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ペルソナ5:OXYMORON……賢明なる愚者へ。

原作: その他 (原作:ペルソナ5) 作者: よしふみ
目次

第五十五話    情報収集依頼


 モルガナは双葉の発言に心配になった。彼女の情報収集能力の高さは認めるが、その高さゆえに邪悪だったり下品だったりする情報に汚染されてしまいそうな気がしたのだ。

『おい、双葉、あまり変なサイトに毒されるなよ?』

『安心しろ。私の心には理性と常識という名のフィルターが常備されている。悪い情報はな、そーんなに心へ残さないようにしているんだ』

「いい心がけだ」

『だろう?……まあ、だが……さすがに私も少々、眠い。先ほどまで、同志たちと配信されたばかりのアニメを見て、深く語り合うという部活動を行っていたしな』

「精が出るな」

『そんな感想でいいのか?夜更かしし過ぎだぞ』

『いいんだよ、モナ。私なりの青春って、たぶん、そういう色をしているんだと思う』

『オタク色か』

『悪いか?』

「友人が出来たのは良いことだ」

『おう。さすがだな、蓮はよく分かってる!きっと、そこが大事なトコだ。何をするかってより、誰とするかだ……って、友情を語っているのに、眠くなって来たなー……』

「すまないな。部活終わりに」

『いやいや、気にするな。無問題だ……とりあえず、聖心ミカエル学園の七不思議って情報は集めておいてやるからな』

「ありがとう。おそらく、今夜はもう出ないだろう。幽霊だって疲れたはずだ」

『……疲れるのかな?』

 モルガナは疑問符のついた言葉を放ちながら、首を傾げてみる。

『ありえるゾ。幽霊であろうとも、異世界の住人。私たちがあっちに行くと疲れるように、あっちも私たちの世界に干渉しようとすれば疲れるかもな。それに、蓮やモナに異世界で戦ったのなら、消耗ぐらいしてるだろう』

『なるほど。たしかに、我が輩はあの幽霊の腕を斬ったしな』

『うお。モナ、スゲー。ゴースト・バスターだ』

『……むう。不本意ではあったんだがな』

『だろうな。ネットに書いてあるウワサでは、自殺した幽霊は女の子だってハナシだもん。モナは女の子を攻撃するのは、イヤだろ』

「オレたちを守るには、他に手段がなかった」

『そうだ……って、コトバを使って自己弁護する気にもなれないぜ。罪深いコトはしたような気持ちだ。コレは、何を言われても変わらない』

「モルガナはガンコだからな」

『でも、そこがモナらしいと思うぞ。あまり落ち込むな』

『……おう。わかってるさ』

『とにかく……情報収集は任せておけ。フツーの学校一つの情報だ。明日の昼までには情報なんて集め終わってると思う。まあ……ネット上に無い情報ってのも、当然だけど、ある。そういうのは現地にいる蓮とモナが足を使って収集するしかない』

「任せろ。そういうのは得意だ」

『あはは!さすがだなー、蓮。とにかく……そういうことで。さすがに、眠いぃ……サラダバー……』

「おやすみ」

『遅刻するなよ』

 双葉との通話がオフになる。

『……よし。双葉に任せておけば、ネット上の情報収集は十分過ぎるだろう。我が輩たちがやるより何倍も効率的に行えるはずだしな。あとは、明日の……いや、もう今日だな。とにかく、放課後や昼休みを使って、聞き込みをして回ろうぜ』

「……そうだな」

 蓮とモルガナが意志を込めた視線を交わし合った時、間延びした声が響いた。

「お、お待たせしましたー。ぱ、パンツ……じゃなくて、着替えとか、着替えとか、着替えとかをバッグに詰めてまいりましたー」

 ドアが開いて、城ヶ崎シャーロットが自室から現れる。パジャマ姿のままだが、肩から大きなバッグを下げていた。

「準備は出来たのか?」

「は、はい!お、お泊まりモードの準備は……っ」

『そうなんだケド、なんか意味合いが違って聞こえるな……まあ、いい。我が輩たちも、すぐに家に戻って眠ろう。城ヶ崎の自転車を使って、移動するぞ』

「うん。二人乗りなら、レンレンのお家まで、あっという間に着いちゃうもんねー。じゃあ、行こう。ついて来て」

「ああ」

 城ヶ崎シャーロットについて、蓮とモルガナは移動を開始する……城ヶ崎は通学用のバッグも抱える……なのにで、紳士の道に準じて、大きなバッグの方を蓮は持ってやることにした。

「えへへ。ありがとー。重いから、気をつけてね」

「……だと思った」

 蓮は覚悟して受け取る。まあ、それなりには重い。理不尽な重さではないことに安心した。

「意外と軽い」

「さすが、男の子」

「何が入っているんだ?」

「そりゃあ、パンツ……というか、着替えだもん。衣類だけだから、そーんなに、重たくはないよ」

「そうか」

「そうです」

 納得した。服や下着しか入っていないなら軽いものだ。

「……そ、想像とか、してないよね?」

「なにをだ?」

「い、いや。私の、ぱ……ぱじゃーま!」

『パジャマは着ているだろ』

「う、うん。いや、とにかく、その……レンレン、こっちのバッグ持って。男の子に下着とか持たせてると思うと……なんか、照れるし」

「分かった」

 蓮はバッグを交換する……相変わらず、城ヶ崎シャーロットの通学バッグはやけに重たい。

「……軽くならないのか?」

「お、乙女には、色々と必要なものが多かったりするんだよ」

「……そういうものか」

「そうなんです。さあ、ついて来て!」
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