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バカとテストと転校生

原作: その他 (原作:バカとテストと召喚獣) 作者: のんの
目次

第四問③

「それにしてもさ」


「ん?」


「Dクラスとの勝負って本当に必要だったの? 別にエアコンくらいなら他の方法でも壊せたと思うけど」


「あ、それ俺も気になった」


「ああ、そのことか」



 帰り道。聞けば、俺とこの二人は家の方向が一緒らしい。本来ならばこんなむさ苦しい男とではなく、可
愛らしい女子と帰りたいんだが……まあ、仕方がない。



「理由は他にもある。クラスの皆を試召戦争に慣れさせる為だとか、他のクラスにプレッシャーを与える為だとか、自信をつけて士気を上げる為だとかな」


「ふーん。それじゃ、Dクラスの設備を手に入れなかったのは?」


「目的はあくまでAクラスだからな。Dクラスの設備を手に入れることで一部の奴らが満足して試召戦争に
反対し始めるかもしれないだろう? そうならない為と、不満によるモチベーションを維持する為だ」


「……へぇ」



 意外と色々と考えているんだな。こうやって話していると、とてもFクラスの生徒とは思えない。



「でも、Aクラスに勝てるのか?」


「無論だ。俺に任せておけ」



 自信満々の雄二。コイツが言うと、本当に勝てる気がしてくる。



「……ありがとう。僕のわがままの為に」


「別にそんなわけじゃない。試召戦争は俺がこの学校に来た目的そのものだからな」



 ふと雄二が遠くを見る。明久のわがままというのも気にはなるが、こいつの目的というのも気になる。時
機がきたら訊いてみるか。



「目的の為にも、明久と転校生にはきっちり協力してもらうからな。とりあえずは明日の補給テストで」


「……ぐぅ」


「……待て。なんで俺まで雄二の目的に協力しなきゃいけないんだ?」



 テストなんざ、そう何度も受けたいもんじゃない。



「ゲームばかりしてないで、寝る前に少しくらい勉強もしておけよ」


「む……善処はする」


「はいはい、教科書くらいは読んで……ん?」


「? どうした、明久?」


「あ! 教科書、卓袱台の下に置いたままだった!」


「……あほ。さっさと取って来い」


「うぅ……。んじゃ、先に帰っていいよ」


「もちろんだ。待ってるわけがないだろう」


「悪いな。時間は有意義に使いたい」


「わかっていたけど、薄情もの」



 そう言い残した明久は、元来た道を戻っていった。やっぱり馬鹿だ。


「さて、帰るか、転校生」


「だな」



 明久が走り去っていったのを確認し、俺と雄二は歩き出す。



「……なあ、雄二」


「ん? 何だ?」


「や、明久のわがままって何なのかなーって」


「…………」



 何かを考えるように黙り込む雄二。まあ、雄二が答えなくても、大体の見当はついてるんだけど。



「……ふむ。まあいいか」


「おう?」


「試召戦争をAクラスにしかける。それがあいつのわがままだ」


「……へえ」



 やはりと言うべきか、予想は見事当たっていた。



「…………」



 もし、そのわがままの理由まで俺の予想通りだとしたら、明久が姫路さんに好意を寄せられているのにも
頷けるんだけど……な。



「……おっと。雄二、俺はこっちだから」


「ん? そうか。また明日な」


「おう、じゃあな」



 何度目かの分かれ道に差し掛かったところで、俺は雄二とは別方向へと歩きだした。


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