玖話 六年生と…
「さて、次はお前達だな」
外野から移動して寐玲が声を掛けたと共に雄叫びが響いた。
「よーし!勝負だー!!!」
鉄双節棍を手に駆け出す食満。
「ほぅ、中々面白い物を持っている…!」
バク転で攻撃を避ける寐玲。
「!」
着地地点に火車剣が飛んでくる。
素手で掴んだ。
「コントロールが良いな、立花仙蔵!」
それを投げ、印を結ぶ。
「手裏剣影分身の術!」
火車剣が50個位に増える。
「な!何だと!?」
立花は慌てて避ける。
直後、大爆発が起きた。
「……しまった、増やしすぎたかな」
「隙あり!!」
七松が背後に移動していた。
クナイで切りつけるが寐玲は屈んで躱す。
「甘いな」
振り返って構える。
「しまっ」
「柔拳法、八卦六十四掌...!!」
踏み出した。
「八卦ニ掌!四掌!八掌!十六掌!三十ニ掌!!」
七松に高速で打っていき、
「六十四掌!!」
七松は少量吐血して仰向けに倒れる。
「結構力を弱めた筈なんだがまだ強かったか……取り敢えず、一人」
首元をポリポリと掻きながら寐玲は影分身を一人出し、七松の救護に行かせた。
分身は七松を抱えて五年生の所に行く。
「あの七松先輩を最初に倒すなんて…」
低学年達は呆然としていた。
それもそうだろう、人間離れした体力を持っている暴君をあっさりと倒したのだから。
((流石は最上級生と言うわけか…動きは五年生より確実に速い上に技のレベルが高いな))
冷静に分析する寐玲。
「余所見しているバヤイでは無いぞ!!」
((バヤイ!?))
内心驚きながらも潮江の袋槍をヒラリと躱す。
「ギンギーン!」
穂先を取り、投げる。
「何だその鳴き声は…!」
背後から手裏剣が飛んでくる。
「八卦掌回天!」
二つを弾き飛ばす。
「背後に居ていつ攻撃するかとは思っていたが成る程…タイミングは良かったな」
「モソモソ…」
気付いていたのかと中在家は呟く。
「言っただろう…白眼の前では隠れても無駄だと」
「それはどうかな…!」
「!」
善法寺が走って来ていることに寐玲は気付かなかった。
((こいつ、死角に…!))
寐玲の白眼には僅かだが死角があった。
右後斜め四十二度から四十四度の二度間だ。そこを走って来たのだ。
振り返った寐玲に善法寺が扇を振るう。
「!毒か!?」
「痺れ薬だよ…速効性だからそろそろかな?」
寐玲の動きが鈍くなる。
「いつ死角に気付いた?」
「長次が手裏剣を投げた時だよ、右カーブ描くように投げた時に反応が遅かったからもしかしてと思ってね」
保健委員長として些細な怪我も見逃さない為、観察眼は素晴らしかった。
「流石、プロ忍に一番近い学年と言われてるだけあるな…」
寐玲は右腿に手を持っていく。
「さて、私の得意武器を見せてやろう…!」
ポンッという音と共に大扇子が出てくる。
広げると中は黒地で中心部に赤い十字の模様が描いてある。
「デケェ…」
「暗部には不向きの武器だから使わないでいたが…久々に使うとしよう…」
勢い良く右から左へと振った。
「カマイタチの術!」
大風が中在家と善法寺に命中する。
二人は全身切りつけられ、倒れる。
「三人」
「お前、毒は…?」
保健委員長の善法寺が作る毒だ。効かない筈は無いだろうと立花は思う。
「悪いけど…私はこの位の毒は効かないんだ…盛るならこれよりも強い猛毒じゃないと」
訓練してるしな、と寐玲は言う。
「ホント、お前って奴は!!」
潮江が攻撃してくる。
扇を閉じて受け止める。
「暗部の総隊長なんだ…仕方ないだろう?」
押し出して潮江をよろめかせる。
その隙に扇を開き、
「カマイタチの術!」
大風が潮江に直撃する。
「うわぁ!」
全身切りつけられて潮江は飛んでいき、倒れた。
「四人」
「あの大扇子をあんな軽々と扱うなんて…馬鹿力にも程があるだろう…」
「こうなったら…留三郎!」
立花は食満に巨大な焙烙火矢を渡す。
「何処から出したとかはツッコまないが…これって威力は…」
「完璧だっ」
もう一つ出し、立花はニヤリと笑う。
もう、どうにでもなれと食満は口火に点火し、立花と同時に巨大焙烙火矢を投げる。
「嘘だろっ、投げやがった!」
脅すだけでまさか投げて来るとは思わなかったらしい。
寐玲は慌てて印を結び、右手の親指を噛んで血を出す。
「口寄せ!――――」
ドゴゴゴオオオオオン!!
