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いと哀れなり

原作: その他 (原作:鬼滅の刃) 作者: takasu
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「今日は村に行く日だったから…」

クロ「休ムノモ仕事ダ!」

「お留守番ありがとう、クロ。…それよりも、皆さんこんな狭い所にまだ居て下さったんですね。」

炭次郎「すみません!すっかり長居してしまって…」

クロ「俺ガ呼ビ止メタ!」

「あ、いえ。ただ申し訳ないなと思っただけで怒っていませんよ。…今日はもう遅いですし皆さん泊まって行かれてはいかがでしょうか?」

猪之助「ここに5人も寝れねーだろ!」

「いえ、皆様はお屋敷の方をお使い頂ければ大丈夫ですよ。」

カナヲ「ゆ、ゆりえさんはっ…一緒にお屋敷に戻らないんですか?」

「私はここが家ですから。…今お屋敷は空いております。お館様に使っていいと支給されたのですがなかなか使う機会がなくて。是非使って頂ければと思ったのですが…」

炭次郎「愛さんがいなくなってからまだ一度も使っていないんですか?」

「愛さん…?もともとその方が住んでいらっしゃったんですか?」

ゆりえの言葉に4人とクロは目を合わせた後何かを考え込んだ。

クロ「カァ!!オ前ラハ泊マレ!!アトハマカセロ!」

クロはそう言ってどこかへ飛び立ってしまった。

炭次郎「えっ?!あっ…」

善逸「炭次郎。今日は泊めてもらおう。」『なんだろう、もやのかかったような音がする…』

炭次郎「でも…」『こんな状態でいいのか…?俺達が逆に迷惑をかけてしまわないか…』

「よかったです。流石にこの時間に皆様を外に出歩かせるわけにいきませんしね。いくら鬼殺隊といえど疲れてしまいますでしょう。」

猪之助「フン!寝れるならどこでもいいぜ!」『こいつは子分だ!親分は面倒を見てやらないとな!』

「栗花落様もご心配なく、部屋は多いので好きに使って下さいね。」

カナヲ「えっ、あっ…ありがとうございます…」『どうしてこんなにも優しい顔をできる人が虐められてこんなことに…』

「着替えは来客用のものがあると思うのでそれを使ってください。」


善逸「あの!」

「はい?」

善逸「俺達こんな広いお屋敷に住んだことがなくて迷いそうなのでゆりえさんも今日はお屋敷で寝ませんか?カナヲちゃんとねずこちゃんもいるし…」

「わかりました。今日は私もお屋敷の方にお邪魔させていただきます。」

そうして全員屋敷の方に移動することになった。

その頃、クロは…

クロ「オイ!柱!」

蝶屋敷で今日あったことを柱達が集まって相談していた所だった。

しのぶ「ゆりえさんの鎹烏…?どうでしたか?ゆりえさんの具合は…」

クロ「どうもこうも今日は鍛錬と村に出向いて一向に休まない!手当てはカナヲがしていた!」

無一郎「村に出向くって、何?」

クロ「ゆりえは自分の給料は全て人々のために使っている!鬼に襲われた村を復興させている!」

その言葉に柱達ははっとした。

クロ「力仕事も全部手伝っている!下手な作り笑顔で心配させまいと村の人たちを元気付けている!なのに!お前ら柱達のせいでゆりえばかり傷ついた!お前達のせいで休むことができなくなった!お前達を許さない!許さない!ゆりえをもとにもどせ!お前らの責任だ!避けられてもゆりえを戻すまでどうにかしろ!バカヤロー!バカヤロー!今は炭次郎達がゆりえを屋敷に連れて行くように仕向けてくれた筈だ!なら明日からは!お前達が頭を使え!」

クロは泣きながら必死にそう訴えたあと再び飛び立ってしまった。

しのぶ「私たちはなんてことを…」

しのぶがそう言った時、お館様の鎹烏が一通の手紙を届けた。

"皆、今の状況がどういうものかやっと気付いたみたいだね。毎日交代でゆりえを連れ出して楽しかった思い出をもう一度作ってあげて欲しい。もう一度ゆりえが笑えるように。"

お館様はどうしていいかわからない柱達に助言をしてくれたのだった。


「皆さん嫌いなものなどございませんか?」

炭次郎「はい!皆大丈夫です!あ!俺が作りますよ!」

善逸「俺も手伝うよ!」

カナヲ「私も…」

猪之助「ふん!」

ねずこ「むー!」

「ですが皆様のお手を煩わせるわけにはいきませんから。ゆっくりしていてください。」

炭次郎「いえ!ゆりえさん、怪我も治ってませんし!俺達でやります!もしよければねずこと遊んでやってください!」

ねずこ「むー!」

ねずこはそう言うとゆりえの羽織の袖を引っ張った。

炭次郎「台所かりますね!どこですか!」

「えっ…あ、部屋を出て真っ直ぐ突き当たりです。すみません。ありがとうございます。」『そうか、私が作ったものを食べるなんて皆様嫌よね…』

ねずこ「むー!むー!」

ゆりえが少し肩を落としたように見えたのかねずこはゆりえの羽織の袖を引っ張ってにこりと笑った。

「皆さんを待っている間、申し訳ありませんが私といてくださいね。」

ねずこはそう言われるとゆりえをぎゅっと抱きしめた。

「ねずこさん…?」

自分の腰回りに回された小さな暖かさにゆりえは自然と涙を流していた。

「今だけ…すみません…」

そう言うとゆりえはねずこを抱き返した。

そしてねずこはそのままゆりえの腕の中で眠ってしまった。
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