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山姥切国広極めたらもう一人増えました

原作: その他 (原作:刀剣乱舞) 作者: レジス
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神隠し2


ひたりと冷たい刃が首筋に宛がわれる。
「ずいぶんとめんどうなことをしてくれましたね」
私の前に立つ彼は幼い容姿からは想像できないほどの殺気を私に向けてはなっていた。
雪音さんが急に何かにとりつかれたように障子を開けてしまったのだ。
「あなたこそ、どうしてこんなことをするの」
「ぼくたちからあるじさまをとりあげようとするからですよ」
「それが彼女の望みだと?」
慌てて背後にかばった雪音さんは違う、と小さく呟く。
「ぼくだけのあるじさまになってくれるっていいましたよね?○○」
「ど、どうして私の名前を?!」
どうやら今剣が言った名前は雪音さんの本名らしい。
私には言葉として認識できなかったけど。
「だめですよ。てがみをおきっぱなしにしていたら」
「まさか、読んだの……?」
「えぇ、だめじゃないですか。あるじさまはぼくたちのものなんですからほかのさにわとこいなかになろうなんて」
「え」
「っ!!」
まさか、雪音さんのラブレターを今剣は読んだの?
それってプライバシーの侵害じゃないですか。
というか手紙類には名前が見えないように保護がかかるんじゃなかったか?うちの本丸ではそうだよ。
もしかして政府の検閲を通してない手紙?だったらアウトだけど……
雪音さんは私の背後で震えてしまっている。
「さぁじゃまものはでていってください」
「それはできない」
「なぜです?あなたはかんけいないじゃないですか」
「今一時私は彼女の刀剣になっているからね。望まない事をさせるわけにはいかないよ」
無理に首を動かしたらピリっと痛みが走った。
でも気にせず私は刀を抜き放つ。
鋼がこすれ合う音がして今剣は私達の前から飛び退く。
「む、無理だよ国姫ぇ……!」
私に縋る様に雪音さんが言う。
私は安心させるように笑った。
「私、普通じゃないので」
練度は1でも侮るなかれ。
普通の山姥切国広にはできないことだって私にはできる。
そんな気がする。
「ぼくたちのあるじさまをかえしてもらいますよ!」
瞬間今剣の姿が消えた。

『上だ!』

「っ!!」
急に聞こえた声に従って刀を上に振るうと刃のぶつかる音がした。
舌打ちが聞こえる。
「どういうことです……おまえはやまんばきりではないですね」
「え?え?」
今剣の言葉に雪音さんが混乱している。
私はその場を誤魔化すように刀を構え直す。
「さぁどうだろうね?」
恐らく今の声は魂ごと同化した山姥切国広のものだろう。
戦闘については器が覚えていると言っていたからそのおかげで体が動いたのだと思う。
「さっきまでひよっこだったくせにどうしてたおれないんですか!」
今度は突きを放ってくる。
私は雪音さんを抱えて思いっきり部屋の奥に跳んで逃げた。
「君が間違ったことをしているかぎり私は倒れないし折れないよ!」
まだ目的を達していない今折れるわけにはいかないんだ。
「なまいきを!」
私の言葉に怒ったようで直線に斬りかかってきた彼の刃を刀で受け止める。
「雪音さん、今主がここに入れるように頑張ってる。だからこっちからも何かできないか考えて!!」
「え、そんな急に言われてもわかんないよ!」
「いいから考えて!」
「わ、わかった!」
「よけいなことはしなくていいんです!」
「くっ!」
どこにそんな力があるのか少し力負けして押し込まれてしまう。
「そ、そうだ。閉鎖された本丸で唯一外につながる門ならどうだろう?!内側からこの空間を開けられるかもしれない!」
「それだ!」
雪音さんの言葉に今剣が舌打ちを打つ。
どうやら門に行かれると困るようだ。
つまり本当に内側からこの空間を開けられるかもしれない。
「いかないでください○○」
「っ!!」
名前を呼ばれてビクリと固まる雪音さん。
障子を開けた時のように言霊で操られたようだ。
「雪音さん!!」
私が名前を呼ぶとハッとしたように彼女は私を見た。
「なんですって……?!」
なぜか言霊が解けたらしく今剣が驚いている。
その一瞬力が緩んだのを感じて一気に押し斬った。
「うっ!」
「い、今剣!」
「雪音さん!走って!!」
今剣が倒れたことに驚いたみたいだけど私に言われて彼女は走って部屋を出て行く。
私は邪魔だったので体に巻き付いた山姥切国広のトレードマークであるぼろ布を剥ぎ取って彼女の後を追って私も走りだした。
本丸の大きさは私のいた所より小さいらしくすぐに門が見えてくる。
門の前にたどり着くと前に設置されている転送装置をいじり始めた。
「やった!動く!」
雪音さんが嬉しそうに言う。
その言葉の通り装置が作動して光始める。
普通はこの光によって転送されるのだが……
今回は門を繋いだため向こうからこちらへ人を呼び込む役割を果たしていた。
光が広がり収まったらそこには主と山姥切国広と長義、他にも数名の制服を着た人と刀剣男士がいた。
「国姫!」
「主!」
私の姿を確認して安心したのか主が私を呼んだ。
それに応えて一歩前へ踏み出した時だった。

ドン!

と背中に強い衝撃を受ける。
「っ?!」
振り返れば短刀を構えて突進してきたらしい今剣がそこにいて、彼の瞳は憎悪で染まっていた。

「おまえさえいなければ!!」

今剣は吐き捨てると私の体に突き刺さった短刀を押し込んだ。
「ぐっ!」
あまりの痛みに意識が遠くなる。
主や雪音さんの悲鳴が聞こえた。
体の自由が失われて体勢が崩れる。

あぁこんな所で折れてしまうのだろうか。

私は意識を手放したのだった。

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