凄まじい爆発音がした。煙が悶々と立ち上がる。
「うわぁ、これは流石の寐玲も無事じゃ…って、えええええ!?何だあれ!?」
竹谷が叫ぶ。
煙の中から巨大な門が姿を現した。
「口寄せ・羅生門……ふぅ、間に合った…」
羅生門を消し、寐玲が立ち上がった。
「さ、これで終わりにしようか」
目を閉じ、一息つけてから開ける。
「!」
両目が赤くなっていた。
「我が幻術の前にひれ伏すが良い…!」
写輪眼の幻術に二人はかかる。
「寐玲…先輩達は…?」
「幻術に掛けたんだ…大丈夫、軽いからそう精神的にはキてはいないだろう」
目を見開いて動かなくなった二人を地に伏せる。
同時に幻術を解くと、二人はゼェゼェと荒い息をする。
「はい、私の勝ちだ」
寐玲は笑顔で言う。
そしてここに居る全員が思った。
寐玲に勝てる者は誰も居ないのだ、と。
外野から移動して寐玲が声を掛けたと共に雄叫びが響いた。
「よーし!勝負だー!!!」
鉄双節棍を手に駆け出す食満。
「ほぅ、中々面白い物を持っている…!」
バク転で攻撃を避ける寐玲。
「!」
着地地点に火車剣が飛んでくる。
素手で掴んだ。
「コントロールが良いな、立花仙蔵!」
それを投げ、印を結ぶ。
「手裏剣影分身の術!」
火車剣が50個位に増える。
「な!何だと!?」
立花は慌てて避ける。
直後、大爆発が起きた。
「……しまった、増やしすぎたかな」
「隙あり!!」
七松が背後に移動していた。
クナイで切りつけるが寐玲は屈んで躱す。
「甘いな」
振り返って構える。
「しまっ」
「柔拳法、八卦六十四掌...!!」
踏み出した。
「八卦ニ掌!四掌!八掌!十六掌!三十ニ掌!!」
七松に高速で打っていき、
「六十四掌!!」
七松は少量吐血して仰向けに倒れる。
「結構力を弱めた筈なんだがまだ強かったか……取り敢えず、一人」
首元をポリポリと掻きながら寐玲は影分身を一人出し、七松の救護に行かせた。
分身は七松を抱えて五年生の所に行く。
「あの七松先輩を最初に倒すなんて…」
低学年達は呆然としていた。
それもそうだろう、人間離れした体力を持っている暴君をあっさりと倒したのだから。
((流石は最上級生と言うわけか…動きは五年生より確実に速い上に技のレベルが高いな))
冷静に分析する寐玲。
「余所見しているバヤイでは無いぞ!!」
((バヤイ!?))
