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翌日、ランチタイムが過ぎた頃、アブサンこと玲はポアロに来ていた。
玲「アイスコーヒーと角砂糖。あと昨日忘れた私の鞄。」
カウンターにつくなり安室の方も見ずにそう言った。
安室「今日はお一人ですか。」
玲「どうせシルバに何か聞いたくせに。」
安室「さぁ。何のことでしょうか。」
玲「今日は一人なのね。」
安室「えぇ。…どうぞ。アイスコーヒーとハムサンドです。」
玲「食事は頼んでない。」
玲はそういうとハムサンドを安室に突き返した。
安室「少しは食事を取られた方が。」
玲「結構よ。脳みそを働かせるのに糖分だけで十分だから。」
安室「そうはいきませんよ。僕は頼まれたんですよ。シルバという男から貴女の世話をね。」
玲「あっそ。けど食事は不要よ。私、食事に対しての味覚が一切機能してないの。」
安室「!!…ですが角砂糖は召し上られるんですね?」
玲「脳みそを動かす糖分はサプリで摂るより直接食べた方が早いから。それに、どこにでもあるものだから。」
安室「ホォ。…ですが食事は人間生活における人とのコミュニケーションツールの一つですよ。」
玲「どういうこと?」
安室「人と食事を共にする事で情報の共有が出来、自然と仲が深まるものなんです。」
玲「そう。でも今貴方は働く店員で、私はただの客。共有するものはないからその理論は成立しないわ。」
安室「そうですか。では今夜食事などいかがですか?」
玲「今夜は予定があるから結構。」
安室「ホォ、シルバさんのお見送りですか?」
玲「いいえ。彼は勝手にドイツに帰ったみたいよ。朝一でね。それより鞄はいつになったら返してくれるの?」
安室「そうですね。次に食事でもご一緒して下さった時ですかね?」
玲「はぁ。なら今夜あけるからそこで返して。ないと不便なのよ。」
安室「ホォ、そんなに大事なものが入っていたんですか?」
玲「どうせ貴方のことだから鞄の中全部調べたんでしょ。大事なものというよりも大事な入れ物かしら。…お砂糖を持ち歩くのに不便なのよ。」
そういうと玲はコンビニの袋を見せた。
安室「あなたまさか…それを一日中持ち歩くつもりで…?」
玲「袋ならなんでもいいと思ってたんだけど引っ掛けると破れるしチャックもついてないから落としちゃったり面倒なのよ。だからなるべく早く返してもらいたいの。」
安室「新しく買うという選択肢はなかったんですか?」
玲「どこで何をどんなふうに買えば良いかなんて知らないもの。買い物はいままで全部シルバがやってたし。とくに食事をするわけじゃないから買い物なんてしないわよ。」
安室「…少し貴方が心配になりました。」
玲「貴方に心配される覚えはないわ。」
安室「はぁ。シルバさんに許可は取っています。暫く僕と生活してもらいますよ」
玲「なにそれ。聞いてないんだけど」
安室「あなた、シルバさんがいないのにどうやって生活していくつもりだったんですか?洗濯とかいかにも出来なさそうですし」
玲「あ…」
安室「ですからすぐに荷物を持ってもう一度ポアロに来てください。」
玲「洗濯も全部やってくれるの?」
安室「えぇ…まぁ…」
玲「わかった。」
玲はそう言うとすぐにお会計をしてポアロを出て行った。
そして1時間ほど経つとまたポアロに戻ってきたのだった。
しかしそれはタクシーをポアロの前に止めて。
玲「ねぇ。荷物持ってきたんだけど。」
そう言ってポアロのドアを開けたが彼女はてぶら。
安室「何もないんですか?」
玲「いや、タクシーにそのまま入れてきた。」
安室「…ちょっと待っててください。」
安室はため息をつきながら店の外に出た。
そしてタクシーのトランクに無造作に詰め込まれた荷物を見て頭を抱えた。
安室「キャリーバッグに入れるとか何かあったでしょう…」
玲「持って来いとは言われたけど詰めて来いとは言われてない。」
安室「はぁ…仕方がありませんね。とりあえず店の中に運びましょう…あなたも手伝ってください。」
安室がそういうと玲は後部座席のドアを開けてズルズルと服の塊を引っ張り出してきた。
安室「まだ荷物があったんですね…」
安室はまだバイト中だったので急いで荷物を店に移動させるとふうっとため息をついた。
安室「段ボール持ってきますからとりあえずそこに入れてください。」
玲「わかった。」
玲は安室に言われた通りに段ボールにただ入れると閉まりきらない段ボールを安室に見せた。
玲「つめた。」
安室「…もういいです。とりあえずバイトが終わったら僕の家に運びましょう。」
玲「砂糖おかわり。」
安室「はぁ…」
安室はとことんマイペースな彼女にため息の連続で。段ボールを店の邪魔にならない所に置いてから彼女に砂糖を渡した。
しかしそれも数分でなくなってしまうので何度かお代わりをわたしたところでやっとバイトの終わりの時間になった。
安室「車をここにまわしますので待っててください。」
店の前に彼女をまたせると安室はRX-7を店の前に横付けして彼女の荷物と彼女を乗せてゆっくりと走り出した。
