二人の初勝利
かくして、冴えない男ハルマの借金を賭けた熱い夜は終わった。
正確にはその借金はレインが引き受けたことになるのだが、ともかく・・・。
1億3千万という圧倒的な大金を手にして、終えることができたのだ。
「悪いねハルマさん、金運ぶの手伝ってもらって」
「そりゃぁお前、その左腕じゃあトランク持てないだろう」
二人はショットの屋敷から出て、夜の外灯の下を歩いていた。
ショットガンで吹き飛んだレインの左腕は、飛び散った部品を回収してそのままになっている。
なんだか機械じみた部分がそのままむき出しになっていて、ちょっと気持ち悪さを覚えたので、上からハルマがハンカチを巻いてあげている。
「こうなるとしばらくバランスも取れなくて大変なんだ。助かるよ」
「それにしても・・・まさか義手だったなんてな」
改めて先ほどの屋敷でのギャンブルを振り返るハルマ。
レインとしては、恐らく最初から「撃たれて勝つ」シナリオを思い描いていたのだろうか。
最も重要な「どこに弾が入っているか」を確定付ける要素を発見し、それを最大限利用する形を思いついたのあろう。
きっかけは、浮かれたショットの失言だったわけだが。
「その義手は直るのか?」
「あぁ、それは大丈夫。腕利きのドクターがいるんだ」
「そうか・・・正直、全く気付かなかったよ」
自然な人の腕に見えるように、かなり工夫が凝らされていたように思う。
パッと見た限りでは誰も気づけないだろう。
「たまに痺れて力が入らなくなったりするんだけどね。ま、今回はそれが役に立ったけど」
「役に・・あ、まさか、銃を落としたのってそのせいか!」
「文字通り、怪我の功名ってやつだね」
戦いの緊張も終え、二人は弛緩した会話をしていた。
「ま、とにかく金を家まで運んで今日は飲もうぜハルマさん。今回の勝負に立てたのもあんたのおかげだし、感謝してるよ」
「こちらこそ、結局借金はチャラになったしな。まさか早飲み対決で負けてこんなことになるなんて思わなかったよ」
ふふふふ、と笑うレイン。
今日一番の無邪気な笑顔に、なんだか少し和んだような気分になる。
「じゃ、今日もエールの早飲み対決で、ギャンブルといきますか」
「言ったな?今度は負けないぞ。大人をあんまり舐めるなよ」
「ふふふ、なんだかハルマさんとはいい友達になれそうだよ」
こうしてみると、あの恐ろしいギャンブルを乗り越えた子供なんだということを忘れそうになる。
ハルマよりも一回り小さい、若い若い少年。
レインが銃を向けられた時にしていた、思考を巡らせる真剣な表情を思い出し、ハルマは空を見上げて考えた。
これからも、こいつをこのまま見ていければ、と。
正確にはその借金はレインが引き受けたことになるのだが、ともかく・・・。
1億3千万という圧倒的な大金を手にして、終えることができたのだ。
「悪いねハルマさん、金運ぶの手伝ってもらって」
「そりゃぁお前、その左腕じゃあトランク持てないだろう」
二人はショットの屋敷から出て、夜の外灯の下を歩いていた。
ショットガンで吹き飛んだレインの左腕は、飛び散った部品を回収してそのままになっている。
なんだか機械じみた部分がそのままむき出しになっていて、ちょっと気持ち悪さを覚えたので、上からハルマがハンカチを巻いてあげている。
「こうなるとしばらくバランスも取れなくて大変なんだ。助かるよ」
「それにしても・・・まさか義手だったなんてな」
改めて先ほどの屋敷でのギャンブルを振り返るハルマ。
レインとしては、恐らく最初から「撃たれて勝つ」シナリオを思い描いていたのだろうか。
最も重要な「どこに弾が入っているか」を確定付ける要素を発見し、それを最大限利用する形を思いついたのあろう。
きっかけは、浮かれたショットの失言だったわけだが。
「その義手は直るのか?」
「あぁ、それは大丈夫。腕利きのドクターがいるんだ」
「そうか・・・正直、全く気付かなかったよ」
自然な人の腕に見えるように、かなり工夫が凝らされていたように思う。
パッと見た限りでは誰も気づけないだろう。
「たまに痺れて力が入らなくなったりするんだけどね。ま、今回はそれが役に立ったけど」
「役に・・あ、まさか、銃を落としたのってそのせいか!」
「文字通り、怪我の功名ってやつだね」
戦いの緊張も終え、二人は弛緩した会話をしていた。
「ま、とにかく金を家まで運んで今日は飲もうぜハルマさん。今回の勝負に立てたのもあんたのおかげだし、感謝してるよ」
「こちらこそ、結局借金はチャラになったしな。まさか早飲み対決で負けてこんなことになるなんて思わなかったよ」
ふふふふ、と笑うレイン。
今日一番の無邪気な笑顔に、なんだか少し和んだような気分になる。
「じゃ、今日もエールの早飲み対決で、ギャンブルといきますか」
「言ったな?今度は負けないぞ。大人をあんまり舐めるなよ」
「ふふふ、なんだかハルマさんとはいい友達になれそうだよ」
こうしてみると、あの恐ろしいギャンブルを乗り越えた子供なんだということを忘れそうになる。
ハルマよりも一回り小さい、若い若い少年。
レインが銃を向けられた時にしていた、思考を巡らせる真剣な表情を思い出し、ハルマは空を見上げて考えた。
これからも、こいつをこのまま見ていければ、と。
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