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321…

原作: 名探偵コナン 作者: takasu
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13

蘭ちゃん達と別れた後、私は零くんと二人きりになった。

東京まで車に乗っている間、私達は一言も言葉を交わさなかった。

私は近くの駅で降ろしてもらおうとした時だった。緊急会議の電話が入り私達は警察庁へと向かうことになった。

先輩達の追う犯罪組織が黒の組織に関わりがあるかの確認だったが全くの無関係で私達は再び変えるために警察庁の長い廊下を歩いている時だった。

私の視界は突然ぐるぐると回り出して立っているのも辛く、零くんの隣を歩くのを止めてその場にしゃがみ込んだ。

降谷「どうした?」

零くんがそう言ってきたがぐるぐると回る視界に耐えられずに私は目を閉じた。

目を閉じるとまるで上から何かを置かれたような疲労感がぐっと襲ってくる。

頭痛も酷くなって寒気もしてきた。

呼吸もなんだかおかしい。

「…はっ…はぁっ…はっ…」

降谷「ゆり?!おい!しっかりしろ!」

「…はっ…はぁっ…はっ…はぁ…」

降谷「ゆりっ…!!」

「…はっ…はぁっ…見ないでっ…はっ…」

こんなみっともない姿見せたくない。

降谷「落ち着け、ゆっくり息を吸って…」

どうすることもできない私はただ零くんに言われた通りにする。

そのお陰で訳のわからない発作は治って視界も徐々に元に戻りつつあった。

「…ごめん。…もう大丈夫。ありがと。」

私がそう言って立ち上がると零くんはどこかへ2件ほど電話をかけた後何も言わずに私の腕を掴んで歩き出した。

強引だけど、私を気遣ってくれているのか少しゆっくり歩いてくれて。

ただただ着いて言って車に乗せられると零くんは何も言わずに車を走らせた。


さっきから頭がぼーっとして何も考えられない。

ただ零くんと一緒にいる沈黙に気まずさを覚えた私は一言声をかけた。

「さっきはごめん。…もうここでいいから…降ろして」

私の言葉に彼は何も言わずに車を止める気配すら見せなかった。

暫く走り続けた車がどこかの駐車場に停まったと思うと零くんは無言で車を降りると助手席側に回ってドアを開けた。

降谷「立てるか?」

そう言って伸ばされた手を私は掴もうと手を伸ばすが零くんの手に触れる前にそれを引っ込めて一人で降りた。

が立ち上がると同時に目の前がチカチカして景色はスローモーションのように傾いていく。

気がつけば私の体は零くんに支えられていて、じっと私の顔を見るとゆっくりとまた手を引いて歩いていく。

抵抗しようにも上手く力が入らない。

ただただ俯いて零くんの後をついて行くと独特の薬品のような匂いのする部屋に連れてこられた。

医者「話は聞いています。すこしそこで横になってください。落ち着いたら診察しましょう。」

「え…」

ふと零くん以外の声に顔を上げると目の前には医者が。

「零くん、私かえる…」

降谷「だめだ。言われた通りに寝ておけ。」

「…」

無言を貫いていると私の体は零くんに抱き上げられてベッドの上に降ろされた。

なされるがままに横になるしかできない私はぼーっとしながらもずっと目を開けていた。


医者「胃に穴が空いてるかもしれません。恐らくストレスと過労ですね。暫く休養を取ってください。お薬出しておきますから必ず飲んでくださいね」

「薬なんていりません。」

医者「そういうわけにはいきませんよ、これは放っておいたら大変だ。よく今まで動けてたものです」

そう言われてから私は診察室を後にして、零くんと一緒に薬を受け取りに行くと駐車場まで歩いて行った。

その途中、私は足を止める。

「もう、私に優しくしないで」

私の言葉に零くんも足を止めてこちらを振り返る。

降谷「ゆり」

何かを言おうとこちらへ近づいてくる零くん。

「探偵の助手っていうのもやめる。周りの人達にはわからないでしょ。」

降谷「ゆり」

「会議は出られなかったけど私上層部に近いうちに来るように言われてたから。先に帰ってて」

私はそう言って近くのタクシーに乗り込み零くんを避けた。

勿論呼び出しなんて嘘だ。

私は一刻も早く零くんと離れたかった。

否、離れなければなかった。

そうして私が向かった先は

組織のアジトだった。

そしてアジトに入る前にある少年にメールを送りそのスマホを海に投げ入れた。

"協力してほしい事があります。また連絡します。"

私はまだ死ぬ前にやる事がある。

もう誰も失わないために。

この命に変えてもこの日本を守る。

覚悟を決めて組織の顔になる。

「ジンはいる?」

ジン「何だ突然。」

「大事な話があるの。組織に潜む小汚いネズミについてね。」

ジン「ホォー。聞かせてもらおうじゃねえか。そのネズミとやらの話を。」

「えぇ。じっくり話させてもらうわ。」

もうこんな危ない組織と繋がるのは私だけでいい。

「ただし、ネズミ取りの役目は私に任せてくれるなら、だけどね。」

私は渾身の演技で怒りを露わにしたフリをした。

「私は腹が立っているのよ。そのネズミに。表せないほどの怒りを覚えてるの。この手であの世に葬ってやらないと気が済まないわ。信用できないなら私が殺したあとで貴方が手を出してもいいわ。でも、私はそんなことをしなくて良いほどにネズミをズタズタにしてやるわ…絶対にね…」
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