108
それを平次とコナンが追いかけた。雨が降っていたので2人は1本ずつ傘を、そしてゆりに渡すためにももう一本持って出た。
蘭と和葉は平蔵に殴りかかりそうな勢いの大滝を止めていて、代わりに静華が平蔵を叩いた。
蘭・和葉「え…;」
静華「あんたっ、まだそんなこと思ってたん?!そら部下の人もあの子のこと誤解するやろうな!あんたやろ、あの子を使い捨てって言うてんの!」
平蔵「…」
静華「何か言いや!!あの子がおらんかったらほんまらあんた、今頃死んでておかしないねんで!!命の恩人やのに…助けられたんがそんなに恥ずかしいんか?!そんなちっぽけなプライドであの子を傷つけたんか?!最低や!!」
平蔵「俺かてわかっとるわ!そんなん!せやけど、自分の部下よりあの子を信用してまうんや!…そうなったらあかんのに…どっちもちゃんと信じてあげれたら…でも、あの子が優秀すぎて…使い捨てやと言い訳にせんと部下に顔が立たん!!」
大滝「それで…。仕事もらえへんて部下たちが…。」
平蔵「そうや。あの子の才能はずば抜けとる。…せやからその才能が悔しい…」
大滝「才能やありませんよ。…あの子は、毎日血もにじむ努力を重ねて射撃の腕、推理力、知識、全て手に入れたんですよ。…頑張っても使い捨て、飼い猫や言われて精神的にボロボロなって…自ら追い込んであんな状態になってるんや…。なんでわかったらんのや、俺ら大人が…そんなんやったらな…日本の警察はおわりや…」
蘭「大滝警部…」
「…っハハッ…っハハハッ…。」『何を期待してたんだろ…ばかだなぁ…私…。わかってたはずなのに…』
ゆりは雨に隠れて涙を流した。
そしてそのままぼんぼんへと足を運んだ。
ぼん「いらっしゃ…ってゆりちゃん?!どうしたの?!そんなに濡れて!!」
「暑くて水浴びしちゃいました…ハハッ…」
ぼん「ちょっとまって、着替えを…」
「このままでいいです。ちゃんとお店の椅子も吹いて帰りますから。…ウィスキーとジンと…ボトルごと下さい。あと氷と…」
ぼん「…」
…コトッ…
「ありがとうございます。先にお会計渡しておきます。」
ぼん「いいよ。今日は僕の奢り。」
「いえ、じゃあ勝手に置いておきます。」
ぼん「まったく…強情なお嬢さん。…で、何かあったの?」
「何もないんです。最初からわかっていたこと、ですから。」
ゆりはそう言うと次々にウイスキーとジンを交互に一気飲みしはじめた。
ぼん「ちょっと…体に悪いって…」
「悪い方がいい。もう疲れた。…何もかも忘れて眠れたらいいのに。…ねぇ、ぼんさん…」
ぼん「どうした?」
「…どうやったら、綺麗に消えれるのかな。」
ぼん「ちょっと…そんなこと…」
「冗談。…ふふっ…」
そう言い伏し目がちに笑うゆりはひどく美しく、かつ酷く悲しそうだった。
ぼん「ちょっと…まだ1時間も経ってないのに2本とも…;」
「そろそろお暇します。…ご馳走様でした。」
ゆりは三万円を置いてそこをあとにした。
そしてあてもなく歩き続けた。
気分が落ち込んでいたせいか、後ろからわざとぶつかりに来たバイクに気付かず、壁に思いっきり打ち付けられてしまった。
「…った…。」
しかしすぐさま仕事モードになり拳銃でバイクのタイヤを撃つと犯人を手早く気絶させて手錠をして捕まえた。
「シャブ中か…。平蔵さんにメールをして…ここに縛り付けておこうかな。」
"轢き逃げの現行犯逮捕しました。ここにいるのであとはよろしくお願いします。」
ゆりは痛む身体さえ心地よく感じ、そのまま歩いた。が、次々と涙だけは溢れてきた。
「ハハッ…何してんだろ。」
ゆりは自分の車までたどり着くと車に乗り、痛む身体を休めた。
しかしそれから直ぐに頭痛は襲ってきた。
「…くっ…ぅっ…イタイ…」
ゆりはトランクに積みっぱなしにしていた自分の荷物をとろうと必死にトランクまで行き、薬を出すとまた震える手でプチプチと薬を出した。
…が、あまりにひどい痛みでその場に薬をおとしてしまい、地べたに座り込んで手当たり次第に薬を口に運んでは咽び吐き、辺りは薬と血が散乱し、1人虚しくそこにうずくまるしかなかった。
…ただ一人きりで痛みに耐え、雨に打たれた。
そこに通りかかったのは予想外にも安室透の車だった。
安室「大丈夫ですか?!…ってゆりさん?!
