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サイキック・ウォーリアーズ

ジャンル: ハイ・ファンタジー 作者: 護堂アオイ
目次

第11話「戦い、そして(最終話)」

 マオたち【アイギス】は、街で破壊活動を行っていた超能力犯罪者たちと戦いを繰り広げていた。

 超能力犯罪者たちは、全員がレベル4はあると思われる。

【アイギス】は苦戦を強(し)いられていた。

 それでもどうにか超能力犯罪者たちを倒し、捕縛していく。

「まったく、なんで今日に限ってこんなに事件がっ!」

 文句を口にしながら、ソフィアは念動力を使った攻撃を放つ。

 超能力犯罪者が1人、その攻撃を受けて吹き飛ぶ。超能力犯罪者を吹き飛ばしたソフィアは、すぐに身を沈めた。

 直後、頭上を突風が通過する。火炎も通過した。

 マオはソフィアに攻撃を放った超能力犯罪者……風使いと発火能力者に向かって突風を放つ。

 敵風使いが放った突風により、マオが放った突風は打ち消されてしまう。マオはすぐに次の風を飛ばそうとするが、それよりも速く敵が風を放ってきた。

 マオは上半身をよじって飛んできた風を避ける。

 敵風使いはさらにマオに向かって突風を放とうとするが、超能力を使って身体能力を上げたカームが素早く接近してきた。

 一気に敵風使いとの距離を縮めたカームは、回し蹴りを叩き込んだ。

 吹き飛ばされる敵風使い。そのまま意識を失った。

 数の多いレベル4の超能力犯罪者。しかし、数が多いだけだ。連携というものがとれていない。

 しかしマオたち【アイギス】には連携というものがある。

 連携を使うことで、苦戦しつつではあるが、1人また1人と超能力犯罪者たちを倒して捕縛していった。

 この区画で暴れていた超能力犯罪者たちは全員、どうにか捕らえることができた。

 ソフィアたちは次の区画に向かおうとしたが、そのときカームのスマートフォンが着信音を鳴らす。

 表示されているのは、知らない番号である。

 こんなときに誰だと思いながらも、

「もしもし」

 とカームは通話のアイコンを押した。

『シオンの相棒であるカームだね?』

 聞こえてきたのは男の声だ。

『私は長谷川という者だ』

「シオンに情報を提供している予知能力者か」

『そうだ。この番号はシオンから教えてもらった。もしもの時のためにな。その、もしも、が起きた』

「どういうことだ?」

『あることを予知した。シオンの危機だ。私は戦闘向きではない。だから戦闘向きであるキミに頼みたい。シオンを救ってくれ、と』

 いったいどういうことなのか……カームは長谷川から詳しい話を聞いた。



◇◇◇



【赤い月光】のリーダーである立花は、部下を率いてある場所に来ていた。【ゼロポリス】にいくつかあるエネルギープラントの1つだ。

 いま【ゼロポリス】のあちこちで暴れている超能力犯罪者は、皆【赤い月光】のメンバーである。

【アイギス】の目を逸らせるため……陽動のために、派手に暴れさせていた。

 街の破壊が【赤い月光】の目的というわけではない。真の目的は他にある。

 エネルギープラントの破壊……それが【赤い月光】の真の目的だ。

 エネルギープラントを破壊すれば、【ゼロポリス】は大きな被害を受ける。

【ゼロポリス】に大きな被害を出させる……それが立花たちの目的であった。

 エネルギープラントを警備しているのは、超能力者ではない。普通の人間だ。それは確認済みである。

 立花は、元からレベル4である超能力者、ある薬品を飲んでレベル4になった超能力者を連れ、エネルギープラントへと向かった。



【赤い月光】のアジトの1つ。

「うく……くぅ……ああっ!」

 シオンの声が響く。

 吊されているシオンの前後に、男が立っていた。前に立つ男は秘洞に、後ろに立つ男は尻穴に怒張しているモノを押し込んでいた。

 前後の穴を犯されているシオン。

 もうどれだけの時間、凌辱を受けているのかシオンは分からなくなってきた。

 彼女は今にも意識を失ってしまいそうである。

 後ろの男が尻穴から怒張しているモノを引き抜く。ソレは弾け、白濁した体液をシオンの尻にかけた。

 前の男も肉棒を秘洞から抜く。白濁した体液がシオンの股間や下腹を白く汚していく。

 2人の男はシオンから離れるが、まだ解放されるわけではない。別の男が2人、シオンを凌辱しようと歩み寄る。

 失いそうな意識の中、シオンはどうにかこの状況を打破できないかを考えた。

 だが、いい考えが思い浮かばない。

 このまま凌辱を受けるだけなのか……そう思ったときだった。

 部屋のドアが外から勢いよく開いた。

「なんだ!?」

 ドアの近くにいた【赤い月光】のメンバーが顔を向けると、

「ぐへっ!」

 部屋の中に突入してきたカームによって殴り飛ばされる。

「シオンっ!」

 カームは【赤い月光】のメンバーを拳銃の衝撃弾で吹き飛ばし、拳や蹴りを放って倒していく。

 突入したのはカームだけではない。マオとソフィアもいる。

「【アイギス】だと!?」

 権堂は驚く。

 このアジトを【アイギス】に嗅ぎ取られるようなヘマはしていないはず。なのにカームたちが突入してきた。そのことに驚く。

