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いと哀れなり

原作: その他 (原作:鬼滅の刃) 作者: takasu
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山中「以前、とても体調が悪かったんだろうねぇ、手伝いの途中で倒れてしまって、勿論すぐに休ませたんだけど、その時ずっとうなされててね…。」

そこまで言うと山中さんは泣きそうになって言葉を止めてからまた口を開いた。

山中「ごめんなさい。って謝り続けたと思ったら、大好きって、また戻りたい…って、涙を流して眠っていたよ。…それがなにを意味しているかわからなかったけれど、今日皆さんをみてわかってね。ずっと皆さんとこうして一緒に何かをしたかったんじゃないかなって思うんだよ…。」

その言葉に柱達ははっとして罪悪感でいっぱいになった。

山中「ゆりえちゃんもあなた方も嵌められたと喋る烏の教えてくれたことでわかっているんだよ。だからこそ、お願いしたいんだよ…。ゆりえちゃんにもっと楽しい思いをさせてあげて欲しい。」

その言葉に柱達は勿論と言わんばかりに頷いた。

山中「ゆりえちゃんは、皆さんとの思い出を無表情ながらにも楽しそうに話すんだよ。…ここの復興で甘味処を直す時に、わらび餅や桜餅を柱のお嬢さん達と食べた話をね、初めての経験でうれしかったって。いつかここのお菓子を一緒に食べに来たいって。…目を怪我してきたと思ったら自分の眼帯じゃなくて派手好きの柱の人の人が居るからと特注の眼帯を注文して行ったりね。他にも折り紙を買っていってなにに使うか聞いたら紙飛行機を上手におる少年がいるからって買っていったり、冬場は冷え込むからと暖かい毛布を2組買っていったりね、2組もおもいだろうにどうして?と聞くと蛇を飼っている人がいるからその人と蛇が暖かく過ごせるようにと、いつも薄着の人がいるからその人が風邪をひかないようにとか、お香を買っていった時は目が見えない人がいるから香りをたのしめたらいいなとか、髪を結んでいる人が居るからと組紐を編むように紐を買ったりだとか、櫛や簪を見つけては柱様の中に美しい人達がいるからその人達にきっとにあうだとか、いつも人のことばかり考えているんだよ。皆と仲良くできた時が一番幸せだってよく言ってたよ。…それに、今日見た感じじゃアレはなくなったみたいだねぇ。」

柱「「「アレ…???」」」

山中「あぁ、死に癖の事だよ。」

煉獄「よもや!全くわからない!」


山中「知らなかったのかい?…寝てる間に本人も無意識に自分の首を絞めようとするんだよ。…自分の手ならまだしも近くに紐なんてあればそれで締めようとするからね、こちらもヒヤヒヤだったよ。…幸いあの子は睡眠時間が30分ときっかりきまってて短い。死にきるまでに起きてくれるからいいんだけど、心配でたまらなかったよ。…でもやっと誤解が解けて仲直りできたんでしょう?そのかげできっとなくなったんだねぇ。傷跡も無くなってるし…。」

柱達はその顔を聞いてひどく絶望したような顔をしていた。

山中「ただ、以前よりも明るくはみえるけれど、どんどん痩せ細って髪まで白くなって、どこか悪いのかねぇ…。」

宇髄「そういや胡蝶。どーだったんだよ。」

しのぶ「ゆりえさんは無理がたたって身体中の傷の治りも遅く、食事も固形物は藤の花のみ。毒の耐性をつけるために3食のうち2食は毒を食事がわりにして30分の睡眠の間に点滴をして必要な栄養を摂取していたようです。…そんな生活で体は外も中もボロボロでした。髪の毛が白くなったのは精神的ストレスのせいかと…」

山中「そうかい…。」

煉獄「申し訳ない!俺たちのせいだ!」

山中「あぁ、そうだねぇ。…そうだよ。本当はあなた方がゆりえちゃんをあんな目にあわせたと知って最悪の気分だった。…けれど、ゆりえちゃんはあなた方を憎むことは愚か…慕っているんだよ。….あの子は、はじめての幸せをあなた方から得た。だからこそ恨むことはしないと。…ならば私たちもあなた方を歓迎しようと。…でも根本的に悪い人達じゃないことはわかったよ。…だからこそのお願いだよ。…もう一度、あの子に居場所を作ってやっておくれ。…」

その言葉に柱達は強く頷いた。


「山中さん。ありがとうございました。皆さんを…あれ?」

山中「皆さんゆりえちゃんを待つって湯浴みも食事もまだだよ。用意してあげるからね、ゆりえちゃんもゆっくりしておくれ。」

「あ、私手伝いますっ」

そう言って山中さんについていこうとする彼女を山中さんは静かに笑顔で首を振ってそうはさせなかった。

山中「いつも手伝ってもらってるんだ。たまには私ら村人達からもゆりえちゃんにお礼をさせておくれ。それに、せっかくお仲間と一緒に来れたんだろう?あの甘味処にでも案内してあげたらどうだい?」

「あっ…。でも…申し訳ないです…」

山中「いいんだよ!ほら、行った行った!」

山中さんはそう言って彼女を柱達の方にトンと押すとその場をさってしまった。

「あ…えっと…」

甘露寺「ゆりえちゃん!その甘味処に連れていってくれないかしら!みんなで行きましょう!」

煉獄「うむ!そうしよう!」
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