そしてそれと同時くらいにコナンと服部も駆け付けた。
コナン「ゆり!」
平次「ゆり!」
だがゆりには安室しかまだ見えていなかった。
「…ば….ぼん……………」
ゆりはそう言いながら頼りない手で拳銃を取り出すとバーボンに渡した。
「………殺…シテ…??」
ゆりは光のない目で笑って言った。
安室「何言ってるんですか!…病院、行きますよっ」
安室がそう言ってゆりを抱き上げようとするとゆりはその手を振り払い自分の車に乗り込んだ。
しかしドアを閉める前に安室はギリギリでドアを閉めさせなかった。
そしてそれに便乗してコナンと服部も後部座席をあけておいた。
安室「ゆりさん。何があったんですか。」
蘭と和葉は平蔵に殴りかかりそうな勢いの大滝を止めていて、代わりに静華が平蔵を叩いた。
蘭・和葉「え…;」
静華「あんたっ、まだそんなこと思ってたん?!そら部下の人もあの子のこと誤解するやろうな!あんたやろ、あの子を使い捨てって言うてんの!」
平蔵「…」
静華「何か言いや!!あの子がおらんかったらほんまらあんた、今頃死んでておかしないねんで!!命の恩人やのに…助けられたんがそんなに恥ずかしいんか?!そんなちっぽけなプライドであの子を傷つけたんか?!最低や!!」
平蔵「俺かてわかっとるわ!そんなん!せやけど、自分の部下よりあの子を信用してまうんや!…そうなったらあかんのに…どっちもちゃんと信じてあげれたら…でも、あの子が優秀すぎて…使い捨てやと言い訳にせんと部下に顔が立たん!!」
大滝「それで…。仕事もらえへんて部下たちが…。」
平蔵「そうや。あの子の才能はずば抜けとる。…せやからその才能が悔しい…」
大滝「才能やありませんよ。…あの子は、毎日血もにじむ努力を重ねて射撃の腕、推理力、知識、全て手に入れたんですよ。…頑張っても使い捨て、飼い猫や言われて精神的にボロボロなって…自ら追い込んであんな状態になってるんや…。なんでわかったらんのや、俺ら大人が…そんなんやったらな…日本の警察はおわりや…」
蘭「大滝警部…」
「…っハハッ…っハハハッ…。」『何を期待してたんだろ…ばかだなぁ…私…。わかってたはずなのに…』
ゆりは雨に隠れて涙を流した。
そしてそのままぼんぼんへと足を運んだ。
ぼん「いらっしゃ…ってゆりちゃん?!どうしたの?!そんなに濡れて!!」
「暑くて水浴びしちゃいました…ハハッ…」
ぼん「ちょっとまって、着替えを…」
「このままでいいです。ちゃんとお店の椅子も吹いて帰りますから。…ウィスキーとジンと…ボトルごと下さい。あと氷と…」
ぼん「…」
…コトッ…
「ありがとうございます。先にお会計渡しておきます。」
ぼん「いいよ。今日は僕の奢り。」
「いえ、じゃあ勝手に置いておきます。」
ぼん「まったく…強情なお嬢さん。…で、何かあったの?」
「何もないんです。最初からわかっていたこと、ですから。」
ゆりはそう言うと次々にウイスキーとジンを交互に一気飲みしはじめた。
ぼん「ちょっと…体に悪いって…」
「悪い方がいい。もう疲れた。…何もかも忘れて眠れたらいいのに。…ねぇ、ぼんさん…」
ぼん「どうした?」
「…どうやったら、綺麗に消えれるのかな。」
ぼん「ちょっと…そんなこと…」
「冗談。…ふふっ…」
そう言い伏し目がちに笑うゆりはひどく美しく、かつ酷く悲しそうだった。
ぼん「ちょっと…まだ1時間も経ってないのに2本とも…;」
「そろそろお暇します。…ご馳走様でした。」
ゆりは三万円を置いてそこをあとにした。
そしてあてもなく歩き続けた。
気分が落ち込んでいたせいか、後ろからわざとぶつかりに来たバイクに気付かず、壁に思いっきり打ち付けられてしまった。
「…った…。」
しかしすぐさま仕事モードになり拳銃でバイクのタイヤを撃つと犯人を手早く気絶させて手錠をして捕まえた。
「シャブ中か…。平蔵さんにメールをして…ここに縛り付けておこうかな。」
"轢き逃げの現行犯逮捕しました。ここにいるのであとはよろしくお願いします。」
ゆりは痛む身体さえ心地よく感じ、そのまま歩いた。が、次々と涙だけは溢れてきた。
「ハハッ…何してんだろ。」
ゆりは自分の車までたどり着くと車に乗り、痛む身体を休めた。
しかしそれから直ぐに頭痛は襲ってきた。
「…くっ…ぅっ…イタイ…」
ゆりはトランクに積みっぱなしにしていた自分の荷物をとろうと必死にトランクまで行き、薬を出すとまた震える手でプチプチと薬を出した。
…が、あまりにひどい痛みでその場に薬をおとしてしまい、地べたに座り込んで手当たり次第に薬を口に運んでは咽び吐き、辺りは薬と血が散乱し、1人虚しくそこにうずくまるしかなかった。
…ただ一人きりで痛みに耐え、雨に打たれた。
そこに通りかかったのは予想外にも安室透の車だった。
安室「大丈夫ですか?!…ってゆりさん?!
そしてそれと同時くらいにコナンと服部も駆け付けた。
コナン「ゆり!」
平次「ゆり!」
だがゆりには安室しかまだ見えていなかった。
「…ば….ぼん……………」
ゆりはそう言いながら頼りない手で拳銃を取り出すとバーボンに渡した。
「………殺…シテ…??」
ゆりは光のない目で笑って言った。
安室「何言ってるんですか!…病院、行きますよっ」
安室がそう言ってゆりを抱き上げようとするとゆりはその手を振り払い自分の車に乗り込んだ。
しかしドアを閉める前に安室はギリギリでドアを閉めさせなかった。
そしてそれに便乗してコナンと服部も後部座席をあけておいた。
安室「ゆりさん。何があったんですか。」
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