十一章 初体験
クラウディアにとって、異性と肌を重ねるのははじめてのことだった。
歳の近い男性に、このような扱いを受けることの不思議さを感じる。
男女がこういうことをすることを知らなかったわけではない。
知識としては知っているが、知っているからやれるのとは違う。
恋を知らず経験もしないまま行為が先に来ることのとまどいは今も消えないが、ダジュールに恥をかかせてはいけないことだけはなんとなくわかっていた。
でも、どうすれば男性をたてることが出来るのかがわからない。
ただこうして必死にしがみついていればいいのだろうか。
すると、下腹部より下に何かが触れる感じがした。
ダジュールの手が股の間に忍び込んでいるのだとわかるまでしばしの時間がかかる。
くすぐったくて、違和感があって、できればその手を退かしてほしいと思い、体をよじる。
すると股のさらに奥の方に何かが触れ、触れられたと思うとともにこじ開けられるような感覚に襲われる。
「……っや!」
それは今までに経験をしたことがない感触だった。
「ばか、力を入れるな」
そうは言うが、力を抜けば変なモノが体内に入ってくるような感覚がして気分が悪い。
「ダメッ!」
「大丈夫だ。俺の指が入っているだけだ。ならさないとキツイだろう?」
ならす?
キツイ?
これからなにがはじまるの?
クラウディアは不安で一杯になっていく。
ダジュールに聞こうとすれば、「黙って」と口を塞がれてしまう。
さきほどのキスとは違い、クラウディアの意思を拒むようなキス。
さらに唇が重なると、ねっとりとしたものが口内に入ってきた。
クラウディアの舌と辛み、歯の裏側を舐められ、口の中を犯されているような感触を、とても気持ちいいとは思えない。
ムカムカした気分が押し寄せてくる。
吐きそう……と思った直後、吐き気をも黙らせるような激痛がした。
腰を無理矢理反らされた時の痛み、腹痛とも違う、圧迫感と息苦しさとなにかを無理矢理こじ開けたような、火傷にも似た痛み。
そのまま気を失いそうになる。
「……っひ、やっ、あっ……」
息を吐くべきが吸うべきかの判断もできず、吐きたいのに吸ってしまったり、吸いたいのに吐いてしまったり。
「だ、ダメ、いやっ、抜いて。いっ、痛い……苦しい」
「クラウディア、そんなに俺を拒まないでくれ。入れたままで終わりにする。動かしたりはしない」
動かすってなに?
ダジュールはなにを言っているのだろう。
そんなことを思っているクラウディアの気持ちを察することが出来ないダジュールは、チラリと布団の中を鏡の方へと見せた。
やっているフリではなくしっかりと挿入し子づくり行為をしていると証明するために。
ところが、その姿が鏡に映ったのをみたダジュールは困惑する。
挿入部分がいやに赤いのだ。
「……クラウディア、まさか女の日だったのか?」
「……?」
聞かれたところでクラウディアにしてみればなにを聞いてくるのだろうといったところだ。
痛みと違和感で正常な判断が出来ない。
「いや、違うか。そうだったらおまえのことだ、はっきりと言うだろう。ということは……はじめてだったのか。すまない、そうである率の方が高いとアーノルドに言われていたというのに」
少しずつ、腹部の圧迫感が薄れていくと、体内にある異物の存在が去っていく。
すべてを引き抜くと、真っ白なシーツの上に真っ赤な斑点、そしてトロリとでた鮮血がにじみ出る。
「すまない、クラウディア。大事にする。はじめてを捧げてくれたおまえに、俺はとてつもない借りをしてしまったな。どんなことでもする。だからクラウディア、自分がキズものになったと思わないでくれ」
ギュッと抱きしめるダジュールの腕は震え、声は涙声になっていた。
ぐったりとしているクラウディアの体を白い布で覆い、抱き上げて、部屋を出ていく。
広い廊下にでると、ダジュールはアーノルドを呼び、信頼のおける女医にクラウディアを診察するようにと命じ、彼自身はすぐ自室へと戻ってしまった。
姿鏡の前でガウンを脱ぎ、裸体を写す。
クラウディアと繋がった性器には、彼女の鮮血が残っていた。
自分のことばかり、クラウディアのことを知ろうと努力を怠った自分のふがいなさを恥じる。
どんなことばをかけようとも、失ったものは戻らない。
この先、クラウディアがカルミラの姫として生きていく上で、処女でないということがネックにならなければいいと願うばかりだった。
いや、それ以前の問題だ。
クラウディアが処女であるはずがないとどうして思いこんでいたのだろうか。
王族の血筋であれば、今はそうでなくても養父であるケイモスが許すはずがない。
期間限定の妻をやってほしいと言った時、彼は反対をしなかった。
だから処女ではないと思いこんでいた。
だが、ケイモスがここまでするとは思っていなかったから許したとも考えられる。
すべては自分の浅はかな考えから招いた失態。
この怒りにも近い感情は自分自身で招いたこととわかりながらも、なにかにぶつけなくては気が済まないダジュールは、姿鏡に何度も拳を当てていた。
歳の近い男性に、このような扱いを受けることの不思議さを感じる。
男女がこういうことをすることを知らなかったわけではない。
知識としては知っているが、知っているからやれるのとは違う。
恋を知らず経験もしないまま行為が先に来ることのとまどいは今も消えないが、ダジュールに恥をかかせてはいけないことだけはなんとなくわかっていた。
でも、どうすれば男性をたてることが出来るのかがわからない。
ただこうして必死にしがみついていればいいのだろうか。
すると、下腹部より下に何かが触れる感じがした。
ダジュールの手が股の間に忍び込んでいるのだとわかるまでしばしの時間がかかる。
くすぐったくて、違和感があって、できればその手を退かしてほしいと思い、体をよじる。
すると股のさらに奥の方に何かが触れ、触れられたと思うとともにこじ開けられるような感覚に襲われる。
「……っや!」
それは今までに経験をしたことがない感触だった。
「ばか、力を入れるな」
そうは言うが、力を抜けば変なモノが体内に入ってくるような感覚がして気分が悪い。
「ダメッ!」
「大丈夫だ。俺の指が入っているだけだ。ならさないとキツイだろう?」
ならす?
