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いと哀れなり

原作: その他 (原作:鬼滅の刃) 作者: takasu
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無一郎の言葉にはっとしたのか無一郎の手にハンカチを置くと腕の傷を隠すように立ち上がった。

「物は、何かを否定する力を持ってはいません。しかし、私のせいで人に迷惑をかけることは極力避けねばなりません。だから今否定をしたのですを誤解を招いてはいけませんから。…それに、私の傷はもうずっと前から痛みを感じていません。だから問題ないのです。…お目汚し申し訳ありませんでした。」

無一郎「っ…じゃあ俺たちに殴られた時も痛くなかったの?!覚えのない罪で責められて殴られて、辛くなかったの?!」

「私は皆様に殴られたことなどありません。罪というならば…私が存在していること自体が罪です。…ですが、今は鬼舞辻無惨という鬼を葬るその時までは…生きていることをお許し下さい。」

そう言うと無一郎をはじめとした柱達に背を向けた。

「雇主様。お時間をとらせてしまい申し訳ありませんでした。」

しのぶ「ゆりえさん…」

無一郎「まってよ…!」

しのぶ「…っ…行きましょう…。」

「はい。」

そう言ってしのぶとその場をさっていったゆりえーを柱達はもう追いかけることはできなかった。

煉獄「ゆりえ少女は本当に俺たちの事を覚えていないようだ。」

甘露寺「私達…っ取り返しのつかない事をしてしまったわ…!」

そう言って泣き出す甘露寺を伊黒も慰めようと手を伸ばしたが寸前のところで引っ込めてしまった。

無一郎「こんな時…炭次郎だったら…」

悲鳴嶼「あぁ…何と自分たちは愚かな…」

義勇「…」

実弥「クソッ…」

宇髄「…過ぎたことはどうしようもできねえ。これから時間をかけて償うしかねーだろ…」

実弥「償うっつったってよォ…」

宇髄「派手に楽しませてやろうぜ!」

甘露寺「そうね!クヨクヨしてもどうしようも無いわ!記憶が戻ったときに許してもらえなくてもちゃんと謝る!それまでは楽しませてあげましょ!」

無一郎「…」『そんな単純なことなの…。俺たちは…ただ罪悪感を無くすために…』

その頃しのぶ達は…

アオイ「しのぶ様…これはどう言う…」

屋敷につくなり出迎えたアオイは混乱していた。

「本日よりこのお屋敷のお世話をさせて頂きます。矢神と申します。どうぞよろしくお願いします。」

アオイの目の前で三つ指をついて頭を下げる月柱に戸惑っていた。

しのぶ「アオイ、事情は後ほど説明します。一先ずゆりえさんを個室に案内してください。」

アオイ「はいっ…!」

アオイはそう言うとゆりえを連れて個室へと向かった。

アオイ「あなたは…確か月柱様ですよね。」

アオイはそういうと少し眉を潜めて怪訝そうな顔をした。

「月柱…?いいえ、そんなめっそうもございません。」

アオイ「えっ…?」

「確かに鬼殺隊には入っておりますがお館様のご好意でそうなのらせていただいているだけです。私は下っ端の下っ端です。」

アオイ『どういうこと…?この人、記憶喪失のふりでもしているのかしら…?でもそんな風には見えない…』「そ、うですか…あ、ここです。中で待っていてください。」


「…こんな綺麗な部屋で待っていていいのでしょうか。」

アオイ「何を言っているんですか?普通ですよ。…あ、大人しくしておいてくださいね。」

「はい。ここから一歩たりとも動かぬようにします。」

そういうとゆりえは部屋の隅に立った。

アオイ「この部屋からでなければいいだけですよ!………それと、以前はありがとうございました。」

「以前…?私と昔に会ったことがあったのでしょうか…?覚えておらず申し訳ありません…」

アオイ「私が音柱様に任務に連れて行かれそうになったとき、代わりに行ってくださったじゃないですか。」

「私が音柱様と任務に…?それはきっと人違いです。」

アオイ「っ…そ、うですか。…もう少しでしのぶ様が来ると思うので待っててください。」

「かしこまりました。」

アオイは彼女を部屋に案内ししのぶの元へ行こうとするとちょうどしのぶも部屋に向かっていたようだった。

アオイ「しのぶ様っ…!」

しのぶ「アオイ…。」

アオイ「どういうことですか?!月柱様は記憶喪失なんですか?!」

しのぶ「…私達柱のせいであのようになってしまいました…。記憶喪失よりも記憶の混乱が起きています。…自分が女中として働いていたときに戻ったかのように…。」

アオイ「一体何が…」

しのぶ「私達柱は1週間交代で彼女を休ませるということになりました。…アオイ、もしも彼女が私を怯えてしまうようなことがあればその時は、アオイに頼むことになるかもしれません…」

アオイ「それは…かまいませんが…直す方法はないんですか…?」

しのぶ「一概には言えませんがゆっくりと記憶をすり合わせていくか、彼女自身の意識を変えるしかありませんね…。…私はゆりえさんの手当てをしてきます。…その後は…。」

アオイ「カナヲ!カナヲを呼んでおきますっ…」

しのぶ「…そうですね。よろしくお願いします。」

しのぶはそう言ってゆりえのいる部屋へ向かった。

その拳は強く握りしめられていた。
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