスのような試練が課されようとしている。


京ちゃんは、180を超える身長を、たくましく表象する屈強で雄々しい男児なのか。

それとも花も恥じらう(女にされてしまう)乙女的淑女なのか。審判はいま、なされようとしている。





ーーー







「京ちゃん......」
「京ちゃあん♡ 京ちゃあん♡」

咲は嬌声を発しながら、俺に一歩一歩と歩を進める。


俺は、狂騒を後にして、疲労からとりあえず座れる場所を探して、麻雀の部室にあった雀卓に腰掛けていたのだから、咲の凶行を眼前に納めたために、咄嗟に雀卓から離れ、咲から後退した。









「なあ......なあなあなあ咲、いや咲さん? 咲様? どうしたんでしょうか?」

「うふふ京ちゃん、私ねぇ♡ 私。ちょっとお股の疼きが抑えきれなくてねぇ♡」

まるで話を聞こうとしていなかった。何も普遍や一般常識は通じないないが、目視での観察の上、その言動や顔の紅潮具合から全く欲望に忠実であることは見て取れる。



「京ちゃあん♡ 私今までね、男の人って怖かったんだ」

「......なんだいきなり?」

「男の人って、例えば和ちゃんに対する反応を見てもらえればわかると思うんだけど、胸ばっかり見るじゃない?」

「確かに......それは」

「そういうの見て思ってたんだよ。『あっ、この男の人、和ちゃんに欲望してる』ってね。
和ちゃんはオカルトにも鈍感なように、そういう他人の目線からも鈍感なんだよね。だけど私は違ったの。あの男の人の目線が、私に胸はないとしてもだよ? 私はロリータの体系をしているから和ちゃんを襲ったような視線がいつか私に向かうんじゃないのかなって、ドッキドキの不安がいつも胸に屯してた」

「だから男の人と会うときはいつもびくびくしていたの。そのいやらしい目線、こわい視線をくれないで、やだぁ、こわいよぉってね」



「もちろん、程度の差はあれ京ちゃんも例外じゃないよ? わかってるよね?」


「こんな恐怖を、私は全国に出てから余計感じるようになっちゃった。テレビに映るし、ネットの掲示板を見てみても、たしかに私に欲情している人がいて、間接的にその存在をしれちゃった」


「—でもね、変わったんだ、今朝。登校中にね? 視線を感じなくなったの」


「なんでだろうって思ったよ? だけど何より視線を感じなくなったのが嬉しくて嬉しくてたまらなくってね、そんなのどうでもよかったの。京ちゃんさ、朝、私機嫌が良かったの気づいた?」

一見、咲の深刻そうな告白を、無理矢理嚥下する。そうしてため息をつきながらも、咲の質問の答えを探ってみる。


咲は俺がみた限りでは上機嫌というか、性欲剥き出しお猿さんの具現化にしかみえなかったが、そこら辺を無視して考えれば、たしかに機嫌が良かった。

「うんうんうなづいて可愛いね京ちゃん♡ そう、すごく機嫌が良かったんだよ、私、今もいいんだけどね。それでこの開放感からかな? 京ちゃんがすっごい素敵にみえるの! そのスボンの上からでもわかる大きい大きいチ◯ポとか! たかーい身長! 凛々っとした男の子らしさ! もう全身カッコいいよ京ちゃん!」



「—だからさ、私とえっちしない? 水揚げしてよぉ! 京ちゃん京ちゃん京ちゃああああああん」




そう言いながら、咲は距離を詰め、俺は窓からの斜光に苦しみながら後退する。もっとも俺の心を苦しめているのは途中までは迫真の心情吐露であったが、後半からは全てくだらない咲の告白に関してだが、それは置いておいて、まずこの状況に対処しなければならない。




一歩、一歩距離を詰める咲と、それに合わせて俺は壁へ壁へと後退する。
そしてドンっという音がして、気づけば後はなくなっていた。


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