キツイ?
これからなにがはじまるの?
クラウディアは不安で一杯になっていく。
ダジュールに聞こうとすれば、「黙って」と口を塞がれてしまう。
さきほどのキスとは違い、クラウディアの意思を拒むようなキス。
さらに唇が重なると、ねっとりとしたものが口内に入ってきた。
クラウディアの舌と辛み、歯の裏側を舐められ、口の中を犯されているような感触を、とても気持ちいいとは思えない。
ムカムカした気分が押し寄せてくる。
吐きそう……と思った直後、吐き気をも黙らせるような激痛がした。
腰を無理矢理反らされた時の痛み、腹痛とも違う、圧迫感と息苦しさとなにかを無理矢理こじ開けたような、火傷にも似た痛み。
そのまま気を失いそうになる。
「……っひ、やっ、あっ……」
息を吐くべきが吸うべきかの判断もできず、吐きたいのに吸ってしまったり、吸いたいのに吐いてしまったり。
「だ、ダメ、いやっ、抜いて。いっ、痛い……苦しい」
「クラウディア、そんなに俺を拒まないでくれ。入れたままで終わりにする。動かしたりはしない」
動かすってなに?
ダジュールはなにを言っているのだろう。
そんなことを思っているクラウディアの気持ちを察することが出来ないダジュールは、チラリと布団の中を鏡の方へと見せた。
やっているフリではなくしっかりと挿入し子づくり行為をしていると証明するために。
ところが、その姿が鏡に映ったのをみたダジュールは困惑する。
挿入部分がいやに赤いのだ。
「……クラウディア、まさか女の日だったのか?」
「……?」
聞かれたところでクラウディアにしてみればなにを聞いてくるのだろうといったところだ。
痛みと違和感で正常な判断が出来ない。
「いや、違うか。そうだったらおまえのことだ、はっきりと言うだろう。ということは……はじめてだったのか。すまない、そうである率の方が高いとアーノルドに言われていたというのに」
少しずつ、腹部の圧迫感が薄れていくと、体内にある異物の存在が去っていく。
すべてを引き抜くと、真っ白なシーツの上に真っ赤な斑点、そしてトロリとでた鮮血がにじみ出る。
「すまない、クラウディア。大事にする。はじめてを捧げてくれたおまえに、俺はとてつもない借りをしてしまったな。どんなことでもする。だからクラウディア、自分がキズものになったと思わないでくれ」
ギュッと抱きしめるダジュールの腕は震え、声は涙声になっていた。
ぐったりとしているクラウディアの体を白い布で覆い、抱き上げて、部屋を出ていく。
広い廊下にでると、ダジュールはアーノルドを呼び、信頼のおける女医にクラウディアを診察するようにと命じ、彼自身はすぐ自室へと戻ってしまった。
姿鏡の前でガウンを脱ぎ、裸体を写す。
クラウディアと繋がった性器には、彼女の鮮血が残っていた。
自分のことばかり、クラウディアのことを知ろうと努力を怠った自分のふがいなさを恥じる。
どんなことばをかけようとも、失ったものは戻らない。
この先、クラウディアがカルミラの姫として生きていく上で、処女でないということがネックにならなければいいと願うばかりだった。
いや、それ以前の問題だ。
クラウディアが処女であるはずがないとどうして思いこんでいたのだろうか。
王族の血筋であれば、今はそうでなくても養父であるケイモスが許すはずがない。
期間限定の妻をやってほしいと言った時、彼は反対をしなかった。
だから処女ではないと思いこんでいた。
だが、ケイモスがここまでするとは思っていなかったから許したとも考えられる。
すべては自分の浅はかな考えから招いた失態。
この怒りにも近い感情は自分自身で招いたこととわかりながらも、なにかにぶつけなくては気が済まないダジュールは、姿鏡に何度も拳を当てていた。
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