内心驚きながらも潮江の袋槍をヒラリと躱す。
「ギンギーン!」
穂先を取り、投げる。
「何だその鳴き声は…!」
背後から手裏剣が飛んでくる。
「八卦掌回天!」
二つを弾き飛ばす。
「背後に居ていつ攻撃するかとは思っていたが成る程…タイミングは良かったな」
「モソモソ…」
気付いていたのかと中在家は呟く。
「言っただろう…白眼の前では隠れても無駄だと」
「それはどうかな…!」
「!」
善法寺が走って来ていることに寐玲は気付かなかった。
((こいつ、死角に…!))
寐玲の白眼には僅かだが死角があった。
右後斜め四十二度から四十四度の二度間だ。そこを走って来たのだ。
振り返った寐玲に善法寺が扇を振るう。
「!毒か!?」
「痺れ薬だよ…速効性だからそろそろかな?」
寐玲の動きが鈍くなる。
「いつ死角に気付いた?」
「長次が手裏剣を投げた時だよ、右カーブ描くように投げた時に反応が遅かったからもしかしてと思ってね」
保健委員長として些細な怪我も見逃さない為、観察眼は素晴らしかった。
「流石、プロ忍に一番近い学年と言われてるだけあるな…」
寐玲は右腿に手を持っていく。
「さて、私の得意武器を見せてやろう…!」
ポンッという音と共に大扇子が出てくる。
広げると中は黒地で中心部に赤い十字の模様が描いてある。
「デケェ…」
「暗部には不向きの武器だから使わないでいたが…久々に使うとしよう…」
勢い良く右から左へと振った。
「カマイタチの術!」
大風が中在家と善法寺に命中する。
二人は全身切りつけられ、倒れる。
「三人」
「お前、毒は…?」
保健委員長の善法寺が作る毒だ。効かない筈は無いだろうと立花は思う。
「悪いけど…私はこの位の毒は効かないんだ…盛るならこれよりも強い猛毒じゃないと」
訓練してるしな、と寐玲は言う。
「ホント、お前って奴は!!」
潮江が攻撃してくる。
扇を閉じて受け止める。
「暗部の総隊長なんだ…仕方ないだろう?」
押し出して潮江をよろめかせる。
その隙に扇を開き、
「カマイタチの術!」
大風が潮江に直撃する。
「うわぁ!」
全身切りつけられて潮江は飛んでいき、倒れた。
「四人」
「あの大扇子をあんな軽々と扱うなんて…馬鹿力にも程があるだろう…」
「こうなったら…留三郎!」
立花は食満に巨大な焙烙火矢を渡す。
「何処から出したとかはツッコまないが…これって威力は…」
「完璧だっ」
もう一つ出し、立花はニヤリと笑う。
もう、どうにでもなれと食満は口火に点火し、立花と同時に巨大焙烙火矢を投げる。
「嘘だろっ、投げやがった!」
脅すだけでまさか投げて来るとは思わなかったらしい。
寐玲は慌てて印を結び、右手の親指を噛んで血を出す。
「口寄せ!――――」
ドゴゴゴオオオオオン!!
凄まじい爆発音がした。煙が悶々と立ち上がる。
「うわぁ、これは流石の寐玲も無事じゃ…って、えええええ!?何だあれ!?」
竹谷が叫ぶ。
煙の中から巨大な門が姿を現した。
「口寄せ・羅生門……ふぅ、間に合った…」
羅生門を消し、寐玲が立ち上がった。
「さ、これで終わりにしようか」
目を閉じ、一息つけてから開ける。
「!」
両目が赤くなっていた。
「我が幻術の前にひれ伏すが良い…!」
写輪眼の幻術に二人はかかる。
「寐玲…先輩達は…?」
「幻術に掛けたんだ…大丈夫、軽いからそう精神的にはキてはいないだろう」
目を見開いて動かなくなった二人を地に伏せる。
同時に幻術を解くと、二人はゼェゼェと荒い息をする。
「はい、私の勝ちだ」
寐玲は笑顔で言う。
そしてここに居る全員が思った。
寐玲に勝てる者は誰も居ないのだ、と。
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