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321…

原作: 名探偵コナン 作者: takasu
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外に出るなり雨は降っているし、さっき自分で口にした言葉を思い出せば激しいめまいと吐き気がおそってくる。

「…っふっ…っぅっ…」

道端にしゃがみ込んで真っ赤な血を吐き出すと少し落ち着いてくる。

「…はっ…最悪…」

そうこぼすと同時に襲ってきた激しい頭痛に私はいよいよ耐えきれそうにもなくその場にうずくまる。

「帰ろ…」

頭を押さえながらゆっくり立ち上がった私はゆらゆらと歩き出した。


その翌日からはほとんどの仕事を一人でこなして、毎晩寝ずに仕事をする。そんな生活も1ヶ月が過ぎていた。あの日以来あやりちゃんやヒデくん、勿論零くんとも話していない。私の部下にも当たる風間くんにも仕事は危険のないものしか与えず、危険なものは零くんのものも私が引き受けていた。

そしてある日、私は零くんと一緒に呼び出された。

上司「やはり単独行動を撤回する。これからは2人で組織の仕事を本格的に集中してもらいたい。」

降谷「わかりました。」

上司「しばらくここにも顔を出さないようにしてくれ。組織にこちらの人間だとバレた時がまずい。」

「待ってください。私は一人の方がいいです。」

上司「駄目だ。最近のお前は一人で抱え込みすぎだ。」

「そんなことありません。風見くんにも仕事は振り分けていますし、仕事に不備はなかった筈です」

上司「風見には簡単な仕事ばかり与えているだろう」

「いいえ。風見くんには降谷くんから与えられている仕事もあるかと思いそれと両立できるものを与えています」

上司「それでもだめだ。これからは二人で行動を共にするように。」

「まってください!」

上司「暫く普段の生活に関しては後で連絡する。」

降谷「はい」『ゆりと話すいい機会だな…』

上司「では荷物をまとめ次第ここから出るように。しばらくこちらから許可を出すまでここの出入りを禁止する。仕事に必要なものは忘れずに持ち出して置くように」

上司はそれだけ言うと会議室から出て行った。


降谷「ゆり」

二人きりになった会議室で零くんが私の名前を呼んだ。

「必要以上には関わらないから安心して」

私は拒絶した。零くんと話すのが怖かったから。

降谷「ゆり、違うんだ」

「何のこと?」

私は愛想笑いを浮かべた。

降谷「お前に関わった奴は皆って…あれは俺が悪…」

「その通りだったよ。…零くんは気にしないで。…私先に荷物まとめに行くね。」

私はそう言って零くんが伸ばしてきた手を避けると会議室を後にした。

降谷「ゆりっ…」


私は部屋に戻る途中、プライベート用のスマホを壊した。

部屋に戻り自分のデスクを片付けると零くんのデスクに仕事用の連絡先を書いて残した。

×××-×××-×××
×××@××××.ne.jp

仕事用の連絡先です。椿

使い物にならなくなったプライベート用のスマホはゴミ箱に捨てた。

適当に捨ててもこう言ったものの処理は警察では勝手に処理してくれる。

私はプライベートを捨てた。私に誰も関わらせないために。

私と関わってしまった人は死んでしまうから。

大切な人たちを守るためなら自分はどうなったっていい。

この身が朽ち果てるまで仕事に生きてやろうという決心を胸に署を後にした。


それから私達は警察庁に出向くことはなくなった。

その代わりに零くんはポアロ、私は組織の仕事をメインで表向きはただのOLという事になった。

そして私は零くんの探偵の助手でもある。

それほど関わりはないし何より私から彼への接触を避けた。

最初こそプライベートな内容のメールや電話が届いたがそれは無視。

関わらないことがみんなにとっていいことだから。

そう思っていた矢先に時間は起こってしまうもので。



探偵としての仕事が入った。
助手よろしく。



零くんから久しぶりに届いた連絡。

これに何も違和感を感じることなく、私は仕事という文字に頭の中で仕事だと疑いもせずに信じ込んだ。

零くんは賢いのに、疑わなかったのはきっと誰よりも零くんを信じているから。

取り敢えず私はこの痩せすぎた体を隠すために少しでも太って見える服を当日のために何着も用意することにした。

着込めばわからないはず。

顔はメイクでどうにでもなるか…

そんな考えが後に面倒ごとになるなんて思わずに。


零くんに言われた場所に行くと車に乗るように言われたので私は助手席に乗り込んだ。

「ゆり」

何かを離そうと私の名前を呼んだ零くん。

でも、私はそんなことおかまいなしに仕事についての話をした。

「安室透、私立探偵兼ポアロのバイト。迷探偵毛利小五郎の弟子っていう設定。これであってる?」

「あぁ。」

「了解。これからは安室さんって呼ぶね。」

「ゆり。」

「私には特別な設定はないから適当に合わせるし心配しないで」

「ゆり、この間のこ…」

「仕事以外では関わらないよ。」

私は遠慮がちに口を開いた零くんの言葉を遮るとこれ以上話さないといわんばかりに外の景色に目を写した。

…ズキッ…

外の光の眩しさが久し振りだったからか頭痛に私はそのまま目を閉じた。

今日は日差しもきついし暑そうだな…
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