恋人主 R-18
「総くん、大丈夫!?」
「大丈夫、大丈夫だから落ち着いて!」
そんなこと言われたって、恋人が隔離されていると知って落ち着いていられる方がおかしい。
私の肩を掴んで必死に止める近藤さんと、私に事の次第を話したことを殴って咎めている土方さんと、その殴られている山崎さん。
大の大人4人が揃いも揃って、拷問室前でうろうろと落ち着きなくしていて。
約束の時間になっても待ち合わせに現れなかった総くんに電話したものの、その電話には総くんでは無く近藤さんが出た。
総くんが体調を崩して会えないと聞き、心配で屯所まで来た私に山崎さんから真相を聞いて心臓が止まりそうなくらいにショックを受けた私は、山崎さんの制止を振り切って拷問室に向かって。
場所は前に総くんがビビらせようと見せてきたことがあったから分かっていた。
何よりも、近藤さんと土方さんがその扉の前に神妙な面持ちで立っていたのだから目立たない筈がない。
最近になって宇宙毒物劇物取扱免許なるものの資格を取った総くんは、毒物の入手に研究者と会い、お目当ての毒物以外にも勧められた研究物を口にしてしまったらしい。
「大丈夫だから!落ち着け!」
「離して下さい!総くんに会うまで納得しません!」
「アンタには会わせられねーんだ!
頼むから理解してくれ!」
私に会えない程に酷いの…!?
そんなの、余計会わないわけにはいかない。
火事場の馬鹿力のように、土方さんの手を振り払って私は扉に手を掛けて総くんの名前を叫ぶ。
他の人には内密だったのか、様子のおかしさに集まって来た隊士達を見た土方さんが、舌打ちしながら私の口を手で塞いだ。
「近藤さん、やっぱこいつに任せるのがいいんじゃねぇのか?」
「んなこと言っても総悟が自ら拒否してんだ。
誰にも見られたくねぇとかで、自ら手縄を掛けさせて拷問室に閉じ籠って。」
総くんが自ら手縄を…?
ドSの化身みたいな総くんが自ら手縄だなんて、あまりに異常過ぎる。
そんなに暴れる程に酷いのだろうか。
私も暴れるのをやめて、ぽんぽん、と土方さんの手を叩くと、土方さんも静かに私の口から手を離してくれた。
「総くんは一体何を口にしたんですか?」
「あー…その、あれだよ。それ自体は本来通りに使用すりゃ元気になるくれぇで済むそうなんだが…。
アイツ、本来10mlで使用する物を誤って100ml口にしてしまったらしくてな。」
「…ん?あの、だから何が、ですか?」
土方さんに振り返りながら問いただすも、土方さんはゴニョゴニョと口ごもる。
……あの土方さんがモジモジするなんて気持ちわ…いや、おかしい。
「よし、やっぱ彼女に任せよう。」
「だから何がですか土方さん。ちゃんと詳細を」
「会えば分かる会えば!
山崎、食料と大量の水とタオル持って来い。」
「はい!」
「いやいやいや!トシ!やっぱやめとこう!
屯所内で彼女の悲鳴なんて聞きたくない!」
「んじゃ近藤さん含め隊士全員外に出てりゃいい。
屯所は俺一人で守るから。」
「それに総悟に殺されるし!!」
「…あのまま一人で耐える方が余程キツいと思うが。」
何やら半泣きの近藤さんと呆れかえっている土方さんが揉めている間に、山崎さんが言われた通りの物を台車に乗せて持ってきた。
「因みに、普段総悟とは…その、ちゃんと避妊とかしてる?」
「なんですか土方さん、セクハラですか?
いくら土方さんでも許されませんよ、訴えますよ。」
「俺はアンタの為にだなぁ!!」
「はいはいはい!副長落ち着いて!!
大丈夫ですよちゃんと準備しましたから!
あの、これ。
沖田隊長の部屋から持ってきました。
一応、全部です。護身用に使って下さい。」
「……は?」
護身用ったって……これ、避妊具ですけど。
え?なに?元気になるってそういうこと?
山崎さんから手渡された袋には、数箱の避妊具が入っていて。
それにしたって総くん、一体何箱買い置きしてんの?
以前にゴムにはこだわりがあるみたいな話してたけれども。
「これも、護身用に持っとけ。
あと、マジでヤバいと思ったらこの防犯ベルを鳴らせ。
俺が助けに入る。」
そう言って土方さんが懐から出して私の手に持たせたのは、懐刀と一般的な防犯ベルだった。
近藤さんが泣きながら頑張れよー!と私の頭を撫でてから、土方さんと山崎さんと、周りで様子を伺っていた隊士の人達を連れて行ってしまった。
大量の物資と装備に、応援。
まるでラスボスを倒しに今から冒険に出発!みたいな状態で、拷問室の前にぽつんと私一人。
取り敢えず、総くんがどんな状態なのかは察した。
重い扉を開いて、台車と一緒に中に入る。
薄暗い部屋の中で、総くんの荒い息が聞こえて来て、そちらの方に近寄って行った。
「…総、くん。」
総くんは隊服で後ろ手を縛ったまま、床に転がっていた。
苦しそうに眉間に皺を寄せて、伝う程に汗を流していて。
私の姿を見つけると、心底嫌そうに顔を引きつらせていた。
「…来させんなっつったのに。」
「取り敢えずお水飲もう?
