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ラブライブ!誕生!新たな生徒会長

原作: ラブライブ! 作者: プリズムの使者
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チャプター2:真姫ちゃん、悩むの破

 真姫はアイドル研究部に所属している。アイドル研究部は元々、二つ上の先輩の矢澤にこがたった一人で守ってきたところであり、μ'sを結成する際に穂乃果たちがみんな揃って入部した。
 そんなアイドル研究部はにこの卒業と同時に部長が、真姫と同じ学年の小泉花陽に後継され、今に至る。
 にこも花陽も筋金入りのアイドルオタクであり、μ'sの活動によってアイドルに興味がわいてきた真姫はよくアイドルについて教えてもらっている。

 部室に着くと、寂しそうな顔で花陽が待っていた。少し悪いことをしたかな、と真姫は反省した。
「真姫ちゃん! ずっと待ってたんだよ!」
 花陽は真姫に少しキツく言う。
「花陽……ごめん。ちょっと色々あってね」
「色々って……何?」
 花陽はご立腹なのか、真姫に色々聞きたいようだ。
「真姫ちゃんったら音楽室でピアノ弾いてたんだよ!」
 凛は言い訳しようとする真姫を遮って真姫を発見したときの事を言う。
「それもあるけど……穂乃果達に呼ばれて話があったのよ」
「話って?」
 真姫はようやく言い訳ができたとホッとしていたが、すぐさま花陽から聞き返される。
「生徒会長にならないか? って言われたの」
 その言葉を聞いた花陽は椅子から転げ落ち、凛は飲んでいたお茶を吹き出した。
「いてて……真姫ちゃん、それ本当?」
「嘘言ってどうするのよ。ってか、二人とも驚きすぎ」
 真姫は内心焦った。まさか二人にこんな反応をされるとは思ってなかったからだ。全くもってビックリだ。
「それで、真姫ちゃんは生徒会長やるの?」
 花陽からそう聞かれ、真姫は言葉が詰まる。なんせまだやるかどうかを決めてないからだ。
「あれ……どうしたのかにゃ?」
 凛は不思議そうに真姫を見つめる。ここで「まだ迷ってる」と正直に言えばいいのだが、そんな事を言えば格好がつかないと思い、そのせいでさらに言葉が出なくなる。
「真姫ちゃん。もしかして……迷ってたりする?」
 花陽、ご名答。もうバレてたら仕方ないと思い、真姫は開き直った気になって口を開く。
「そうよ! まだ迷ってるの! 生徒会長なんて私には荷が重過ぎる! でも穂乃果の頼みだから断れないし!」
 真姫はこれ異常ないほど顔を真っ赤にして大声で喋る。花陽は適当に言ったことがまさか的中するとは思ってなくて唖然とし、凛は目の前にいる赤い髪の女の子は真姫じゃないのではないかと思うほど真姫らしくない発言に驚いた。
「あんまり格好つかないから言いたくなかったけど、こういう時、二人ならどうする?」
 真姫からそんな問いを投げかけられ、二人は困惑する。今まで、悩みを打ち明ける時はいつも真姫が力になってくれていた。そのせいか、真姫は自分達より大人な人間と認識していた。そんな真姫に的確なアドバイスができるのか不安になった。
 しかし、今まで真姫に助けてもらってきたのだから、これを恩返しの機会として真姫に考えを述べようと二人は決心した。
「私なら、生徒会長になるかな。だって、生徒会は一人じゃないでしょ? 助けてくれる仲間がいる。だから、真姫ちゃんは生徒会長になることを重荷だと感じなくてもいいんじゃないかな?」
「凛もそう思うにゃ!」
 花陽の意見はもっともである。確かに生徒会は一人じゃない。穂乃果達の今の生徒会を見ても分かる。穂乃果のできない事は、海未やことり達、他の生徒会役員が代わりにやる事で生徒会としての運営を可能にしている。
「ありがとう、二人とも」
 不安がる事はない。そう思いたかった。でも、まだ真姫の中にある不安は全て消えてはいなかった。


 それから放課後になった。今日は特に放課後に何かあるわけでもないので、真姫はそそくさに校門を抜けて一人で帰ることにした。
「はぁ……。結局どうしよう」
 花陽たちにああ言われて少しやろうと思ったが、それでもまだ何か心の中で何かが引っかかっていた。その気持ちは表情に大きく現れていた。だから、真姫は少しでも気を明るくしようとして、いつもならしない寄り道をする事にした。

 とりあえず真姫はゲームセンターに来てみた。ここには何度か穂乃果達と来た事のある場所だが、一人できたのは初めてだ。ゲームセンターに来たなら何かをして遊ぶのがゲームセンターにおける普通の楽しみ方であるのだが、正直そういった事がよく分からない真姫はぶらぶらと他人のプレイを眺める事にした。
「珍しいわね、アンタがゲーセンに来るなんて」
 ふと、真姫の耳に聞き覚えのある声がした。この声は分かる。μ'sのメンバーの中でも真姫が特に仲良くしていた先輩、矢澤にこだ。
「……にこちゃん」
「どうしたのよ、そんなしょぼくれた顔。アンタらしくないわね」
 真姫と特に仲良くしていたにこには真姫の気持ちがよく分かるのだろうか。にこは心配そうな表情で真姫を見つめる。
「それより、にこちゃん。こんな時間にどうしたの?」
「バイトよ。このゲーセンのね」
 こんな昼にゲーセンにいるにこに疑問を抱いた真姫に対して、にこはすぐさま返答する。そういえばにこは高校卒業後、自分の家族を養うために毎日何種類ものバイトをこなしていると聞いた。そのせいか、高校を卒業して以来、数えるほどしか会っていない。
「それで、何かあったの?」
 にこは真姫に問う。真姫は少し期待していた。にこに打ち明ければ自分の心に引っかかった何かを取り除いてもらえるのではないかと。
「あのね、にこちゃん……」
「ちょっと待って、真姫。話が長くなるんなら後30分待って。それで私の仕事終わるから」
 にこはそう言って、仕事へと戻っていった。
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