玲「アイスコーヒーと角砂糖。あと昨日忘れた私の鞄。」
カウンターにつくなり安室の方も見ずにそう言った。
安室「今日はお一人ですか。」
玲「どうせシルバに何か聞いたくせに。」
安室「さぁ。何のことでしょうか。」
玲「今日は一人なのね。」
安室「えぇ。…どうぞ。アイスコーヒーとハムサンドです。」
玲「食事は頼んでない。」
玲はそういうとハムサンドを安室に突き返した。
安室「少しは食事を取られた方が。」
玲「結構よ。脳みそを働かせるのに糖分だけで十分だから。」
安室「そうはいきませんよ。僕は頼まれたんですよ。シルバという男から貴女の世話をね。」
玲「あっそ。けど食事は不要よ。私、食事に対しての味覚が一切機能してないの。」
安室「!!…ですが角砂糖は召し上られるんですね?」
玲「脳みそを動かす糖分はサプリで摂るより直接食べた方が早いから。それに、どこにでもあるものだから。」
安室「ホォ。…ですが食事は人間生活における人とのコミュニケーションツールの一つですよ。」
玲「どういうこと?」
安室「人と食事を共にする事で情報の共有が出来、自然と仲が深まるものなんです。」
玲「そう。でも今貴方は働く店員で、私はただの客。共有するものはないからその理論は成立しないわ。」
安室「そうですか。では今夜食事などいかがですか?」
玲「今夜は予定があるから結構。」
安室「ホォ、シルバさんのお見送りですか?」
玲「いいえ。彼は勝手にドイツに帰ったみたいよ。朝一でね。それより鞄はいつになったら返してくれるの?」
安室「そうですね。次に食事でもご一緒して下さった時ですかね?」
玲「はぁ。なら今夜あけるからそこで返して。ないと不便なのよ。」
安室「ホォ、そんなに大事なものが入っていたんですか?」
玲「どうせ貴方のことだから鞄の中全部調べたんでしょ。大事なものというよりも大事な入れ物かしら。…お砂糖を持ち歩くのに不便なのよ。」
そういうと玲はコンビニの袋を見せた。
安室「あなたまさか…それを一日中持ち歩くつもりで…?」
玲「袋ならなんでもいいと思ってたんだけど引っ掛けると破れるしチャックもついてないから落としちゃったり面倒なのよ。だからなるべく早く返してもらいたいの。」
安室「新しく買うという選択肢はなかったんですか?」
玲「どこで何をどんなふうに買えば良いかなんて知らないもの。買い物はいままで全部シルバがやってたし。とくに食事をするわけじゃないから買い物なんてしないわよ。」
安室「…少し貴方が心配になりました。」
玲「貴方に心配される覚えはないわ。」
安室「はぁ。シルバさんに許可は取っています。暫く僕と生活してもらいますよ」
玲「なにそれ。聞いてないんだけど」
安室「あなた、シルバさんがいないのにどうやって生活していくつもりだったんですか?洗濯とかいかにも出来なさそうですし」
玲「あ…」
安室「ですからすぐに荷物を持ってもう一度ポアロに来てください。」
玲「洗濯も全部やってくれるの?」
安室「えぇ…まぁ…」
玲「わかった。」
玲はそう言うとすぐにお会計をしてポアロを出て行った。
そして1時間ほど経つとまたポアロに戻ってきたのだった。
しかしそれはタクシーをポアロの前に止めて。
玲「ねぇ。荷物持ってきたんだけど。」
そう言ってポアロのドアを開けたが彼女はてぶら。
安室「何もないんですか?」
玲「いや、タクシーにそのまま入れてきた。」
安室「…ちょっと待っててください。」
安室はため息をつきながら店の外に出た。
そしてタクシーのトランクに無造作に詰め込まれた荷物を見て頭を抱えた。
安室「キャリーバッグに入れるとか何かあったでしょう…」
玲「持って来いとは言われたけど詰めて来いとは言われてない。」
安室「はぁ…仕方がありませんね。とりあえず店の中に運びましょう…あなたも手伝ってください。」
安室がそういうと玲は後部座席のドアを開けてズルズルと服の塊を引っ張り出してきた。
安室「まだ荷物があったんですね…」
安室はまだバイト中だったので急いで荷物を店に移動させるとふうっとため息をついた。
安室「段ボール持ってきますからとりあえずそこに入れてください。」
玲「わかった。」
玲は安室に言われた通りに段ボールにただ入れると閉まりきらない段ボールを安室に見せた。
玲「つめた。」
安室「…もういいです。とりあえずバイトが終わったら僕の家に運びましょう。」
玲「砂糖おかわり。」
安室「はぁ…」
安室はとことんマイペースな彼女にため息の連続で。段ボールを店の邪魔にならない所に置いてから彼女に砂糖を渡した。
しかしそれも数分でなくなってしまうので何度かお代わりをわたしたところでやっとバイトの終わりの時間になった。
安室「車をここにまわしますので待っててください。」
店の前に彼女をまたせると安室はRX-7を店の前に横付けして彼女の荷物と彼女を乗せてゆっくりと走り出した。
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