このままじゃ脱水で死んじゃうよ。」
「るせー、近寄んな…。」
お水を手に取った私に、早く出ていけと顔を背ける総くん。
顔が火照り、息を荒げながら眉間に皺を寄せて汗を浮かべる総くんは悩ましい程に淫靡だった。
こんな状態の総くんを見て、
欲情しない方がおかしい。
パキッ、とペットボトルの封を開ける音が響く。
その口を自身の口につけて咥内に溜め込む。
総くんが手を拘束されて抵抗出来ないことをいいことに、顎を掴んで上へ向かせ、唇を重ねる。
ビクッと揺れた総くんが身動ぎをするも、顔を固定させたまま私はゆっくりと咥内の水を総くんの口へ移す。
観念したのか、身動ぎを辞めた総くんが唇を閉じてその水を喉に流したのを確認してから、私は総くんの服を脱がせられる範囲で脱がしていった。
「なに、やって…。」
「そんなの、ひとつじゃない?」
にっこり笑ったつもりだったけど、もしかしたら悪どい顔になっていたかもしれない。
でも、しょうがないでしょう?
私を欲情させた、総くんが悪いんだから。
総くんの手首を拘束させたまま、タオルを数枚敷いた上に総くんを座らせ、見に纏う全ての物を脱ぎ捨てた私が跨がり腰を揺らす。
もう何回イっているのか分からないくらい、総くんは私にイかされ続けていた。
「あ"ッ!っ、イく!っく、ああ"ッ!」
普段は余裕綽々で私を攻めている総くんが、私の手によって涙を溢す程に感じて、イき狂っている。
主導権を握っての行為がこんなに気持ちがいいだなんて、初めて知った。
「すっごい…もう精子は少なそうだけどまだ出そうだね。」
「…っ、おい、縄…切れ。」
「総くんが自ら拘束したんでしょ?
自分で抜くのは癪だから、抜かないようにって。」
それに、私が気持ち良くするから必要無いんじゃない?
そう言いながら、殆ど透明の体液が出された避妊具を外し、縛って袋に入れる。
苛立ったように縄を切ることだけを要求する総くんに、私は髪を耳に掛けて萎えることのないそれを口に含む。
これだけイき続けてたら、気持ち良いっていうよりむしろ苦しいだろうなぁ…。
早く気絶なりなんなりさせて、楽にさせてあげたいんだけど…。
「っく……うっ、ぐッ!!」
咥内に出されたそれを、ごくんと胃に流し込んだ。
私の肩に凭れかかるようにして頭を乗せる総くんは、苦しそうに息を乱している。
出しても出しても萎えない辛さは、女である私には分からない。
それでも、苦しんでいる総くんを見ているのは酷く胸を締め付けられた。
「なぁ…頼む…縄、切ってくれ…。」
「だから、総くんが…。」
「お前が目の前にいんのに抱き締められねェのが、
……一番、キツい。」
そんな言い方、ズル過ぎる。
私は脱いだ服の塊から懐刀を探り取り、総くんの後ろに回って縛っていた縄を切ってあげた。
手首は痛々しいくらいに腫れていて、総くんが暴れていたであろうことが容易に想像出来た。
「…私、土方さんに傷薬もらってくる。」
「いらねぇよ。」
低い声でそう言った総くんが鞘に納めた懐刀を台車の荷物の上に乗せ、私の手を引っ張ってタオルの上に寝かせた。
「そう、」
「…舌、噛むなよ。」
玉のような汗を私の肌に落としながら、いつの間にか避妊具を着用していた総くんは一気に私の中へそれを貫く。
もう解してあるとは言え、先程のように自分のペースでは無く、余裕の無い総くんのペースで激しく肌をぶつける音を響かせた。
「ひぎ、ぃあ"!あ"ッ!!」
「っはは、すげー声…ッ。」
獣のように笑った総くんが、私の肌に歯形をつけていく。
歯を突き立てられながら、殆ど犯されているような行為だというのに、先程言っていた通り私をその腕にぎゅっと抱き締めてくれていた。
「テメーさっきはよくもやってくれやがったな…。
…ガバガバになるまで犯してやるから覚悟しろよ。」
「う"!?あ"!イく、イくっああ"──ッ!」
結局、薬の効果は5時間くらいで切れたものの、
泣き喚いてぼろぼろになった私と疲れてはいるもののすっきりした総くんが拷問室から出た時には、私の方が脱水症状を起こしかけていて。
何のために防犯ベルを持たせたと思ってんだと私が土方さんに滅茶苦茶怒られる羽目になった。
その土方さんが、そもそもの総くんのお目当てだった毒物によって厠送りにされたのは言うまでも無い。
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