【赤い月光】のメンバーは次々と倒されていった。

 奇襲に成功したので短い時間で多くの【赤い月光】のメンバーを倒せたが、すぐにカームたちに反撃が飛んでくる。

 権堂をはじめ、この場にいるメンバーは全員がレベル4だ。

 最初は優勢だったカームたちだが、苦戦を強(し)いられる。それでもどうにか【赤い月光】のメンバーを1人ずつ倒していく。

 権堂はどうするか考える。このアジトはそれほど重要というわけではない。捨てても問題はなかった。

 無理にカームたちを倒すことはない。

 権堂はこの場から逃げることにした。権堂が逃げたのを見て、他のメンバーも逃げだす。

 カームたちは追わない。追って捕まえるのが目的ではない。

 シオンの救出と、この場で知ることができること……それを知るのが目的だ。

 カームはシオンを拘束から解放し、制服のジャケットを着せた。

「ありがとう、カーム。助かったわ。でも、よくここが分かったわね」

「長谷川さんが教えてくれたんだ。シオンがここに捕まっているってな」

「そう……後でおじ様にお礼をしないと。当然、カームたちにもね」

 シオンのことはカームに任せ、マオとソフィアはここで得られる情報を探す。

 権堂はこのアジトを重要ではないと思っていたが、実は違う。重要な情報をここで得ることができる。シオンの目的はそれだったのだから。

 ソフィアはあるファイルを見つけた。

「なにこれ? レベルアップ?」

 それは、【赤い月光】が開発していた薬品に関するファイルだ。

 レベル1や2の超能力者をレベル4にする……脳に刺激を加えることで強引にレベルを上げる薬品……それがレベルアップ。

 ソフィアたちと戦った時はレベル4はあったのに、【アイギス】の測定ではレベル1や2だった【赤い月光】のメンバーはこれを服用していたようだ。

 持続時間が短いという欠点がある……ファイルにはそうあった。さらに試作のレベルアップには、機密保持のために【アイギス】に捕まった服用者が意識不明になる細工が施されていたようだ。

 ソフィアはいろいろと納得がいった。

 持続時間が短いという欠点は、どうやら克服されたらしい。

 マオの方は【赤い月光】の計画書を見つけた。

「ソフィア! 街で暴れている連中は陽動だ!」

 計画を知ったマオは、すぐに【アイギス】に連絡を入れた。



◇◇◇



【赤い月光】のリーダーである立花は、エネルギープラントの警備員を部下とともに倒し、破壊を行おうとした。

【アイギス】も【ガーディアン】も街で暴れている【赤い月光】のメンバーに目が行っていて、まさかエネルギープラントが狙われているなど予想もしていないことだろう。

 エネルギープラントの破壊は簡単……そう思った。

 だが、その思いは裏切られた。

 エネルギープラントに侵入しようとしたとき、【アイギス】の車輌が複数走ってきた。

 来るはずのない【アイギス】が来た……予想外のことだ。

【アイギス】と【赤い月光】は、すぐに戦闘状態に入る。

【赤い月光】のメンバーは立花を含めてレベル4だ。だが、数が少ない。

 超能力者がいないエネルギープラントの警備。その襲撃には少数でいいと思い、多くは連れてこなかった。

 対して【アイギス】は数が多い。【アイギス】の中にも、レベル4の超能力者はいる。

 立花たちの方が状況は不利であった。

「くそっ! どこで計画に狂いが生じた!?」

 吐き捨てる立花は知らない。部下である権堂がアジトを放棄したことで情報が漏れたということを。

 そうこうしているうちに、【赤い月光】のメンバーは1人また1人と倒れていく。

 撤退するしかなかった。もう一度「くそっ!」と吐き捨て、立花は残った部下とともに撤退した。



 こうして、エネルギープラントを破壊して【ゼロポリス】に打撃を与えるという【赤い月光】の計画は阻止されたのであった。



◇◇◇



 エネルギープラントを破壊するという【赤い月光】の計画を止めることはできた。

 だが相手はテロリストだ。またエネルギープラントを破壊しようとするかもしれない。

 別の計画を立てるかもしれない。

 マオたちは気を引き締めた。



 マオとソフィアは街のパトロールを行っていた。

 街は平和そのものである。

「今日は何事もないといいわね」

 運転席のソフィアがそう言うと、助手席のマオは肩をすくめた。

「そういうことを言うと、何か事件が起きるかもしれないよ」

「嫌なこと言わないでよ、マオ」

 街は静かである。

 だが……どこからか、爆発音が聞こえてきた。

 マオが「ほらね」と告げ、ソフィアが顔をしかめると、通信機から超能力犯罪者が暴れているという通信が入ってきた。

「まったく、たまには平和な1日がほしいわ」

 ソフィアは車を爆発音が聞こえた方に走らせる。

 現場にはカームも向かっていた。

 そしてシオンも賞金を稼ぐために現場に走っていた。



 この世界には超能力が存在する。

 それを悪用する者たちがいた。それを取り締まる者たちもいる。

 今日も【ゼロポリス】では、その2つの勢力がぶつかり合うのであった。
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